想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

信じるということ

2009-01-22 00:33:50 | Weblog

   信じてください。
   信じています。

   そんな言葉を交わしたことが、一度ならずあったと思う。
   あったと思うなどと、他人事のような言い草をしているが、
   このところ、言わないからである。

   不信のとき、だからなのではない。
   むしろ、逆かもしれない。
   信じることで生きていられるのだと思うから。

   しかし、信じるという言葉は不思議な、ビミョウな、落とし穴のある言葉だ。
   信じると口にしたとたんに、ガラガラと音をたてて崩れる気がする。
   口の端に上せてはならず、腹の奥底に秘めて大事に守るべき言葉ではないか、
   そしてそれは誰のためでもなく、己のために。

   信じる、まことするのは、誰か?
   己がか、それとも対象がか? 
   前者ならば秘めておくこと、後者にならばなおさらに控えるべきである。
   「あなたを信じている」はすなわち「あなたは真実、間違いがないと思う」と
   言うことである。良いことだと思って口にされるのだが‥‥

   言えば泡のように消える。
   信、それは心そのものであり、また行いそのものであり、
   その究極のありようをさした言葉だからではないだろうか。



   約束をしない恋人を、むしろ誠実なのかもしれないと思いなおした日、
   そのときから少しずつ愛に近づけるように、
   形にしないこと、ならないことのなかに、ほんとうがある。
   それを見、感じる心眼。

   虚しさを知ると、口数が減り、その分、愛は深まる。
   
コメント
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