長い尾をぴくぴくさせて、うっすらレモン色のおなか、黒い羽の
鶺鴒君が庭のマンサクや山しゅうに止まり、チチチチと鳴いて春、
春、春、と呼んでいる。
本日、久しぶりの暖かな晴天である。やー春だーと思っていた矢先、
北へ引っ越して震えがってつけたつぼみも花も縮めてしょんぼりして
いた植木がさぞや喜ぶだろうと、いちいち挨拶してまわった。
ようこそ、ようこそ、といまさらながらだが家主なので機嫌をとって
まわらねばならない。
地について咲いてくれますように。
本日はどうだんつつじの大木を植え込む作業で、昼飯にお好み焼きを
作ろうと思って仕度していたが、台所から外が気になってしかたがない。
鶺鴒が飛び交う影が窓越しにささっと映る、何度も飛び交う。
軒下に巣をかけるのかしら、今年もあそこに居つくのかしら、と、
どうも集中できん。
この感じ、悪くないなあ。
芽吹き命が始動する森、そわそわと喜ばしい気配が漂っているのである。