1970年
即戦力ということで太田をはずしてまでドラフト一位に指名された上田と七位だった池島。しかし四か月過ぎたいま二人の立場は逆転しつつある。池島は初先発で五回を投げ切り、新人の初白星一番乗りだ。「初登板なのでちょっと一回は堅くなった。二回からなんとか落ちついたが、調子は最低だったんですよ。ツイていただけです」それでも失点はジョーンズの右犠飛で与えた一点だけ。奪三振0が示すように威力はなかったが、明大時代、星野仙(中日)より上と評価された実力をのぞかせた。「昨年暮れ痛めた肩がまだ完全でない。大学時代はストレートを真ん中に投げるだけで押えたこともある。しかしそのころの球威を取り戻していないのでコースをねらった。紅白試合で、プロでも低めに投げておけば通用することがわかっていたからね」その日の調子でピッチングを切り替えるところなどやはりただものではない。「ぼくも肩さえ痛めなかったらすんなり巨人(一昨年の暮れ巨人が指名)入りしていたんだ。いまは騒がれることもなく、自分のピッチングに専念出来るが、その点上田は期待が大きすぎてかわいそうだよ」二人はキャンプでは同室。一つ年上の池島は上田をかばう余裕も見せた。「上田は、野球をやり出してあんなでっかいホームランを打たれたのは初めて」一日の阪急戦(高知)に続いて二度目の登板(初先発)も飾れなかった。「調子は悪くなかった。阪急戦に比べ、ボールも走っていた」調子がよくて打たれただけによけい考え込む。「ジョーンズに打たれたのは内角いっぱいのストレート。切れてファウルになると思ったんだが」いいコースに決まっても球威がなければ打たれる・・。プロのきびしさをまた一つ知らされて「これも勉強です」といった。即戦力と期待され「背番号(16)ぐらいは勝ちたい」とその気になっていたが、いまは一からやり直す気持ちになっている。「まだ自分の力を出し切ってないと思うんです。村山監督からおそわったフォークボールをなんとかものにしてやってみます。打たれてばかりいると、そうそうチャンスも与えてもらえないだろうから、いついまの状態から切り抜けるかが課題です」チームが4連勝といいスタートを切っただけに、よけいにこの若い二人の一本立ちがポイントになるのだが・・・。
即戦力ということで太田をはずしてまでドラフト一位に指名された上田と七位だった池島。しかし四か月過ぎたいま二人の立場は逆転しつつある。池島は初先発で五回を投げ切り、新人の初白星一番乗りだ。「初登板なのでちょっと一回は堅くなった。二回からなんとか落ちついたが、調子は最低だったんですよ。ツイていただけです」それでも失点はジョーンズの右犠飛で与えた一点だけ。奪三振0が示すように威力はなかったが、明大時代、星野仙(中日)より上と評価された実力をのぞかせた。「昨年暮れ痛めた肩がまだ完全でない。大学時代はストレートを真ん中に投げるだけで押えたこともある。しかしそのころの球威を取り戻していないのでコースをねらった。紅白試合で、プロでも低めに投げておけば通用することがわかっていたからね」その日の調子でピッチングを切り替えるところなどやはりただものではない。「ぼくも肩さえ痛めなかったらすんなり巨人(一昨年の暮れ巨人が指名)入りしていたんだ。いまは騒がれることもなく、自分のピッチングに専念出来るが、その点上田は期待が大きすぎてかわいそうだよ」二人はキャンプでは同室。一つ年上の池島は上田をかばう余裕も見せた。「上田は、野球をやり出してあんなでっかいホームランを打たれたのは初めて」一日の阪急戦(高知)に続いて二度目の登板(初先発)も飾れなかった。「調子は悪くなかった。阪急戦に比べ、ボールも走っていた」調子がよくて打たれただけによけい考え込む。「ジョーンズに打たれたのは内角いっぱいのストレート。切れてファウルになると思ったんだが」いいコースに決まっても球威がなければ打たれる・・。プロのきびしさをまた一つ知らされて「これも勉強です」といった。即戦力と期待され「背番号(16)ぐらいは勝ちたい」とその気になっていたが、いまは一からやり直す気持ちになっている。「まだ自分の力を出し切ってないと思うんです。村山監督からおそわったフォークボールをなんとかものにしてやってみます。打たれてばかりいると、そうそうチャンスも与えてもらえないだろうから、いついまの状態から切り抜けるかが課題です」チームが4連勝といいスタートを切っただけに、よけいにこの若い二人の一本立ちがポイントになるのだが・・・。