心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

2025年 お正月

2025-01-03 11:29:52 | Weblog

 時計の針が右に1秒動いた途端に2025年という新しい年を迎えましたが、さて何がどう変わったのか右往左往しているうちに、我が家では総勢14名で元旦の朝を迎えました。
 6人の孫たちにお年玉を渡してお雑煮を食べた後、近所のお不動さんに初詣に出かけました。時間帯が良かったのか比較的スムーズに拝殿まで辿り着けましたが、その行列に行儀よく並んでいたとき、なんと禿頭のど真ん中に鳩の糞が落ちてきました😱。この1年の運(糞)が付いたのだろうと受け止めてはみたものの、さあてどうなんでしょうね(笑)。
 恒例の御神籤は「中吉」と出ました。第四十三番「誠」。「どんな人生になるかは 誰にもわからない どんな人生にするかは あなただけが分る 誠の心を持って生きよ 嘘や上辺の言葉は 自分自身も裏切る」と記されていました。この歳になると、なんとなく納得してしまいます。 境内に張り出されていた運勢表をみると、金曜星(五黄)「末吉」とあります。「何事にも障りある難しい年だが、信心あれば情熱と努力で福大いに来る」。続いて「7・8・9・10月は近親関係に注意する事」と意味深な詞も。ケセラセラ(なるようになるさ)とお気軽に生きて行くか否か(笑)。
 ところで、この年末年始には子や孫が全員集合しました。小さなお家が壊れそうな騒々しさでしたが、私自身が大家族の中で育ちましたので、今年も何事もなく新年を迎えることができたことに感謝です。来年から大学受験生が現れるので、こんな大騒ぎも今年が最後かもしれません。
 きょう最後の来客を送り出し、ふだんの静けさを取り戻した我が家です。来週から「たにまち能」「神経内科検診」「謡曲同好会新年会」「脳ドック」と続きます。月末には中之島の懐徳堂古典講座(「象徴劇としての能『杜若』」全3回+大槻能楽堂)が始まります。
 そう言えば、年末にヤフオクに入札していた観世流改訂謡本45冊まとめ売りを落札しました。どうやら今年は、お能を親しむ1年になりそうです。
 
〈補足〉
 トップに掲げた写真は巳年に因んで白蛇さんにご登場いただきました。昨日、関東組の孫たちを連れて行った神戸ポートミュージアム「átoa(アトア)」で撮りました。アクアリウムを核に舞台美術やデジタルアートが融合する劇場型アクアリウムをコンセプトとする見応えのある水族館でした。

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年の瀬あれこれ +α

2024-12-27 19:54:20 | Weblog

 須賀敦子は「ユルスナールの靴」のプロローグで、「きっちり足にあった靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ」と言います。「森の生活」を著したヘンリー・ソローは「歩く」の中で、「私は人生において”歩く”とか”散歩”の術を理解している人にはほんのひとりかふたりしか出会ったことがありません。こういう人はいわばさすらうsauntering才能をもっているのでした」と記しました。・・・なにやら小難しい書き出しになってしまいましたが、私の好きな言葉です。
 ゴルフもランニングもしないしジムにも通わない私が、唯一こだわっているのは「歩く」ことです。数年前に四国八十八カ所を歩いたのもその流れです。そんな私は今も、用事のない日には朝と夕に歩きます。四季折々の街の空気を肌で感じながら、歩くという全身運動から脳みそに心地よい刺激を得て心身ともにリフレッシュします。
 今朝も2時間ほど歩いてきました。途中、お不動さんに立ち寄るのが日課ですが、境内では迎春の準備が着々と進んでいました。本堂、奥の院、大師堂を巡ったあと、毎日コースを変えて街を徘徊します(笑)。
 夕方は別のルートで1時間ほど歩きます。今日のようにお天気が良いと、高台から遠くに夕暮れどきの大阪市内を一望することができます。冬至を過ぎてこれから少しずつ昼の時間が長くなっていきます。
 ところで先日、庭師さんにやっと庭木の剪定をしていただきました。若い庭師さんですが、丁寧な仕事ぶりが気に入っていて、毎年お願いしています。剪定作業のときに収穫してもらったジャンボレモンの実が7個。いつもはレモン風呂になりますが、今回はあまりにも良い実なので、砂糖漬けにしました。細かく切って瓶に入れてお砂糖を加えてしばらくすると、瓶の底にレモン汁が溜まります。さっそくホットレモンを作ったら、とても美味しく心身ともにシャキッとしました。この冬は風邪やインフルエンザなど感染症に心配しなくて良いかもしれません。 
 剪定作業が進んでいる間、熱帯魚のお住まいを掃除しました。水槽の主はジャンボプレコさんです。15年ほど前に「水槽の掃除屋さん」として売られていた時は5㎝ほどの大きさでした。今ではなんと30センチです。時間が来ると餌のおねだりをするほど慣れています。2匹のグラミーと仲良く暮らしています。
 先週末の土曜日には、京都の東寺で開かれた弘法市に行ってきました。「終い弘法」とあって大勢の人で賑わっていました。骨董品や陶器、植木、お花、お正月準備の店などを見て回りましたが、寒い中あっつあつでアンコがいっぱい入った鯛焼きが美味しかったです。
 今週の水曜日、大阪天満宮の終天神(しまいてんじん)の日には、天神橋筋商店街にある寄席「繁昌亭」に行ってきました。鼎談「宗教学と落語」(釈徹宗×高島幸次×桂春若)、そして5人の落語家さんのお話しを聞いて今年の笑い納めです。テレビでも時々取り上げられる中村屋のコロッケを頬張り(なんと外国人が列をなしていました。どこで知るのでしょうね)、夕食は「お好み焼き」がメインと、こてこての大阪文化を楽しみました。

 こうして2024年という年は淡々と幕を閉じようとしています。昨日は終日家にいて、家内が買い替えたパソコンのセッティングのお手伝い。プリンターの機種が違っていたためインクの無駄が多かったのですが、今回から私専有のプリンターを共有するWi-Fi設定も無事終わりました。気分を良くしたところで、お正月用に島根県の老舗酒屋に初しぼりの新酒「七冠馬」を注文しました。この日本酒はことし6月、母の50回忌で帰省した際に寄り道した中国山地の山奥にある小さな温泉宿「たなべ」でいただいたものです。そして最後に、年明けに受診する健康診断(脳ドック+癌検診+聴覚検査)を申し込みました(笑)。
・・・そうこうするうちに、ふだん静かな我が家に子や孫を含めて14人が集います。

◇  ◇  ◇

 さて、ブログ「心の風景」も、きょうが年内最後の更新になります。この1年、この拙いブログにお越しいただきました皆様には心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。どうぞ良いお年をお迎えください。 

◇  ◇  ◇


<番外編>
窮地のJR木次線、出雲坂根に漫画で力を!木次線応援コミックス制作へ
https://readyfor.jp/projects/sakanecomic

 「木次線の未来 漫画で照らす~編集者・江上英樹さんら制作へCF募る」。12月の半ば、デジタル朝日新聞島根県版にこんな記事が載っていました。利用者の低迷で廃線が取り沙汰されているJR木次線(島根県松江市~広島県庄原市)にスポットを当てたクラウドファンディング(目標額300万円)です。
 今夏、JR西日本の山陰支社長が、スイッチバックを含む出雲横田駅から備後落合駅の間の在り方を議論する場が必要と述べたことから現実味を帯びてきました。標高564mの出雲坂根駅から標高724mの三井野原駅に向かう急こう配を三段式でジグザクに登っていくスイッチバック線の停留場・出雲坂根駅をテーマに、漫画をつくって存続の機運を高めようという取組みです。私も小学校の遠足で乗ったことがあります。数年前にも帰省の折に遠回りをして乗りました。上の写真はそのときに撮ったものです。しかし、そこには少子高齢化のしわ寄せがじわじわと迫る悲しい現実があります。
 キックオフして10日あまりで目標額の50%に達する勢いです。私もわずかながら支援をさせていただきました。なんとか目標額を達成してほしいと願いながら、新しい年を迎えます。

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私の10大ニュース/2024年

2024-12-20 11:02:04 | Weblog

  きのうおとといと忘年会が続きました。きのうはお昼に絵画部の忘年会という名のランチ会が、同志社大学寒梅館7階のフレンチレストランWillであり、薄っすら雪化粧の比叡山を眺めながら楽しい時間を過ごしました。その帰りに河原町三条の和洋古書籍「キクオ書店」さんに寄り道して、謡本「二人静」を手に京阪電車三条駅に向かって歩いていると、三条大橋の向こうに大きな虹を見つけました。来年は何か良いことがありそうな予感がします(笑)。
 おとといの夜は、大阪駅からひと駅目、福島駅界隈の聖天通商店街にあるイタリアンのお店で、現役時代の異業種交流仲間と半年ぶりの再会でした。遅くまで親交を温めました。
    その商店街の入り口に「売れても占い商店街」という横幕がありました。知る人ぞ知る易相の大家「水野南北」(1760~1837年)が活躍した占いの街のようで、毎月第四金曜日は「売れても売れても占いデー」と題して占い師30名が通りにずらりと出店するそうな。
    また、小さな聖天通劇場もありました。劇場支配人の永井秀樹さんは、劇団青年団(主宰・平田オリザ)で俳優として活動するかたわら、劇団「東京タンバリン」で20年以上制作の仕事にかかわったほか、演劇を使ったコミュニケーションワークショップファシリテーターとしてもご活躍とか。こうした街の活力が大阪らしいなあとカメラに収めました。

◇   ◇   ◇

 さてさて余談はこれぐらいにして、恒例の「私の10大ニュース」に移ります。この1年を振り返ってみると、ボランティアとは言えのめり込み過ぎていたNPOを引退して京都に軸足を移したのが、やはり私にとってはひとつの変化だったかも知れません。同時に、リュウマチ性多発筋痛症なる病名もいただきましたが、これからも体調に配慮しながら悠々自適のシニア生活を楽しみたいと思っています。

【1位】いきいきシニア〜軸足を京都に
 現役をリタイアして今夏8年が経過しました。その間、在阪のシニア向け生涯学習講座に通い、いつの間にか運営する側(NPO)にボランティアとして携わるようになって6年が過ぎたのを機に、今秋から学生時代を過ごした京都に軸足を移し、お絵描き中心の楽しい受講生生活を始めました。立ち位置が変わると、こうも楽しいものかと思う今日この頃です。

【2位】リュウマチ性多発筋痛症
 この秋のこと。朝、目が覚めて起き上がろうとしたら、全身に痛みと痺れを感じ力が入りません。神経内科で精密検査をした結果、リュウマチ性多発筋痛症と診断されました。ステロイド系の薬による投薬治療が始まり、今はなんとか痛みが収まりつつありますが、未だ指先に力が入りません。原因不明のこの病、みぢかなシニアの間でも数例ありました。やはり歳でしょうか。

【3位】地中海クルーズ&国内旅行
 コロナ禍後初めての海外旅行は5月末の地中海クルーズでした。クルーズは初体験でしたが、バルセロナ、ニース、フィレンツェ、サンジミニャーノ、ローマを楽しく巡りました。イタリアは3回目、今回が最後かも。国内では、3月に鳥羽・浦村の民宿で海鮮牡蠣料理を堪能、6月には母の50回忌で島根に帰省、10月には北海道、11月には孫娘の誕生日に横浜にも行ってきました。

【4位】水彩画を楽しむ
 この歳になると、手を使って何かを「創る」ことに興味を覚えます。水彩画もそのひとつです。これまでも水彩画教室に通っていましたが、忙しさにかまけて中途半端になっていました。そんなわけで心機一転、今秋から京都で水彩画を学び直しです。下の絵は北海道の「青い池」のライトアップ、右はジャカランダの花が美しかったバルセロナの風景。先生からはいろいろ課題もいただいています。


【5位】謡曲を楽しむ〜74歳の手習い
 今秋から軸足を京都に移し、シニア講座を受講していますが、課外で謡曲同好会に入りました。ただいま「巴」をお稽古中です。お能の世界に関心をもったのは、多田富雄、鶴見和子、白洲正子の著書の影響です。リタイア後あしげく能楽堂に通っています。いま安田登の集中講義「平家物語」(別冊NHK100分で名著)に目を通しています。

【6位】須賀敦子、再読
 年初に、反政府武装組織の商船攻撃の影響で、欧州とアジアを結ぶスエズ運河を通航する船が激減しているというニュースがありました。そのテレビ画面にイタリア北東部の港湾都市トリエステの港が映っていました...。須賀敦子著「トリエステの坂道」。久しぶりに須賀敦子全集を再読しました。5月には、バルセロナに向かう機上から、眠たい目をこすりながらトリエステの街を眺めました。

【7位】オンライン講座で認知症予防
 様々な大学が提供しているオンライン講座があります。この秋久しぶりにgaccoオンライン講座「静物画のスペクタクル」(無料)を受講しました。各回ごとに簡単な小テスト、全講座を受講後には最終レポートが課せられ、得点率60%以上で修了です。脳ミソに心地よい刺激を受けます。知識欲ではなく認知症予防対策の一環です(笑)。引き続き「自己理解のための心理学」を受講中です。

【8位】同窓会のお世話役
 数年前から大学の同窓会のお世話役を仰せつかっています。会員の高齢化と共に参加者は減っていきますが、今秋も開催しました。お元気な80代半ばの先輩女性の方からは、逆に私が元気をいただきました。後日お届けした会報(実施報告)には全国の会員の皆さんから御礼の電話、メール、お手紙が届きました。

【9位】デジタル終活
 今年の目標のひとつに掲げていた「デジタル終活」。思い切ってエンディングノートの簡易ソフトを導入しました。銀行口座やサブスク契約、各種IDとパスワードなどの各種データの入力をほぼ終え、外付けHDに保存しました。取りあえずの第一関門を突破です。ただ、ネット社会はどんどん進化しています。シニアにとっては、そのたびに深みに足を引っ張られそうな心配もないではありません。
【10位】孫の成長
 高校2年生を筆頭に下は5歳まで6人の孫がいます。年齢差に関係なく孫同志の連携は強く、見ていて楽しいものです。5歳の孫娘は補助輪なしで自転車に乗ることができるようになりました。近所に暮らす小6の孫君が時々「オレオレ」と電話してきます。爺さん婆さんが詐欺に引っかからないかチェックしていると言います(笑)。この年末年始はふだん静かな我が家が戦場と化します。

◇   ◇   ◇

 ざっとこんな1年間を過ごしてきました。先日、京都府立植物園の見学講座(全6回)の受講を申し込みました。まだ結果は出ていませんが、来年は人との触れ合いに加えて自然との触れ合いも大事にしたいと思っています。
 そうこうするうちに今年もあと10日あまり。明日は、お天気がよければ、京都・東寺の弘法市(終い弘法)を覗いてきます。夕刻には近所に暮らす長女一家と食事会。週明けに最後の忘年会をこなしたあと、半ばに天神橋筋商店街にある繁昌亭の天神寄席12月席「釈徹宗セレクト落語会~仏教を知ってもっと落語を楽しもう!」(ナカノシマ大学協賛)をもって、年内に予定していたお出かけはすべて終わります。

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20年を迎える「心の風景」

2024-12-13 15:01:34 | Weblog

 日々の慌しさの中で、ふっと我に帰る瞬間があります。誰かが目に見えない力で私にブレーキをかけようとしている。そんな瞬間を、私は大事にしています。
 何かの本で、人間は独りで「生きている」のではなく「生かされている」のだという話を読んだことがあります。少なくとも社会の動きと乖離して生きていくことはできません。時間と空間の座標軸の中で、自身の存在を見定めることの大切さを学びました。「風景」という言葉を好んで使うのも、そのためです。何千年という歴史を越えて、いま目の前に広がる「風景」の中に、私が生かされているという「事実」を素直に受け止めたいと思っています。
 私は時々、都会の喧騒を離れて、小さな山小屋で過ごすことがあります。職場で管理職然としている私と、静かな森の中で樹木の下草を刈る私。超整理手帳を片手に仕事に励む私と、ゆったりと流れる雲を眺めて一日を過ごす私。そのはざまで思う心の葛藤...。何故そんなに急ぐのか、なぜ成長なのか、なぜ発展なのか、なぜ革新なのか。根源的な問いかけを避け、前のめりになって走っていく自分の姿が見えてきます。これでよいか。(「心の風景」オープン! 2004年12月30日)

 この年末、ブログ「心の風景」は公開して20年になります。50代半ばの頃、ワンマンなトップが急逝し、その後、経営陣の一画に座することになった時期でした。立ち位置になんとなく戸惑いがあったのかもしれません。
 ともあれ、20年間、他愛ないことを週一のペースで綴ってきました。何のために、誰れに、何を伝えようとしているのか。いえいえ、ひょっとしたら、もう一人の「私」と向き合っているに過ぎないのかもしれません。
 貴重なお時間を割いてご覧いただいた方々には、なんともご迷惑なことだろうとは思いつつ、それでもなお性懲りもなく綴っているあたりは、私の拙さなんでしょう。きっと(笑)。

 先日、京都大学で開催された人と社会の未来研究院(旧「こころの未来研究センター」)の上廣倫理財団寄附研究部門第3期研究報告会を覗いてきました。
 別に私が京都大学に席を置いていたわけでもアカデミックな世界に生きて来た訳でもありません。たまたま、10数年前に経済団体の研究例会で、ブータン国立研究所長ダショー・カルマ・ウラ氏の講演「国民総幸福度(GNH)によるブータンの国づくり」を聴く機会があり、その通訳を担当したのが当時こころの未来研究センター准教授の内田由紀子先生(社会心理学&文化心理学)でした。
 少し現実離れした世界を彷徨ってみたかったからでしょうか。通訳を介した2時間に及ぶ講演は、その頃モヤモヤしていた私の理解不能な曖昧さに一筋の光を当てるものでした。当日のブログにはこう記されています。
「足ることを知る」。私の生き方とは正反対の生活が、そこにはあります。単調ではあっても自然の空気が充満した国土、私たちはそんな人の生き方を忘れ、右往左往している。様々な人為的行為が専門分化してしまい方向音痴に陥っている。それを誰でも判りやすい「幸福度」という視点から見渡そうとするおおらかな価値観。「長寿とはただ漫然と齢を重ねることではない。活力をもって、なによりも楽しむ。常に自分自身に問いかけること.......。」そんなお話しに頷くばかりでした。(「ブータン王国と幸福度」2013年11月24日)
 以後、京都大学こころの未来研究センター(現「人と社会の未来研究院」)の研究報告会には、一般市民の立場で聴講させていただきました。その間、先生方の何人かは退官され、現在は内田先生が研究院長をお務めになっています。紙と鉛筆をもってブータン仏教の原典を研究しているとお話しになっていた助教の熊谷誠慈先生も、今は研究領域を広げ教授として研究院の一翼を担っています。アカデミックの世界にも、その世界なりの人の成長と深化があることを思いました。

 この日注目したのは、広井良典先生の「商店街の復権〜歩いて楽しめるコミュニティ空間」でした。アメリカ生まれのショッピング「モール」が、日本の「商店街」を弱体化させている現状の中で、ヨーロッパの商店街に「ウォーカブル・シティ」(歩いて楽しめるまち)を見い出した先生は、イチ(市)・マチ(街)・マツリ(祭)を軸に、いま、商店街の復権に幅広に取り組んでいます。
 商店街については、私も若い頃、地元の商店街組合とのコラボで、その活性化のお手伝いをしたことがありますから、他人事ではありません。数年前、四国八十八カ所を歩いたとき、多くの商店街がひっそりとしたシャッター通りになっていたことに、ある種文明的な怖ささえ感じたものでした。
 この日もいろんな報告の中に、Well-being(幸福)という言葉が登場していました。目先の経済的価値ではなく、新しい視点から国の在り様を見つめる。まさにパラダイムシフトをめざす若い先生方の取り組みに大いなる期待を寄せて、小雨舞う夕暮れどきの京都を後にしました。

◇   ◇   ◇

 ブログ公開20年を前に、少しばかり気取って綴ってしまいました(笑)。この辺りで少し肩の力を抜きます.....。
 おととい、謡曲の仲間たち(男女10名)の忘年会がありました。場所は京都市内ではなく、湖西線で45分あまり、近江今津にある創業三百年の鴨鍋「丁子屋」さんです。幹事さんの話しでは、かつては関西経済を牽引する方々の隠家的な存在だったよう。部屋には、生前懇意にしていただいた京阪電車の佐藤茂雄さんの色紙と新聞記事が飾ってありました。「各所より 飛来する我ら 鴨鍋族」と記されていました。佐藤さんらしい楽しい言葉でした。
 実は、この近江今津駅からバスで20分ほどのところ、山頂にスキー場がある函館山の麓に、(今は朽ち果てていますが)山小屋がありました。「心の風景」オープニング記事で触れた山小屋です。
 その函館山を背にした琵琶湖河畔の丁子屋さんで、地元の新酒「蔵人」をいただきながら、地元特産の太いネギをふんだんに入れた鴨鍋や琵琶湖で獲れた鯉、鰻、モロコ、小鮎などを肴に、新しい仲間たちと楽しいひと時を過ごしました。もちろん宴の終わりには、みんなで謡曲「熊野」の一節を謳います。
 この地からは、遠く対岸に奥琵琶湖の長浜や彦根、米原、さらには伊吹山をのぞむことができます。宴のあと、琵琶湖就航の歌資料館や今津ヴォーリス資料館などを見て回り、帰途につきました。

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老いる楽しさとデジタル終活

2024-12-06 14:22:06 | Weblog

 歳をとっても師走を迎えるとなんとなく慌ただしさを感じる今日この頃です。お買い物がてら自転車に乗って近くのコーナンに行く途中、2年前まで田圃だったところにススキが繁茂し、その穂が白く陽に輝いている風景に出会いました。都会地にあってほっとする晩秋の風景でした。
 京都御所では、イチョウやモミジなど紅葉が見ごろを迎えています。広い御苑ですから観光地と化した神社仏閣とは異なり観光客もまばら。しばしシニア仲間たちとのんびり散策を楽しみました。 この日は午前中、「百済王らは朕の外戚なり~桓武天皇の母」と題する古代史の授業を受けたあと、午後からは水彩画に取り組みました。先日歩いた難波橋(ライオン橋)から中之島公園を望む風景を描きました。これから色を置いていきます。
 お絵描きが終わると、次は謡曲同好会です。観世流能楽師の先生のご指導を得て、「巴」のクライマックスとも言うべき、巴越前の霊が木曽義仲の武功と最期を演じる場面を皆で力強く謡いました。

 能楽と言えば、先日、山本能楽堂の能楽体験講座「能活」を覗いてきました。義経の愛妾として知られる静御前の亡霊が登場する能「二人静」がテーマでした。静の霊と、静の霊が憑いた菜摘女という、静御前を二人の役者が演じる「相舞」です。謡いを交えてわかりやすく説明していただきましたので、この「二人静」を来年1月の「たにまち能」で鑑賞の予定です。
 ところで、能楽堂の帰りに天満橋のジュンク堂書店に立ち寄った際、月刊誌「中央公論」12月に出会いました。今号の特集は「孤老時代をどう生きるか」。前文には「高齢単身者が増加し、うまく老いることが難しい時代。孤独に打ち克ち、明るく生きていくヒントを探る」とあります。
 有識者のレポートはさておき、作家・黒井千次さんの「老いは大変だけれど面白い」と、ノンフィクション作家・久田恵さんの「カギは自立して自分流を貫くこと」に、まず目を通しました。お二人の現在進行形の生き仕方に共感を覚えました。
 ジャーナリスト・田原総一郎さんと三女の和田眞理さんのインタビュー記事「90歳になっても現役、親子円満なワケ」も、「朝まで生テレビ」に登場する田原さんとは異なる一面が出ていて、ついつい読んでしまいました。
 なんと、頁を捲っていくと、現役時代にセミナーや著書「知識創造の経営」などでずいぶんお世話になった経営学者・野中郁次郎先生(89歳)に久しぶりにお目にかかりました。お題は「54歳差、大家と俊英の異色対談~今こそ、日本的経営の復権を!」です。知識創造を育む組織のイノベーションプロセス「SEKIモデル」。分析ではなく、まずは現場の共感から始まる...。先生のお元気なお話しに改めて勇気をいただきます。

ここでやっと第二のテーマに入ります(笑)..........。

 朝日新聞の「くらし」の頁に、時々、デジタル終活に関する記事が掲載されています。「家族悩ますデジタル遺品。スマホもネット銀行もパスワードが…」「ネット銀行口座やサブスク契約。デジタル遺品で遺族が困らない対策は」「ネット上に資産、デジタル終活を」など。
 デジタル終活は、私が年初に掲げた旗印のひとつでしたが、実際のところはクレジットカードを少し整理しただけで中断したままでしたので、思い切ってエンディングノートの簡易ソフトを使うことにしました。先日やっと銀行口座やサブスク契約、各種IDとパスワードなどの入力を終え、外付けハードディスクに保存しました。
 このソフトの良い点は、本人が設定したパスワードで入る方法とは別に、家族が別の方法で本人確認をして閲覧モードで確認できるように設定されていることでした。あとは、パソコンを開くパスワードを老夫婦で共有できていれば問題ありません。この種のセキュリティ管理はいくらでも抜け道があるでしょうから完璧とは言えませんが、とりあえず第一関門を通過したことになります。

 さあて、今年も残すところ3週間あまり。この年末年始も我が家は家族14名が大集合します。そろそろ年末の大掃除の計画を立てなければ...。今朝、庭師さんに庭木のお手入れをお願いしました。あとは老夫婦でやるしかありません。何かが大きく変わるわけではないけれど、新しい年を迎えるひとつの節目です。

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74歳の手習い~謡曲編~

2024-11-29 20:09:42 | Weblog

 旧暦「朔風払葉」。朔風とは北風のことを言い、「北風が木の葉を吹き払う」の意。最近、庭の落葉をお掃除するのが日課になりました。
 そんなある日の夕方、お掃除が終わったあとの宙ぶらりんな時間に、ふとLPレコードを聴きたくなって取り出したのは、珍しく交響曲、ベートヴェンの第6番「田園」でした。それもフルトヴェングラーが指揮するウィーンフィルの演奏、もちろんMONOです。いや、MONOだからでしょうか。第6の音楽風景がす~っと部屋中に広がります。それは、音響技術を駆使した高音質のきらびやかさではなく、1952年録音の素朴な音の世界でした。温故知新(ふるきをたずねて新しきを知る)。
 古きを訪ねると言えば、謡曲を習い始めて1カ月が経ちます。ただいま、その仕組みをお勉強中です。先輩は練習をしていけばそのうちに分って来ると言いますが、私の性格でしょうか。ついつい謡本独特の文字、発音記号、拍子などに関心が向いてしまいます。
 藤波紫雪著「お謡ひ稽古の手引き」(檜書店)を眺めながら、はたまたYouTubeで観世流能楽師の松野浩行さんのmatsu-noh on timeを見ながら、七五調の十二文字を八個の拍子に配当して謡う平ノリ拍子などを学びます。でも、なかなか難解ではあります(笑)。
 それに、デジタル文字に慣れきっている私にとって、観世流の古活字、光悦流の書体は馴染みにくいところがあります。古風な書体に馴染もうと、きょうは府立中之島図書館で「初級・古文書講座」を受講してきました。興味本位の私とは違い、江戸時代の古文書をもとに難解なくずし字を読み解きながら大阪の歴史を振り返る方々の真剣さに驚きもしました。
 穏やかな晩秋の昼下がり、堂島川と土佐堀川に囲まれた中之島公園を、ひと駅前の北浜駅で下車し歩いて中之島図書館に向かいました。都会の真ん中に広がる市民の憩いの場ですが、なんとも気持ち良いものでした。
 開花期を終わろうとしているバラ園では、「マリリン・モンロー」が咲いていました。

 話は変わりますが、先日、同窓会の会報を送ったところ、全国から多くのお礼メール、お電話、お手紙をいただきました。
 同窓会でお会いした80代半ばの白髪の先輩女性からはLINEが届きました。若い!!。同じく80代半ばの、今回参加が適わなかった鹿児島の男性からは「朗報!これを肴に今夜の晩酌が待ち遠しい」とのメッセージも。世話役を仰せつかっている者として感無量。こんなに嬉しいことはありません。
 さてさて、2024年という年もあと僅か。いま、忘年会の日程調整が佳境を迎えています。今年は京都2回、大阪1回。現役時代の異業種交流仲間と1回+α。何回、年を忘れたら済むんでしょうね。いえいえ、新しい年を待ち望む「年会」だと思えば、これまた楽しいものです(笑)。
 ただ、リュウマチ性多発筋痛症が完治したわけではありません。投薬治療で痛みはほぼ治まりましたが、今週からはステロイド系の薬の副作用(骨粗鬆症と感染症)を予防するための投薬が始まりました。今年の「年会」は、お酒はほどほどに、懇親を深めることに主眼を置くつもりです。

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老いても「学び」~オンライン講座で認知症退治!

2024-11-14 20:14:07 | Weblog

 立冬を挟んで、楓蔦黄 (もみじつたきばむ)→山茶始開 (つばきはじめてひらく)→地始凍 (ちはじめてこおる)→金盞香 (きんせんかさく)と続き、旧暦ではいよいよ冬到来となるところですが、今年は何か変。11月も半ばだというのに、今日も京都は暖かい1日でした。
 お庭では、レモンの実がやっと色づき始めました。地植えしてずいぶん経ちます。最初の頃はふつうのレモンの実がなっていたのに、年を追うごとに大きくなり、これはひょっとして接ぎ木(台木)の先祖返りかと。ネットで調べてみるとジャンボレモンのようでした。
 さて、秋を迎えたホームカミングデーの日に、大学の同窓会を開きました。どのグループも参加者は高齢者が目立ちますが、回を重ねるごとに先輩たちの姿が減るのは寂しくもあります。
 そんななか、80半ばにしてなお元気な白髪の先輩女性の生き方に惹かれました。半年前に病気をされて参加が危ぶまれていたのですが、お元気にお出ましでした。終始にこやかなでウイットに富んだお話しが場を盛り上げます。呑み会にまでお付き合いをいただきました。今もマンドリン相手に楽しい老後をお過ごしのようでした。
 一方で、認知症のため常連の何人かの参加が適いませんでした。世話役の中心的存在だった先輩、学生時代に赤い帽子を被って走りまわっていた先輩、同じ職場で働き山歩きが大好きだった先輩.....。改めてシニアの「健康」を考えました。
 現在、会員の近況報告を冊子にまとめる作業をしていますが、文字から透けて見える先輩方の人生への思いをひしひしと感じる毎日が続いています。
 健康と言えば、先日、神経内科の診断で私の病名がほぼ確定しました。やはりリュウマチ性多発筋痛症でした。先月から両肩・両腕の痛み、しびれが続いていましたが、投薬治療が始まりステロイド系の薬を飲んだところ、翌日から改善の兆し。あまりの効果に「薬の怖さ」を思ったりもしました。医者の話しでは、薬の副作用が懸念されるため、改善状況を見ながら量を減らしていくのだそうです。

◇  ◇  ◇

 さてさて、ここでやっと本題に入ります(笑)。いろいろ健康に気を配る年代になった私が最近、認知症対策の一環として受講しているオンライン講座についてお話ししたいと思います。
 先日終わったのは、gaccoオンライン講座「静物画のスペクタル~レンブラントとフェルメールを中心に観察者・物質性・脱領域を考える」(東北大学で学ぶ高度教養シリーズ)です。受講料は無料。
1週目:些細なものに神を感じる~「静物画」の誕生
2週目:美的テクノロジー ~「画家・版画家」レンブラントの芸術的な挑戦 
3週目:「黒」の美学~レンブラントと〈アジア〉
4週目:陶磁器の白い輝き――フェルメールからモンドリアンへ
 空き時間を利用してパソコンに向かい講義を受けます。授業は各週8回程度に細分化されていて(1回あたり10分程度)、週当たり80分ほどの授業になります。講義の内容についてディスカッションする場もあります。
 各回ごとに簡単な小テスト、4週全講座を受講後には最終レポートが課せられます。おもしろいのは、最終レポートのうち文章回答については私以外の3名の受講生(匿名)の評価が加味されることです。私も他の受講生5名(匿名)の文章を拝見して評価します。こうして全講座の成績が60%以上あれば「修了証書」がいただける仕組みです。
 シニア向け市民講座のように、ただ漫然と聴くのではなく、緊張感をもって能動的に講義に向き合います。ボ~と聴き流していたら途中で文脈が分からなくなってしまいます。これが私の認知症対策です(笑)。
 今回も最初は戸惑いましたが何とか修了することができました。次回は12月4日開講の「自己理解の心理学」(東北大学で学ぶ高度教養シリーズ)を受講の予定です。

第1回京都高瀬川アートフェスティバル

※明日、横浜に出かけますので、ひと足早くブログを更新しました。絵画教室の仲間が出展した作品が東京都知事賞を受賞したというので、上野の東京都立美術館に寄って行きます。ついでに国立西洋美術館の「モネ展」も。呑気なシニアの「秋」はまだまだ続きます。

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呑気なシニアの「秋」

2024-11-08 13:23:38 | Weblog

 近畿地方で木枯らし1号が吹いた昨日、京都御苑の近くを歩いていると、いちょう並木の幹下にたくさんの実(銀杏)が落ちていました。最近では持ち帰る人もいないようで、無残にも踏みつぶされています。でも、ある人が話していました。京都大学構内の銀杏を拾い下処理をして受験間近い孫に渡すのだと。「落ちた実」ではなく「落ちた実を拾う」の意味なんだそうです。何とも意味深いことか。
 先日、カナダはトロントにお住まいの畑中さんから久しぶりにメールをいただきました。カナダと言えば7年前のこの時期に「紅葉のカナダ・アメリカ」ツアーに参加したことがありました。関空からバンクーバー経由でトロント着。ナイアガラの滝を見た後、ローレンシャン高原(山頂はあいにくの小雨模様でした)の紅葉を楽しみました。その後、モントリオール、ケベックを巡り、カナダの清々しい空気感が印象に残っています。
 その後、ボストン、ニューヨークを巡りましたが、ニューヨークの雑然とした街の風景に何となく居心地の悪さを感じました。そんなアメリカでは、次期大統領にトランプ氏が返り咲いたとか。日本では大騒ぎになりそうな口汚い差別発言やパワハラ発言を繰り返した候補が当選するとは、何たる皮肉なことか。
 昨日、京都の講座でジャーナリスト・足立真理さんから「世界の分断リスクと日本の情勢」と題するお話しを伺いました。ポピュリズムが世界を揺るがす混迷の時代。専制主義が広がりつつある中、完全な民主主義といえる国は196カ国のうち24カ国に過ぎず、世界人口の3割に満たないとか。
 戦後教育の中で私たちが学んできた「民主主義」とはいったい何だったのか。「グローバル化」と「自国第一主義」、そしてSDGs(持続可能な開発目標)........。先行き不透明感が漂うなかで、
それらにとってかわる新たな指針が求められているのかどうか。改めて問いかけられているような気がいたします。
 気分を変えましょう。先日、シニア仲間たち14名(男性は4名)が集いました。8年前に出会った講座の受講生仲間たちで、年数回の会合をもっていて、いつも全員参加が自慢です。今回は会員のご自宅に集まり、真っ昼間からビールやワインで大賑わい。その後は、元小学校の先生をしていたという方の企画で、カードゲームや黒髭危機一髪ゲームに興じ、後期高齢者にして童心に帰ったひと時でした。たまには小難しいことは横に置いて、ひたすら「遊ぶ」ことに集中することが健康寿命を伸ばすひとつの方法かもしれません。
 昨日は昨日で、京都講座で水彩画の時間に先生から葉っぱの描き方や水彩絵の具の使い方についていろいろ課題をいただきました。その後の謡曲同好会では観世流能楽師の先生から謡いの手ほどきを受けました。まだよちよち歩きですが、終了後、ケーキ屋さんで反省会という名のお茶会を開いて帰りました。大阪でも京都でもシニアの皆さんは元気です。
 そうそう。愛読している新潮社WEBマガジン「考える人」に、先月から恐山の禅僧・南直哉さんの連載記事「答えなんか言えません」が始まっています。第1回「仕方がないんだ。人生は」、第2回「悩み方が分からない若者たち」。ついつい読んでしまいます。ちなみに、前回の連載はその後、新潮新書「苦しくて切ないすべての人たちへ~生きているだけで大仕事」として出版されています。 さあて、週明けに神経内科の再診が待っています。ここで病名が確定すれば、いよいよステロイド系の投薬治療が始まります。その後週末には5歳の誕生日を迎える孫娘のお祝いに、横浜にちょっくら出かけてきます。

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タブレットと遊ぶ ~ デジタル版新聞の楽しみ方

2024-11-01 15:54:43 | Weblog

 ひと雨ごとに寒くなっていく今日この頃、プランターで栽培している野菜たちはすくすくと育っています。
 かく言う私は、原因不明の両肩&両腕の痛みを引きずっています。神経内科で精密検査をしてもらったところ、精緻な分析結果は出ていませんが、リウマチ性多発筋痛症の疑いありとのこと。今月半ばから投薬治療が始まります。1、2年かかりそうです。当分病院通いが続きます。
 ところで、最近、自宅でのパソコンの利用が、精緻なデータ処理からネット閲覧、ブログ更新、メールの送受信など軽いものにシフトしています。
ならばと、タブレットを新調しました(11インチ)。スマホより画面は大きく持ち運びも便利。文字も拡大表示できます。なによりも裃をつけないでソファーに座って気楽に操作できるのが良い。
 初めてネットの世界に足を踏み入れたのは30年近く前のことです。当時はADSL形式で電話回線とパソコンをLANケーブルで繋いでいましたが、今では家中にWi-Fiが張り巡らされどこにいても簡単に繋がります。ブログを見たり、YouTubeを見たり、電子書籍を読んだり。
 タブレットを新調したのを機会に、購読中の朝日新聞デジタル版を、記事を読むだけの「スタンダードコース」(月額1,980円)から新聞紙面も見ることができる「プレミアムコース」(月額3,800円)に変更しました。
 数年前に新聞の宅配を止めてデジタル版に移行していますが、加齢と共に難儀なことに気づいたんです。社会に張り巡らす私自身のアンテナ感度が落ちてきたことです。興味本位にその日の記事を断片的に眺めることはできても、時代の大きな流れ(ダイナミズム)の中で自らの関心事を再定義する視点が弱まっています。
 歳をとれば仕方ないことですが、新聞紙面に掲載されている様々な記事を視覚的に鳥瞰することで、読みたい記事を大きな時代の流れの中で問い直すことができます。書評もそう。新聞広告だってひとつの世相を反映しています。新聞との向き合い方の原点回帰です。
 今回初めて気づいたんですが、読みたい記事に「音声読み上げ」機能がついていることにも驚きでした。AIによる機械音声ですが、シニアにとって文字を追うことに疲れたときは便利です。
 月刊誌「Newton」の第一特集記事を見ることもできます。今月号のテーマは「不死のサイエンス~老化にいどむ最先端研究と未来の人体」でした。不老不死に向けて様々な研究開発が進めれている現状が紹介されていて興味津々です。
 別に朝日新聞の宣伝をしているわけではありません。各社ともいろいろ創意工夫を凝らしています。超高齢社会を迎えて、新聞各社の購読者サービスに変化の兆しを感じます。

◇    ◇    ◇

 明日から雨が降りそうなので、今日は午前中に京都・知恩寺の「秋の古本まつり」を覗いてきました。(いえいえ、この時間、もう降り出しています。)
 連れて帰ったのはお能の謡読本「巴」「西行桜」「土蜘蛛」(3冊で500円なり)。他に山折哲雄対話集「こころの旅」(990円)と鶴見和子&頼富本宏「曼荼羅の思想」(500円)。
   そのうち能「巴」の謡本は、来週の謡曲同好会で使うテキストです。文字だけ追っても臨場感がないので、タブレットで能「巴」のYouTubeを見ながら台本を追います。
 墨で書かれた謡の台本。タブレットの画面に広がる能舞台。新旧取り合わせて新しい世界が広がります。

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金木犀香る秋に「いのちの能/水の輪」を楽しむ。

2024-10-18 14:54:52 | Weblog

 第五十一候「蟋蟀在戸」(きりぎりすとにあり).....。戸口で秋の虫が鳴き始める時季になりました。お庭に金木犀の香が薄っすらと漂ってくるなか、バッタさん夫婦がやって来て、冬支度でしょうか、プランターに植えつけたばかりのロマネスコ(カリフラワー)の葉っぱを美味しそうに食べています。そんな秋の到来を肌で感じながら、ゆったりまったりの一日を過ごしています。

 先週に続いて今週も、まずはお不動さんの話題から.....。5年前から建替えが進んでいた山門がやっと完成し、先日その落成法要がありました。施工は神社仏閣建築を手掛ける世界最古の企業、金剛組(578年創業)です。屋根を覆う銅板を寄進したこともあって参列させていただきましたが、四国八十八カ所の札所にも劣らぬ立派な山門のお披露目でした。
 お寺繋がりの話題になりますが、先日、小学校がお休みの孫次男君を連れて東福寺塔頭・勝林寺に坐禅体験に行きました。塾通いとピアノの練習、ゲーム遊びに忙しい彼も、その日ばかりは神妙な面持ちで、僧侶が近づいてくると自ら手をあわせ、警策という木の棒で両肩を叩いてもらっていました。
 お寺繋がりでもうひとつ。日本最古の大寺・四天王寺「秋の大古本祭り」にも行ってきました。ドナルド・キーンの「能・文楽・歌舞伎」、思想読本「西行」のほか園芸関係の本を何冊か連れて帰りました。秋を迎え、昨日から大阪天満宮で、月末には京都・知恩寺でも秋の古本まつり~古本供養と青空古本市が始まります。

 ここでやっと本題に入ります。先日の日曜日、大阪市中央公会堂前の屋外で演じられた山本能楽堂「いのちの能/水の輪」を観劇してきました。この新作能は観世流能楽師・山本章弘さんの作で、「水都大阪2009」で初演以来、国内外で演じられ、私はこれまで2回山本能楽堂の舞台で鑑賞しています。(屋外であっても公演中の写真撮影禁止のため舞台風景のみ掲載します)

 聞けば、来年6月18日、大阪・関西万博EXPOホールでの公演が決まっていて、「2000人の”水の輪”」と銘打って、二千人の観客がうたう謡いに合わせて舞うのだとか。なんだかグスタフ・マーラーの千人の交響曲のようです。万博に向けて年明けから山本能楽堂で「謡」のワークショップが予定されているのを知り、さっそく申し込みました。もちろん初体験です。

 そんななか、昨日は、絵画教室の作品展準備のため京都に行ってきました。帰りに初秋の空気感漂う鴨川べりを丸太町から三条まで歩きましたが、途中、鴨川の淵を覗くとたくさんの魚たちが元気よく泳いでいました。アユ?オイカワ?都会の真ん中を流れる鴨川の水の美しさを思いました。この水が淀川に合流し大阪湾に注ぐことになります。ふっと「いのちの能/水の輪」のお能を思い出しました。
 作品展の方は受講して未だ日が浅いので、今回はとりあえず最近描いたものの中から1枚を選んで出展しましたが、教室の皆さんの力作ぶりには驚きましたし、今後の励みにもなりました。
 そんな折、先生から「月末に5、6人で信州に一泊二日の写生旅行に出かけますが一緒に行きませんか」と笑顔のお誘いをいただきました。北海道旅行から帰った直後の日程なので今回はお断りしましたが、次回から仲間入りすることにしました。それまでにもう少し上達しておかねばと気持ちを新たにした次第です(笑)。

【添書き】
今日のブログ更新は、久しぶりにレコード棚から松下真一作曲「交響幻想曲〈淀川〉」(朝比奈隆指揮/大フィル)を取り出して聴きながらまとめました。第一楽章は、安曇川、姉川、野洲川など琵琶湖に注ぐ淀川の源流。第二楽章は淀川のもうひとつの源流である鴨川、桂川。第三楽章はさらにもうひとつの源流である木津川。第四楽章<フィナーレ>は淀川によって育まれた世界都市・大大阪の輝かしい未来への賛歌で構成されています。1975年、大阪青年会議所創立25周年を記念して箕面市民会館で録音されたレコードです。これを私は日本橋の中古レコード店でずいぶん前に見つけました。別に、2004年秋、河川環境管理財団の河川整備基金の助成を受けた大学コンソーシアム大阪音楽祭でライブ録音されたCDもあります。こちらは酒井睦雄指揮、相愛オーケストラの演奏です。いずれも合唱は大学グリークラブ、混声合唱団等が歌っています。

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