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薫籠カオリカゴ 薬玉クスダマ かごの中に匂い袋みっつ。 清々しい香りが風に乗る。 こころを和らげ 暑さを忘れます。
友の贈り物は、 すてきに響きあったあの方を思い出させます。
皆人の花や蝶やといそぐ日もわが心をば君ぞ知りける
端午の節句、 皇后様の姫君や若宮にたいそう綺麗な薬玉が進上されましたが、 ご気分のすぐれない皇后に清少納言は、 胃にやさしいあをざし(青稜子)に心をこめて 「馬が柵越しにやっとの思いで畑の麦を喰むように わずかでも召し上がって下さい。 お身体が保ちませんよ」と、 ご覧にいれました。
すると皇后様は、 感謝を込めて (あをざしをのせて)硯箱の蓋に敷いてあった青い薄様の、鳥の子紙をちぎって 「私の気持ちをよくわかっておくれだったねえ」と お書き遊ばした、なんともすばらしい
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「三条の宮におはしますころ、五日の菖蒲の輿コシなど持てまゐり、薬玉まゐらせなどす。 若き人々御匣殿ミクシゲドノなど、薬玉して姫宮、若宮につけたてまつらせたまふ。いとをかしき薬玉ども、ほかよりまゐらせたるに、青ざしといふ物を持て来たるを、青き薄様ウスヤウを艶なる硯の蓋に敷きて、(清少)「これ、籬マセ越しにさぶらふ」とて、まゐらせたれば、
(宮)「皆人の花や蝶やといそぐ日もわが心をば君ぞ知りける」
この紙の端を引き破ヤらせたまひて書かせたまへる、いとめでたし。
枕草子二二五段
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友は想像力ゆたか、 いつもこまやかな気遣いをくれる。 蛙もこころだけはたっぷりお返ししたい。 ひびきあう快さ、いつまでもつづけたい。
お盆のおやすみと、 あわせてパソコン交換のため、 すこし長いおやすみをします。 薫りにのせて ここでお会いするしあわせを こころから感謝いたします。
参考資料 枕草子解環 萩谷 朴 著 ・ 新版 枕草子 石田穣二 訳注