「海街diary」(是枝裕和監督)

          


 待ちに待った吉田秋生原作漫画の映画化「海街diary」です。

 第1話「蝉時雨のやむ頃」が大好きで思い入れも強く、期待外れに終わるのが怖かったのですが、想像以上に素晴らしい出来でした。さすが是枝監督。しっとり堪能できました。ずっとバタバタ忙しくて、ブログを更新する意欲が減退していたのですが、これは記録を残さざるを得ません。

 冒頭の電車のシーン。やっぱり感動です。このシーンを観るために来週もう一度観に行く気満々です。

 三女役の夏帆、(異母妹)四女役の広瀬すずがよかったです。そして三女の彼氏の店長がコミカルで最高。樹木希林、大竹しのぶも存在感抜群でした。

 長女役の綾瀬はるか、次女役の長澤まさみもイメージよりはハマっていました。原作ではこの姉妹は表情抑えて多くを語るのが特徴だと思うのですが、表情たっぷりに語るシーンが多いのは少し違いを感じたところです。
 自分にも他人にも厳しく潔癖だけど、憎む父親と同じように不倫している長女の複雑さ、血の宿命。それでも、だらしない母親のようには家族より自分を優先させない。綾瀬はるかはちょっとスマートすぎたと思いますが、よくやったと思います。

 全体的には鎌倉を舞台にした古風な映像が素晴らしく、日本の伝統的な音にも溢れて、心が洗われるようでした。映画版オリジナルの家庭での食の記憶に関するエピソード満載なのも楽しめました。匂いの記憶、四季の移ろいも含めて日本の伝統美てんこ盛りです。久々に映画を観て幸せな気分に浸れました。

 脚本は、情緒的な漫画を映画向けに、控えめながらも骨格を再構築しています。改めてこの原作の根底にあるテーマを理解することができました。一体どういう風に終わらせるんだろうと考えながら観ていましたが、原作にはないラストシーンのセリフには泣けました。

 最近の映画では、「バードマン」(2回観ました)、「セッション」(戦慄の問題作)も良かったですが、やっぱりこういういい日本映画を観たいです。




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