プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

菱川章

2016-06-16 21:18:51 | 日記
1964年

中日入りが内定していた倉敷工・菱川章外野手(17)=1㍍83、86㌔、右投右打=は、二十一日午前十一時半岡山市上石井の自宅で養父の芳三さん(43)、倉敷工・小沢監督、中日・柴田スカウトらに立ち会ってもらい、中日入りを表明した。中日は近く名古屋の球団事務所で正式発表する。同選手は戦後初の混血児選手で、今夏の選抜甲子園大会に出場、その長打力は各球団から高く評価されていた。通算打率は三割八分。高校球界屈指の好投手といわれる下関商・池永から奪った本塁打をふくめ、ことしは3ホーマーを記録している。夏の大会では岡山県予選二回戦で水島工に敗れた。菱川の争奪戦には中日、南海、阪神、巨人の四球団がしのぎをけずり、一時は南海が有力視された。菱川が鶴岡監督の人柄にほれて「南海入り」を希望したためだが、中日は柴田スカウトが芳三さんにぴったりと食いつき、連日十時間におよぶ説得と契約金の倍増で獲得に成功した。

菱川選手「一、二の球団に関しては直接、間接的に誘いがあった。各スカウトの人と会い、話し合ったが、中日に一番誠意を感じた。ぼくは中日がもっとも働きやすい場所だと思います。目標は江藤さん。退学して入団するか、卒業後中日にお世話になるかはこれから考えるつもりです」

倉敷工・小沢監督「なんのトラブルもなく中日に落ちついたことは監督としても非常にうれしい。自分からも菱川に拍手を送りたい気持ちだ。中日にはいる以上、日本一の選手になってほしい」

中日・柴田スカウト「今春の選抜大会で宣誓する姿を見てこれこそわれわれがさがしもとめている選手だと思った。それからというものは菱川の表情やフォームをじっと見つめてきた。根性のあるプレーはなににもかえがたい魅力だ。十年、二十年にひとり出るか出ないかというすばらしいプレーヤーだ。私は四月十二日に獲得にのり出してから名古屋にはほんの数えるほどしか帰っていない」

養父・芳三氏「一部の新聞ではいろいろととりざたされたが、本人の意思どおり中日にお世話になることにきめた。本人にまかせたことで二重契約といった無責任な事態にならずホッとしている。高校野球が終った十八日から家族たちと慎重に話し合ったうえで、本人の希望を受けいれたわけだ」

吉江代表「ウチにきてくれることになったと、きょう(二十一日)岡山にいる柴田君から報告があった。素質にめぐまれた選手なのでどこまでのびるかたのしみだ。しかしまだ高校生なので来年からすぐ期待してはかわいそうだ。じっくり育てていきたい」
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吉村典男

2016-06-16 20:08:37 | 日記
1968年

巨人が交渉権を得たリッカ―ミシン吉村典男投手(24)=1㍍80、72㌔、右投右打、日大出=の巨人入りが二十七日きまった。同日午前十一時、武宮スカウトが東京・銀座西のリッカ―ミシン本社に吉村投手から交渉を一任されている西牟田球団部長をたずねて五回目の話し合いをした結果、条件などで了解点に達し、午後一時同所で吉村投手と契約した。リッカ―ミシンは、来年創立三十周年を迎え、都市対抗出場を目標にしていた。このため大黒柱である吉村投手のプロ入りには、はじめ難色を示したが、平木社長の了解をとるなど、スジを通した武宮スカウトの交渉が実り、円満に巨人入りとなった。同投手は日大時代、最後の秋のシーズンにエースとして神宮で活躍した。ことしの都市対抗にも出場。下手投げから切れのいいシュートとカーブがプロ野球関係者の間で注目されていた。

吉村投手「会社が許してくれるのならプロにいきたいと思っていた。大好きな巨人にはいれてうれしい。いまは自信と不安が半々といった気持ちです」

武宮スカウト「ウチとしては、ぜひほしい投手なので条件も最高に近いものを出した。巨人には数の少ない下手投げなので貴重な戦力となるだろう。スピードがあり、非常に切れのいい球を投げるので活躍がたのしみだ」

大学時代は、一年後輩の森内(鐘紡)のかげにかくれて、はなばなしい活躍はしていないが、リッカ―ミシンに入社したと聞いたときに、どうしてこんなにいい投手をプロがほうっておくのかと思った。先輩の島津(熊谷組)=完全試合投手=まではいかないが、下手からのボールにはスピードもあり、のびもあって相当威力があると感じていたからだ。当時、何人かのスカウトにも「吉村はよくなるよ」と推薦したようにおぼえている。社会人になってからの吉村は、大学時代よりはスピードが落ちた。しかし、コントロールがよくなり、非常にまとまった投手に成長している。ポンポンと三振をとる力投型ではなく、打たれながらも、なんとか点をとらせないというタイプの投手だ。だからプロへはいっても先発ー完投という投手ではない。タイミングをうまくはずして料理する逃げ込み型である。リリーフなりの働きができるのではないか。後半リードを守って逃げるときにはもってこいで、そういう使い方をされれば10勝、もしくは15勝はできる。芳村の課題は、沈むシュートをおぼえることだ。これまでの吉村は、外角一本のピッチングで幅がなかった。これは、スピードに欠けるため、もし内角に投げて長打をあびてはという気持が頭にあったのではないか。沈むシュートさえマスターすれば左打者もこわくなくなるし、右打者にはふところを攻め、決め球の外角スライダーもますますさえてくる。プロ野球では逃げ一方のピッチングではつかまる可能性が非常に強い。なんとか向かっていくピッチングにするために、沈むシュートをおぼえることだ。これが第一線にでていくいい道だと思う。
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