田部京子「ブラームス 後期ピアノ作品集」

            

 田部京子の新作、ブラームスの後期ピアノ作品集です。リリックなピアノの音色、歌があり説得力のある演奏で女性ではピリスと並んで好きなピアニストです。シューベルトに長らく取り組んできましたが、力強いタッチも魅力なので、ブラームスのピアノ協奏曲をやってほしいと思っていました。コンチェルトではありませんがようやくブラームスの登場です。

 注目というか聴きどころは、どうしてもグレン・グールドの名作「間奏曲集」で取り上げられた曲をどう奏でるかになってしまいます。
 グールドは間奏曲10曲を好みで並べましたが、このディスクは「6つのピアノ小品 作品118」、「3つの間奏曲 作品117」、「4つのピアノ小品 作品119」、「主題と変奏 作品18」とクラシック風に纏められています。全14曲中間奏曲は10曲、グールドの選曲とは7曲がダブっています。

 1曲目は作品118-1なのですが、ピアノの強打音が鳴り響きます。まるでショパンかリストのような華麗さです。グールドの瞑想的な演奏に慣れ親しんでいる耳にはあれ?と違和感を感じてしまいます。
 2曲目の118-2は弱音を生かしたゆったりしたテンポの演奏です。その他、間奏曲ではないバラード、ロマンスも含まれているのでこの作品118はグールド盤とは随分印象が異なります。ピアニスティックで美しい演奏です。気難しいブラームスを感じさせません。

 そして作品117。グールド盤の冒頭3曲、要するに117-1をどう演奏するのかに関心の大半があると言っても過言ではありません。117-1の出来がよくなければ愛聴盤にはなり得ません。

 これまでの6曲とは表情が変わります。静けさ、躊躇、悲しみ、それでも前に進む。昔の日の後悔、老年の諦めは控えめで、若さを感じます。グールドの表現とは異なりますが、これはこれでいいです。私は気に入りました。過去からの装飾にはとらわれない新鮮なタッチながら楽想をきっちり表現するのが田部京子の特徴です。
 
 全般的に田部京子特有のリリックで粒の揃ったピアノに溢れた演奏です。鳴らすところは鳴らして、グレン・グールドの演奏とは別物ですが、これもブラームスの音楽そのものと思えます。グールドは独特の解釈で演奏し一貫性のあるアルバムを作り上げました。田部京子は一曲一曲の楽想を丁寧に描き分けて纏めています。スタイルは違うけれども仕上がりの水準は高くて、いずれも説得力があります。下手をすると暗くて辟易してしまうブラームスを思い入れ深く魅力的に演奏しています。

 今回、田部盤とグールド盤とを何度も繰り返し聴いてみましたが、どちらがいいということはもうなくて、どちらも聴き惚れました。


            


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「長田本庄軒」(ノースポートモール店)

          

 センター北のワーナーマイカルシネマズで映画を観た後は、ノースポートモール3階のフードコートで食事です。このフードコートには、「茶子溜り」、「リンガーハット」などがあり好きなのですが、午前中の映画後はちょうど昼食時間帯で大混雑、かなり待っても席が空きません。諦めることも結構あります。

 今日は大晦日前日だからか比較的空いていて、一人席ならすぐ見つかりました。長らくの課題だった「長田本庄軒」のぼっかけ焼きそばです。結構イケルと読んで、調べると経営しているトリドールは「丸亀製麺」を展開している会社です。それなら旨いに違いない。

 「ぼっかけ焼きそば」の大(650円)です。太麺に牛すじ、コンニャク、キャベツを絡ませます。麺がもっちりしていて美味しいです。焼きそばでこんな麺は始めてかも。確かにイケます。牛すじ、コンニャクもいいアクセントになっている。
 食材がいいのでこれでも十分に美味しいのですが、調理がアルバイトの女性ではなくて、プロがやればもっとイケるのではという予感もあります。単純な料理は手際命です。それでもこの焼きそばは他とは同じではないレベルにあります。

 美味しいものが多くて、このフードコートで何を食べるかは悩ましいです。


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「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」

              

 観てきましたトム・クルーズの「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」。いやー面白かった。凄い。個人的には史上最高のゾクゾク、ドキドキでした。

 このシリーズは確か1か2を観て、劇画的で作り物っぽいなという印象を持っていて、このパート4も観る予定はありませんでした。先日、劇場で予告編を観たところ、ドバイの超高層ビルから飛び下りるシーンでトム・クルーズ自らがビルの外に飛び出すところがスタッフの準備、監督のアクションからドキュメンタリー風に紹介されていました。え、これ自分でやったの!?と驚いてこれは観てみないとと気が変わりました。

 ブダペスト、モスクワ、ドバイ、ムンバイと世界中の都市を舞台に冒頭から息もつかせぬ、ド迫力のアクションシーンが続きます。何ども椅子から飛び上がりそうになりました。

 白眉は上記のドバイの超高層ビル130階からの飛び降り後のシーンです。高所恐怖症の人は画面を見ていられません。一体どうやって撮影したのか、当然CGも使っているとは思いますが実演のように見えます。この恐怖感は突き抜けています。以前ニューヨークで映画を観た際、観客が笑ったり叫んだり凄い反応で楽しんでいるのに吃驚しましたが、このシーンでは観客が絶叫して(ギャー)、拍手喝采(パチパチ)、感嘆(ワーオ)の連続であることが容易に想像できます。ここは日本なので声は出しませんが、スリルに体が凍りついて頭の中は真っ白、なんかモヤモヤが吹き飛びました。
 
 以前観たシリーズはもっと非現実的で大味でしたが、この作品は人間のギリギリのアクションを緻密に積み上げていて展開にも納得感があります。ドバイのシーンの後は若干、ストーリーが複雑になって私には理解が追いつかないところもありましたが、アクション映画なので少々のハテナがあっても問題はありません。

 映画会社から契約を切られたりとどうなったのか心配していたトム・クルーズですが、完全復活でしょうか。パート5があれば絶対に観ます。


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アデル「21」

             

 今更ですが、アデルという歌手がいることを知りました。セカンドアルバムの「21」は全世界で1300万枚の大ヒット作になっている。

 驚きました。骨太で凄みのある声。ヤズーのアリソン・モイエやトレイシー・チャップマンを思い出しましたが、もっと太くて伸びやかです。

 魅力的なメロディ、迫力あるサウンド、ライブ風なアレンジと魅力的です。一曲一曲がどれもドラマチックで完成度が高い。それで全11曲。これは凄いアルバムです。


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今年の一枚/一冊/一本/一泊/一皿

              

 まだ数日ありますが、今年一年の振り返りです。下のチビが3歳になりあまり手がかからなくなったことで自分の時間が随分増えました。普通に近づいています。エンターテインメントを存分に楽しめた1年となりました。これまでは多くのジャンルで数えるくらいしか候補がなくて強いて挙げればという年が続きましたが、今年はジャンルによっては有力候補が多すぎて選べないという状況です。
 来年は6~7年振りの海外旅行に家族で行ければいいなと思っています。この数年間、とてもじゃないけど想像すらできなかったことが少しずつ現実めいた夢になってきました。

〇クラシック音楽

 新しいオーディオセットが我が家にやってきたのが昨年の12月30日でしたので、今年は申し分のない音響を満喫できました。始めのうちは従来のCDとSACDの違いがはっきりしませんでしたが少しずつ耳が慣れてきました。デジタルリマスターの技術も進歩して驚異的なサウンドに驚くことも増えました。
 正直、クラシック音楽モードが長く続いた期間は少なく、単発でディスクを楽しんだという感じです。その中ではやはりフルトヴェングラーの第9、トリスタンを始めとしたデジタルリマスターSACDが印象に残っています。その他多くの過去の名盤がデジタルリマスターで再生されました。それから、円高で安価なこともあり輸入盤ボックスセットを多く購入した1年でした。来年は現役世代の新盤に期待です。

〇ロック・ポップ・ジャズ

 ザ・スミスの「リマスターボックス」とピンク・フロイドの最新リマスター「ザ・ウォール」です。一つなら前者です。青春時代に聴いた80年代音楽のリマスターは堪りません。最近の人気バンドもそこそこ聴いているのですが、コンサートに行ってみたいと思えるほど気に入ることはありません。

〇Jポップ

 今年の前半はAKBに嵌りました。いろいろご意見あるとは思いますが、私はバレエ同様の厳格な実力・人気ピラミッドを築くAKBワールドは好きな方です。シングルカットされた楽曲はどれもいい曲だと思います。「桜の木になろう」は名曲です。ただ、このままコンサートも含めて完全に口パクという歌手が成り立つのか、そこらへんはよく分かりません。
 その後、AAA、ももいろクローバーZです。ももクロにも熱中しましたが紅白前の勝負シングル「労働讃歌」の大コケで一気に引いてしまいほとんど観なくなりました。先日、音楽ショップで8月20日のよみうりランドイーストでの極楽門コンサートのDVDが流れていて、この頃は嵌っていたなあと懐かしく思い出しました。コンサート会場の規模は徐々に大きくなっているので、これからまだまだ人気は出るのかもしれませんが、少し失速です。その他の歌手で良かったのはmiwaくらいでしょうか。
 一曲を選ぶのは難しいのですが、最新のお気に入り曲が一番楽しいということで今は織田哲郎作曲のAKB48「走れペンギン」です。

〇本

 カズオ・イシグロの著書7冊をほぼ発表順に纏めて読んだのが印象に残っています。珠玉の作品群、読書の喜びがあります。
 作品では、今年発売された本ではありませんが、角田光代の「八日目の蝉」と沼田まほかるの「彼女がその名を知らない鳥たち」がずば抜けて面白かったです。特に八日目の蝉は、家族で旅行した小豆島の風景が鮮明に残っているのも相俟ってかなり感情移入して読めました。題名にまつわるエピソードが印象的。そして主人公の子供への想いが切ない。オールジャンルでも今年のナンバー1は「八日目の蝉」です。

〇漫画

 漫画は難しいです。最高に面白いと感激して1~2巻に夢中になった後、3巻目で同じ設定の繰り返しに入り、面白くも何ともなくなった漫画は数知れず。ある程度の予定調和も必要ですが、それなりの骨格のある魅力的なストーリーがないと続けて読めません。
 感動した「ハチミツとクローバー」(全10巻)を読んだのは2~3年前のことかと思っていたら、今年の3~4月でした。記憶というか時間の感覚がおかしくなってしまったのか、9ヵ月前のことだったなんてちょっと驚きでした。「ザ・ワールド・イズ・マイン」も今年の1月だったです。
 以前の作品ですが、羽海野チカの原画展も楽しめた「ハチミツとクローバー」が断然です。

〇映画

 映画は豊作です。といっても映画館で10本も観ていませんが、少なくともこの10年間の中では最も劇場に通った1年です。随分長い間、映画で2時間もの時間を使うのに我慢がならなかった。青春時代のいつか以来の映画復興です。「英国王のスピーチ」、「ザ・ファイター」、「八日目の蝉」、「監督失格」、「ハッピーフィートⅡ」など。どれか一本なら難しく重いテーマを上品、ユーモラス、感動的に描いた「英国王のスピーチ」です。

〇宿・ホテル

 旅行は5月の草津温泉&軽井沢と6月の北海道でした。ベストは「ウインザーホテル洞爺」です。年賀状お年玉抽選でまさかの一等が当たり、宿泊券と旅行クーポン券をゲットしました。3泊4日で札幌、小樽、ニセコあたりをドライブしました。ウインザーホテル洞爺は評判どおりの素晴らしいホテルです。好天にも恵まれて景色も最高でした。

〇食事

 今年も美味いモノを沢山いただけました。幸せです。本当は家族で食べてこそなのですが、外食をゆっくり楽しめるのはチビがもうちょっと大きくなってからです。家族には申し訳ないですが先行調査の名目でいろいろ行かせていただきました。
 「鳥藤」(築地)、「富善」(蒲田)、「英ちゃんうどん」(宗像市)、「日吉大勝軒」(日吉)、「HUB」(慶應日吉店)、「元祖ニュータンタンメン本舗」、「CoCo壱番屋」などなど。どこか一店なら回数も一番多かった「鳥藤」(築地)です。


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グレン・グールド「ベートーヴェン ピアノソナタ第30・31・32番」

             

 年末、クリスマス前の週末、給料も出た後ということで横浜のタワーレコードです。

 何枚か購入した中の一枚、グレン・グールドによるベートーヴェンの後期ピアノソナタ3曲です。いつかと思いつつ漸く気分とタイミングが合いました。輸入盤790円です。

 この後期の3曲は好きなピアニストであれば間違いなく感動すること必至の珠玉の作品です。絶対盤が見つからずに何枚も購入する曲もあれば、ギレリスやグルダで満足して更にとは思わなくなるこのような曲もあります。

 高速、中庸、スローとテンポは動きますが、しなやかでフレッシュな音楽です。グールドの演奏はバッハ以外では絶対ではなく違和感を感じる場合もありますが、この3曲は即興、自由を許す楽曲なので、グールドの個性がピタッと嵌ります。うーん、いい音楽、いい演奏です。


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「鳥藤」(築地場外)

          

 日曜日ですが年末なので築地の開場日です。今年最後の買い出しです。

 いくつか目当てがありましたが、メインは鳥肉を売っている鳥藤の本店です。最近、弁当つながりで料理をするようになり、久しぶりに「イシバシ・レシピ」を観たところ、新橋「つる寿」の大将による鳥の唐揚げに魅了されました。大好きだった「つる寿」(残念ながら大将の体調の関係で何年か前に閉店)の唐揚げです。市販の鶏肉でやってみて満足していたのですが、鳥藤に地鶏があったのを思い出しました。

 店の奥に進んで見てみると、一番高いのが比内地鶏と東京軍鶏でどちらも100g420円でした。一枚いくらか訊ねるとセット売りのようです。よく分からなかったのでよくよく聞いてみると、皆さんモモばかりを欲しがりムネが余るので、地鶏はモモ・ムネ2枚セットでの販売とのことです。
 2枚で500g程度、2000円とちょっと高めですが、ここが他店に比べてリーズナブルなのは明らかです。

 その他買い物は、新海商事の奥久慈卵、寿屋商店で焼あごとごろいか、中川屋で漬物(白菜、茄子)、都水産でノドグロの干物、それに大野屋商店で親子丼鍋です。

 朝食はそれ程食べたい店もなくなってきたので、最近は「築地丸豊」のおにぎりです。何十種類とあるおにぎりをおばちゃん達が握っていて実に美味しそうで、実際美味しいです。180円~210円程度と少し高めですが、質が違うのと好みのド真ん中を食べられるのがいいです。

          

 おにぎりを食べながら帰ろうとしたところ、普段より行動が遅めだったので朝の7時30分すぎ、鳥藤の築地場外店が開店していました。店頭の看板にいつもいく場内店にはない「東京しゃも親子丼」というのがあり興味をそそられました。
 先程、東京しゃもを買ったのは、これを使って親子丼を作る「玉ひで」の料理が「イシバシ・レシピ」で紹介されていたからなのです。プロの味を確かめておきたい。目の前で調理の様子を見学できてラッキーでした。なるほど。

 美味しいです。親子丼の割り下やスープが絶品なのはいつもどおりですが、鳥肉の旨みがぎゅっと締まっていて最高です。1350円と高めですが満足の一杯でした。


 帰宅して、比内地鶏と東京軍鶏で、まず唐揚げ(つる寿風の竜田揚げ)を作ってみたのですが、いやー美味いです。歯ごたえがあってジューシー。これは堪りません。いつもの唐揚げとはちょっと違う。娘もこれおいしいねとニッコリです。どちらも美味しいですが、強いて挙げると比内地鶏の方が旨みが凝縮していたようです。

 腕はイマイチですが、食材だけは一級品を揃えているので、親子丼もそこそこのものが出来上がるのではないでしょうか。


          

 溶き卵の第一段を流し入れたところ、ふわっと膨らんできてイメージとは少し違いましたが、旨み十分の親子丼が仕上がりました。自画自賛ですが滅茶苦茶に美味かったです。


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「リアルスティール」(ワーナーマイカルシネマズ港北ニュータウン)

               

 近未来のアメリカ、そこでは人間のボクシングでは満足できなくなった人々がロボットのボクシングに熱狂しています。ロボットの所有、訓練、操縦を生業としている元ボクサーの男と10年振りくらいに再会した息子との再生の物語です。

 ロボットとボクシングはCGを使用したド迫力の映像ですが、それ以外は今と変わらぬアメリカの風景、人間ドラマで、これがうまくミックスされています。改めてアメリカという土地が美しいことを認識しました。広大な荒野の中の一本道をトラックが走っているだけでもサマになりますが、アメリカ映画らしいシーンが続いて安心して楽しめます。実際にあっという間の2時間20分です。

 面白いです。時代遅れのスクラップロボットを再生させたところ快進撃が続き、無敵のチャンピオンに挑戦するまでに・・・非常に単純なストーリーで、ラスト20分はあまりにも過去の名作風、そのままなので吃驚するくらいです。シリアスで練った映画が好きな人には我慢できない展開かもしれません。それでも全体を通してこれぞアメリカのエンターテインメント・ムービーという迫力ある映像、展開、スピードがあります。ラストシーンのお涙頂戴風にはどうにも弱い私ですが、ここまでズバリだと我慢できました。

 日本のロボット文化へのオマージュもあり、日本人なら思い入れ深く鑑賞できます。絶対に観たほうがいいとまでは言えませんが、観たら絶対に楽しめます。


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ピンク・マルティーニ&由紀さおり「1969」

             

 先日、横浜のタワーレコードに行った際、アメリカのジャズバンドと由紀さおりがコラボしたアルバムがアメリカ、ヨーロッパでヒットしていて、コンサートも大盛況と大きく取り上げられていたので「1969」というアルバムを試聴してみました。
 「ブルーライト・ヨコハマ」、バックバンドはボサノバ風に演奏しているのですが、由紀さおりの歌唱は、以前から聴き慣れている歌謡曲そのものです。ジャズでもボサノバでもなく昭和、そこが何ともよくて聞き惚れました。「夜明けのスキャット」なども聞いていいなあとという印象を持ちました。

 一旦帰宅して、YouTubeで動画を見てみると、馬車道あたりの映像とブルーライトヨコハマがばっちり合っていて魅了されました。これはいい。改めてショップに出向き(特設コーナーはなくなっていましたが)、「1969」を購入しました。ジャケット写真もイカしています。

 で、聴いてみたのですが、あれ???、何か変です。ジャケットを改めて見てみると「夕月」というスローテンポの曲です。タワーレコードで試聴した時は、1曲目は「ブルーライトヨコハマ」だったけど・・・調べてみると、輸入盤の1曲目は「夕月」なのですが、日本盤は1曲目と6曲目の「ブルーライト・ヨコハマ」を入れ替えていました(どっちがオリジナルなのか知りませんが)。輸入盤1500円、国内盤3000円で、歌は全て日本語だし、迷わず輸入盤にしたのですが・・・これは、1曲目に「ブルーライト」の方が断然いいです。雰囲気が全く違う。選ぶべきは国内盤でした・・・ちゃんと注記してくれないと・・・(涙)。

 ブルーライト、スキャット以外の曲はいいものもあれば、それ程心惹かれないものもという感じです。アルバム全体の出来では傑作とはいえないのですが、「ブルーライト・ヨコハマ」の衝撃が大きくて(由紀さおりがオリジナルと勘違いしていたのですが、いしだあゆみの曲でした)、何ともいえない魅力あるディスクに仕上がっています。国内盤だったらよかったのですが。


〔国内盤の曲順〕

1.ブルー・ライト・ヨコハマ(いしだあゆみ)
2.真夜中のボサ・ノバ (ヒデとロザンナ)
3.さらば夏の日(フランシス・レイ)
4.パフ(ピーター・ポール&マリー)
5.いいじゃないの幸せならば(佐良直美)
6.夕月(黛ジュン)
7.夜明けのスキャット(由紀さおり)
8.マシュケナダ(アルトラッド・ジルベルト)
9.イズ・ザット・オール・ゼア・イズ?(ペギー・リー)
10.私もあなたと泣いていい? (兼田みえ子)
11.わすれたいのに(モコ・ビーバー・オリーブ)
12.季節の足音


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カザルス「バッハ 無伴奏チェロ組曲(全6曲)」(SACD)

            

 EMIクラシックスの名盤SACDシリーズからもう一枚。カザルスのバッハ無伴奏です。こちらも外せません。

 バッハの無伴奏チェロ曲第1番~第6番を史上初めて録音し、この曲の魅力を世の中に知らしめたカザルスの名盤です。1936年から1938年にSPレコード(といっても何か知りませんが要するにテープ以前の原始式)に収録したものです。録音が悪くても絶対的なバイブルとされる歴史的演奏はいくつかありますが、フルトヴェングラーのバイロイト第9と双璧でしょうか。

 改めて旧CDを復習してから、SACDに耳を澄ませます。これは凄いです。ここまで音が生まれ変わるとは想像していませんでした。技術の進歩、関係者の貢献は驚異的です。
 旧盤も古いとはいえ魂に訴えかけるリアルで強い力を持った演奏でした。ただ、音の歪みはあった。録音は1930年代だし仕方ないよね・・・それが、収録70年後に原音が現れました。元々の響きなんだと思いますが、厚みのある自然な音です。これまでは少し離れて聴いているような印象でしたが、今回、音が迫ってきて、どっぷりと旋律に浸かれました。これが本来の音楽の楽しみ方ですね。

 全て素晴らしいのですが、強いて挙げると、第1番の自然な広がりと愉悦感、第5番の深み、第6番の繊細な表現。それぞれの曲の特徴・演奏の違いをはっきりと感じることが出来るようになりました。このSACDもバイロイトの第9リマスター同様に事件です。


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デニス・ブレイン/カラヤン「モーツァルト ホルン協奏曲集」(SACD)

             

 EMIクラシックスの名盤SACDシリーズ(全100タイトル)というカタログがあり、パラパラと眺めていたら、デニス・ブレインのモーツァルトのホルン協奏曲がありました。これは聴かない訳にはいかない。SACDだけだったらパスなのですが、2011~12年新リマスター音源ということで力の入ったディスクのようです。発売日の12月7日を手帳にメモしておきました。

 これはフィルハーモニア管の主席ホルン奏者だった名手デニス・ブレインがカラヤン指揮のもとで録音したもので、全てのモーツァルトのディスクの中でも最も魅力的な演奏の一枚です。長らく愛聴してきました。1953年のモノ録音と音質は必ずしも万全ではないのですが、そんなことに関係なく豊かで伸びやかなホルンの音に酔いしれます。ブレインは36歳の若さで自動車事故で亡くなってしまったので、これ以降が無いのですがそれでも人類の至宝といえる演奏を残してくれました。

 その最新リマスター、SACDです。ホルンの音がホール中に鳴り響くように広がります。豊かさが大きく広がりを持っています。実演に接しているようです。音も素晴らしいけど、やはりブレインが素晴らしい。
 そして、もともと定評あったカラヤンの絶妙の伴奏です。カラヤンはモーツァルトも滅茶苦茶に上手いです。チャーミングな歌いまわし、弾むようなハーモニー、モーツァルトを聴く喜びを感じます。

 3000円しますがその価値ありだと思います。


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「鳥藤」(築地場内)

          

 最近の築地行きの目的は食材の買い出しで、現地での朝食の方は食べたい店はだいたい行ったかなあという感じです。ノーアイデアで場内をぶらっと歩いていたところ、鳥藤の店頭に新しいメニューの張り紙があり興味を惹かれました。

 「合鴨づくし親子丼」(1000円)です。「肉質・脂質共に最高級 岩手鴨使用 贅沢な逸品」と書いてあります。少し高いですが注文しました。

 美味い。鴨肉の親子丼なんて初めてですが、肉に旨みがあり歯応えも絶妙、それを最高の割り下、卵と調和させています。鶏もいいけど鴨も絶品です。大満足の一杯でした。新メニューをどんどん出す姿勢もうれしいです。鳥藤は最高です。


          

 今日の主目的は、「喜代村フィッシュマート」で銀鮭のカマを買うことでした。先週買い求めたところ、すごく美味くて家族にも好評、まとめて買ってきて欲しいとリクエストがあったものです。
 築地に鮭専門店は複数ありますが、正直、そこまで美味しさを実感できず、暫く購入を見送っていたのですが、店頭で見たカマが旨そうで試してみました。プリプリしていて旨みがあって最高です。普通の身は5切れ1000円で売っていますが、カマは2切れ500円です。今日は10切れまとめ買いです。

 喜代村というのは「すしざんまい」という回転寿司屋を展開しているグループのようです。以前はなかったのでこの1~2年に開店したのだと思いますが、玉子焼きの丸武の2軒隣のスペースで仮店舗のような形態で営業しています。


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「鰻々亭」(駒岡店)

          

 日吉からグリーンラインで2駅、高田という地元近接エリアにミシュランで星を取っている「しま村」という鰻屋があって、いつか食べに行こうと家族と話しています。ボーナスも出たしそろそろと情報収集していたところ、量アップできるリーズナブルなうなぎ丼屋があることを知りました。

 「鰻々亭(まんまんてい)」と読みます。最寄駅だと綱島になるのですが歩いてはいけません。トレッサ横浜がある鶴見区駒岡という地区にあります。目を引いたのは「トリプル丼」(2200円)です。シングル980円、ダブル1560円、トリプルまでいくとお得です。たまに評判のいい鰻屋で食べますが2000円くらい払っても量が少ないので美味しいのですが寂しい感じが残ってまた行こうという気になりません。蒲焼を3枚、ご飯の量の残りを気にせずに思いっ切り食べてみたい。

 自宅から自転車で15分かかりました。カウンター10席くらいの店です。トリプル丼に肝焼き200円を注文しました。

 まずは鰻だけで1枚いただきます。ふっくらふわっと焼き上げてあり、最高です。それから残りの2枚はご飯と一緒です。美味しいです。いつも思うのですが、鰻に関しては高級店も一般店も違いは分からない。私はこの水準で十分です。
 適当に山椒をふりかけたりといろいろと楽しめます。3枚あれば何でもできます。蒲焼は白焼きでもOKとのことなので次回はそれも試してみたいです。

 肝焼きもいいアクセントになります。丼には肝吸いも付いているので満腹、大満足です。

 いい店を知りました。「しま村」に行くかどうかはまた考えます。

          


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村上春樹/小澤征爾「小澤征爾さんと、音楽について話をする」

              

 指揮者の小澤征爾へのインタビューを村上春樹がまとめた一冊です。小澤征爾の病後のリハビリ期間を利用して、国内外でクラシック音楽について語り尽くした。

 師事したバーンスタインやカラヤンのこと、ベートーヴェン、ブラームス、マーラーやオペラをオーケストラを統率して演奏すること、音楽家として生きることなどなど・・・クラシック音楽好きには堪らない、とにかく面白い。村上春樹がいい話しをどんどん引き出しています。どこも興味深くて楽しい。これからの音楽、ディスク鑑賞にも役立つ情報満載です。

 ただ、通常この手の本を読むと紹介されている演奏のディスクを何枚も購入したくなるものですが、小澤征爾のディスクを改めて聴いてみたいという気にならないのは残念です。日本人が持つリズム感が合いすぎるのか、どの演奏を聴いても普通過ぎて楽しめないのが正直なところです。おそらく実演に接すると印象も随分違うのでしょうが機会に恵まれません。

 ここで語られた内容だけでも十分面白いのですが、村上春樹もコメントしているとおり、語られなかったことが多くあることが行間から読み取れます。いろいろあったんだと思います。開拓者でありその点では本当に尊敬できます。

 意地悪な質問もなく、極めて和やかな雰囲気の中での対話です。このあたりの再現は村上春樹は超一流ですから最高の読み物になっています。一気に読めました。
 クラシック音楽に興味のない方、基本的な知識のない方が読んでも面白いとはいえませんが、ファンなら絶対です。


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「都水産」(築地)

          

 先週、築地の「都水産」で本ししゃもやアジの干物をまとめて買い求めたところ、凄く美味しいと家族に好評で大量追加のリクエストがありました。雨の降る寒い土曜日の朝でしたが再訪です。来週は行けないし、年末に近づくと正月関係の品物に切り替わってしまい普段使用のものが店頭から消えてしまいます(都水産もそうなのかは分かりません)。

 本ししゃもは今の時期だけだそうです。先週はオスとメス(それぞれ10尾1260円)を試しましたがメスは卵なしでした(HPによると子持ちは3500円くらい)。であれば大きいオスがいいです。20尾。
 定番のアジ(250円)を6枚、金目鯛(3枚で1000円)を6枚。その他お薦めを訊くと、ノドグロとカマスがいいとのことでした。ノドグロは先週試したので今週はカマス(390円)を3枚にしました。
 トータル7000円ちょっと。高いといえば高いのですが干物好きにはこの味なら大満足です。実際、滅茶苦茶に美味いです。もともと刺身より干物が好きだったのですが、「都水産」の本ししゃもで改めて干物の美味しさに覚醒しました。 


          

 朝食は「天房」で天ぷらです。アラカルトで穴子、大海老、キスを頼んでセットにしたのですが、定食や天丼と比較すると割高のようです。それでも朝から熱燗を飲み、揚げたてのお好み天ぷらをいただけるのは幸せです。


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