1962年
「帽子は日本一大きい(39・5インチ)と運動具屋が驚く新調のユニホームに着替えたニューカムはナインと一緒にバスで球場入り。グローブをシリのポケットに突っ込んだニューカムは、ファースト・ミットを持ってまず外野を一周、キャッチボールもやらずに一塁で本多コーチのノックを受けた。そしてナインの注目をあびながら二、三度マスコット・バットを握って打席に立ったが、当たりはにぶく、ややりきみすぎた感じ。バッティング投手をつとめた井の球速に振りおくれて高いフライを打ち上げていた。このあと中堅を守り、与那嶺のノックを受けたが、さすがにボールに対するカンは鋭く、落下地点へ一直線に走る。「まだ疲れがとれずヒザがガクガクする」といっていたが、二度目の打席ではバック・スクリーンと右翼へ二本たたき込んだ。左打席に立って大きく開いた右足をベースに近づけるスタンスで、ステップは小さい。ときどき「いまのはストライクか」と捕手に聞いていたが、低目と内角のカンがまだつかめないようだった。しかし試合終了後、一度切ったライトをまたつけさせてバッティング練習をやるなど意欲的だった。またこの日のゲームについては「非常におもしろかった。ウチは点がとれなかったが、それにしても金田投手のカーブはなかなかよかった。日本の野球をみて大リーグのように経験がないにもかかわらず、非常にハイレベルにあると思った。選手もなかなかよく動く」といっていた。ピッチングは二十日の国鉄戦の試合中からブルペンでやる予定だ。
濃人監督 「一度にピッチングとバッティングをやらせるのは酷だ。ニュークがバッティングでポイントをつかんでから投手の練習をさせる。きょうも合宿で与那嶺と話したが、ニュークはきょうの試合で代打で使うといったらOKというし、一回くらいリリーフさせるよとおどかしてもOKといった。根性があるから本調子になるのも早いだろう」
石本コーチ 「ボールのカンがつかめないようだ。バットの振りはにぶいし、まだからだが重い。しかしフォームができているから一週間もして球に慣れれば期待できる」
ニューカムは大鵬にユニホームを着せたようなからだつきだ。下半身の発達はさすがでボールに対するカンはすばらしいものがある。あと三㌔ていど減量すればベスト・コンディションだそうだが、一か月前から練習していたにしてはまだ動きはにぶい。しかし外野をひとりで走ったり、積極的にノックを受けたりなかなかのファイトがあり、好感がもてた。これは職業意識に徹した大リーガーならではのことだ。ファースト・ミットとグローブを用意してきたのもどこでもやろうという意欲のあらわれとみえる。好投手が好打者の例にもれずニューカムの打撃フォームには欠点がない。脚力があり、オーバー・フェンスを二本も打ったのはりっぱだ。だがまだ疲れが残っているのだろう。腰の切れが悪く内角球のポイントがおくれていた。とくに低目のカンがつかめてないようだ。しかし本調子になればジャスト・ミートしただけでホームランになりそうな感じだった。
「帽子は日本一大きい(39・5インチ)と運動具屋が驚く新調のユニホームに着替えたニューカムはナインと一緒にバスで球場入り。グローブをシリのポケットに突っ込んだニューカムは、ファースト・ミットを持ってまず外野を一周、キャッチボールもやらずに一塁で本多コーチのノックを受けた。そしてナインの注目をあびながら二、三度マスコット・バットを握って打席に立ったが、当たりはにぶく、ややりきみすぎた感じ。バッティング投手をつとめた井の球速に振りおくれて高いフライを打ち上げていた。このあと中堅を守り、与那嶺のノックを受けたが、さすがにボールに対するカンは鋭く、落下地点へ一直線に走る。「まだ疲れがとれずヒザがガクガクする」といっていたが、二度目の打席ではバック・スクリーンと右翼へ二本たたき込んだ。左打席に立って大きく開いた右足をベースに近づけるスタンスで、ステップは小さい。ときどき「いまのはストライクか」と捕手に聞いていたが、低目と内角のカンがまだつかめないようだった。しかし試合終了後、一度切ったライトをまたつけさせてバッティング練習をやるなど意欲的だった。またこの日のゲームについては「非常におもしろかった。ウチは点がとれなかったが、それにしても金田投手のカーブはなかなかよかった。日本の野球をみて大リーグのように経験がないにもかかわらず、非常にハイレベルにあると思った。選手もなかなかよく動く」といっていた。ピッチングは二十日の国鉄戦の試合中からブルペンでやる予定だ。
濃人監督 「一度にピッチングとバッティングをやらせるのは酷だ。ニュークがバッティングでポイントをつかんでから投手の練習をさせる。きょうも合宿で与那嶺と話したが、ニュークはきょうの試合で代打で使うといったらOKというし、一回くらいリリーフさせるよとおどかしてもOKといった。根性があるから本調子になるのも早いだろう」
石本コーチ 「ボールのカンがつかめないようだ。バットの振りはにぶいし、まだからだが重い。しかしフォームができているから一週間もして球に慣れれば期待できる」
ニューカムは大鵬にユニホームを着せたようなからだつきだ。下半身の発達はさすがでボールに対するカンはすばらしいものがある。あと三㌔ていど減量すればベスト・コンディションだそうだが、一か月前から練習していたにしてはまだ動きはにぶい。しかし外野をひとりで走ったり、積極的にノックを受けたりなかなかのファイトがあり、好感がもてた。これは職業意識に徹した大リーガーならではのことだ。ファースト・ミットとグローブを用意してきたのもどこでもやろうという意欲のあらわれとみえる。好投手が好打者の例にもれずニューカムの打撃フォームには欠点がない。脚力があり、オーバー・フェンスを二本も打ったのはりっぱだ。だがまだ疲れが残っているのだろう。腰の切れが悪く内角球のポイントがおくれていた。とくに低目のカンがつかめてないようだ。しかし本調子になればジャスト・ミートしただけでホームランになりそうな感じだった。