21日。 お墓参り
ここの時間は いつもゆったり流れる。 母によく似た伯母は白髪を光らせ、 見晴らしの良い部屋で元気にしていた。 ともに暮らした月日を思う。 祖父や祖母の顔。 事業に明け暮れた伯父。 柔和な写真が呼びかける。
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樹齢600年の松は ほとんど空洞、 皮だけで生きているそうだ。
樹医の手当を受け、 勢いを取り戻したようにみえる。 はじめは黒松と五葉、 二本だったのが長い間にもとのほうで、 くっついて仕舞った。 二本は互いを労り抱きあうようにしている。 根方に茣蓙を敷いて遊んだこともある。 記念写真は、 かならず松もいっしょに収まった。
遙かな時の流れ… 家族の出入りをずっと見つめてきた黒松と五葉。 年輪を重ね風格を増している。 幹は、檜のポールをあてがわれ、いくつもの柱を添えられてなんだか痛々しい。 それでもなおよく見れば、 年月の味を加え堂々としている。 緑もすがすがしい。 大樹に畏れをなして、 蛙も無意識に頭をさげている。
いつのころか、 伊奈の領主が立ち寄った折、 枝振りを眺め、ちょうど鶴が羽根を広げたようだ と讃えられた。 そう碑文にはあるらしい。 詳細を解いてみたいが、 読めない漢字ばかりである。 ところどころ風化もしている。
蓮の実を拾い、 タニシを集め、 ザリガニや鯰を捕まえた河や田圃は鼻の先。 何処までも見渡せたのだが。 現在は、 2㎞ほど向こうに レイクタウンができている。 すでに新駅も開業し、 ショッピングモール、 マンションまで建設中である。
見守ってくれた黒松も、 おじいちゃんも さぞかし… 全くもって
どんなにか驚いていることだろう。
サンシュユ 花大根 水仙 木蓮が盛りだった。
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