グールド「ブラームス 間奏曲集」


 ジャケットの良さでディスクを選ぶのなら、私はグールドの「ブラームス 間奏曲集」です。アップした写真は全体的に暗くて薄いのですが、実際はもっと濃いセピア色でグールドの顔は薄いオレンジ色くらいです。

 このジャケット写真にぴったりの瞑想的で諦観に溢れた何とも雰囲気のよい音楽、演奏です。聴衆など眼中になく、グールドがただ自分のために自室で演奏しているようです。

 力強く美しい4つの交響曲や協奏曲と異なり、ピアノ音楽ではブラームスの地が生々しく表現されているのか、かなり暗い音楽も含まれています。従って、このディスクを誰にも推薦できる名盤というのは憚られるのですが、1曲目の冒頭を聴くだけでもこのディスクを聴く価値はあると思います。

 今回、改めて聴き直してみましたが、以前は好みではなかった後半の構造がはっきりしない音楽、無機質で現代音楽にも通じるところのあるような音楽、演奏に聴き入ってしまいました。

 こういう再発見も楽しいです。このディスクをLPで購入して初めて聴いてからもう15年以上が経ちます。


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