心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

年の瀬あれこれ +α

2024-12-27 19:54:20 | Weblog

 須賀敦子は「ユルスナールの靴」のプロローグで、「きっちり足にあった靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ」と言います。「森の生活」を著したヘンリー・ソローは「歩く」の中で、「私は人生において”歩く”とか”散歩”の術を理解している人にはほんのひとりかふたりしか出会ったことがありません。こういう人はいわばさすらうsauntering才能をもっているのでした」と記しました。・・・なにやら小難しい書き出しになってしまいましたが、私の好きな言葉です。
 ゴルフもランニングもしないしジムにも通わない私が、唯一こだわっているのは「歩く」ことです。数年前に四国八十八カ所を歩いたのもその流れです。そんな私は今も、用事のない日には朝と夕に歩きます。四季折々の街の空気を肌で感じながら、歩くという全身運動から脳みそに心地よい刺激を得て心身ともにリフレッシュします。
 今朝も2時間ほど歩いてきました。途中、お不動さんに立ち寄るのが日課ですが、境内では迎春の準備が着々と進んでいました。本堂、奥の院、大師堂を巡ったあと、毎日コースを変えて街を徘徊します(笑)。
 夕方は別のルートで1時間ほど歩きます。今日のようにお天気が良いと、高台から遠くに夕暮れどきの大阪市内を一望することができます。冬至を過ぎてこれから少しずつ昼の時間が長くなっていきます。
 ところで先日、庭師さんにやっと庭木の剪定をしていただきました。若い庭師さんですが、丁寧な仕事ぶりが気に入っていて、毎年お願いしています。剪定作業のときに収穫してもらったジャンボレモンの実が7個。いつもはレモン風呂になりますが、今回はあまりにも良い実なので、砂糖漬けにしました。細かく切って瓶に入れてお砂糖を加えてしばらくすると、瓶の底にレモン汁が溜まります。さっそくホットレモンを作ったら、とても美味しく心身ともにシャキッとしました。この冬は風邪やインフルエンザなど感染症に心配しなくて良いかもしれません。 
 剪定作業が進んでいる間、熱帯魚のお住まいを掃除しました。水槽の主はジャンボプレコさんです。15年ほど前に「水槽の掃除屋さん」として売られていた時は5㎝ほどの大きさでした。今ではなんと30センチです。時間が来ると餌のおねだりをするほど慣れています。2匹のグラミーと仲良く暮らしています。
 先週末の土曜日には、京都の東寺で開かれた弘法市に行ってきました。「終い弘法」とあって大勢の人で賑わっていました。骨董品や陶器、植木、お花、お正月準備の店などを見て回りましたが、寒い中あっつあつでアンコがいっぱい入った鯛焼きが美味しかったです。
 今週の水曜日、大阪天満宮の終天神(しまいてんじん)の日には、天神橋筋商店街にある寄席「繁昌亭」に行ってきました。鼎談「宗教学と落語」(釈徹宗×高島幸次×桂春若)、そして5人の落語家さんのお話しを聞いて今年の笑い納めです。テレビでも時々取り上げられる中村屋のコロッケを頬張り(なんと外国人が列をなしていました。どこで知るのでしょうね)、夕食は「お好み焼き」がメインと、こてこての大阪文化を楽しみました。

 こうして2024年という年は淡々と幕を閉じようとしています。昨日は終日家にいて、家内が買い替えたパソコンのセッティングのお手伝い。プリンターの機種が違っていたためインクの無駄が多かったのですが、今回から私専有のプリンターを共有するWi-Fi設定も無事終わりました。気分を良くしたところで、お正月用に島根県の老舗酒屋に初しぼりの新酒「七冠馬」を注文しました。この日本酒はことし6月、母の50回忌で帰省した際に寄り道した中国山地の山奥にある小さな温泉宿「たなべ」でいただいたものです。そして最後に、年明けに受診する健康診断(脳ドック+癌検診+聴覚検査)を申し込みました(笑)。
・・・そうこうするうちに、ふだん静かな我が家に子や孫を含めて14人が集います。

◇  ◇  ◇

 さて、ブログ「心の風景」も、きょうが年内最後の更新になります。この1年、この拙いブログにお越しいただきました皆様には心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。どうぞ良いお年をお迎えください。 

◇  ◇  ◇


<番外編>
窮地のJR木次線、出雲坂根に漫画で力を!木次線応援コミックス制作へ
https://readyfor.jp/projects/sakanecomic

 「木次線の未来 漫画で照らす~編集者・江上英樹さんら制作へCF募る」。12月の半ば、デジタル朝日新聞島根県版にこんな記事が載っていました。利用者の低迷で廃線が取り沙汰されているJR木次線(島根県松江市~広島県庄原市)にスポットを当てたクラウドファンディング(目標額300万円)です。
 今夏、JR西日本の山陰支社長が、スイッチバックを含む出雲横田駅から備後落合駅の間の在り方を議論する場が必要と述べたことから現実味を帯びてきました。標高564mの出雲坂根駅から標高724mの三井野原駅に向かう急こう配を三段式でジグザクに登っていくスイッチバック線の停留場・出雲坂根駅をテーマに、漫画をつくって存続の機運を高めようという取組みです。私も小学校の遠足で乗ったことがあります。数年前にも帰省の折に遠回りをして乗りました。上の写真はそのときに撮ったものです。しかし、そこには少子高齢化のしわ寄せがじわじわと迫る悲しい現実があります。
 キックオフして10日あまりで目標額の50%に達する勢いです。私もわずかながら支援をさせていただきました。なんとか目標額を達成してほしいと願いながら、新しい年を迎えます。

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私の10大ニュース/2024年

2024-12-20 11:02:04 | Weblog

  きのうおとといと忘年会が続きました。きのうはお昼に絵画部の忘年会という名のランチ会が、同志社大学寒梅館7階のフレンチレストランWillであり、薄っすら雪化粧の比叡山を眺めながら楽しい時間を過ごしました。その帰りに河原町三条の和洋古書籍「キクオ書店」さんに寄り道して、謡本「二人静」を手に京阪電車三条駅に向かって歩いていると、三条大橋の向こうに大きな虹を見つけました。来年は何か良いことがありそうな予感がします(笑)。
 おとといの夜は、大阪駅からひと駅目、福島駅界隈の聖天通商店街にあるイタリアンのお店で、現役時代の異業種交流仲間と半年ぶりの再会でした。遅くまで親交を温めました。
    その商店街の入り口に「売れても占い商店街」という横幕がありました。知る人ぞ知る易相の大家「水野南北」(1760~1837年)が活躍した占いの街のようで、毎月第四金曜日は「売れても売れても占いデー」と題して占い師30名が通りにずらりと出店するそうな。
    また、小さな聖天通劇場もありました。劇場支配人の永井秀樹さんは、劇団青年団(主宰・平田オリザ)で俳優として活動するかたわら、劇団「東京タンバリン」で20年以上制作の仕事にかかわったほか、演劇を使ったコミュニケーションワークショップファシリテーターとしてもご活躍とか。こうした街の活力が大阪らしいなあとカメラに収めました。

◇   ◇   ◇

 さてさて余談はこれぐらいにして、恒例の「私の10大ニュース」に移ります。この1年を振り返ってみると、ボランティアとは言えのめり込み過ぎていたNPOを引退して京都に軸足を移したのが、やはり私にとってはひとつの変化だったかも知れません。同時に、リュウマチ性多発筋痛症なる病名もいただきましたが、これからも体調に配慮しながら悠々自適のシニア生活を楽しみたいと思っています。

【1位】いきいきシニア〜軸足を京都に
 現役をリタイアして今夏8年が経過しました。その間、在阪のシニア向け生涯学習講座に通い、いつの間にか運営する側(NPO)にボランティアとして携わるようになって6年が過ぎたのを機に、今秋から学生時代を過ごした京都に軸足を移し、お絵描き中心の楽しい受講生生活を始めました。立ち位置が変わると、こうも楽しいものかと思う今日この頃です。

【2位】リュウマチ性多発筋痛症
 この秋のこと。朝、目が覚めて起き上がろうとしたら、全身に痛みと痺れを感じ力が入りません。神経内科で精密検査をした結果、リュウマチ性多発筋痛症と診断されました。ステロイド系の薬による投薬治療が始まり、今はなんとか痛みが収まりつつありますが、未だ指先に力が入りません。原因不明のこの病、みぢかなシニアの間でも数例ありました。やはり歳でしょうか。

【3位】地中海クルーズ&国内旅行
 コロナ禍後初めての海外旅行は5月末の地中海クルーズでした。クルーズは初体験でしたが、バルセロナ、ニース、フィレンツェ、サンジミニャーノ、ローマを楽しく巡りました。イタリアは3回目、今回が最後かも。国内では、3月に鳥羽・浦村の民宿で海鮮牡蠣料理を堪能、6月には母の50回忌で島根に帰省、10月には北海道、11月には孫娘の誕生日に横浜にも行ってきました。

【4位】水彩画を楽しむ
 この歳になると、手を使って何かを「創る」ことに興味を覚えます。水彩画もそのひとつです。これまでも水彩画教室に通っていましたが、忙しさにかまけて中途半端になっていました。そんなわけで心機一転、今秋から京都で水彩画を学び直しです。下の絵は北海道の「青い池」のライトアップ、右はジャカランダの花が美しかったバルセロナの風景。先生からはいろいろ課題もいただいています。


【5位】謡曲を楽しむ〜74歳の手習い
 今秋から軸足を京都に移し、シニア講座を受講していますが、課外で謡曲同好会に入りました。ただいま「巴」をお稽古中です。お能の世界に関心をもったのは、多田富雄、鶴見和子、白洲正子の著書の影響です。リタイア後あしげく能楽堂に通っています。いま安田登の集中講義「平家物語」(別冊NHK100分で名著)に目を通しています。

【6位】須賀敦子、再読
 年初に、反政府武装組織の商船攻撃の影響で、欧州とアジアを結ぶスエズ運河を通航する船が激減しているというニュースがありました。そのテレビ画面にイタリア北東部の港湾都市トリエステの港が映っていました...。須賀敦子著「トリエステの坂道」。久しぶりに須賀敦子全集を再読しました。5月には、バルセロナに向かう機上から、眠たい目をこすりながらトリエステの街を眺めました。

【7位】オンライン講座で認知症予防
 様々な大学が提供しているオンライン講座があります。この秋久しぶりにgaccoオンライン講座「静物画のスペクタクル」(無料)を受講しました。各回ごとに簡単な小テスト、全講座を受講後には最終レポートが課せられ、得点率60%以上で修了です。脳ミソに心地よい刺激を受けます。知識欲ではなく認知症予防対策の一環です(笑)。引き続き「自己理解のための心理学」を受講中です。

【8位】同窓会のお世話役
 数年前から大学の同窓会のお世話役を仰せつかっています。会員の高齢化と共に参加者は減っていきますが、今秋も開催しました。お元気な80代半ばの先輩女性の方からは、逆に私が元気をいただきました。後日お届けした会報(実施報告)には全国の会員の皆さんから御礼の電話、メール、お手紙が届きました。

【9位】デジタル終活
 今年の目標のひとつに掲げていた「デジタル終活」。思い切ってエンディングノートの簡易ソフトを導入しました。銀行口座やサブスク契約、各種IDとパスワードなどの各種データの入力をほぼ終え、外付けHDに保存しました。取りあえずの第一関門を突破です。ただ、ネット社会はどんどん進化しています。シニアにとっては、そのたびに深みに足を引っ張られそうな心配もないではありません。
【10位】孫の成長
 高校2年生を筆頭に下は5歳まで6人の孫がいます。年齢差に関係なく孫同志の連携は強く、見ていて楽しいものです。5歳の孫娘は補助輪なしで自転車に乗ることができるようになりました。近所に暮らす小6の孫君が時々「オレオレ」と電話してきます。爺さん婆さんが詐欺に引っかからないかチェックしていると言います(笑)。この年末年始はふだん静かな我が家が戦場と化します。

◇   ◇   ◇

 ざっとこんな1年間を過ごしてきました。先日、京都府立植物園の見学講座(全6回)の受講を申し込みました。まだ結果は出ていませんが、来年は人との触れ合いに加えて自然との触れ合いも大事にしたいと思っています。
 そうこうするうちに今年もあと10日あまり。明日は、お天気がよければ、京都・東寺の弘法市(終い弘法)を覗いてきます。夕刻には近所に暮らす長女一家と食事会。週明けに最後の忘年会をこなしたあと、半ばに天神橋筋商店街にある繁昌亭の天神寄席12月席「釈徹宗セレクト落語会~仏教を知ってもっと落語を楽しもう!」(ナカノシマ大学協賛)をもって、年内に予定していたお出かけはすべて終わります。

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20年を迎える「心の風景」

2024-12-13 15:01:34 | Weblog

 日々の慌しさの中で、ふっと我に帰る瞬間があります。誰かが目に見えない力で私にブレーキをかけようとしている。そんな瞬間を、私は大事にしています。
 何かの本で、人間は独りで「生きている」のではなく「生かされている」のだという話を読んだことがあります。少なくとも社会の動きと乖離して生きていくことはできません。時間と空間の座標軸の中で、自身の存在を見定めることの大切さを学びました。「風景」という言葉を好んで使うのも、そのためです。何千年という歴史を越えて、いま目の前に広がる「風景」の中に、私が生かされているという「事実」を素直に受け止めたいと思っています。
 私は時々、都会の喧騒を離れて、小さな山小屋で過ごすことがあります。職場で管理職然としている私と、静かな森の中で樹木の下草を刈る私。超整理手帳を片手に仕事に励む私と、ゆったりと流れる雲を眺めて一日を過ごす私。そのはざまで思う心の葛藤...。何故そんなに急ぐのか、なぜ成長なのか、なぜ発展なのか、なぜ革新なのか。根源的な問いかけを避け、前のめりになって走っていく自分の姿が見えてきます。これでよいか。(「心の風景」オープン! 2004年12月30日)

 この年末、ブログ「心の風景」は公開して20年になります。50代半ばの頃、ワンマンなトップが急逝し、その後、経営陣の一画に座することになった時期でした。立ち位置になんとなく戸惑いがあったのかもしれません。
 ともあれ、20年間、他愛ないことを週一のペースで綴ってきました。何のために、誰れに、何を伝えようとしているのか。いえいえ、ひょっとしたら、もう一人の「私」と向き合っているに過ぎないのかもしれません。
 貴重なお時間を割いてご覧いただいた方々には、なんともご迷惑なことだろうとは思いつつ、それでもなお性懲りもなく綴っているあたりは、私の拙さなんでしょう。きっと(笑)。

 先日、京都大学で開催された人と社会の未来研究院(旧「こころの未来研究センター」)の上廣倫理財団寄附研究部門第3期研究報告会を覗いてきました。
 別に私が京都大学に席を置いていたわけでもアカデミックな世界に生きて来た訳でもありません。たまたま、10数年前に経済団体の研究例会で、ブータン国立研究所長ダショー・カルマ・ウラ氏の講演「国民総幸福度(GNH)によるブータンの国づくり」を聴く機会があり、その通訳を担当したのが当時こころの未来研究センター准教授の内田由紀子先生(社会心理学&文化心理学)でした。
 少し現実離れした世界を彷徨ってみたかったからでしょうか。通訳を介した2時間に及ぶ講演は、その頃モヤモヤしていた私の理解不能な曖昧さに一筋の光を当てるものでした。当日のブログにはこう記されています。
「足ることを知る」。私の生き方とは正反対の生活が、そこにはあります。単調ではあっても自然の空気が充満した国土、私たちはそんな人の生き方を忘れ、右往左往している。様々な人為的行為が専門分化してしまい方向音痴に陥っている。それを誰でも判りやすい「幸福度」という視点から見渡そうとするおおらかな価値観。「長寿とはただ漫然と齢を重ねることではない。活力をもって、なによりも楽しむ。常に自分自身に問いかけること.......。」そんなお話しに頷くばかりでした。(「ブータン王国と幸福度」2013年11月24日)
 以後、京都大学こころの未来研究センター(現「人と社会の未来研究院」)の研究報告会には、一般市民の立場で聴講させていただきました。その間、先生方の何人かは退官され、現在は内田先生が研究院長をお務めになっています。紙と鉛筆をもってブータン仏教の原典を研究しているとお話しになっていた助教の熊谷誠慈先生も、今は研究領域を広げ教授として研究院の一翼を担っています。アカデミックの世界にも、その世界なりの人の成長と深化があることを思いました。

 この日注目したのは、広井良典先生の「商店街の復権〜歩いて楽しめるコミュニティ空間」でした。アメリカ生まれのショッピング「モール」が、日本の「商店街」を弱体化させている現状の中で、ヨーロッパの商店街に「ウォーカブル・シティ」(歩いて楽しめるまち)を見い出した先生は、イチ(市)・マチ(街)・マツリ(祭)を軸に、いま、商店街の復権に幅広に取り組んでいます。
 商店街については、私も若い頃、地元の商店街組合とのコラボで、その活性化のお手伝いをしたことがありますから、他人事ではありません。数年前、四国八十八カ所を歩いたとき、多くの商店街がひっそりとしたシャッター通りになっていたことに、ある種文明的な怖ささえ感じたものでした。
 この日もいろんな報告の中に、Well-being(幸福)という言葉が登場していました。目先の経済的価値ではなく、新しい視点から国の在り様を見つめる。まさにパラダイムシフトをめざす若い先生方の取り組みに大いなる期待を寄せて、小雨舞う夕暮れどきの京都を後にしました。

◇   ◇   ◇

 ブログ公開20年を前に、少しばかり気取って綴ってしまいました(笑)。この辺りで少し肩の力を抜きます.....。
 おととい、謡曲の仲間たち(男女10名)の忘年会がありました。場所は京都市内ではなく、湖西線で45分あまり、近江今津にある創業三百年の鴨鍋「丁子屋」さんです。幹事さんの話しでは、かつては関西経済を牽引する方々の隠家的な存在だったよう。部屋には、生前懇意にしていただいた京阪電車の佐藤茂雄さんの色紙と新聞記事が飾ってありました。「各所より 飛来する我ら 鴨鍋族」と記されていました。佐藤さんらしい楽しい言葉でした。
 実は、この近江今津駅からバスで20分ほどのところ、山頂にスキー場がある函館山の麓に、(今は朽ち果てていますが)山小屋がありました。「心の風景」オープニング記事で触れた山小屋です。
 その函館山を背にした琵琶湖河畔の丁子屋さんで、地元の新酒「蔵人」をいただきながら、地元特産の太いネギをふんだんに入れた鴨鍋や琵琶湖で獲れた鯉、鰻、モロコ、小鮎などを肴に、新しい仲間たちと楽しいひと時を過ごしました。もちろん宴の終わりには、みんなで謡曲「熊野」の一節を謳います。
 この地からは、遠く対岸に奥琵琶湖の長浜や彦根、米原、さらには伊吹山をのぞむことができます。宴のあと、琵琶湖就航の歌資料館や今津ヴォーリス資料館などを見て回り、帰途につきました。

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老いる楽しさとデジタル終活

2024-12-06 14:22:06 | Weblog

 歳をとっても師走を迎えるとなんとなく慌ただしさを感じる今日この頃です。お買い物がてら自転車に乗って近くのコーナンに行く途中、2年前まで田圃だったところにススキが繁茂し、その穂が白く陽に輝いている風景に出会いました。都会地にあってほっとする晩秋の風景でした。
 京都御所では、イチョウやモミジなど紅葉が見ごろを迎えています。広い御苑ですから観光地と化した神社仏閣とは異なり観光客もまばら。しばしシニア仲間たちとのんびり散策を楽しみました。 この日は午前中、「百済王らは朕の外戚なり~桓武天皇の母」と題する古代史の授業を受けたあと、午後からは水彩画に取り組みました。先日歩いた難波橋(ライオン橋)から中之島公園を望む風景を描きました。これから色を置いていきます。
 お絵描きが終わると、次は謡曲同好会です。観世流能楽師の先生のご指導を得て、「巴」のクライマックスとも言うべき、巴越前の霊が木曽義仲の武功と最期を演じる場面を皆で力強く謡いました。

 能楽と言えば、先日、山本能楽堂の能楽体験講座「能活」を覗いてきました。義経の愛妾として知られる静御前の亡霊が登場する能「二人静」がテーマでした。静の霊と、静の霊が憑いた菜摘女という、静御前を二人の役者が演じる「相舞」です。謡いを交えてわかりやすく説明していただきましたので、この「二人静」を来年1月の「たにまち能」で鑑賞の予定です。
 ところで、能楽堂の帰りに天満橋のジュンク堂書店に立ち寄った際、月刊誌「中央公論」12月に出会いました。今号の特集は「孤老時代をどう生きるか」。前文には「高齢単身者が増加し、うまく老いることが難しい時代。孤独に打ち克ち、明るく生きていくヒントを探る」とあります。
 有識者のレポートはさておき、作家・黒井千次さんの「老いは大変だけれど面白い」と、ノンフィクション作家・久田恵さんの「カギは自立して自分流を貫くこと」に、まず目を通しました。お二人の現在進行形の生き仕方に共感を覚えました。
 ジャーナリスト・田原総一郎さんと三女の和田眞理さんのインタビュー記事「90歳になっても現役、親子円満なワケ」も、「朝まで生テレビ」に登場する田原さんとは異なる一面が出ていて、ついつい読んでしまいました。
 なんと、頁を捲っていくと、現役時代にセミナーや著書「知識創造の経営」などでずいぶんお世話になった経営学者・野中郁次郎先生(89歳)に久しぶりにお目にかかりました。お題は「54歳差、大家と俊英の異色対談~今こそ、日本的経営の復権を!」です。知識創造を育む組織のイノベーションプロセス「SEKIモデル」。分析ではなく、まずは現場の共感から始まる...。先生のお元気なお話しに改めて勇気をいただきます。

ここでやっと第二のテーマに入ります(笑)..........。

 朝日新聞の「くらし」の頁に、時々、デジタル終活に関する記事が掲載されています。「家族悩ますデジタル遺品。スマホもネット銀行もパスワードが…」「ネット銀行口座やサブスク契約。デジタル遺品で遺族が困らない対策は」「ネット上に資産、デジタル終活を」など。
 デジタル終活は、私が年初に掲げた旗印のひとつでしたが、実際のところはクレジットカードを少し整理しただけで中断したままでしたので、思い切ってエンディングノートの簡易ソフトを使うことにしました。先日やっと銀行口座やサブスク契約、各種IDとパスワードなどの入力を終え、外付けハードディスクに保存しました。
 このソフトの良い点は、本人が設定したパスワードで入る方法とは別に、家族が別の方法で本人確認をして閲覧モードで確認できるように設定されていることでした。あとは、パソコンを開くパスワードを老夫婦で共有できていれば問題ありません。この種のセキュリティ管理はいくらでも抜け道があるでしょうから完璧とは言えませんが、とりあえず第一関門を通過したことになります。

 さあて、今年も残すところ3週間あまり。この年末年始も我が家は家族14名が大集合します。そろそろ年末の大掃除の計画を立てなければ...。今朝、庭師さんに庭木のお手入れをお願いしました。あとは老夫婦でやるしかありません。何かが大きく変わるわけではないけれど、新しい年を迎えるひとつの節目です。

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