「孤独のグルメ Season3」 DVD-BOX

                

 先日、足利のデカ盛り屋で凄い量のカツ丼を前にして、さあ食べるぞとネクタイを緩めた時に、そうだ、孤独のグルメのシーズン3のDVDが12月に発売だったと思い出しました。

 このシーズン3は、DVDで初めて観たシーズン1・2とは違い、全12話のほとんどをテレビで観たうえに、録画で再度観ているのでどれも承知している内容なのですが、それでも9千円(定価1.2万円をアマゾンでディスカウント)出して購入したい。それほど面白くて高水準のドラマです。

 ドラマといってもメインは仕事先の街で入った店でひたすら美味いモノを食べるというもの。しかし、カメラワーク、セリフ、表情、効果音、音楽など細部に凝っていて滅茶苦茶に面白い。店での一人食事は寂しいという一般的な捉え方を覆して、食べることは真剣勝負のドラマという設定が堪らないです。そして、どの店の料理も実に美味しそう。ここで選ばれるくらいの店にはキラーアイテムが一つではなくニ、三あります。なので、うまいモノを食った驚き、満足感が自然と伝わってきます。
 初めてこのテレビ番組を観た時は、原作漫画での主役井之頭五郎のイメージと松重豊の風貌が異なり、違和感を感じたものですが、今や松重豊で十分に馴染みました。飄々としたおとぼけ感が最高です。

 DVDにはお約束となったテレビ放送後の各店舗の騒動の紹介や撮影風景などがたっぷり付録で収録されていて、出演者と一緒にニヤニヤ笑えます。

 テレビで観て、その後DVDで購入するのは2003年から2006年に放送された「イシバシ・レシピ」以来です。嵌りました。これは当分続けてほしいテレビ番組です。


(12/31~1/3にテレビ東京系のBSジャパンで、シーズン1とシーズン2の全24話が一斉再放送されるようです。)



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

慶應大学コレギウム・ムジクム「コジ・ファン・トゥッテ」(藤原記念ホール)

          

 慶応日吉協生館にある藤原洋記念ホールで2年振りに演奏会を聴きました。慶應義塾大学コレギウム・ムジクムは定期的に無料コンサートを開催していますが、今回は初のオペラ公演で有料(全席自由2000円)です。

 コジ・ファン・トゥッテは、モーツァルトの大好きなオペラです。冒頭の序曲とそれに続くいくつかの重唱は天国的で数多あるモーツァルトの音楽の中でも最上の一つです。全体を通してもシンプルな旋律の重唱の美しさは堪りませんが、一方で「フィガロ」や「ドン・ジョバンニ」にある有名なアリアは少なく若干平坦な印象もあります。

 いずれにしても一度生で聴いてみたかったのでよい機会と藤原ホールへ向かいました。開演17時の15分前に到着し、チケットを購入して2階席に上がるとバラバラと空いていて良さそうな席に座れたのですが、開演時にはほぼ空き席ないくらいに埋まっていました。

 2年前に聴いたベートーヴェンの第7交響曲同様に指揮は石井明氏です。


 17:00~18:25 第1幕
 18:25~19:00 休憩
 19:00~20:25 第2幕


 モーツァルトの音楽ドラマに酔えました。始めはどんな演奏をするんだろう、歌手のレベルはどうだろうと注意して聴いていたのですが、途中からは、「コジ・ファン・トゥッテ(女はみんなこうしたもの)」という移ろいやすい恋心を巡る悲喜劇に浸かってしまいました。

 日本語字幕が舞台背面の白幕中央に薄く投影されるのですが、これがちょうどよく見易くて、ストーリー、歌詞の内容を理解しつつオペラを楽しむことができます。特に後半のフィオルディリージが貞操を守るか、新しい恋に落ちるか心揺れるシーンでは音楽は無意識に聴くくらいで、関心は筋書きや演技の方にありました。これはCD鑑賞ではないことです。

 また、歌手が客席に向かって、女性は移り気で、チャンスがあれば百でも千でもロマンスを楽しむものですと歌うと、女性客のじっくり聴き入っている雰囲気が感じられました。1790年の初演以来、滑稽な設定に笑いながらも、多くの真面目な観客の内に秘めた浮気心をザワザワさせてきたんだろうと想像しました。改めて歌詞を見ながら音楽を聴くと、能天気な浮気モノではなく、シリアスな人間ドラマであることが分かります。このオペラの本質を初めて知った思いでした。いろんな気付きがある生演奏はやっぱりいいです。


 オーケストラは、狭い舞台の前で小さな編成です。2年前に聴いた印象に近く、コンパクトできびきびとした音づくりです。フルート、オーボエなどの木管が魅力的です。弦も良くて、艶やかな最高音が出ないのはアマチュアオケ共通ですが、申し分ありません。ティンパニも正確だったと思います。合奏が乱れたり、ホルンが不安定な個所もありましたが、全般を通しては天晴な出来だったと思います。

 歌手は公募オーディションで選ばれた若手プロでした。普段、レヴァイン盤やベーム盤を愛聴していてそこでのトップ歌手しか聴いたことがないので、始めはどうしても陶酔感、躍動感に乏しいかなあ、また、6人の声質の違いがはっきりしないなあと聴いていたのですが、途中からは違和感もなくなり楽しめました。

 コーラスはおそらく学生で、2年前に聴いた合唱団と同じなのか分からないのですが、その時と比べると随分よくて、まとまっていました。コッテリ装飾の主役6人と対比して、飾り気のない学生然とした雰囲気がよかったです。舞台が狭いこともあり、1階席から歌ったり、舞台に上がったり、2階席からと移動しているのも楽しめました。

 予算の都合上、簡素な舞台でしたが、想像していたものよりずっとよく、全体を通じてシンプルですが簡略のない本当のオペラ上演でした。音楽監督・指揮・演出の石井明氏の総合的な手腕に感服です。


 観に行ってよかった。こんなに楽しめるとは想像以上でした。本公演は全4回あり、このあと12/22、1/4、1/5に開催されるようです。




コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

「HUB」(慶應日吉店)

            

 今年1年の食事を振り返ると、特別な旅行などはなかったので普段使いの店が印象に残っています。

 一度限りの利用で感銘を受けた店も多くありますが、今回は回数の多さで整理してみました。どこも今年10回~80回くらい利用した店です。


「はしご」(銀座)
 ゴマの風味の甘辛い担々麺(だんだんめん)で有名で9割近いお客さんが注文していますが、私は酸っぱ辛い「酸紅麺(さんほんめん)」が好きで、メニューにはないのですが、これに排骨(ぱいこう、豚のとんかつ風のもの)を載せる「排骨酸紅麺(ぱいこうさんほん)、中辛」をいつも食べています。あまりにも美味くて嵌ってしまい、昨年の夏は月曜日から金曜日まで週5、2ヵ月間食べ続けました。その後、週3から週1に減り、現在はたまに程度ですが、おそらく生涯食数ナンバー1の店だと思います。


「魚竹」(築地)
 はしごに行かない日は基本、魚竹です。住所は築地ですが、東銀座からすぐの所にあります。銀鮭と焼きサバが交互にメニューにのります。これにサブメニューの中から中おちをプラス。ご飯も味噌汁もうまく最高の日本の昼食です。


「なか卯」
 おなじみのチェーン店です。上記2店もさすがに飽きてきたなあと思うとなか卯です。カツ丼、親子丼、和風牛丼はチェーン店レベルを超えた一品です。通常、「並」まで要らないと「小」を選んでもほとんど料金は違わないことが多いですが、なか卯の「ミニ」は親子丼で100円、カツ丼で160円安いです。適量でリーズナブル、店の良心的な姿勢に好印象です。
 以前はうどんはイマイチの印象でしたが、高水準の食感に生まれ変わりました。メインの丼にサイドメニューとして小うどんか、100円と少し高いのですがおいしい「季節の味噌汁」を付けます。


「金田」(自由が丘)
 有名な居酒屋です。料理はどれも美味いです。ただし、1階カウンターは大きな声は出せません。このルールを知らずに注意されている人達をたまに見かけます。皆酔っているのでワイワイやっていますが、キンキンする金切り声を出すと「皆さん静かに飲まれているので」とスタッフから声が掛かります。
 季節により変わる豊富なメニューがあり、常連それぞれにお気に入りの料理が多数あるようです。私も大好きな料理が10品以上ありますが、その中でも、定番(常時提供)では「さつま揚げ」、「ひな焼鳥」(タレも美味いが塩が堪らない)、季節ものの中では「ヒロウス」という名のがんもどきと「てっぱい」という名のトリ貝と赤貝のぬたが絶品です。この4品は私の生涯最高10皿に入ります(他の6皿は考えたことはありませんが)。
 ビールと熱燗と料理3品で3千円くらい。長居する客(5千円とか7千円とか)も多いですが私は一人ですし、さくっと飲んで食べて帰ります。


「ほさか」(自由が丘)
 金田の手前にある「ほさか」です。この店も有名なようでちょっと前に出た「コの字酒場はワンダーランド」という本では巻頭で紹介されていました。うなぎの串の店です。頭、ヒレ、胆などいろんな部位の串がありますが、注文するのはカラクリという名の普通のうなぎの味がする部位の串と塩という串です。いつも混んでいるのですが1席でも空きがありそうだと割って入ります。ここの窮屈な雰囲気は女性は苦手かもしれません。
 ビールと熱燗と串4本で2千5百円くらい(お酒と串2本、千円で粘るお客さんもいます)。注文したらすぐに出てきてすぐに食べ終わるので時間単価としては決して安くないし、料理の質は金田がかなり上ですが雑然としていて何ともいえない楽な雰囲気があります。
 ちなみにこの店に灰皿はなく、タバコの灰は足元の地べたに捨てます。私は今はタバコを吸わないのですが、昔、パリのカフェで灰皿はどこかと訊いたら、地べたを指されたのを思い出します。


「HUB」
 何年前から使っているのか忘れましたが、5%引きのメンバーズカードを見ると利用回数が300回手前です。支払いの回数なので300日ではないのですが250日は行っていると思います。1万ポイント貯まると7千円分の利用券が貰えるのですが、3回目の1万ポイントに達しました。
 以前は必ずギネスでしたが、今年、ハブエールというビールがラインアップに加わり、ベルギービールのような甘みとコクがあっておいしいので最近は半々です。
 ここは料理も旨くて、スパイシーポテト、(家族も大好き)海鮮春巻、ラムケバブ、バッファローチキンがお気に入りです。昼のカレー、ハンバーガーもイケます。特に最近はバッファローチキンに嵌ってしまい(手で掴んで汚れるし骨を出すのでグループだと注文を避ける料理だと思いますが)、すっぱ辛い骨付きチキン11~12本を一気喰いしています。


 この6店を思い出すと幸せな気分になれます。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

「やまとや」(足利市)

          

 ちょっと用事があり、栃木県の足利市に行ってきました。観光で日光方面、餃子で宇都宮に行ったことはありますが、足利は初めてです。最近は無理に地元グルメを食べたりせずに用件が終わるとすぐに帰ることも多いのですが、ここはJR足利駅前に気になる店があったので向かいました。「やまとや」というデカ盛りで有名な店なのですが味もよいと読みました。

 しかし、到着すると入口が塞がれていて店内は暗く、閉店したようです。残念、仕方ないな。でも、OPENって札を掲げたままの閉店も笑えるなと近づくと中で人の気配がします。もしやと思い、戸を押してみると動きません。ガタガタと左に引くと店が・・・やっていました。しかも、お客さん4人います。汚い昔のバーと食堂の中間のようなつくりです。

 先客は、スポーツ新聞を読むか、笑っていいともを見ながら、大盛りの皿にがっついています。ホント凄い量です。

 丼物、炒めモノなど食堂のメニューはいろいろとあるのですが、ここの名物はカツカレーやソースカツ丼のようです。一番高い「上ソースカツ丼」(850円)にしてみました。大盛りは+200円のようですがとても食べられません。

 奥の厨房でガンガン、ジャージャー音がして20分近く待って丼が運ばれてきました。フタが宙に浮いています。凄い量です。後の支払い時に分かったのですが、先客の皆さんはてっきり大盛りを食べているのかと見ていたのですが、どれも普通でした。普通からして凄い盛りになっています。カツカレーは山盛りで、途中でルーを注ぎましょうかと給仕のお母さん(もしかしたら料理も担当?)が出てきて、たっぷり追加で掛けていました。チャーハン、カツ丼も凄い量です。

 カツの塊が3つ。苦しむかと思ったのですが、味が良くて、ちょっと変わった香りの付いた中華風スープもいいアクセントになるので、結構いけます。カツをフタに載せてガシガシ無心で食べました。

 店のサービス精神(心意気)を感じるディープな店でした。美味しくて楽しかった。



          


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

柚木麻子「伊藤くんAtoE」

                  

 先日、電車の中でぼんやり立っていると前にいる若い女性が読んでいる単行本が目に入りました。読み易い文体だったので女性と一緒に斜め読みしていくと、伊藤先輩に聡子、実希が出てくるストーリーなのですが、恥ずかしいシーンになりそれを意識したのか若い女性が少しずつ本を狭めたので続きが読めなくなりました。目が悪いのでページの左上に印字されている書名か章名がはっきりしないのですが、「伊藤くんじ」のように読めました。

 帰宅後、「伊藤先輩 実希」で検索すると一発です。柚木麻子著「伊藤くんAtoE」でした。柚木麻子は結構売れていた「ランチのアッコちゃん」を以前手に取ったのですが、ノレなくて早々に読み止めていました。どうしようか迷ったのですが、もう一度だけと思い、早速アマゾンで注文しました。

 伊藤君というイケメンだけどちょっとグズで勘違いしている若者と彼を好きな女性、嫌いな女性達が登場する短編5作からなる連作集です。「伊藤くんA」から「伊藤くんE」まで、私が電車内で読んだのは「伊藤くんC」でした。

 伊藤君のキャラは微妙な設定でなんとも言えないのですが、取り巻く女性のキャラが立っていて楽しくワクワク読み進めます。今の20代の若い女性の気持ちはよく分からないのですが、登場人物の感情の揺れ動きに説得力がありストーリーの中に入っていけます。AからEへとグッと盛り上がっていく。40代のおじさんがこんな本にときめくとは恥ずかしいのですが、一気読みでは今年ナンバー1です。奥田英朗の作品に似た読後感、このシリーズの続きを是非読みたいと思いました。

 昨日、この作品が直木賞にノミネートされたと読み、そうだそうだと思い出しての今更ながらのアップです。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )