ドアの向こう

日々のメモ書き 

リズム

2006-05-03 | 向き合う

 介護は間断なくつづく。
 連休の前後はもちろん、休診日も限りを尽くし対応してくれている。ありがたいことに。
 結果として、毎日往診や訪問看護がある。消毒や洗浄、加えて抗生剤の点滴。 術後の状況観察など。 彼女の部屋は、まさに最高の病室となっている。そのうえ家族が常にみつめているのだ。

 訪問時刻は 目安に過ぎない。 道路事情や外来とのかねあいなどある、大幅にずれこむ。 一日中待つことのみ、という日もある。 業者がマットレスの交換にと、それぞれが、いつ見えるか分からないので、他のことが手に付かない。
 おわれば医師を追いかけるようにしてクリニックへ。処方箋を取り6時30分閉店の指定薬局に間に合うように奔る。これは蝦蟇におねがいする。

 輸液のみ1週間ずつまとめて届けられる。 液体が 1・1リットルはいった袋はB4判くらいの大きさ。それが7個である。かならず冷蔵する。この大事な命のもとは、冷蔵庫の野菜室をかなり占領している。

 1日は こうしてはじまる
 6:00 輸液パックを冷蔵庫より出しておく 常温に戻すため
 8:00 水分のバランス 飲み物+点滴=排泄量 記録し 毎日測る 
 8:30 吸い飲みでお茶を飲ませ 栄養剤をすすめるが、この甘い味には飽きて受け付けない。以前は400mlも飲んでくれた。 ゼリーにしてブルベリージャムを添えると、やっと60g食べた。
 10:00~11:00 輸液パック交換 手指を消毒して慎重にやる。手順も慣れてきた
 12:00 好きなものを食べられるだけ 
 15:00 痛み止めを飲ませる
 
 9種類のクスリと鎮痛剤 オブラートに包み飲みやすくしてみた 
  エトセトラ… 寝るまでつづく 小さなしごと 

  10:00~11:00 毎週 火・金曜 訪問看護 
  15:00~18:00 往診 水曜 外来終了後 15:00~18:00の間
  16:00~17:00 毎週 金曜 訪問入浴サービス
 
 食事介助 水分補給 排泄処理 洗濯など。買い物はおおかた蝦蟇に頼むことにして。
昨日は管に気泡がたまってアラームが鳴った。 こうして蛙はまったく家のなかだ。

 たまたま庭へでると 雲の行進や、陽の翳りを追う。 すると心にうかぶ音楽が伴奏をつける。ガーシュインのサマータイムだ。見上げる一角が いつのまにパノラマとなる。 空想映画はつきない、いつまでも飽きずに見入る。 
 それすら眺めることができないひとに、つぶさに報告してみせている。

        -☆-

 5月3日 快晴、なんとすばらしい日射し。 ベッドを少し上げ、ヒンヤリした室内から初夏の陽当たりを見つめている。かつて、そこに立って感じた 暑いくらいの陽の匂いを想像している。薔薇の蕾をかぞえてた。 「紅ばかりだね…」 小さな声がぽつんと言う。
 花の満開を ぜひ一緒に眺めようね。 たくさん花瓶に挿して 目のまえのテーブルで見せてあげるからね。

 閑かだ。何も聞こえない、真空地帯に住むようだ。緑だけが照り返す部屋。まどろみながら、なにを想うのか。 とても知りたい、なにかしゃべってよ。
 自宅介護で一喜一憂した。じぶんの心のなかしか見てなかった。 黙してなお大きな存在が立ちはだかる、人生を教える。

 自分のリズムをつかみたい。取り戻したい。 こんなときにも考える  
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする