そら ね ごらん
むかふに霧にぬれてゐる
蕈キノコのかたちのちいさな林があるだらう
あすこのとこへ
わたしのかんがへが
ずゐぶんはやく流れて行って
みんな
溶け込んでゐるのだよ
ここいらはふきの花でいっぱいだ
林と思想 宮沢賢治
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枯れ草の匂いを嗅いで 長い一本道を通った
見たばかりの 草の名を考えながら
蔦が絡んだ太い幹に 陽が当たると葉が透けてみえた
奥にも光りがさして 藪柑子の実を赤々と照らしだす
後ろの さびしい翳の色 あれは 何色だったか
ところどころ柔らかな緑が萌え
エノコログサが毛並みをそろえている
淡い あたたかな色彩だ