「道久製麺所」(三豊市)


 シルバーウィークは子供達がタイミング悪く風邪をひいてしまい近場の公園へのお出かけ程度でした。もとより遠出の予定はなかったのですが、岡山県内、香川へのミニ旅行もできなかったので、連休空けのこの週末にモヤモヤ解消、家族サービス穴埋めで瀬戸大橋横断です。さすがに空いています。

 結局、本日(昨日の土曜日)の訪問は4店。一人前の単価は、75円、120円、220円、420円でした。

 まず向かったのは道久製麺所です。コシの強い剛麺を提供する製麺所なんだそうです。麺売りなので、容器、箸などを持参しなければなりません。
 駐車場はありませんが店の前の道路に4~5台路駐するスペースがあります。京都、春日部、所沢など我が家の車も含めて県外ナンバーばかりです。

 どこが入り口なのかも分かりませんが、適当に開けるとおじさんとおばさんが麺を茹でていました。小を3つお願いすると、少し待ってなと言われ、茹で上げて水で締めるのを待ちます。
 持参のプラスチック椀に麺を入れてもらうと、外に出て食べます。車の中で食べている人もいますが、我々は店の脇と裏に少しスペースがあるのでそこでいただきます。市販の「ぶっかけうどんつゆ」をかけました。

 ゴワゴワした噛みごたえのある麺です。ただ、硬いだけでなくて味わいのある食感です。硬めはあまり好きではないのですがこの麺は納得です。店の方が言われているように配達後(家に持ち帰り)鍋に入れて食べるとちょうどよくふやける按配の麺でしょうか。
 このタイプだと想像していたので醤油ではなくぶっかけうどんつゆにして正解でした。気持ちよくツルツルと食べられました。それにしても天気の良い日に陽の下で食べるうどんは最高です。店が提供する屋外スペースはたまにありますが、こういう完全な外は初めてかも…あまり記憶にありません。娘も楽しそうです。

 値段も我々には過去最廉の1玉75円。もともと製麺所のうどんは激安ですが、100円、130円といった値段に比べても際立っています。地元にこんな製麺所があれば・・・三豊市民が羨ましいです。


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「元祖たこ判 小前」(三豊市)


 今回、西讃方面を巡ることになった理由は、この「元祖たこ判 小前」です。店のおばあちゃんが中学生から「こっちの大きいとこ(大判焼きの型)でたこ焼きして食べさせてくれ」と言われたのがきっかけとか。香川の昔なつかしB級グルメの店として複数の雑誌に紹介されていて是非一度行きたいと思っていました。

 焼き上がるのに30~40分かかり予約したほうがよいと書いてあったので、道久製麺所に着く少し前に電話して「玉たこ」を予約しておきました。
 店の脇に大きな駐車場があります。店の中に入ると5~6人が待っていました。少し強面のおばさんに注文を紙に書いてくださいと言われ、予約していることを告げると奥でモノを貰い受けます。そこは写真でよく見るトシ子ばあちゃんです。
 普通のたこ判が80円、卵入りの玉たこ判が100円と読んでいたのですが、玉たこ判は20円値上がりしていました。
 3つ注文していたのですが、1個ずつパックに詰められて、更に小さいダンボールに入れて渡されます。計360円の食べ物の受け取りでこの大きさは驚きです。店内に食べるスペースがあるのかどうか分かりませんでしたが、駐車場が空いていたので、ビールケースを反対にしてテーブル・イスにしました。

 たこ判はちょっとびっくりの大きさです。大判焼きのサイズだと思っていたのですがその一回りちょっと大きい感じです。妻もこれで120円はすごいと驚いていました。
 味は・・・普通の粉もんにソースの味付けです。基本はたこ焼きとのことですが、キャベツが多く入っていて、タコも小さいので広島風のお好み焼に近いでしょうか。美味しくないレベルではないのですが何か特別の味でもないです。ただ、この値段でこの大きさ。これぞB級グルメで楽しいです。お腹を空かした小中学生には最高でしょう。

 一度行ってみる価値ありですが、数多ある讃岐うどん店を一店減らしてまで行くかどうかは微妙です。うどん続きに飽きた方にはよいアクセントになると思います。


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「上戸」(観音寺市)


 続いては西讃の観音寺市の海沿いに位置する「上戸」です。こちらも太めの剛麺で有名なのは雑誌、テレビで知っていたのですが他のうどん店から離れているので後回しになっていました。

 香川では珍しい海沿いのドライブです。店の駐車場にはトラックが2~3台停まっていました。店に入り、大将に小を2つ注文します。温かいかけか、冷たいぶっかけの選択なのでぶっかけにしました。

 太めで美味しそうに光っています。口にすると…ピシッとしまった滑らかな表面、噛みごたえはしこしこで好みのタイプ。言われているような力強い麺というよりバランスのよいこれぞ讃岐うどん!といえる食感です(道久製麺所は正真正銘の剛麺でした)。太さやコシの強さを特徴にしたうどんかと思いましたが、とんでもない。極上のS級麺です。いやあ、これは美味い。くるくると捩れている2~3本もいいアクセントになります。どうしてこのうどんが讃岐のキラ星ではなくて、次に訪れるレベルの店として紹介されているのでしょうか。讃岐うどんはまだまだ奥が深いです。

 駐車場には関西を中心に県外ナンバーの車が多く駐車していますが、地元の常連風の客も多いのが特徴でしょうか。滅多に来れない我々は(岡山は恵まれているほうですが)どうしても麺を美味しく食べられる冷たい麺を選択しがちですが、常連風の方が温かいかけに天ぷらを載せて豪快に食べていました。この美味い麺を日常で食べられるのは羨ましいです。


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「寺岡商店 丸亀本店」(丸亀市)


 「上戸」まで3軒を巡ってから、娘には主目的の「国営讃岐まんのう公園」に遊びに行きました。広くて評判がよい公園です。巨大なトランポリンのようなふわふわドーム、子供プールとして遊べる泉広場、長大な滑り台のあるエックススライダーなど子供には堪らない遊具・遊場満載です。
 因みに、香川県には高松空港の脇というより滑走路脇の緑地帯を仕切った「さぬきこどもの国」という公園があるのですが、ここは目の前で飛行機の離発着が見られるというド迫力のオマケ付です。また、メインの遊具も屋内外に充実しています。また、民間有料ですが宇多津の「プレイパークゴールドタワー」も他県では見られない充実ぶりで行く価値ありです。香川県はうどんも凄いですが、子供向けの公園、プレイゾーンも国内屈指の高レベルです。

 という訳でまんのう公園に夕方まで滞在したので夕食をとって帰ろうということになりました。うどんでも良かったのですが、この時間になれば夕方開店の店です。「寺岡商店」は丸亀市に本店がある餃子屋で、東京池袋の「餃子スタジアム」に出店していることを知っていつか行ってみたいと思っていた店です。

 店には駐車場がないので近くの有料駐車場に車を停めます。店は入り口脇が焼き場になっている焼き鳥屋や鰻屋のようなつくりです。4人掛けのテーブルが10台ちょっと、隣接しているので乳児のいる我が家には厳しい居酒屋風の店内ですがまだ客が2~3組しかいなかったので大丈夫でした。

 メニューは、ニンニクの入っていないすだち餃子(7個380円)、ニンニク餃子(同420円)、お粥、ご飯がメインでその他お酒のつまみが4~5種類だけです。
 餃子は美味しいです。特にニンニク餃子がいいですね。スダチを絞って特製コショウをタレにするすだち餃子も悪くないですが看板メニューのわりにはそれほど個性はありません。
 ニンニク餃子は、中国・台湾系のモチモチの皮を特徴にしたものではなく、具がメインの日本風の餃子。近所の食堂で焼き飯と一緒に食べていたものに近いです。普通なんだけど美味しい。ただ、それ以上でもないかもしれません。近所の食堂のメニューにあれば必ず注文しますが、わざわざ出向くかというと微妙です。
 その他のメニューでは、つまみの牛アキレスは美味い、お粥は普通の味です。


 今回のツアーではバリエーションとして、たこ判、餃子を試しましたが、結局、香川はやはりうどんが美味いという結論になるんでしょうか。


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「ジュブレ・シャンベルタン レ・シャンポー」/ドメーヌ・ルー・デュモン(2006年)


 ワインを題材にした漫画「神の雫」の人気、評価は欧米でも広がっているようです。フランスを始めとした有力新聞、雑誌、有名ワイン評論家の賞賛に続いて、料理本のアカデミー賞と言われるグルマン世界料理本大賞を受賞したそうです。
 私も最近読んでいて全21巻中の19巻まで進んでいます。ワインの複雑かつ深遠な世界を分かり易く劇的に表現していてとにかく楽しいです。特に香りを嗅ぎ、ワインを口にした後のお約束の“異空間へのトリップ”はこの漫画の代名詞で毎回ワクワクすると共に優れたワインのスケールの大きさ、飲んでみたいなあという思いを強くさせます。 

 その第9巻で紹介されたフランスのジュブレ・シャンベルタンに構えるドメーヌ・ルー・デュモン、代表は日本人の仲田晃司氏です。岡山県の高梁市出身の34歳。自分の畑を持たずに(高額すぎて簡単には持てない)買い取ったブドウからワインを作るネゴシアンという立場で優れたワイン造りをしているそうです。
 デュモンとはフランス語で山の意味で、これは出身地高梁の山の上に聳える備中松山城をイメージしたものだそうです。また、ワインのエチケットに日本語の「天・人・地」を入れているのが特徴です。

 「神の雫」で紹介されたワインは非常に人気が高くなかなか手に入らないというのでもとより調べてみることもないのですが、岡山のワインショップを検索していた中で、ドメーヌ・ルー・デュモンのワインを多く扱っている店があることを知りました。玉野市にある「RED BOX」という店です。せっかくの機会であり一度行って見ることにしました。
 水島ICから県道を進み、玉野市に入ります。道は整備されているのですが、両サイドは刈り入れを控えた緑色の田んぼです。ほっとする景色の中を進むと店が現れます。
 倉庫のような大型店です。中に入るとビールをケース売りしています。焼酎、日本酒の品揃えも多いのですがあまりお客がいません。値段はかなり安いのでおそらく配達を中心にしたディスカウンター店のようです。

 1階の一角にあるワインセラーをのぞいた後、ホームページに載っていた2階のワインセラーに向かいます。ただ、2階は事務所と物置きのようになっていて、知らない人が階段を登ることはなさそうです。
 ワインセラーの立派な扉を開けるのですが電気が付いておらず真っ暗です。1階のレジのスタッフに中に入っていいかと声をかけるといいですとの答え。ただ、電気のスイッチがどこか分からないのでもう一度尋ねると、2階の事務所のスタッフに電話してくれて、ようやく電気を付けてもらいました。

 セラーの中にはフランス中心の銘酒の数々が眠っていました。値段も付いていますが、おそらく通常はネット販売が中心なんだろうと思います。保存用のセラーという雰囲気です。今回は目当てが違うのでゆっくりは値段を検証しませんでしたがワクワクするような1級、2級、ブルゴーニュのラインナップでした。
 その中でドメーヌ・ルー・デュモンのものはオレンジ色のエチケットが目立つのですぐに分かります。ホームページでも紹介されていた10数種類のデュモンが置いてありました。仲田氏が岡山県出身ということで店が以前から注目していたのでしょうか。これだけの品揃えは圧巻です。
 「神の雫」で紹介された白ワインのムルソー(5980円)、力を入れている赤ワインの中からジュブレ・シャンベルタン・シャンポー(7500円)、一番安いブルゴーニュ・ルージュ(2980円)の3本を購入しました。

 早速、「ジュブレ・シャンベルタン レ・シャンポー」を飲んでみました。薄いルビー色、甘酸っぱい香りが広がります。最近はワインをほとんど飲まないのでうまく表現できないのですが、凝縮ではなく透き通った軽さ、混じり気のない上品な味わい、新鮮な果物の心地よいすっぱさ。ボルドーのような複雑な苦味はなく、ぶどうジュースでも飲んでいるような軽やかさ。一人で1本飲むと(少しだけ妻も飲みましたが)だんだんと酔うのですが、私は変わってもワインの印象は最後まで変わらない。

 久しぶりなのですが、大好きなブルゴーニュらしいフルーティなワインでした。これは間違いなく美味しい。ただ、比較できるほど多くのブルゴーニュを飲んでいる訳ではありません。7500円の価値があるのかどうか。
 そこで、日を改めて「ブルゴーニュ・ルージュ」を飲んで比べてみました。結論から言うと、微妙な違いしか私には分かりません。レ・シャンポーを100とすると85~90くらい。香りやフルーティな味わいなどの第一印象はあまり変わらないのですが、喉の奥に後味として苦味が残ります。それでもこの程度であれば・・・十分な水準です。
 舌の肥えた方であればもっと違いが分かるのでしょうが私レベルであればこの程度です。それにしても2千円台でこの水準のワインを味わえるのは驚異的です。ルー・デュモンのファンになりました。

 「神の雫」に掲載されたワインの入手は困難だそうですがワイン関連サイトを頻繁に眺めていると手に入ることもあるようです。
 第1巻でロックバンドのクィーンの音楽のようだと紹介された「シャトー・モン・ペラ」ですが、ワインショップ「エノテカ」のホームページで2007年の先行予約を受け付けていました。2007年ヴィンテージの評判は知りませんが思わず申し込んでしまいました。6本単位の木箱売りですが、1本あたり2400円と安い。一度飲んだことあるのですが開栓すぐでちょっとピンときませんでした。我々は値段から若すぎる(本来飲むべきでない)時期のワインしか味わえないのですが、それでも実力の片鱗を感じるためにデキャンタしてから飲んでみたい。


 「神の雫」を読んで、久しぶりにワインモードになってきました。


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「白川」(善通寺市)


 讃岐うどんを3軒ハシゴしても1軒も印象に残らない、外れだなあという日もあるのですが、今日は後半2軒が予想外の美味さで3軒とも当たりの日でした。3店続けて美味い讃岐うどんが食べられるのは幸せです。

 一店目は善通寺の「白川」です。ここは以前行った時もとても印象が良かったのですが、その後訪問した「一福」の美味さが際立って紹介はしなかったものです。

 善通寺ICを降りて、県道を進みます。いつも観客が多い尽誠学園の野球場の脇を通るともうすぐです。最後は細い道に入り、田んぼの中を進みます。最近の店が県道脇の便利な店が多い中でロケーションの良さはS級(?)です。
 開店時間は10時30分と掲載されていますが、前回同様に10時前に到着するともう営業していました。

 冷たい麺をもらって、冷たいダシをかけます。一口すすると何というか素朴な優しい味がします。強い特徴はないのですが日常食、毎日食べてもいい、毎日食べたいうどんです。冷たいダシもいい。週末は胃腸が少し疲れているのですが、この優しいダシとしょうがが胃に染み入ります。

 妻はこの店が大好きだと言います。私もこのうどん大好きです。今回、確信しました。


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「池上製麺所」(高松市)


 本日の香川入りの目的は高松空港脇の「さぬきこどもの国」という公園に行くことだったので、2店目と3店目は高松空港近くの店にしました。

 2店目は「池上製麺所」です。るみばあちゃんの店として有名ですが、テレビでの露出度など話題優先で行ってみたいとは全く思っていませんでした。今回はついでなので一度体験しておこう程度でした。

 到着してみると30~40人くらいの行列、さすが人気店です。並ぶ覚悟がなかったのでウンザリしましたが、先を急がない休日なので並ぶことにしました。

 30分近くかかり、ようやく受取口へ。少し前の人が受け取る丼を見ると麺が艶々としてすごく良さそうに見えます。あれ、これ美味しいかもしれない・・・私は2玉にしてみました。
 なんか好みのツルツル麺に見えるけど・・・食べてみると、美味いです!どこかで強靭な麺と読んでいたので私の嫌いなタイプかと思っていたら、適度に歯に食い込む素朴な麺。小麦粉を感じます。強靭どころか優しい麺です。「白川」に似ているのですが気持ちストレートな端正さがあります。ここらへんの違いを表現するのはあまり意味がありませんが。

 意外でした。讃岐うどんに限らず、雑誌、ネットでの評判はそこそこに参考にして食べてみないと分からないですね。食べず嫌いしていたのを反省です。


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「もり家」(高松市)


 3店目は「池上製麺所」から10分程度のところにある「もり家」です。大きなかき揚げが名物くらいの認識でした。

 到着すると巨大な駐車場があり、係員2名が交通整理しています。係員付き駐車場、行列20~30人は意外でした。すぐに食べるつもりだったのですが、仕方なく並びます。最近はこの程度の店でも行列なんだろうか・・・。一般店なので回転が若干遅いです。結局、30~40分待ったでしょうか。

 店員さんが丁寧かつもの凄いスピードで客を捌いています。それぞれの客の人数、意向(畳がいいか、相席OKかなど)を確認して効率的に回しています。
 大将が麺をこねて、切って、お湯に入れます。その他、4人が厨房、5人が接客・配膳です。大将以外の9人が凄い形相でテキパキと仕事をこなしています。この店もすごく美味いんではないかという気がしてきます。

 注文したのは冷たいぶっかけと単品天ぷらでかき揚げ、卵、ちくわです。ここは天ぷらも注文を受けてから揚げています(厨房が覗ける席だったので確認)。
 まず揚げたての天ぷらが出てきます。うまそー。そして、ぶっかけが出てきました。これも見た目うまそー。食べてみたら・・・本当にうまい!麺を口に入れるとピシッと締まったツヤツヤ感があるのですが、噛み締めると柔らかい。これは初めての不思議な食感です。美味い。
 天ぷらも、揚げたてで美味いです。讃岐うどんの天ぷらは既に揚げてあるのを取るのが普通、それでも十分美味しいのですが、揚げたてはからっとサクサクです。讃岐うどん屋でこんな美味い天ぷらは始めてかも、いや「竹清」と並ぶレベルでしょうか。名物は伊達じゃないです。


 「白川」、「池上製麺所」、「もり家」、全てお勧めです。もう有名店の多くに行ったつもりが、こんな優良店を知らなかったとは。讃岐うどん食べ歩きの修行はまだまだです。


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ザ・ビートルズ「マジカル・ミステリー・ツアー」


 デジタル・リマスター盤を毎日聴いています。素晴らしいリマスター、素晴らしいビートルズの音楽に感激です。前回はそれほど違いが分からないのではみたいなことを書きましたが、荒々しい音のシャワー、中期以降は全く別の作品です。修正したいと思います。

 では14作品の中でどの作品が一番良い音に生まれ変わったか。一番好きな作品を挙げるのは難しくて、たった今聴いたアルバムとは別の作品を次は聴きたいとしか答えようがないのですが、音の驚きでは絞ることは出来そうです。

 ただ、前回も書いたように有名曲・ヒット曲ほど原曲のバランスと印象の違いがあまりありません。それでも中期・後期の多彩な楽器を用いたアレンジはリアル感が明らかに増しています。
 複数のアルバムを4~5回聴いてみました。第8作の「サージェント・ペパーズ」も凄いのですが一番驚きを感じるのは第9作の「マジカル・ミステリー・ツアー」でしょうか。どのアルバムも同じなのですが、ドラム、ギター、笛、コーラスなどなどすぐそこで演奏しているようです。結局はなんて凄い演奏、アレンジ、曲なんだろうと聴き惚れてしまいます。ビートルズ世代もビートルズを聴いたことがない方も購入して絶対に損はないと思います。新たな人類の至宝です。


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市橋織江「Gift」


 お気に入りの写真家である市橋織江さんが初写真集を出していることを知り購入しました。注文時のアマゾンでは1~2ヵ月後に出荷となっていたのですが、翌日届きました。

 アイスランド、ベルギー、セネガル、ブラジル、富士五湖、東京、京都、北海道などの風景、街中の写真など196枚。これにそれぞれの写真の撮影場所を記した巻末のミニ写真集が4ページ分あります。200ページという約束で編集したのでしょうか。

 市橋さんの特徴である早朝や暮れなどの太陽光が繊細に変化する時間帯の淡く柔らかな雰囲気の写真が並べられています。
 こういう光の変化を切り取った一枚の作品としての写真集かなあと眺めていると、そうでもなくて海や島や平原などの景勝地として本当に美しい場所の写真もあり、日本では金閣寺の写真、牧場にいるディープインパクトの写真、東京タワーなど多様です。
 何を撮影して何を我々に見せようとしているのか。気に入った「Aloha Book」では著者が紹介したいハワイの好きな景色、モノを撮影するというサブの立場だったわけですが、今回はどこに行ってどういう写真を撮ろうが自由です。巻末に「その時そこにあった事実を、そのまま写真に写すということをただ続けていく為の小さな旅でした。」と著者の言葉があります。旅の中で気に入った風景を気ままに撮影したものか。いえ、それではこんな風景にたまたま巡り合うなんてことはありません。

 私の勝手な想像ですが、これらの景色はそれぞれの街の友人かコーディネーターにあなたのお気に入りの所へ、地元の人が休みの日に出向く所へ連れて行ってくれないかとお願いして旅した場所ではないでしょうか。どの写真にも親密な雰囲気の普段着のちょっといい景色が収められています。そう考えると著者の旅と視点が想像できます。
 まあ、別にそういうことを考えなくても単純に写真眺めて、著者と一緒に世界と日本を旅することができます。正直言って、写真としては題材のハワイへの思いが強くて「Aloha Book」の方が好みですが、市橋風の穏やかさに溢れた写真集です。

 余談ですが、写真の中にテニスのUSオープンの会場の様子を捉えた写真が数枚あります。旅の醍醐味の一つは思いがけない出来事に巡り合わせることですが、私の想定外の出来事で一番幸運に思っていることはニューヨークに旅した際にテニスのUSオープンを観戦できたことです。

 社会人になっての9月の夏休み、2度目のニューヨークでした。初訪問時にマンハッタンの中の主たる観光地は行ったのでテーマは郊外。ブルックリンはコニーアイランド、ブロンクスはブロンクス動物園、クィーンズはシェアスタジアムにしました。ニューヨークメッツの試合は日程中に開催されなかったので外から球場の芝生を見るだけでした。
 想像どおりの美しい芝生を遠くから眺めて、いつか中に入って試合を観たいなあと思いながら(3度目の時に実現)、地下鉄の駅に戻ると来た時には気付かなかった群集がシェアスタジアムとは逆の方向に向かって歩いています。何だこれはと付いていくと「USオープン」の看板が…ゴルフのUSオープンかと思ったらテニスでした。

 早速、チケット売り場へ。一番高い券は3桁でいろんな券があったのですがよく分からないので一番安い10ドルか20ドルくらいの「GROUND」というのを買いました。敷地内ではいろんな試合をやっています。USオープンはプロだけでなく、全米高校選手権、全米大学選手権のようなクラス別の大会もやっているようでした。暫くアマチュアの試合を観戦した後、大きな会場に入ろうとしました。すると係員に止められ、これはGROUND、地べたでやっている試合しか見られない、センターコートに入りたければそのチケットが必要だと言われました。そういうことかあと諦めていると、そのお兄さんが20ドル(確か)くれれば通してあげるよと小声で囁きました。突然のことで戸惑いましたが、まあいいかと札を渡すと、お兄さんが係員の何人かにこの人は顔パスでという指示を出しました。

 センターコートは指定席ですが一番上の方は空いていたのでそこに座り、ジム・クーリエとフランス人選手の試合とグラフとサンチェスの試合を観ました。特にテニスが好きなわけではありませんが、本場の大試合の雰囲気は最高で興奮しました。帰国後にちょうど同じ日に4大大会で初めての快進撃を続けていた伊達公子がサブコートで試合をしていて負けたことなどを知りました。
 シェアスタジアムの芝生を仕方なく見に行ったこころ、想定外の巨大な楽しみに巡り合えました。本当にいい思い出になっています。

 これもあって都会の街の海外旅行ではコンサートやスポーツ大会が開催されているかどうかを確認するようになりました。
 新婚旅行はパリ、ロンドンだったのですが、ちょうどウィンブルドンの時期と重なったので、ささやかな披露宴の自己紹介冊子でロンドンではウィンブルドンテニス大会を観戦すると書きました。多くの方に羨ましいと言われたのですが・・・現地に行くと、とんでもない長蛇の列です。当日の試合の列の横に翌日の試合の列がありました。寝袋持って徹夜で並ぶなんて日本人だけかと思っていたらウィンブルドンも同じでした。センターコートは無理としても敷地に入れると思っていたのですが全くダメです。ダフ屋のチケットも凄まじく高額で諦めました。海外でのコンサートやイベントのチケットは日本ほど入手は難しくなくて、最悪、ダフ屋から購入可能で何とかなるものですが、断念したのはウィンブルドンが初めてでした。
 それでもロンドン近郊の駅から会場までの道のり、会場周辺の公園の雰囲気など緑に溢れていて本当に気持ちいい散策になりました。その他の観光名所なんかよりずっと良かったです。今でも大会が始まるとあの時のことを懐かしく思い出します。余談の方が長くなってしまいました。


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岡山いこいの村


 岡山県の東部、瀬戸内市の海沿いの高台にある「岡山いこいの村」という宿に泊まってきました。全国で7番目の「日本の朝日百選の宿」に認定されたと読み、海の眺め、日の出を目的に出かけました。
 昔の国民宿舎でしょうか、今はベネッセが経営しているとはいえ、施設、食事などは期待なしです。ただ、天気がよくないと仕方がないので1週間前に当日それほど悪くないことを確認して予約しました。

 当日は比較的近くにある備前焼の里、伊部駅周辺の窯元を散策してから、山を車で登ります。最後はキラキラ光る緑の木々のトンネルの中を進みます。蓼科や軽井沢などの避暑地を思わせて期待が膨らみます。

 部屋は2階の部屋でした。3階建てで1、2階が宿泊階で20室程度、3階が大浴場と宴会場になっています。
 普通の和室ですが、少し暗いです。窓が海側の東を向いているので昼間の入光が少ないようです。そして、海の眺めです。瀬戸内海の海、島々が見渡せますが、敷地内の木々、斜面の上にぎりぎりひらけています。少しストレスを感じる展望です。それが3階の大浴場からは全てが綺麗に広く見渡せます。絶景。宿泊部屋が3階あるいはもう少し高層の4階や5階にあればと悔やまれます。この宿は「天空のホテル」とも称しているのですが、それは3階と造られなかった4階以上の眺めのことです。惜しいなあ。もの凄くいいリゾートホテルになるロケーションです。

 宿の敷地内は広く多様な体験が出来るようですが夏休み明けの週末だったので誰も出ていませんでした。我々は翌朝のコッコハウスツアーというニワトリの卵を採って、それを朝食で食べるというオプションだけ楽しみました。娘が大喜び、これはお勧めです。
 敷地内も散歩するような感じでもないので、宿に着いてもお風呂に入る以外は特にすることがありません。部屋も少し暗く、目的が宿でゆったりすることだと少し辛いかもしれません。

 夕食は大衆宿のものですがこれが目的ではないので問題なし、十分です。食後、部屋に戻ると、海の上に月が出ていました。そして月明かりで海がきらきらと光っています。とても幻想的です。月光は想定外の景色でした。

 そして翌朝、朝5時半過ぎに起きて日の出を待ちます。ラッキーにも快晴で条件は最高です。少しずつ水平線が明るくなった後、オレンジ色の太陽が顔を出しました。澄み切った空間に太陽の光が広がっていきます。神々しい光。暫しのあいだ、朝日に見とれていました。海からの日の出は以前行った箱根の「江の浦テラス」以来ですが何度見てもいいものです。

 1泊2食で8700円/人のお気軽近場旅行でしたが、目当ての日の出の他に幻想的な月光も拝めて思い出に残る旅行になりました。ロケーションはよいのですが、施設などは少しくたびれているので天気が悪いとどうにも印象が悪くなるかもしれません。それほど混んではいないようなので、天気予報を見てからの予約であればトータルで満足できる宿だと思います。


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「ザ・ビートルズ BOX」


 2009年9月9日。会社を休んでビートルズのデジタル・リマスター版のBOXセットを買いに行きました。待ってました。この数日は旧盤を繰り返し聴いて新体験に備えました。
 「ロッキング・オン10月号」のレビューでも相当音が変わっている、リマスターを手がけたアビイ・ロード・スタジオのエンジニアのインタビューでも思い切って手を加えたとあったので期待と不安でBOXを開けました。全14作(16CD)です。一作目「プリーズ・プリーズ・ミー」から順番に聴きました。

 1曲目の「アイ・ソー・ハ-・スタンディング・ゼア」です。正直な感想は予想以上に普通でした。当たり前かもしれませんが楽曲の印象は変わりません。ただ、エンジニアがインタビューで答えていたのですが、レコード時代は針飛びを防ぐためにあまり低音を強調できなかった、今回はその支障がないので全体として中低域の音を強くしたんだそうです。確かにポール・マッカートニーのベースの音が始めてベンベンドゥンドゥンはっきりと聞こえます。ベースの音にノリながらビートルズサウンドの聴き直しです。

 また、アルバム収録曲はボーカルが前にくっきりと出て、全体の音も磨かれているのでリマスターの効果が分かりやすいです。一方で有名曲・ヒット曲はボーカル、楽器のバランスはほとんど変わらない印象です。ビートルズの名曲は人類の至宝、簡単には作り変える訳にはいかないということでしょうか。これはこれで好感が持てます。
 「とくダネ!」の冒頭で小倉さんがどんな再生装置でもラジオでもはっきりと違いが分かると言っていましたが、それはどうかなあと思います。

 それにしても名曲ぞろい。始めはリマスターされた音を注意して聴いていましたが、三作目「ア・ハード・デイズ・ナイト」の「イブ・アイ・フェル」や「アンド・アイ・ラブ・ハー」のハーモニーを聴いているととろけそうで気持ちよくて涙が出そうになります。音がクリアになってビートルズの名曲がより近く感じられるようになりました。

 とはいえ再び今回のデジタル・リマスターです。所々に驚きがあります。メインのボーカル、ギター、ドラムは音がクリアになっていますがバランスの印象は大きく変わりません。ただ、先程も書いたベース音に加えて、ピアノ、アコースティックギター、ドラムの強打、タンバリンなどは明らかに響きが違います。

 ・・・と、ここまでがオリジナルがMONOの4作目までの感想で、5作目の「ヘルプ!」以降も原盤に忠実という印象は変わらないのですが、STEREO録音だけあってより音がクリアです。各パーツとパーツの分離がはっきりしていてより立体的で奥行きがあります。ジョンやポールの息吹がすぐそこに感じられます。録音が新しくなればなるほどギター音もリアルで荒々しくなっていきます。すぐそこで演奏しているような空間を感じます。中期、後期のアルバムは小倉さんが言うとおりラジオでも違いが感じられるかもしれません。名曲の数々が生き生きと生まれ変わりました。

 以前の「イエローサブマリン」や「レットイットビー・ネイキッド」でエンジニアチームが優秀なのは分かっていたので、高品質であることは間違いなかったのですが、それでも実際に耳にすると本当に素晴らしいリマスター、凄いアルバムです。今年のナンバー1当確です。


 最後にこのBOXセットは38,600円。別々に買うと1枚もの2,600円、2枚もの3,700円で計算するとトータル38,600円。BOXにはDVDが1枚おまけで付いているのですが、別々盤でもCD-EXTRAで観られます。BOXの特典は何もなくお徳感は全くありません。特典は箱でしょうか。全部まとめて買ってくれた客に何もサービス(値引き、特典)しないというこの売り方は一体何なんでしょうか。箱は邪魔なので捨てようかと考えています。


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羽海野チカ「3月のライオン 3」


 この夏、楽しみにしていた漫画の新刊が続けて刊行されました。

 まず羽海野チカの「3月のライオン」の第3巻です。伸び盛りの若手将棋棋士とひょんなことから知り合った3人姉妹との交流。桐山五段の成長物語になるんだろうと予感させますが、まだまだ設定の説明段階でどう展開するのか分かりません。それでも早くもこの静かで優しい世界にどっぷり浸かっています。誰もが孤独、悲しみを抱えながら生きている、それだけに人の優しさが身に沁みる。
 「ハチワン・ダイバー」と同じでプロ棋士が監修しているので将棋界の状況、棋譜などもリアルであるのも面白くさせています(もちろん将棋が分からなくても楽しめる)。

 新刊が待ちきれないので羽海野チカのデビュー作でしょうか、「ハチミツとクローバー」全10巻を購入してこちらを読んでいます。多彩な登場人物間の繊細な心の交流は「ハチミツとクローバー」も「3月のライオン」も同じですが、「ハチミツ」が女性コミック誌での掲載に対して、「ライオン」が男性コミック誌での掲載なので甘さ控えめで世間の現実、冷たい風がリアルなのが特徴でしょうか。これからが楽しみです。


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安倍夜郎「深夜食堂 4」


 次の「深夜食堂」は第4巻です。こちらも面白さの確実度は鉄板です。テーマの食べ物に対するイメージが作家、登場人物と同じに感じられるので本当に共感というか感情移入して読めます。そして、それを食べたくなる。

 そういえばちょうど20年前、新入社員で新潟で生活していた時は一人で入る行きつけの食堂、飲み屋、カウンターがあったのですが、その後生活した街ではそういう店とはご無沙汰になりました。手酌で飲んで少しつまんでおやじさんかお母さんと少し話しをするような店があるのはいいですね。そういう生活を送ることがまたあるのかどうか…。


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井上雄彦「バガボンド 31」


 最後は「バガボンド」の31巻です。大傑作シリーズですが、29巻、30巻は70人斬り後のつなぎで正直あまり面白くなく、久しぶりの新刊にも関わらず惰性で読み流すような感じだったのですが、この31巻にはこれまでの物語の中の一つのラストシーンがあったのと別の新しい展開が予感されました。武蔵や登場人物の言葉は魂を揺さぶります。感動しました。岡山にいるうちに美作市の宮本村に行っておかないといけません。

 そして、「バガボンド」が何巻までいくのか分かりませんが、最後までの構成を想像させるシーンもありました。剣とは真実とは。武蔵は何を悟るのでしょうか。うーん、早く読みたい。


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