公園を通ると根元にりっぱな莢が落ちていた。 これがサイカチか…
種は見あたらないが 多分そうだろうと思う
… 火星が出てゐる
木枯らしが皀角子(サイカチ)の實をからから鳴らす。
犬がさかって狂奔する。
落葉をふんで
薮を出れば
崖。
高村光太郎 火星が出てゐる より抜粋
木枯らしが厳しい、 サイカチの実も寒さに震える。
いつのまに黄なる火となりちりにけむ青さいかちの小さき葉のゆめ
北原白秋 「桐の花」
小さき葉の夢、 白秋の感傷…
また いただいた詩には
田中冬二 「秋の夜」
もう うすさむいし
・
・
莢の木のあたり 女の咳がきこえる
障子をあけてみれば
誰のかげもなく
ひっそりとして
巻煙草をつつむうすいぎん紙のような
秋の夜が ひろびろとねてゐる
さいかちという音が詩心を起こさせるのかもしれません。
風に吹かれて莢がカチカチ擦れ合う光景もなぜか懐かしい と ルピナスさんちで京さんが。
残りの莢は 梢でカラカラと鳴っているだろうか
見あげてみても蛙の耳まで届かなかった。
青いサイカチ