「アーンドラ・ダイニング」(銀座1丁目)

          

 銀座でカレーなら数多ある中から個人的には「デリー」、「ナイルレストラン」、「カイバル」などですが、今日は「アーンドラ・ダイニング」です。

 インド料理屋系のカレーでは、同じ1丁目にある「カイバル」を気に入っていてたまに利用しています。ここはナンを+200円でチーズ・クルチャというチーズが入った丸いナンのようなパンに代えることができますが、このチーズがトロトロで滅茶ウマ。これはカレーに浸けずに美味いパンとして楽しみ、カレーはサフランライスを浸していただきます。
 インド料理系カレーは、だいたい同じようなものだろうとカイバルだけで他の店を試すことはなかったのですが、先日、知人に連れられて「アーンドラ・ダイニング」のカレーを食べて、美味しくてびっくりしました。

 まず、この店はパンがチャパティかナンの選択制です。チャパティは精製していない小麦粉(全粒粉)を発酵させずに焼くパン、ナンは小麦粉を発酵させて焼くパンなんだそうです。食べたことのないチャパティを選んだところ、渋味のあるもっちりした食感が楽しい。京都名物生八つ橋を少し固くしたような感じでしょうか。
 そして、驚いたのがカレーのスープで、日本人の口に合うシンプルで爽やかな味わいです。インド料理屋系のルーは、豆とか香辛料によるものか複雑で日本人が食べ慣れないくさみが若干残るのですが、それがなくすっと食べられる。
 チャパティとカレーが合います。これは美味しい。


 今日も3種類のカレーの中から2種類を選ぶAランチ(790円)にしました。辛口「マトンキーマ」と中辛「バターチキン」をチョイスです。パクパク食べていたところ、両脇のテーブルのお客さんがナンを追加(200円)したので、つられて私もナンを注文してしまいました。ナンもふっくらとしておいしい。カレーは少なめに見えますが、追加のナンをいただいてもまだスープが残る程度です。満腹、満足です。


 インド人ビジネスマン風のお客さんもいました。日本人向けにアレンジした味なのかと思っていましたが、そうでもないアーンドラ州(インド南東部地方)の料理、味付けなのかもしれません。



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「南京亭」(東白楽/東神奈川)

〔2014年10月13日〕

          

 再訪したい店は多くあり、忘れないように一応リストアップしているのですが、最近は食事だけを目的としたお出掛けをする気力がなく、何かのついでにいつかと思っているといつまで経ってもその日が来ません。

 この3連休、家族、地域のちょっとした行事はあったのですが、台風接近もあり、特に予定を入れなかったので、それじゃあ久しぶりに何か食べに行くかと気分を奮い立たせて東横線で横浜方面に向かいました。

 東白楽駅下車、徒歩5分、何と3年振りになる「南京亭」です。13時30分頃、店に到着すると、雨が降り出しているこの時間にも関わらずカウンター16席、テーブル8席はほぼ満席、相変わらずの人気です。1席だけ空いていました。

 魅力的なラインナップ、再食したいメニューも多いのですが、誘惑を振り払って予め決めていた懸案の「しいたけそば」(1000円)です。別にこれが美味いとどこかで読んだ訳ではないのですが、これだけ高水準の店で大台1000円に乗っているメニュー、しいたけから膨らむイメージ、初めて来た時から気になるメニューでした。

 注文すると「時間がかかりますけどよろしいですか」と聞かれました。この店は混雑時には時間がかかるメニューは断ると張り紙があります。あれっと思いましたが、そのまま注文しました。
 お客さんの7割はサンマーメン、2割はタンメン、その他1割くらいでしょうか。以前の印象と比べて、サンマーメンが多いような気がして、暗黙のルールで昼はメインメニュー中心なのかなあ、もしかしてヤッてしまったのかなあ、しいたけそば、まだかなあと内心不安が増していたところ、35分ほどでしいたけそばが出てきました。よく分かりませんが13時を過ぎていたので受け付けてもらえたのかもしれません。この店はいろいろと癖もあるのですが如何せん美味いので店のルールに従うしかありません。

 渋谷の「有昌」のしいたけそばのイメージもあり、もしかしてすっきり透明スープかと思っていましたが、この店得意の餡かけ醤油系です。

 目を引くのは大きな椎茸、6つものっています。結論から言うと(?)、この椎茸が主役の一杯です。肉厚で歯応えのある椎茸です。歯でシャクっと噛み切ります。少し固いバニラのアイスバーを食べているような食感、どんこを戻しているのか知識がないので分からないのですが、絶妙の状態の椎茸です。出汁を取る柔らかい椎茸でもないし、天ぷらで食べるものとも違います。どう調理したらこうなるのか、これまで食べたことがない椎茸です。これだけで一品料理になりそうです。

 椎茸に齧り付くと口の中に甘みとうま味が広がります。細麺に餡かけ醤油スープ、野菜類もシャキシャキしていて安定的な美味さがあるのですが、本来脇役の食材の椎茸がすごいので、バランスが悪く感じるくらいです。不満足ということではなくて、何なんだこの椎茸はという驚きです。ラーメン・中華麺を食べて、麺、スープ以外にここまで主張する食材は初めてです。

 食べ進めていくと椎茸のうま味が少しずつスープに混じり合っていきます。椎茸そのものとうま味を満喫しました。

 この店には毎回驚かされます。「南京亭」はやっぱりすごいです。



〔2011年9月30日〕

          

 久しぶりの「南京亭」です。未食の名物「チャーメン」(950円)、やわらかい焼きそばをいただきました。ぱっと見は少ない印象ですが、高く盛られていて十分な量があります。

 味付けはタンメンに似ているかなあ。結構ニンニクが効いています。旨みのある中華風ソースで、しいたけの甘み、ニラの苦みなどがいいアクセントになっています。麺の食感もいい。この店は何を食べても美味しいです。

 以前続けて通っていたのが昨年の11月~12月でした。ちょっと間が空いたくらいのつもりだったのですがほぼ1年振りとはちょっと驚きです。



〔2010年11月22日〕

          

 以前、桜木町・野毛などで食べていた餡かけラーメンを食べたいと探したところ、サンマーメン、タンメンを名物とする店がいくつかあり食べてみたのですがピンときませんでした。ようやくこれだと思った店です。

 東横線の東白楽駅とJR東神奈川駅を結ぶ横浜上麻生道路のちょうど中間にあります。それぞれから歩いて5分。場所は東神奈川と表示しているサイトが多いですが東白楽としても間違いではありません。

 店名からして、店構えからして中華食堂です。愛想がない、厨房でタバコを吸っている、950円、1000円など高すぎると悪評が並んでいるのにいい時間になると行列ができるとはよっぽど味がいいのではと期待です。イメージよりは綺麗な店内、カウンターも広くて快適です。いろいろ人気メニューがあるようですがまずはサンマーメンです。

 スープの上に餡がたっぷりとかかっています。餡とスープと麺をよくほぐして絡めてから頂きます。細麺ですが、むっちりとした食感、焼きそばのようです。これはおいしい。白菜、シイタケ、ニラなど野菜がしんなりと馴染んでいて、スープ、麺と絶妙にマッチします。これだよなあと肯きながら食べることに集中です。うまいです。ラーメン屋のうまいラーメンとは違う中華食堂の旨い麺です。

 中華食堂の麺では、渋谷の「有昌」の有昌そば、しいたけそばが堪らなく好きですが、それに匹敵する旨さだと思います。東京の「有昌」、横浜の「南京亭」です。


          

 メニューをみるといろいろと美味しそうなメニューが並んでいます。チャーメンという焼きそば、チャージャー麺、硬焼きそばなども人気と読みました。これは食べてみないといけません。


          

 日を置かずに再訪です。迷いましたが炒醤麺(チャージャーメン)にしました。「辛いですけど大丈夫ですか」と確認されます。親父さんとお母さんは厨房でもくもくと調理して、暇なときはテレビ見たりタバコを吸っていて無愛想ですが、3~4人いる補助のスタッフは感じいいです。

 スープのない麺に餡がかかっています。甘辛いと読んでいましたが、辛くてほんのり甘いという印象です。ひき肉とシイタケを辛い醤で炒めた餡、絶品です。これは旨い。バクバク一気です。これはうまいなあ。ニンニクや化学調味料などいろいろ隠し味を使っていようと美味ければ文句ありません。「有昌」と匹敵どころじゃないです。こんなうまい中華食堂はこれまで経験がありません。


          

 翌日。聳え立つタワー、火山の噴火、硬焼きそばです。これは凄いです。山盛りの堅焼きそばに餡が塗られるようにかけられます。溢れ出るので下に受け皿が敷かれます。餡はサンマーメンのものと基本的に同じで美味しいです。他のメニューも量多めですがこれは大盛、食べごたえがあります。


 いろいろと食べてみようと思います。まだ名物のチャーメン(大盛焼きそば)を食べていないですし、餡のかかっていない麺類(タンメンかシイタケそば)も試したいです。そしてギョウザ、チャーハンでしょうか。いつ辿り着けるか。とりあえず飽きるまで「南京亭」通いです。


                                                (つづく)


          

 別の日。タンメンです。白濁スープをすすると・・・ニンニクの風味が強いです。これは強烈。ニンニクを隠し味で使う店は多くてもここまでニンニクのスープになっているのを食べたことはありません。でもうまい。具の野菜をいくつか口にした後、麺に進みます。例の焼きそば風の細麺かと思いきや、太麺、少し平たくなっています。表面がツルンとしていてラーメン屋の麺に近いです。これはいい。実はタンメンはサンマーメンの別バージョンぐらいに想像していたのですが、全く別の食べ物です。恐るべし「南京亭」。
 それにしてもこのニンニクスープです。少し喉が痛くて風邪の引き始め状態だったのですが、この一皿を食べて暖かくして寝たら治りそうです。体が弱っているときに元気になるための一杯。

 今日は土曜日だったせいか客足が早く、初めて多くのお客さんと一緒になりました。皆さんの注文は、サンマーメン、硬焼きそばが多いです。その他では麻婆豆腐、ぎょうざ、支那竹ラーメンでした。私も早く各種メニューをマスターしてバリエーションを増やしたいと思います。


          

 また別の日。チャーメンにするかチャーハンとギョウザにするか迷いましたがチャーメンが旨いのは想像できたので未知のチャーハンとギョウザにしました。平日の14:00ですが満席に近い。8割が女性でした。この店ほど女性が一人で食べているのを見る店はありません。もちろん味がいいこと、比較的清潔、カウンターがゆったりと幅が取られているからでしょうか。

 ギョウザは見た目はそれほど美味しそうには見えません。食べてみると野菜中心でニンニクの効いた餡、普通に美味しいです。ぺろっと頂けましたが、この店にしては普通。あえてここで注文する意味はないように思いました。


          

 続いてチャーハン。私のイメージする旨いチャーハンは、まず見た目でカマボコの赤い部分を使っていて、飯は全体的に少し黒く色付き、塩コショウ控えめ(効いていても可)。
 出てきたチャーハンがまさにその通り、イメージどおりです。驚きました。卵の断片は少し大きめです。味もいいです。見た目イメージ通りであれば大きく味が違うはずもありません。おいしかった。これまでチャーハンを注文している人を見たことないので、他人様の評価は分かりません。900円という値段もこれまで食べてきたチャーハンの中で一番高い方だと思います。それでも私は気に入りました。ここでしか食べられない味でないとは思いますが中華食堂に期待する水準のチャーハンです。


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ラトル/ベルリン・フィル「シューマン交響曲全集」

          

 5月にネゼ-セガンによる素晴らしいシューマンの交響曲全集を聴いたばかりですが、またまた高水準の全集が発売されました。

 ベルリンフィル・レコーディングスという新しい自主レーベルからの第一弾とのことです。楽団が大手メーカーではなく自主的に発売するアルバムでは、何十周年記念とか、クラシック不況で発売の順番が回ってこない中堅楽団のものとかがありますが、これはベルリンフィルですし、本格的なレーベルのようです。ベルリンフィルでも以前と比べると録音は非常に少ないので、不況の影響もあるのかもしれません。

 CD2枚、コンサートを収録したブルーレイ1枚、ダウンロード・コード、ベルリンフィルの映像配信サービスを7日間無料視聴できるコード、この4品で日本盤9000円です。CDだけなら3千円でしょうからかなり高額といえます。
 商品の形状もディスクを横に2枚並べたような大きなもので通常とは異なります。

 肝心の中身なのですが、王道をいくようなたっぷりとした演奏です。ラトルの最近の演奏スタイルを知らないのですが、以前のような時に激しいアタックはなく自然な音楽の流れがあります。
 録音も素晴らしいです。ただ事ではないような雰囲気のある低音の渋い響きと艶やかな弦、木管の音が溶け合って堪りません。優秀録音でベルリンフィルのサウンドが鳴ると、演奏どうのこうのより先に音の良さに聴き惚れてしまいます。響きが立体的で最強音でも混ざらずにうるさく感じません。

 最近は他の演奏と聴き比べることはほとんどないのですが、このディスクの音の豊潤さを確認するためにシノーポリ盤やネゼ-セガン盤などを再聴してみたのですが、ちょっと水準が違います。クリアで情報量が多いというか、空間で鳴っている音がくっきりと再現されています。

 シューマン好きには堪らないディスクです。9千円が安いとはいいませんが、価値あるセットです。



(アイフォン文化の中、デジカメを買う人なんてもう少ないのかもしれませんが、もう1台欲しくなってIXY140を1万1千円で購入しました。使い慣れたIXYなので基本性能は同じなのですが、いろいろとユニークな機能も追加されていて楽しいです。これは普通の基本機能の撮影ですが、私が音楽を聴いている空間の写真です。)



          






          




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「3月のライオン おさらい読本 初級編」(羽海野チカ)

                

 新刊を楽しみにしている羽海野チカの「3月のライオン」。普段この手のファンブックは購入しないのですが、作者が体調不良で暫く休んでいると読んでいたので、第10巻は当分先だろうと心の渇望を癒すために手に取りました。

 「3月のライオン」は大好きという割には、実は内容をほとんど覚えていなくて、ひなたがいじめと闘ったエピソードくらいしか印象に残っていません。つまり、9巻まできましたが、これまでは登場人物の紹介程度で、本筋はこれからなんだと思います。前作の「ハチミツとクローバー」は10巻でしたが、一体、どこまで続くのか。想像もできません。

 で、このファンブックですが、登場人物の深掘りや名シーンの回顧も楽しめましたが、印象的だったのは羽海野チカの作品にかける思い、人物像です。特に印象に残った3つです。

 一つ目は、担当友田氏と将棋監修の先崎九段の対談で、第4巻での将棋シーンを描くために元となった郷田九段と三浦九段のJTシリーズでの対戦の棋譜を羽海野チカと友田氏で50回近く並べたとありました。

 二つ目は、3人の男性漫画家が羽海野チカを語るというコーナー。「羽海野先生に会って、一番ビビったのは、“リアルはぐちゃん”だなってことだったね。多分、はぐちゃんって羽海野先生自身のことだったんだよ、きっと。」

 三つ目は、羽海野チカ先生Q&Aで、零くんやひなちゃんと同じ年代だった頃、どんな人だったかの質問に対して、「内気すぎて人と話せず、ひたすら毎日図書館に通い本を読み、ひたすら毎日絵を描いて、どうやったら自分のような人間が、大人になっても生きていくことができるのかを必死に毎日考えていました。」

 並大抵の努力でないことは想像していましたが、遥かに上です。文字どおり全身全霊でよい作品を生み出すことに集中している姿勢に感動しました。


 影響を受けやすい私は、来週の会社同僚との飲み会の場所を‘聖地’である月島にしてしまいました。もんじゃではなく、焼肉ですが、流れ次第では、紹介されている「もんじゃ太郎」に行ってみようと思います。


 ところで、この本のアマゾンのカスタマーレビューをみると、上から5人とも、アイドルのグラビア不要、これさえなければよかったのにとありました。SKEの松井玲奈なのですが、このグラビアでのインタビューで、羽海野チカのファンと答えて(控えめに書かれて)いますが、以前、「ぴあ」に掲載されたインタビューで、Q「無人島に一冊だけ家にあるマンガを持っていくとしたら?」A「ハチミツとクローバーの最終巻。」と回答していて、松井玲奈は羽海野チカの大ファンなのです。
 漫画雑誌の巻頭グラビアでのAKBグループだらけにうんざりされている方も多いと思いますが、この本での起用は、そういうことからなのだと思います。


 調べたら羽海野チカは復帰して連載を再開していて第10巻は来月末に発売予定です。9巻まで読み返して備えようと思います。



〔備忘録〕

楽しみにしている新作の年内の発売予定です。

10/23(木)  「黄昏流星群」48巻
10/30(木)  「百合子のひとりめし」
11/10(月)  「姉の結婚」8巻(最終巻)
11/28(金)  「3月のライオン」10巻
12/ 3(水)  AC/DC「ロックオアバスト」
12/17(水)  「孤独のグルメ シーズン4」DVD




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「ストラット」(レニー・クラヴィッツ)

             

 ビジネスマンとしてはたまに話題についていけず不都合を感じることもあるのですが、日経新聞の購読を止めて暫くになります。ただ、金曜日の夕刊はキオスクで70円出して購入し目を通すようにしています。目的は、最終面にある映画評で、朝日新聞や読売新聞が企業グループとして映画の制作側にあって、公平まともな批評を期待できないのに対して、日経新聞は起用している映画評論家のものですが一つ星から五つ星まで結構手厳しい評価を付けます。
 「★★★見応えあり」、「★★それなりに楽しめる」と言葉ではフォローしていても三ツ星以下の作品を観ることはありません。一方で、「★★★★★今年有数の傑作」は、映画らしい楽しさのある水準の高い作品であることが多く信頼できます。


 話題は変わりますが、今更申し上げるまでもなく、アマゾンの当日配送は、すごいサービスです。注文品の保管場所にもよりますが、私が住んでいるエリアでは11時30分までに注文すれば当日に届くことがあります。昼前に注文したものがその日のうちに届くなんてそこまで進化しなくてもというレベルだと思います。
 暇潰しで、今の日本に生きていて幸せに感じること、海外移住なんて考えられない日本の誇るべき特徴・進化したサービス・製品を考えることがあるのですが、和食、温泉宿、ラーメン・うどんなどの麺類、マンガ、ウォシュレット、アマゾン当日配送がすぐに浮かびます。少なくともこの10年間でのサービスの最大の進化はアマゾン当日配送ではないでしょうか(アイフォン系進化には個人的に関心がないので)。


 前置きが長くなりましたが、一昨日買った金曜日の日経夕刊を土曜日の朝に眺めていると、映画欄の下、ディスクレビューにレニー・クラヴィッツの新譜が紹介されていました。私はレニー・クラヴィッツのファンという訳ではなく、一世を風靡したヒット曲などをベスト盤でたまに聴いている程度なのですが、『ガッツのある骨太な音もいい。ミックスを手がけたのは伝説的なエンジニア、ボブ・クリアマウンテンだ。』とありました。

 80年代のロック、ポップス好きには、MIX BY BOB CLEARMOUNTAINのクレジットは絶対でした。ボーン・イン・ザ・USA、レッツ・ダンス、ブライアン・アダムス、インエクセス、シンプル・マインズなど、キレのあるギター、センスのいいシンセサイザー、重量感のあるはっきりしたドラム、ベース音が文字通りクリアに整理されたスケールの大きいカッコいい音楽でした。

 これは買いだなと思ったのが7時50分すぎ、アマゾンで注文すると、「10/4土曜日にお届けするには、今から9分以内に注文を確定してください。」とあります。ぎりぎりセーフ、何か得した気分です。気分が盛り上がって、それを当日に手にできるのは本当に有難いです。


 10作目にして初めて自らでなく外部にミックスを依頼した作品とありました。ある意味想像どおりの勢いがあってグルービー感のあるソウル・ロック・アルバムです。ここ15年近くの作品を聴いていないので比較はできないのですが、いいアルバムだと思います。
 安心して聴けるというか、好みのど真ん中の音作りです。キーンと響くギター、ビンビン強いベース、前に出るドラムです。昔の印象に強いスコーンと抜けた音ではないような気もするのですが、全く変わらないことが良い訳ではなく現代に合ったサウンド、いずれにしてもワクワク楽しめるミックス、ボブ・クリアマウンテンの世界です。セクシーな音作りのインエクセスを思い出しました。



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「ザ・ハンター」(ジェニファー・ウォーンズ)

             

 「クラブ・ステラ」のジャズ&ポップス欄からの1枚です。

 こちらは、クラシック編と違い、推薦文を読んですぐに聴いてみたくなりました。グレゴリー・ポーターの「リキッド・スピリット」とジャニス・イアンの「ブレイキング・サイレンス」です。しかし、アマゾンで検索するとジャニス・イアンの方は到着が2~3週間後の予定とあり、それならと一旦止めておきました。その代わり、『私にとって本作「ブレイキング・サイレンス」は、ジェニファー・ウォーンズの「ザ・ハンター」や「フェイマス・ブルー・レインコート」と同じくらい、音楽的にもオーディオ的にも好きなアルバム。』と紹介されていたジェニファー・ウォーンズ盤を注文することにしました。

 まず、グレゴリー・ポーターの「リキッド・スピリット」の素晴らしいこと。冒頭から録音の良さ、演奏の良さが分かります。安定した低音と艶のある高音の張りのある歌声、そして落ち着きがあり、雰囲気満点のアルバムです。オリジナル曲もいいですが、「ウェン・ラブ・ワズ・キング」、「アイ・フォール・イン・ラブ・トゥー・イーズリー」は痺れます。最近のジャズアルバムでここまで出来の良いものがあったか、すぐには思い出せません。本作でグラミー賞を受賞したというので既に有名なのでしょうが私は今回初めて知りました。

 
 ところが、です。まさかこれを凌ぐアルバムを直後に聴くことになろうとはです。

 「ザ・ハンター」は、名盤中の名盤で、オーディオ好きで知らない人はいないんだそうです。恥ずかしながら私は知らなかったので、オーディオ好きとはいえないです。調べると1992年の作品。私は1989年に社会人になったのですが、それから4~5年の音楽については特に疎くて、この間の音楽は大ヒットのものでも全く知らないことがあります。

 クリアで弾むような立体的サウンド。耳の幸福です。そしてジェニファー・ウォーンズの包容力のあるやさしい歌声。リンダ・ロンシュタットを思わせるカントリー風ポップです。どの曲もミディアムテンポのメロディアスな音楽で魅力的。アルバム全体が完璧に仕上がっています。女性ボーカルものでは、スティーヴィー・ニックスの「ベラ・ドンナ」、バーブラ・ストライザントの「ギルティ」、ウィルソン・フィリップスのデビュー作、あと何だろう。個人的に大好きなアルバムに匹敵する完成度の高さ、親しみやすさがあります。

 いくつかあるエディションのうち、評判のよさそうだった「24K GOLD SPECIAL EDITION」で聴いています。他と比べていないので何とも言えませんが、確かにこれは音がいいです。

 ジェニファー・ウォーンズは、「愛と青春の旅立ち」をジョー・コッカーとデュエットしたシンガーなんだそうです。それなら思い出しましたが、このアルバムでの眼鏡をかけた知的な雰囲気の女性とは随分印象が異なります。


 ジェニファー・ウォーンズを選びましたが、「ザ・ハンター」と「リキッド・スピリット」、どちらも録音の良さは驚異的です。




          



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「27の小品 ヒラリー・ハーン・アンコール」

             

 使用しているアンプのゴールドムンドを販売しているステラという会社から定期的に案内が届きます。その中に9月下旬に東京国際フォーラムで開催されるオーディオフェアでのアナログレコード試聴会の招待状がありました。

 イベントの目的は当然新商品の販促で、別にこれ以上のめり込むつもりも金銭的余裕もないので、この手の案内はこれまでパスしてきたのですが、こういったイベントをコーディネートするオーディオ評論家が一体どういう質の音を聴いているのか、おそらく最高レベルなんだろう音を一度体験したくなりました。中期的に音楽への関心が弱い状態が続いているので、何かいいきっかけにでもなるかもしれないという期待もありました。

 「クラブ・ステラ」のディスクガイドを執筆している柳沢功力氏と三浦孝仁氏の日程があったのですが、ジャズよりはクラシックがいいだろうと柳沢氏が担当する9月25日(木)15時から2時間のイベントに参加することにしました(招待状なんか無くても誰でも参加できる出入り自由の商品陳列会場です)。


 仕事を切り上げて東京国際フォーラム4階のステラの部屋に到着したのは15時30分。おそらく始めにどういうオーディオセットで鳴らすのか説明があったと思うのですがそれは聞けませんでした。
 根本的に分かっていないのですが、ステラという会社はおそらくヨーロッパの高級オーディオメーカーの販売店で、当日いろいろと並べられていたカタログに、私が購入したゴールドムンドのものはなかったので、主力は別のメーカーのものなのだと思います。ただ、パラパラとみたカタログにあるパーツの値段は500万円とか600万円とかだったので、当日のオーディオの総額は2000万円とか3000万円なんじゃないかと想像します。30~40人くらいの人が着席して熱心に耳を傾けていました。

 オール・クラシックかと想像していましたが、ジャズ、シャンソン、レイ・チャールズと続き、その後にヴェルディ・アリア、いろいろあって最後は美空ひばりとオールジャンルです。どれもリアルで素晴らしい音です。空間もあるので音が広がります。
 時空を超えて現場にいたら聴こえたであろう音とここで再現されている音はどのくらい同じ、近いんだろうと想像を膨らませて聴くのですが、どちらの経験も少ない私にはよく分かりません。ただ、現場音よりは強めのくっきりとした音が再現されているんだろうことは感じました。音が前に出るタイプ。自然な音が空間に広がるタイプとは少し違うようです。

 いろいろと聴き終えた印象は、ピアノ、声、ヴァイオリンなど主役がはっきりしている音の再現は高水準で艶っぽくて本当に酔えます。ただ、オーケストラの音の再現には限界があるのかも。当日は、ケルテス指揮、ロンドン交響楽団演奏のドボルザーク交響曲第8番の第1楽章が流されましたが、レベルは高いのですがオーディオの向こうにオケの存在を感じるほどではない印象でした。

 実は、これは我が家のオーディオにもいえることで、ピアノ、ギター、声などはパワフルかつクリアなのですが、オーケストラの再現がどうしても万全でなくうるさく感じることがあります。プロが鳴らす、聴くオーディオでも同じ傾向があることを知り、何かほっとしました。ただ、たった1回きりの印象で本質を見極められることはないと思いますし、ディスクの録音状態、好みもあると思うので、一概にはいえないと思います。

 それでもいい経験になりました。「最高のものだけが本物」(色川武大「うらおもて人生録」)。最高だろうものに触れることにより学ぶことは大きいです。満足できる音を手に入れるためには桁が違うことを知りました。謙虚に生きていきます。


 今回送られてきた「クラブ・ステラ」で推奨されていたディスクから、ヒラリー・ハーン演奏の現代作曲家によるアンコール曲集です。ハーン自ら26人の作曲家に委嘱した曲とコンペティションでの優勝曲、合わせて27の作品です。大好きなヒラリー・ハーンなのですが当初はアンコールピース集に興味が湧かず、他の2枚も含めて今回はクラシック関係はパスだと思っていました。
 それが、試聴会を体験したことでそれならという気になり購入することにしました。ヒラリー・ハーンはNHK交響楽団との共演をテレビで見て、天才だと確信したのですが、録音には満足できるものがありませんでした。今回、ようやく満足できるレベルのディスクがあらわれました。

 現代作曲家のものなので、不協和音とか超絶技巧とか、要するに変な音楽なのかと偏見がありましたが、意外や聴き易く、複雑さと単純さを併せ持つ水準の高さ、また作品にどっぷり浸かれる心地よさを感じました。ヒラリー・ハーンの演奏、歌い回しの良さは当然ですが、こんなにも現代作曲家の音楽が良いことに驚きを感じました。最後は個人の好き嫌いでしょうが、こういう現代音楽であれば聴けます。



            



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