ドアの向こう

日々のメモ書き 

露天風呂

2006-05-05 | 向き合う

 先週につづいて 2度目の訪問入浴。 元気のいいトリオはユーモアをかかさない。 看護師と介助のふたり うちひとりは男性。 
 スタッフのきびきびした連携で 苦痛もなく安心して入浴を愉しめる。

 「いつかこうなる… 見ておきなさい…」 母は帰ろうとする孫を、ひきとめた。
 おばあちゃんが恥ずかしいんじゃない と遠慮するが それは杞憂だと気づく。

 部屋には防水シートが敷かれ 2つになった深いボートのような浴槽を組み立てる。 車には大型の瞬間湯沸かし器があり 湯は玄関からホースを伝い、 部屋のボートに勢いよく流れこんだ。 と同時に 太い管を通して風呂場へ排水され、 あたらしい湯が追加される。 

 看護師が健康チェックをし、 点滴など付けたまま、 2枚のバスタオルでサンドイッチになった患者は、 3人がかりで湯船に仕掛けてあるネット上に運ばれ、 そのまま横たわる。 ネットは温水面すれすれに上下でき、 頭部や足許を傾けたり、 ジャッキを使って角度の微調整をする。

 「ああ、気持ちがいい…」 シャワーにない心地よさ。 お風呂の習慣は どんなときも無くせない。 「よかった よかった!」と唱和がつづく。 明るい声掛け、ジョークをなんども聞いた。 
 「喜んでいただけて良かったです。 そう言っていただくのが一番うれしいですよ  きょうは、お庭の花を眺めながら 露天風呂ですね…」   プロは手際がいい。 
 聞けば 起業は26年前、 県下初の認可をうけたらしい。 よりよいケア、無駄のない動き、研究され尽くしている。 家族も 納得して安心する。

 お湯につかるのは洗髪をふくめ正味10分あまり。 入浴前後に血圧や体温をはかり 着替えや爪切り 髪の手入れ、 かたづけまで入れると滞在は1時間ほどになる。

 男性から「お試しに いかがですか?」 と誘われ困惑気味の甥も、すっきりした祖母のようすをとても喜んでいる。 帰ったらみんなに報告してね

 家で介護する意義は大きい。 第一 病人が安心する。 子や孫にも人の終末を、介護を実感させたい。 そこから命の重さや尊さを感じとって欲しい。
 蛙と弟、 蝦蟇のせつなるねがいだ。

 

 

コメント
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