ここ大阪は今週、雪こそ降らなかったものの寒い日が続きました。この季節を旧暦では「水沢腹堅」(さわみずこおりつめる)と言い、沢に氷が厚く張りつめる季節を言います。そういえば長い間、軒下にぶら下がっている長くて太い氷柱(つらら)を見たことがありません。
そんななか、お天気に恵まれた月曜日、天王寺の一心寺にお参りに行った帰りに、四天王寺の骨董市を覗いてきました。特段にお目当てがあったわけではないのですが、ガラクタから陶器やグラス、絵画や人形などのお店が並んでいます。店の前でしばし立ち止まって品定めをしますが、別に値のはる逸品を探しているわけではありません。生活感溢れる品々を眺めながら、古き良き時代の風景を思い浮かべます。この日は、お茶碗やお皿など数点を買い求めましたが、行くたびに買って帰っては収納棚が窮屈になります。老夫婦だけなので、日替わりでいろんな器を楽しむのが日課になっています。
先週は久しぶりに大阪市中央公会堂に行く機会もありました。ネオルネッサンス様式の美しい外観、いつ訪れても心温まる内部の意匠と空気感が気に入っています。原案は岡田信一郎、実施設計は辰野金吾・片岡安とされ、岩本栄之助の寄附をもとに建築された大阪が誇る大正建築の代表作です。
週末の今日はシニア仲間11名と兵庫県赤穂市に行ってきました。JR坂越駅前からバスに乗って10分足らずのところにある牡蠣小屋「くいどうらく」がお目当てです。開店前に大勢の客が並ぶ人気店で、美味しい牡蠣料理を存分に堪能しました。
帰りは坂越湾の風景を眺めながら歩いて駅に向かいました。途中、歴史的な面影を残す坂越のまちなみを散策しました。案内地図には「日本遺産『荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落』坂越」とあります。「ゆっくり、ゆっくり歩けば静かなたたずまいの中にあたたかい人のぬくもりも感じられることでしょう」と記されていました。ちょうど1年ほど前に読んだ玉岡かおる著「帆神~北前船を馳せた男・工楽松右衛門~」を思い出したものです。
こういう街並みを後世に伝えていくのも大変です。この日は地元の高校生たちが法被を着て街のガイド役を務めていました。郷土愛を胸に元気いっぱいお話ししてくれる姿を頼もしく思いました。
「温故知新」という言葉があります。「ふるきをたずねて新しきを知る」の意。昔の物事を研究し吟味して、そこから新しい知識や見解を得ることを言います。さてさて、こうしてのんびり過ごした1週間でしたが、もたもたしている間に時間はどんどん走り去っていきます。さあて、残された人生、どう過ごそうかと思案中です。