朝、問いかけに目をあける 「これ だぁーれ?」 「a… s… ko…」
夢うつつなのだろう なにが 欲しい?
「美味しいお茶と…」 「…桃と…… 」 昼頃より 応答なし
きのうは 「いっぱい世話になったね… よくやってくれた…」 そう言った。 はっきり聞こえた。 それから
あえぐように かすれる声で 「あのね… …。。。。。」 「。。。。」 よくわからない。
「何か仰ってますね」 看護師が言う。 耳を近づけてみても聞き取れなかった。 聞きとれないが口を動かし、 確かに喋っている。
口腔を、 湿ったガーゼで拭いた。 しばらく口から摂っていない。 まえに飲んだ顆粒状の薬が舌にはりついたままだ。
ごめんね、 おかあさん あーん して… 口をもぐもぐさせている
お茶を飲むつもりだ 点滴だけで喉が渇いたのね
なにもあげられなくて ごめんね
とても とても 悲しかった