ポリーニ「ストラヴィンスキー ペトルーシュカからの3楽章 他」


 今年に入ってから一番聴く機会の多いクラシックのディスクはポリーニがストラヴィンスキーなどの現代音楽を録音したディスクです。

 このディスクについては以前から名盤の誉れが高いことは知っていて探していたのですが、どのショップでも品切れでした。ようやく見付けて聴いたところ、ポリーニの冴え渡るピアノ音、音楽に驚愕です。私は最近になるまでポリーニは苦手なピアニストだったのですが、本格的なデビュー盤としてこの音楽を聞けば、このピアニストがとんでもない才能を持っているというイメージが脳みそに刷り込まれたとしても当然です。以前からポリーニが絶賛されてきたのも納得という感じです。

 「ストラヴィンスキー ペトルーシュカからの3楽章」、「プロコフィエフ ピアノ・ソナタ第7番」、「ヴェーベルン ピアノのための変奏曲」、「ブーレーズ ピアノソナタ第2番」の4曲の現代音楽が入っています。現代音楽の一聴すると無機質な旋律の中にもロマンを感じさせ、静かに聴き入らせる魅力に溢れた演奏です。

 最近のポリーニのディスクを聴き直してみたくなりました。


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ELO「ディスカバリー」


 ボブ・ディランと並んで最近ハマッているのがELOことエレクトリック・ライト・オーケストラです。最近、紙ジャケでの再発売、代表盤をデジタルリマスターしたということでタワーレコードの中で少し大きく取り上げられていました。そのコーナーの手書きPOPで、「ディスカバリー」がビーチボーイズの「ペットサウンズ」を超えるポップアルバムと激賞してあり、それならと手に取りました。

 手書きPOPは大袈裟ではありませんでした。甘く魅力的でメロディアスな音楽が詰まったウルトラポップなアルバムです。ジェフ・リンが一番気に入っているという第7作「アウト・オブ・ザ・ブルー」(2枚組)と第8作「ディスカバリー」に収録されている26曲は全てシングルカットされてもよいくらいの佳曲、名曲揃いです。私はザナドゥー以降のELOしか知らなかったのですが、この頃のELOというかジェフ・リンの充実ぶりは神懸かり的(?)です。

 第9作の「タイム」も含めて、私同様に聴いたことがないのであれば絶対にお奨めのアルバム群です。


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ボブ・ディラン「インフィデル」


 長らく私にとってのボブ・ディランは、「ライク・ア・ローリングストーン」、「風に吹かれて」などメッセージ色の強いヒット曲を出したフォークロック歌手で、同時代で体験した人には堪らないけど、それ以外の人には合わない音楽というイメージを持っていました。所有しているアルバムも「武道館」、「偉大なる復活」、「アンプラグド」とどれもライブ盤です。ヒット曲が入ってないと聴く価値がないと思っていたのでしょう。頻繁に新作を発表していますが、シングルよりあくまでアルバム中心の作りをしているのでラジオなどで聞いてイメージを覆す機会にもめぐり合わなかったのだと思います。

 それが、たまたまタワーレコード横浜モアーズ店のSACDコーナーで試聴盤にボブ・ディランの昔の作品が多く載っていて、以前レコードで聴いたことのある「追憶のハイウェイ61」を聴いたところイメージとはかなり違うクリアな音で好印象でした。これは面白いなあと思いどれか1枚買ってみようかと探しているとそこでは試聴できなかったのですが、プロデューサーがマーク・ノップラーで比較的新時代の録音の「インフィデル」を買うことにしました。

 もともとマーク・ノップラーが特に好きという訳ではなかったのですが、その数日前に同店のカントリーコーナーで、マーク・ノップラー・アンド・エミルイ・ハリスの「オール・ザ・ロードランニング」というアルバムがロングヒット盤として推奨されていて購入し気に入っていたのです。マーク・ノップラーはダイア・ストレーツの中心メンバーで我々にはスティング(ポリス再結成するそうですね。スチュアート・コープランドのドラム楽しみです)をバックボーカルにした「マネー・フォー・ナッシング」が思い出されますが、今、何をやっているのかは先程のディスクも輸入盤なので分からないのですが、メリハリの利いた渋くてとても味のある音楽でした。

 前置きが長くなりましたが、そういうことで「インフィデル」を購入して、家で聴いたところ、印象とは違うとても聞き易い音楽で気に入りました。ボブ・ディランの歌は詩が重要らしくそちらはまだじっくりとは読めていないのですが、音楽、演奏だけでも十分楽しめる仕上がりでした。


 で、その後、いろいろとディスクを購入して聴きました(下記の11枚)。最近はずっとボブ・ディランを聴いています。

・「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」(1963年)
・「時代は変る」(1964年)
・「追憶のハイウェイ61」(1965年)
・「ブロンド・オン・ブロンド」(1966年)
・「プラネット・ウェイブズ」(1974年)
・「血の轍」(1974年)
・「欲望」(1975年)
・「インフィデル」(1983年)
・「オー・マーシー」(1989年)
・「アウト・タイム・オブ・マインド」(1997年)
・「モダン・タイムズ」(2006年)


 「欲望」でサブ・ボーカリストとして参加しているカントリー歌手のエミルイ・ハリスが、先のマーク・ノップラーとのカントリーアルバムで共演しています。マーク・ノップラーはよっぽどボブ・ディランやディランと関わりのあったミュージシャンが好きなようです。


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雫井脩介「火の粉」


 会社近くの有隣堂ランドマークプラザ店の文庫コーナーで手書きPOPで大袈裟にプッシュしてあるエンターテーメント本が複数あり、今年に入って続けて読みました。ほとんどの作家はそれまで知らなかった一般にはマイナーな著者が中心ですがどれも面白く、さすがに専門家は読むべき本をよく知っています。最近増えていますが、タワーレコード、HMVなどの音楽ショップ同様に本屋さんもこういう推薦機能を持っていると数多在る本屋さんの中でこのショップに行きたいと思わせます。

 マイナー本を読む楽しみは、著者、ストーリーについての予備知識が一切ないので、この先一体どうなるんだろうというページをめくる喜び、ストーリを追うドキドキ感を味わえることにあると思います。私は本を買ってくるとすぐにカバーを外してしまいカバー後ろの紹介文が目に入らないようにします。今回、読んだ本も手書きPOPでの「なんなんだこれは」、「戦慄」、「史上最恐の犯人像」といった大書きコメント以外何も知らずに読んで物語の面白さを堪能できました。


 それぞれの小説の概要は省略して、読んだ本の個人的水準(ランク)だけご紹介したいと思います。一読していただく価値はある本ばかりです。

○圧倒的/痺れる/最高

・雫井脩介「火の粉」
・盛田隆二「夜の果てまで」
・奥田英朗「イン・ザ・プール」(ただ、続編で直木賞を取った「空中ブランコ」はワンパターンでイマイチ)

○高水準/読む価値あり

・赤井三尋「翳りゆく夏」
・志水辰夫「行きずりの街」
・吉田修一「パレード」
・岡嶋二人「99%の誘拐」

○個人的には合わなかった

・荻原浩「コールドゲーム」
・本多孝好「MISSING」
・加納朋子「ガラスの麒麟」



 その他読んだ本では、桐野夏生の「魂萌え!」も良かったです。桐野ワールド爆発で「OUT」、「柔らかな頬」、「ダーク」などに並ぶと思います。桐野夏生はやはり主人公が女性の作品がエグいです。
 楽しみにしていた村上春樹の新訳「グレート・ギャツビー」、「ロング・グッドバイ」はそれほど乗れませんでした(村上春樹の作品は本人の長編がずっと低迷しているのに比べて、翻訳ものはほとんどがよいのですが…)。

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