沖澤のどか指揮「NHK交響楽団 第2014回定期公演」





 デビュー盤のシベリウス2番に感激した沖澤のどか目当てで初めてのN響です。
  曲目はオールフランスもので「イベール/寄港地」、「ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲」、「ドビュッシー/夜想曲」の3曲。普通であれば敢えて出向かないプログラムですがあまり聴かない曲なのでこれでどう盛り上げるのか楽しみ。
 席は舞台に向かって前から4列目の右側の席で、昔、大植英次指揮の大阪フィルハーモニーを聴いた時も似たような場所でした。視覚的にも面白かった印象もありここにしました。7600円。
 事前のコメントで休憩なしで一気に演奏すると読んでいました。

 渋谷のNHKホールはおそらく2度目で前回はアバド指揮、タルコフスキー演出のボリス・ゴドゥノフ、調べたら1994年、30年前のことでした。

 小柄の沖澤のどかが登場し、演奏が始まります。軽い弦の音に酔いしれそうになるのですが・・・。

 前の席のオタク風のすごく太った人がじっとしていられないようで、体を動かし、丸い大きな頭を右に倒して、左に倒して、髪をかきあげて、プログラムを取り出したり、スマホを取り出したりと・・・気になって不愉快で音楽に集中できません。
 広いホールの中からわざわざこんな席を選択してしまったとは。悲しい。生きているとこういうこともあります。途中休憩があれば席を移れましたが今回は通しが凶とでました。

 沖澤のどかとN響は、奇を衒わない音楽の自然な進行、繊細な弦の響きにパンチのある金管のアタック、味わい深いニュアンスの木管も絡んで強弱のコントラストで聴かせました。あっという間の80分。フランスものはオーディオ再生ではどうしても退屈に感じるのですが実演だと視覚、聴覚で楽しめました。フランス音楽はライブに限ると実感です。

 それにしても、まいりました。動かないでと言うべきか、席を立って後ろで立ち見するべきかの葛藤。結論からは早々に席を離れるべきでした。心の中で祈った暫くしたら落ち着くのではないかは最後までなかった。演奏開始10分で席を立つなんて普通ないけど目立ってもそうすべきだった。まぁ、7600円でまだよかったです。

 カーテンコールは撮影可ということでうまく撮りたかったのですが、前が邪魔でそれも叶いませんでした。




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沖澤のどか/読売日本響「シベリウス交響曲第2番」




 新進指揮者の沖澤のどかのデビュー盤です。素晴らしい演奏でAppleミュージックで何度も聴いていたのですがCDでも購入してしまいました。

 音の響き、進行が自然でスケールの大きい確かな音楽です。フィンランド、北欧の情景が浮かぶでしょうといった雰囲気たっぷりの演奏ではなく、第1楽章から純音楽的に弦と管を思い切りよく鳴らしています。テンポ遅めですが弾むようなリズムが心地よい。そして第2楽章での幾度かの長いパウゼ、只者ではない凄みがあります。フィナーレも神々しいばかりの繊細さと構築の確かさ、高揚感に圧倒される。この演奏でシベリウスは本当にすごい曲を書いたことが実感できます。

 シベリウスの2番にはセルの1970年東京ライブという超絶盤がありこの1枚だけで十分と思っていましたが、まさか日本からの対抗馬の登場です。
 デビュー盤でちょっと違うなぁと感じさせたのはティーレマンのベートーヴェンの5番、7番以来かもしれません(その後のティーレマンは世評ほど好きではないですが)。1996年でした。

 録音もよく、初めて聴いたのですが読売日本交響楽団も機能美を存分に発揮した2021年10月のライブです。
 沖澤のどかは現在、京都市立交響楽団の常任指揮者です。京都には行けませんが、NHK交響楽団を振る予定もあるようなので一度会場で聴いてみたいです。




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イングリッド・ヘブラー「バッハ フランス組曲」






 今年5月に93才で亡くなったオーストリアの女流ピアニスト、イングリッド・ヘブラーです。モーツァルト弾きで有名でしたが、バッハのフランス組曲を愛聴してきました。
 しっとりとした曲調によく合う端正で適度な装飾、優しくたおやかなタッチに聴き惚れます。
 先日、タワーレコード渋谷に行った際にモーツァルトのピアノソナタ、シェリングとのヴァイオリンソナタのセットが売っていてそういえば全部は聴いてなかったと改めて楽しんでいるところです。



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アシュケナージ「ベートーヴェン 月光・熱情・悲愴」




 初めてレコードを買ったのはおそらく中学生の頃でエア・サプライの「ロスト・イン・ラブ」でした。その時迷ったもう一方のポリスのゼニヤッタモンダッタならどんなにカッコ良かったかと後悔していましたが今となってはロスト・イン・ラブの方が好みでまぁ良かったです。
 初めてのクラシックのレコードは大学生の時でアシュケナージが弾くベートーヴェンの人気のソナタ3曲、8番・14番・23番が入っているものでした。
 その他持っていたクラシックのレコードはカラヤン指揮のモーツァルトのリンツ・プラハ、ベーム指揮のブルックナー4番、ベームとバックハウスのブラームスのピアノ協奏曲2番、アバドとブレンデルのブラームスのピアノ協奏曲1番です。この他にもあったと思うのですが思い出せないのでこの程度だったのかもしれません。
 いずれにしてもレコードからCDへの転換期でレコードは全部で20枚もなかったと思います。
ローリングストーンズの「エモーショナルレスキュー」、ジェフ・ベックの「ゼアアンドバック」など懐かしいです。
 当時はレコードの無駄が少なく済んでラッキーと思っていたのですが、20年、30年近く経ち、レコードが復活しています。
 自宅のスペースとお金の制約で残念ながらレコードで聴く余裕はないのですが、音の広がり、余韻の深さは今でも耳に残っていて、レコードを聴く方がいるのはよく分かります。

 レコードでは聴き直せないのですが、せめてものジャケットの懐古趣味でCDで買い直したアシュケナージの定番ディスクなのですが、テンポ、タッチがとても耳にしっくりきて何度も聴いています。
 私はマニュアル君なので推薦本の影響を強く受けて、これまでバックハウス、ギレリス、ゼルキン、ポリーニなどをコレクションして主に聴いてきたのですが、初めに聴いた当時一般ファン向けの人気ピアニストであるアシュケナージの演奏(ガイド本で推薦されることはまずない)が一番耳に心地よいことに今更ながら気付きました。年齢、時期によってまた変わるかもしれませんが随分遠回りをしたようです。



 
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山崎浩太郎『クラシック ヒストリカル108』






 平成6年から平成10年くらいの間にクラシック音楽に夢中になって渋谷、六本木、新宿、池袋の音楽ショップに通いました。特にHMVとタワーレコード。HMVでは「はんぶる」というフリーペーパーを配布していて楽しみでした。それの執筆者だった山崎浩太郎氏です。

 ショップの顔のように大々的に売られていた海賊盤がどうしてある時期から売られなくなったのかを思い出したくて再読(手元にもうなかったので再購入)です。
 あぁそうだったと思い出した後、ディスク紹介のページを読んでいてどうしても聴きたくなったのはマノンレスコーとムーティ指揮のアイーダです。

 ただ、悩ましい問題にぶち当たります。ミートゥー運動のセクハラ問題でレバインやドミンゴ、ウクライナ紛争関係でゲルギエフが追放扱いになり、私も許せないので持っていたディスクは全て屋根裏部屋行きとしました。
 この3人の演奏、録音には超絶盤も沢山ありますが代替できるディスクもあるのでこれまで何とかなりました。それでもどうしても聴きたいディスクにテノールのプラシド・ドミンゴが入っていることが多々あります(イタリアものだけでなくワーグナーも歌い出してそれが絶品だったので悩み深刻)。

 シノーポリ、フレーニ、ムーティ、トモワシントウは何も悪くない訳だしと心を整理して久しぶりに聴きました。
 ドミンゴの声は伸びやかで甘く艶っぽくて堪らないです。ただ、いいのはドミンゴだけではなく全てが最高な訳でこれらのディスクを今後一切聴かないのもちょっと辛いです。

 クラシック音楽の専門誌では定期的に優秀ディスク推薦の特集を組みますが、今後、ドミンゴ、レバイン、ゲルギエフ、デュトワのディスクはどう扱うのでしょうか。散々名盤を出しておいて、その看板役が追放になるとはほとほと困ってしまいます。

 




 
 
 
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ベーム/ウィーンフィル「モーツァルト 交響曲集」




 先日、内容主義のカザルスのディスクを取り上げましたが、それではひたすら音の響きが美しい演奏は何かとなると、聴いたディスクは極めて限られる中での個人的な選択で、かつ分かり易くウィーンフィルに絞ってしまえば、正規盤なら、ケルテスのモーツァルト、バルビローリのブラームスがまず浮かびます。いずれも1970年前後の録音です。

 選択を海賊盤まで広げると、ベーム指揮のモーツァルトの29番・34番・35番・36番が入ったディスクが最美です。艶っぽくて生き生きとした圧倒的なサウンドです。これも1973〜1974年の録音。この頃のウィーンフィルは録音技術だけでない何か神掛かった合奏の美しさがあります。

 おそらく平成6年〜10年頃に秋葉原の石丸電気で買ったものだと思います。この海賊盤シリーズには自家製の解説メモが付いていて、そのライブの意義を分かり易く伝えていてどれも楽しい。
 最近は海賊盤があまり販売されておらず(山崎浩太郎氏によると以前は著作権は20年まででその後は非公式ながら公有盤として多くのライブ録音が流通していたらしい)、もちろん著作権は保護されるべきですが、だからといって録音が残された何百、何千というお宝名演が人類に共有されずに永久に倉庫に仕舞われたままなんて余りにも勿体ない。現在の70年どころかディズニーなど巨大企業の権利を守るために著作権がいつまでも延長され続けるなんて止めてほしいです。

 一時期、海外の著名オケの来日公演をNHKラジオでライブ放送した時の録音が結構ディスク化されましたが、音楽不況の影響でまた減っています。
 色々と大変だと思いますがファンのためにも頑張っていただきたいです。


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カザルス/マルボロ祝祭管「ベートーヴェン7番・8番」







 ベートーヴェンもモーツァルトもバッハも何も聴きたくないような時期にそういえばと取り出してそれから夢中になって聴き続けることがあるのはこういう内容主義の濃い演奏だったりします。
 チェロの神様と称されたパブロ・カザルスが晩年に招待されて出演、指揮した珠玉のライブの記録。
 スタイリッシュで高速のカルロス・クライバーの真逆にあるというのか旧時代的な表現かもしれませんがなんとも味のある演奏、音楽です。

 日本語盤の解説書などに載っている「全人類的な包容力が音楽の強さを際立たせる」「生命力あふれる強靭な響き」「格調高く年輪を刻んだ」「人間味に溢れた無上の世界観」「剛毅な精神の音楽」といった言葉が大袈裟でなく納得できます。今後も聴かれ続けて欲しい音楽です。


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アルゲリッチ/シノーポリ「ベートーヴェンピアノ協奏曲」




 偏愛しているベートーヴェンのピアノ協奏曲の1番、そして2番。評価が高いのは知っていましたがようやく聴いたシノーポリ指揮、アルゲリッチのピアノのディスクです。
 1985年のスタジオ録音なのですが、まるでライブのようなピアノの奔放な響き、テンポに聴き入ってしまいます。
 大好きなクレンペラーのディスクのような正統派の堂々とした演奏を好みますが、こういうアルゲリッチの自由な表現も魅力的です。これも確かにベートーヴェンです。
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クレンペラー/バレンボイム「ベートーヴェンピアノ協奏曲集」




 Apple musicで一番聴いていたクラシック音楽、クレンペラー指揮、バレンボイムがピアノのベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番です。
 スローテンポのたっぷりとした響き、これぞベートーヴェンという音楽、CDでも欲しかったのですがamazonでは在庫なしでした。

 もしかしてとタワーレコードで検索したところありました。となると早速、渋谷です。
 以前であれば喜楽、桂花、ムルギー、中本などでの食事も考えるところですが暑すぎて直行直帰です。

 懐かしい渋谷のタワレコ、韓国系のアイドルのイベントがあったのか、自撮り写真を手に持った若者が沢山いました。
 クラシックのコーナーがすごく狭くなったのは前回知りましたけどやっぱり寂しいです。

 1300円、安いです。
 その他のディスクも色々と探して、ザンデルリンクとベルリン響のブラームス交響曲集があったので購入しました。




 この4日間、聴いていますがすごくいいです。


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カラヤン指揮/ミラノ・スカラ座「ラ・トラヴィアータ」





 大好きなはずなのに愛聴盤がないと長らく思っていたヴェルディの椿姫ですがようやく満足できるディスクを見つけました(屋根裏部屋から探り出しました)。
 カラヤンのスカラ座での1964年12月22日のライブです。哀しみを深く湛えたメロディとパーティの躍動感にヴィオレッタの悲壮感溢れる美声。役者の揃っているクラシック界であればいくらでも候補はありそうですが何故か変なリズム、変な歌い回しばかりです。
 世評の高いクライバーの正規盤も音が緻密すぎて楽しめません。オペラなんだからワクワク感、ライブ感が欲しいです。その点、これまた海賊盤ですが、クライバーが1984年12月にフィレンツェ5月音楽祭管を振ったライブはいいです。

 ところでカラヤン盤にはおまけというか、主菜なのか、スカラ座で椿姫を20年以上封印させることになったフレーニが音を外して大ブーイングになったという12月15日の大事件の演奏の抜粋も入っていますが、どこが悪かったのか私には聴きとれません(そもそも肝心の箇所は入っていないのかも)。終演もすごい拍手で終わっています。どうしてフレーニは降板したのでしょうか。

 カラヤンはいずれの日も主役の3人を朗々と歌わせつつ、要所要所ではイタリア風ではないかもしれませんが音を爆発させて凄まじく盛り上げます。やはり何を振っても上手いです。

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『プーランク全作品集』






 村上春樹の『意味がなければスイングはない』を再読していたところ、プーランクが紹介されていました。そういえばプーランクあったなぁと屋根裏部屋から出してきた20枚組コンプリートボックスです。
 調べると2012年の発売でした(今もAmazonで売っていて6500円)。確かある人に勧められたプーランクの小曲を聴くために購入したのだと思います。聴いてみたけどピンとこなくて、残りはいつかと思っていたら11年後になりました。
 すごくいいです。ピアノ、歌曲、室内楽からオペラまで。どれも時間の短い小編成のものばかりですが、かっちりした構成のクラシックの名曲とは違う緩くて自然な音楽。ドビュッシーとも違う脱力系の優しい旋律です。
 この選集には村上春樹が言及している演奏者がほとんど登場するので、記述の細部まで理解が進みます。

 ところで村上春樹のこの本にはシューベルトのピアノソナタ17番が取り上げられていて、ユージン・イストミン盤が推薦されています(Appleミュージックで聴くと本当にいいです。CDで持っていた内田光子とはかなり違う)。イストミンは学生の時、初めてアメリカ、ニューヨークに旅行した際、カーネギーホールでソロリサイタルを聴きました。確かテンペストやドビュッシーなど。途中で帰る観客をもう帰るんですかと顔で追いかけながら演奏していました。懐かしいです。


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「トスカニーニ コンプリートRCAコレクション」










 屋根裏部屋を漁っていたら段ボールから出てきましたトスカニーニのボックス。これあったなぁ。調べると2012年に発売されたもので85枚組で7,524円、1枚88円。思い出しましたがアマゾンで予約してゴールデンウィークにじっくり聴くつもりが発売延期で拍子抜けしたような。当時は数枚聴いた後、なぜか関心が持続せずに片付けてしまったみたいです。
 余計なものを削ぎ落とした厳しくて純音楽的なサウンドは他ではあまり聴かれない魅力があります。
 ベートーヴェン、ブラームス、ワーグナー、レスピーギ、イタリアオペラなどなど録音は古いけどリマスターの音も良くてワクワクの時間が続きます。


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NHKラジオ「らじる★らじる」




 長らくラジオ、具体的にはNHKのFMでクラシックの公演を聴きたいと思っていたのですが屋内アンテナでは音が悪くて諦めていました。
 それがNHKラジオのアプリで受信した音をCDレシーバーに飛ばせばクリアに聴けることが分かりました。
 ちょうど今週は今年のバイロイト音楽祭のリング4夜にN響のファビオ・ルイージの首席指揮者就任記念公演の生放送と、これぞという放送続きでワクワクしました。
 ただ、N響の生放送が期待した音ではなくて意外でした。私は日本の放送技術は世界最高レベルと感じていて、生涯最高の音響は1988年5月のカラヤンとベルリンフィルのコンサートのNHK FMの生放送、モーツァルトの29番とチャイコフスキーの6番悲愴です。凄まじくクリアで音圧のある音で耳が洗われるようでした。いくつかの実演の体験よりもこの生放送の方が強く印象に残っています。
 なので、N響は生中継なのにどうしてこんなに音が平坦なのか疑問が残りました。一方のバイロイトは録音ですが広がりのあるサウンド、臨場感がありよかったです。
 いずれにしてもラジオが加わって選択肢が広がります。とても嬉しい。

 今日もティーレマン指揮のローエングリンの放送がありました。第2幕、第3幕、輝かしくてなんとも堂々とした立派な演奏でした。


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「庄司紗矢香/カシオーリ デュオ・リサイタル」(横浜)






CPE.バッハ ファンタジアwq80

モーツァルト ヴァイオリン・ソナタ 第42番

モーツァルト ヴァイオリン・ソナタ 第34番

ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ 第5番「春」


 庄司紗矢香とジャンルカ・カシオーリのコンサート、横浜のみなとみらいホールです。

 ヴァイオリンのコンサートはほとんど経験がなく、1990年代に渋谷のオーチャードホームでやっていたモーストリー・モーツァルトでたしかレーピンを聴いて以来です。このジャンルは愛聴盤もほとんどないので普段は敢えて行かないのですが、庄司紗矢香、かつ値段も高くなかったのでお試し気分です。

 みなとみらいホールは、以前、インバル/都響のマーラーシリーズの5回チケットを買ったのですが全くクラシックを聴きたくない期間になってしまい、今から考えると痛恨の全パスしてしまったので(名演だったらしい・・・4番のソプラノは森麻季・・・)、初めてとなります。2階席、左側からです。7割程度の入りです。


 庄司は華奢ですが堂々とした振る舞い、貫禄あります。集中した厳しい表情。

 まずはファンタジアでたっぷりとヴァイオリンの自己紹介です。ガット弦、クラシック弓がどうなのか分からないのですが、陰影ある響き、豊かな音色。

 後半の34番。モーツァルトらしい旋律、安心の愉悦感。プログラムは人気曲ばかりでなくてもいいですが、やはりせっかくなので天国的なメロディも聴きたい。

 スプリング。溢れる優しさ、人間愛、そして地球への陶酔の賛歌。実演を聴く喜びです。

 カシオーリのフォルテピアノもコンパクトかつチャーミングで申し分ないです。

 アンコールの叙情的な小品も絶品でした。


〔神奈川芸術協会Twitterより〕

 アンコールは、CPE.バッハ ヴァイオリン・ソナタwq78第2楽章だそうです。

 調べたところムローヴァとカニーノのバッハアルバムの最後に入っていました。いい曲ですね。繰り返し聴いています。












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チェリビダッケ/ミュンヘン「ブルックナー交響曲第8番」




 久しぶりの渋谷タワーレコード、調べると2017年以来のようです。クラシックはビルの7階、ジャズ、サウンドトラックなどとの同居になっていました。新譜を買うことはないので、まずは5年前同様にクライバーの掘り出し物があればですが、なんとそのものズバリのクライバー初出を謳うワゴンが・・・でもシューマンのピアノ協奏曲なのでこれはパスです。
 結局、一番プッシュされていたチェリビダッケのブルックナー8番の1994年リスボンライブです。海賊盤を持っていますが、正規テープの発掘で音質は全然違うとのこと。5年ぶりの渋谷記念に購入です。

 音は厚みと奥行きがあって確かにクリアです。上質の塗料を均等に刷毛で伸ばしているような中音サウンドは相変わらずでこのディスクだけで聴かれるものではありませんが、最上級の演奏であることは間違いありません。
 第3楽章がいいことは分かっていましたが、第4楽章の強弱が絶妙で確かな進行の素晴らしさにも改めて気付かされました。最後の3音まで、もう言葉で言い表すことのできない超絶の領域です。
 演奏時間は100分と長いのですが、遅さを感じさせない自然な流れ、呼吸があります。
 

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