今年の1枚/今年の1冊/今年の1本/今年の1皿


 年末なので今年も1年間で特に印象に残った作品を整理しました。といっても今年は家作りに明け暮れた(?)こともあり、趣味に時間を割けなかった、というよりあまり関心を持てませんでした。そこで、極めて小範囲からのピックアップということになります。今月、家が完成して念願の書斎を得ることが出来たので来年は違う1年になりそうです。


○クラシック

 まず思い当たるのは、よい新譜があまりなかったことです。モーツァルト・イヤー、のだめと世間では盛り上がったようですが、クラシック不況により(?)大物指揮者の大曲の録音がほとんどなく寂しい限りです。一方で外タレのチケット高騰は相変わらずでこのギャップは不思議な感じすらします。

 その中で、ベームとウィーンフィルの来日公演(1975年/1977年/1980年)のDVDが一番よかったかなあと思っていたところ、今週、雑誌でレコードアカデミーの大賞に1955年のカイルベルト指揮のバイロイトのリングが選ばれたと読みました。このディスクは音楽ショップの棚に最近陳列されているのは知っていたのですが、そんなに特別な録音とは承知していませんでした。

 評判のよい第一弾「ジークフリート」を聴いてみました。本当に驚くべき録音です。冒頭の金属音にドキッとしました。オペラはバス、バリトンの声のいい演奏が好きです。それでこそテノールも活きます。その点、この演奏はハンス・ホッター、クーエンと男性陣の声が圧倒的に安定していて最高です。声の饗宴、それにオケがライトモチィーフを奏でると最高です。これぞワーグナー、陶酔の世界です。今年のクラシックの1枚は年の瀬、押し迫ってから聴いた「ジークフリート」です。


○ロック・ポップ

 最近、プリンスの2000年以降の作品をまとめて聴きました。プリンスはもともと好きでしたが、ディスクを買うのは10年以上振りだと思います。変なマークに改名したり、ニューパワージェネレーションと一緒に活動していることは知っていましたが、最近はご無沙汰でした。以前のヒット曲のリミックス盤が出たというニュースをサイトで読んでいたら無性に聴きたくなったので音楽ショップに向かいました。
 「ザ・レインボウ・チルドレン」、「ミュージコロジィ」、「3121」、「リミックス集」とどれもよかったです。以前のプリンスの音とベースは変わり映えはしないのですが、ポップでファンキーでセクシーなダンスソングです。最先端の音を求めても決して楽しめる音楽から外れることはないです。安心して楽しめます。シングルカットされた曲もそれ以外の曲も質の高さは変わりません。本当に天才です。特別な1枚ではありませんが、相変わらずでプリンスの「3121」です。


○ジャズ

 これはジャズというよりマイルス・デイビスという分野になるのでしょうか。今年の最大の出会いは何といってもマイルス・デイビスでした。最近は熱狂も一服しましたが一時期はマイルスなしではという状態でした。その中から1枚を選ぶのはモーツァルトの中から1曲選ぶのに近くあまり意味がありません。初期、エレクトリック以降を中心に聴いてきたので、これからは中期の成熟段階をじっくりと楽しんでいきたいと思っています。


○本

 メモでもアップした「凍」、「東京タワー」、「最悪」が印象に残っていますが、逆にこの程度です。この中では些細なことに腐心しつつ必死に生きていく小市民(私もそうです)の小さなトラブルを大きな作品にまとめて面白おかしく読ませてくれた奥田英朗の「最悪」が特によかったと思います。本を読むこと、ストーリーを追うことの面白さを再認識させてくれました。

 これ以外では、ローレンス・ブロックというエンターテーメント作家の作品が楽しめました。アル中探偵のアカダーものと殺し屋ケラーものがあるのですが、都市生活の描写もリアルで面白く読めます。
 また、直接は関係ないですが今年一番手にとったのは、1歳の娘に読んであげるというか、絵を見せながらページをめくることを楽しませている絵本です。エリック・カール作の「はらぺこあおむし」と「パパ、お月さまとって!」に、ふくだとしお作の「うしろにいるのだあれ」シリーズです。大人が見ても面白いです。

 来年は読書の年にしたいと思っています。名作の誉れ高いのに1985年に発表された後何故か翻訳されなかったガルシア・マルケスの「コレラの時代の愛」、村上春樹訳の「ギャツビー」などなど読みたい本は沢山あります。 


○映画

 もしかしたら、今年は1本も映画を観ていないかもしれません。DVDで購入している「ファンタジア2000」や「ファインディング・ニモ」を見直したのは覚えているのですが、新しく観た映画を思い出せません。観たい映画はあるのですが、空いた2~3時間の使い方として映画の優先順位は最近低くなっています。それにしても1本も観なかったなんて少し驚きです。


○食べ物

 娘が小さいこともあり、まともなレストランは1軒も行っていません。回数が一番多かったのはデニーズでした。という訳で、今年は大阪出張中に遭遇した「くれおーる」のたこ焼き(8/9にアップ)が最高の1皿です。オールジャンルでも今年の驚きはマイルス・デイビスとたこ焼きだったと思います。


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