ひな人形 原 孝洲


 娘の雛人形を買いに浅草橋に行きました。雛人形は女の子の健やかな成長を祈るお守りなんだそうです。

 妻がインターネットで調べたり、カタログを取り寄せて情報収集した結果、一般的なクールな美人顔(衣裳着)の人形ではなく、丸顔で可愛らしい顔をした木目込(きめこみ)人形にすることにしました。

 有名な真多呂などではなく、妻が気に入ったのは、「原 米洲」系の人形です。今日は無形文化財に指定された「原 米洲」(本人は亡くなったので義理の姉が継いだ)と「原 孝洲」(米洲の娘が分家した)の両店で見比べて、結局、「原孝洲」(はらこうしゅう)の「瑞喜雛」にしました。高かったのですが妻の実家が出してくれるというので甘えさせていただきました。

 娘似のお人形さんは来週の日曜日に我が家にやってきます。


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クィーン+ポール・ロジャース「リターン・オブ・ザ・チャンピオンズ」


 中学生の頃だと思うのですが、洋楽を聞き出した当時のヒット曲は、ポリスの「孤独のメッセージ」、ポール・マッカートニーの「カミング・アップ」、クィーンの「地獄へ道づれ」などでした。生まれて初めて買ったアルバムは、ポリスの「白いレガッタ」でした・・・らカッコよかったのですが、エア・サプライの「ロスト・イン・ラブ」です(ペパーミントサウンドも聴き直すとなかなかいいですが)。

 クィーンの「ザ・ゲーム」もよく聴きました。お金がなかったので買いはしませんでしたが、当時広まっていた「友&愛」などのレンタルレコード屋でダビングしたテープをテープが伸びるくらいまで聴いていたような記憶があります。「セイブ・ミー」、「愛という名の欲望」、「地獄へ道づれ」など佳曲ぞろいのイカしたアルバムでした。

 その後、特に熱心なクィーンファンという訳ではなかったのですが、イーグルス、ストーンズなどと同じでビッグバンドの新曲、新譜は常にチェックしていました。あまり売れませんでしたが、ボディ・ランゲージ、ステイン・パワーなどが入った「ホット・スペース」が結構好きでした。
 フレディ・マーキュリーが死んだのは残念でしたが、ロック界で起こる事件、悲劇の中のひとつ位の印象でした。

 そして、クィーンが復活したことをテレビニュースで知ったのですが、その際に見た、聞いたライブ映像で、すぐにポール・ロジャースの声がクィーンの音楽にマッチするのが分かりました。これは凄い。フレディー・マーキュリーに替わるボーカルがいるとはまさか、クィーンが復活するなんてまさかです。

 日本公演のチケットは取れなかったので、待ちに待った地元シェフィールドでのライブ映像の登場です。先行してCDでも発売されていましたが、これはDVD待ちです。

 ポール・ロジャースいいです。クィーンの音楽に溶け込んで新しい命を吹き込んでいます。テレビの前で見ている私も酔いしれますが、会場で一緒に歌って、涙を流している地元ファンのノリを見ると本当にクィーンが好きなんだなあと目頭が熱くなります。
 特に「RADIO GA GA」、「ボヘミアン・ラプソディ」、「伝説のチャンピオン」でのノリは凄いです。クィーンはイギリス国民のバンドです。
 「輝ける日々」ではバックに始めてフレディー・マーキュリーの映像が映し出されますが、それは30年前の来日時に庭園でお茶を振舞われている時のものです。イギリスに次いで人気に火がついたのは日本だったらしいので、クィーンにとって大ブレイク前の思い出深い時間だったのかもしれません。

 3月末に日本でのライブ映像が日本限定で発売されるそうです。日本でのライブも見てみたい気もしますが、とりあえずはこちらでしょうか。


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ムラヴィンスキー/レニングラード「ベートーヴェン 交響曲第4番」


 音楽ショップで何度か試聴しましたが、何度聴いても素晴らしい音の響きにとうとう買ってしまいました。別に迷うこともなかったかもしれませんが、ベートーヴェンの第4番だと、どんなにいい演奏でも一度聴いてすぐに押入れ行きかなあと躊躇したのかもしれません。

 音楽はこう響いてほしいなあという演奏、録音です。冒頭から大きく呼吸して、音楽が途切れずに自然に流れます。そこに厳しく強いリズム、メロディが刻まれます。これまでこの曲に持っていた優美なイメージに加えて、第3番、第5番に通ずるところのあるベートーヴェンらしい骨太さを感じます。ムラヴィンスキーは楽譜に忠実に音楽を再現する堅物なんだそうですが、決してつまらない教科書風の音楽ではなく、音楽が息づいています。神々しいばかりの美しさです。
 普段は関心が続かずに聞き流してしまうのですが、この演奏は最後まで聞かせます。

 以前から別のメーカーから発売されていた演奏のリマスター盤(?)なんだそうです。ほぼ同時期に収録された来日公演は聴いたことはありますが、こちらのほうが録音がよく、演奏内容がよく分かります。
 第4番は、クライバー盤などしかあまり聴いたことはなく比較できませんが、これは間違いなく高水準の演奏です。

 併録されている「ルスランとリュドミラ」序曲も迫力ある名演です。


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マイルス・デイビス「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」


 先日、ジャズなら愛聴盤といえるのはクリフォード・ブラウンだけと書いたばかりですが、その際に聴き直したマイルス・デイビスの「カインド・オブ・ブルー」を毎日のように聴くようになりました。
 そして、押入れの奥深くに眠っていたダンボールから以前購入してお蔵入りしていたディスクを取り出して聴き、それでも物足りなくてショップで推薦盤を複数枚購入しました。年明けてからマイルス・デイビスにゾッコンです。いやー痺れました。今も痺れています。

 ジャズについては基本知識がなくクール、ビバップ、ハードバップなどの専門用語が何を指すのかラーナーノーツを読んでもまだピンときませんが、ジャズ特有の即興性、リズム、楽器間の掛け合い、そして何といってもトランペットやサックスの音の魅力に取り付かれた感があります。ジャズの主流とは縁はないかと思っていましたが、この歳でようやくジャズに目覚めました。

 とりあえず聴いたマイルス・デイビスのディスクです。どれも凄いです。痺れます。

①「ディグ」(1951年)
②「ウォーキン」(1954年)
③「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」(1956年)
④「リラクシン」(1956年)
⑤「カインド・オブ・ブルー」(1959年)
⑥「スケッチ・オブ・スペイン」(1960年)
⑦「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」(1964年)
⑧「フォア&モア」(1964年)
⑨「マイルス・イン・ベルリン」(1964年)
⑩「イン・ア・サイレント・ウェイ」(1969年)
⑪「ビッチェズ・ブリュー」(1970年)
⑫「マイルス・デイビス・アット・フィルモア」(1970年)
⑬「オン・ザ・コーナー」(1972年)
⑭「ゲット・アップ・ウィズ・イット」(1974年)
⑮「パンゲア」(1975年)
⑯「ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン」(1981年)
⑰「ウィ・ウォント・マイルス」(1981年)
⑱「ユア・アンダー・アレスト」(1985年)
⑲「TUTU」(1986年)
⑳「ドゥー・バップ」(1991年)

 ②、⑤、⑦、⑱、⑲、⑳の6枚は以前から持っていたので、この1ヵ月あまりで14枚のマイルス盤を購入してしまいました。もちろん名作と言われているものばかりなので全く外れはないです。天才の音楽、才能が爆発した熱い演奏。

 以前、フルトヴェングラー、クレンペラー、ホロヴィッツ、グールド、AC/DC、グロリア・エステファンなどにのめり込んだように当分はマイルス・デイビスに嵌りそうです。

 代表として選んだディスクはどれでもよかった一方で、どれか1枚を選ぶのも難しかったので、とりあえず今から半世紀前に演奏、収録された「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」です。


〔1/27追記〕

 「マイルス・イン・ベルリン」と「パンゲア」を追加しました。

〔2/2追記〕

 「リラクシン」、「ゲット・アップ・ウィズ・イット」、「ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン」を追加しました。


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大雪でした。


 関東地方は久しぶりの大雪でした。今日は一日CDを聴いたり、DVDを観て過ごしました。
 話題のクライバーとバイエルン国立管とのベートーヴェン7番を聴きました。想像どおりの素晴らしさで、海賊盤も含めた複数の既出CD・映像を上回る迫力を感じる場面もありましたが、どれも高水準であることは同じで特記すべき点もないと思うので詳細は省略いたします。クライバー大ファンは聴く価値あり、普通のファンの方は別のクライバー第7番ライブを一枚持っているのであれば見送ってもよいのではないでしょうか。

 クライバーではなく、娘の写真です。


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年末年始のテレビ番組の感想


 1月5日にキーボードの故障でパソコンを富士通に修理に出していたところようやく本日戻ってきました。送付、見積もり、修理内容の確認、発注・修理、戻ってきたら今度は画像が暗くなっていて再送付、見積もり、修理中の不具合にお金を取られるのは納得がいかないと交渉、結果2回目の修理は無料、修理、そして本日到着。16日間もパソコン不在の生活を送りました。


 遅くなりましたが、年末年始のクラシック音楽番組を見た感想です。

・ラトル/ベルリンフィル「バッハ ヨハネ受難曲」
 大好きなボストリッジ、クヴァストホフがソリストとして素晴らしい歌唱を聞かせてくれ楽しめました。ただ、この曲に関心が持続するのは1時間くらいなので最後は聴き流しました。この曲はメンゲルベルク指揮とリヒター指揮の昔のディスクしか碌に聴いたことはないので、それに比べると鋭利な印象のある演奏でした。正直言ってバロック音楽ではあまり切り込みのある演奏は好みではありません。

・ラトル/ベルリンフィルの来日公演
 フルートがパユ、オーボエがマイヤーではありません。個人的にはあまり聴かないドビュッシーの牧神、R・シュトラウスの英雄なので、それで名手の姿が見れない、聴けないと自分が会場にいたら少しがっくりするかなあと思いました。いい演奏でしたが、メインが英雄の生涯では物足りないです。この手の放送はだいたいあまり魅力的でない演目の演奏会が取り上げられるのはどうしてでしょうか。ディスクとしてリリースされているかどうかがあるのでしょう。前日の演奏会はベートーヴェン英雄、フルートはパユだったみたいです。

・ヤンソンス指揮ウィーンフィルのニューイヤーコンサート
 結局、最後まで観てしまいました。輪郭がくっきりしたスケールの大きい演奏で、始めはいつものウィーンのワルツとはちょっと違うかなあという印象を持ちましたが、これはこれで面白かったです。特に、後半はモーツァルトの生誕250年ということでフィガロの結婚序曲などモーツァルトにちなんだ曲が数曲演奏されて楽しかったです。
 ウィーンフィルは女性解禁後、少しずつ女性奏者が増えてきたなあと思っていたのですが、テレビで見たところ今回は3名(ヴァイオリン、チェロ、ハープ)いました。そして、画像でも何度かクローズアップされていましたが、第1ヴァイオリンの後列にイケ面のアジア系(韓国人?)奏者がいました。ウィーンフィルの中にアジア系奏者を見たのは私は初めてです。

・イスラエル・フィルの創立60周年記念コンサート
 指揮者はメータですが、目玉は、スターン、パールマン、ズッカーマン、ミンツ、シャハム、ヴェンゲーロフの6人のユダヤ系ヴァイオリニストが登場するというものです。
 ヴィヴァルディの4本協奏曲、バッハの2本協奏曲、ブラームスの交響曲第2番他。オーケストラよりもこの6人のヴァイオリニストの演奏に聞き惚れるという内容でした。表現力も当然あるのでしょうが、まずその美音が共通した特徴点です。
 ミンツを以前、モーストリー・モーツァルトに出演した時にオーチャードホールで聴いたことがあるのですが、そのヴァイオリンの輝かしい美音は今でも覚えています。なんて艶のある音なんだろうと驚きました。ただ、ヴァイオリンン音に聞き惚れて、どういう演奏内容だったのか忘れてしまったとその時思ったのも覚えています。
 楽器の質もあるのかもしれませんが、ユダヤ系ヴァイオリンの世界ではまずこういう美音を出せる資質かあるかどうかということで線引きされるのでしょうか。
 ブラームスの第2番は創立コンサートで演奏された曲なんだそうです。私も来日公演で聴きました。高水準でしたが、「世界一の弦」と宣伝されるほどではないかなあとと思ったのを覚えています。

・ザルツブルク音楽祭2005「ヴェルディ 椿姫」
 素晴らしかったです。この年末年始では一番、それどころかこれまでテレビで見たライブ映像でも最高レベルです。まずよく雑誌で見ていたザルツブルグ音楽祭らしい斬新でオシャレな舞台デザインです。演出、舞台はこういう面白さが欲しいです。そしてウィーンフィルの美音にネトレプコのヴィオレッタには痺れました。舞台姿も美しく歌も上手いです。ヨーロッパでの人気も分かります。
 これまで椿姫はショルティ指揮、ゲオルギュー、アラーニャの映像を楽しんできましたが、21世紀の決定盤登場です。早くDVDの発売をお願いしたいのと、今後もザルツブルグ音楽祭の映像を放送して欲しいものです。

・アバド/ポリーニ/ルツェルン音楽祭
 ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番、さすがに絶品でした。ただ、この曲は凡庸な演奏でも美しく聞こえる名曲で、オーソドックスな名演奏揃いなのでそれらと比較しても上という印象はありませんでした。
 調べていたら、今年の秋にルツェルン音楽祭の来日公演があるんだそうです。S席45000円です。以前は高すぎることに怒りを覚えたものでしたが、最近はそもそも購入できるものという意識がないので、どうでもよくなりました。アバド、ポリーニ、凄いオーケストラにいくらまでなら出すか。私なら曲目にもよりますが1.5~2万円です。1500円で聴ける新交響楽団の30倍の価値があるとはとても思えません。クラシックのチケットは、バブルの崩壊後、上限はオペラ6万円台で止まっていましたが、景気が回復してきたのですぐに7~8万円なんて数字になるのだと思います。2010年には10万円でしょうか。


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沢木耕太郎「凍」


 世界的なクライマーである山野井泰史・妙子夫婦が挑んだギャチュンカン(7952M)北壁の登攀の様子を沢木耕太郎が描いたノンフィクションです。

 私も学生時代に夏山縦走中心ですが登山の経験があり、山岳関係の知識はある方なのですが、山野井さんの名前を聞くのは初めてでした。現地のシェルパ、ヤク(荷上げに使うヤギのような動物)を含めた大編成のチームを組み、ベースキャンプ、第1キャンプ、第2キャンプと前進しながら、最終的には隊長が指名したアタック隊員だけが登頂を目指すという旧来の方式ではなく、単独あるいは少人数で、ベースキャンプから一気に登頂を目指すアルパイン・スタイルで登頂を目指す。無酸素での短期間登攀なので、基本的にロープを使わずに簡単な確保のみのフリー・クライミング(道具に頼らない両手両足だけでの登攀)です。フリー・クライミングが主流となりつつあるのは何となく知っていたのですが、ヒマラヤをはじめとした8千M級の高座の壁でも実践されているとは知りませんでした。

 ギャチュンカン挑戦までの経緯も紹介されますが、山野井さん夫婦の山、壁、クライミングに対する純粋な気持ち、人柄も伝わってきて心が洗われるようです。

 最後は、垂直に近い2000メートルにも及ぶ壁を登ります。壮絶なドラマです。ルート開拓、技術面での困難、恐怖との闘い、直撃する雪崩、限界を超える寒さ、視力が失われた中での下降、絶壁でのビバーグ。最終的には山野井さんは凍傷で両手と右足の指の多くを失うことになりますが、リハビリを経て、現在も活動を続けられています(ホームページ「山野井通信」ご参照)。

 学生時代、山に憧れるきっかけとなったのは、新田次郎「孤高の人」や植村直己「青春を山に賭けて」などを読んで感動したからですが、これらの名作に並ぶ傑作が登場したと思います。

 沢木耕太郎にとっても久しぶりのいい本です。沢木耕太郎といえば我々の世代には立花隆、村上春樹などと並ぶカリスマの一人です。「一瞬の夏」、「深夜特急」など自分が当事者として登場するノンフィクションを読んで心が熱くなりました。その後はエッセイのような本が多くなりご無沙汰していましたが、山野井夫婦という素晴らしい登山家、人間との出会いがあり、新たなインスピレーションを得たのだと思います。この登攀については山野井氏自身も文章として書かれたり講演会で話されたりしているようなので、沢木耕太郎のオリジナリティという面では劣るかもしれませんが、沢木耕太郎が書かないと我々の眼に触れなかったという面もあるのでこれは素直に評価したいと思います。
 あとがきに「凍(とう)」は「闘(とう)」でもあるとありました。久しぶりに心から感動した作品です。



 最後になりましたが、あけましておめでとうございます。新年が皆さんにとってよい年でありますように。


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