心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

芸術の秋を前に、演劇と落語を楽しむ。

2024-09-27 20:40:44 | Weblog

 暑さ寒さも彼岸までとはよく言ったものです。お彼岸を過ぎると朝のお散歩も気分爽快、何となく肌寒ささえ感じる気持ち良い汗をかきました。
 ところで、先日、上の歯の詰物がぽろりと外れました。ずいぶん前に職場近くの歯医者さんで治療してもらって以来ですから、よく保ったものです。さっそく近所の歯医者さんに行きました。診察室では若い女医さんが待っていました。80歳近い院長さんはリタイアされたようです。先生は、なんと長女の同級生でした。なんとなく子供の頃の面影がありますが、丁寧な治療は父親譲りです。ほっこりした1日でした。巡り巡ってこの世は、いつの間にか私たちの子供世代が支えています。

 2週にわたって3連休が続いた今週は、珍しく演劇と落語を楽しみました。

 そのひとつは、豊岡演劇祭2024参加作品/読売テレビプロデュース「MOONLIGHT SERENADO~リーディング劇 ムーンライト・セレナーデを聴きながら」(作/演出 岡本浩一、共同演出/平田オリザ)です。ふだんあまり演劇を観劇することはないのですが、平田オリザさん演出ということで出かけました。
 読売テレビの朝番組「す・またん」の立田恭三アナウンサーやお天気予報キャスターの蓬莱大介さんが出るというので、ややミーハー的な思いもありましたが、お話しそのものは、勉強に嫌気がさした高校生がジャズ「ムーンライト・セレナーデ」を聴くとなぜか80数年前、特高が睨みを効かせていた頃にタイムスリップして、反戦を説く出石出身の政治家・斎藤隆夫にまつわるお話しでした。
 日本の現代演劇を牽引してきた劇作家・平田オリザさんが、自ら主宰する劇団「青年団」を東京から兵庫県豊岡市に拠点を移したのは5年前のことです。若き演劇人を育てつつ、世界最大の国際演劇祭の実現をめざしていますが、この「ムーンライト・セレナーデを聴きながら」は、豊岡演劇祭2024演劇祭の一環として出石永楽館でも上演されました。
 豊岡といえば「コウノトリの郷公園」や出石蕎麦ぐらいしか思い浮かびませんが、全国から演劇を学ぶ(楽しむ)若者たちが集まっています。素晴らしいことです。機会を見つけて、泊まり込みで演劇を楽しみたいと思っています。

 一昨日の夜には、ナカノシマ大学の関連で「天神寄席9月席」(大阪天満の繁昌亭)に出かけました。テーマは「秋の夜長の船づくし」。お目当ては「帆神」を書いた小説家・玉岡かおるさんです。髙橋幸次さん、桂春若さんとの鼎談という形でご登場でしたが、次から次へと長編歴史小説を発表する玉岡さんのエネルギッシュな生き仕方に、ついつい聴き入ってしまいました。
 玉岡さんに初めてお目にかかったのは、ずいぶん前のことです。地元の電鉄会社の百周年記念シンポジウムで、名だたる経済界の男性お歴々の中で紅一点。物おじひとつせず持論を展開している玉岡さんの姿が印象的でした。以来、多くの作品を読んできました。その後、何回かお目にかかる機会がありましたが、今回は5年ぶりのことでした。
 この日は、人の移動、荷物の運搬、娯楽など江戸時代の人々にとっては身近な存在だった「船」がテーマでした。船の帆布を改良し丈夫で耐久性のある松右衛門帆を発明した、小説「帆神」の主人公・工楽松衛門について語っていただきました。
 落語は「遊山舟」「兵庫舟」「船徳」「宇治の柴舟」そして「桑名舟」と5席。ふだん落語に接する機会は滅多にありません。客席を盛り上げる独特な話しぶり、間の取り方に興味津々。時には、こういう異文化体験も楽しいものです。

 さあて、来週から京都に本格デビューです。画材も新調しましたから、ゆったりまったりの時間をぞんぶんに使って楽しみたいと思っています。

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初秋にギアチェンジ!

2024-09-20 21:14:35 | Weblog

 敬老の日に、町内会から御赤飯をいただきました。それには、近所の子供たちの直筆で「けんこうに きをつけて げんきでいてください」と書いたカードが添えてありました。
 同じ日に、横浜の孫娘から葉書が届きました。お絵描きが大好きなので、葉書にはいろんな色の絵具が塗ってあります。色使いが上手いと思うのは爺馬鹿でしょうか(文字は母親)。

 ところで、現役をリタイアして今夏8年になります。その間、シニア向けの生涯学習教室に通い、いつの間にか運営する側にボランティアとして携わるようになって6年が経過しました。

 小規模ながら、総務・企画・広報・募集等に関する事務全般を担って来ました。これを正社員でこなしたら人件費がいくらかかることやら。そんなことにはお構いなく、ただただ働き続けました。これが私の性格です(笑)。
 慣れない事務作業、データ処理、ホームページやFacebook等の開設と運用など、現役時代に経験したことのない仕事をガイドブック片手に遣り繰りしてきました。以来、相応の成果を数字で示すことはできましたが、さすがに寄る年波には勝てません。
 去年あたりから緊張感を持続できなくなり、単純なミスも目立ち始めてきたので、そろそろ辞め時だろうと思っていましたが、問題は仕事の引継ぎです。4月から3名の方々に順次引継ぎを進めてきました。そして本日、めでたく引継ぎを完了しました。若干の残務はありますが、今月末をもって心晴れやかに引退できる目途が立ちました。
 じゃあ10月から何をするかって?家でじっとしている性格でもありません。22歳で社会に出て50数年にわたって仕事をしてきたことを考えると、そろそろ老後を楽しむ側に回っても良くはないか。
 ということで、10月からは場所を京都に変えてお絵描き中心の講座に受講生として仲間入りすることにしました。私が大学を卒業した頃に開設された、この業界では古い歴史を持つ教室です。先日、体験講座を覗いてきましたが、皆さんから温かくお迎えいただきました。
 この日は何も用意せず手ぶらで出かけたのですが、先生から画用紙をいただいたので、スマホに保存していた写真の中からクリスマスローズの花を取り出して描いてみました。しばしワイワイガヤガヤと楽しい時間を過ごしました。
 なんと、この教室、私が学生時代に通っていたアルバイト先に隣接するビルにありました。大学から市電(路面電車)に乗って通っていた頃を思い出します。50数年経って再び古巣に戻ってきました。これからは何かに急かされることなく、悠々自適な毎日が送れそうです。

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「山折哲雄こころ塾」をもって出かける。

2024-09-13 23:16:57 | Weblog

 本屋さんで俳人黛まどかさんの本を検索したら、「山折哲雄こころ塾」(読売新聞大阪本社編)がヒットしました。でも在庫なし。そこで近所の図書館で探しました。配架はされていなかったけれど、書庫から出していただき借りることができました。
 発行は2004年。20年も前の本ですが、大槻能楽堂の舞台で、山折さんと当時ご活躍の13名の方々との対談が掲載されています。
 お目当ての黛さんのテーマは「旅と恋〜かなわぬ思い俳句に」。黛さんが四国遍路に出かける前、スペイン巡礼道や熊野古道あたりをお歩きになった、まだお若い頃の対談で興味深く読みました。
 もうひとり目に留まったのは、「精選女性随筆集・須賀敦子」の編者・川上弘美さんです。テーマは「心の行方〜科学的見方と宗教の人間観」、小説家にしてはやや硬そうな見出です。経歴を拝見すると、生物学科を卒業後しばらく中学や高校の教員をしていた由。その生き仕方と独特の世界観に何となく興味をいだき、さっそく「蛇を踏む」を手にとりました。
 公園を歩いていて踏んでしまった蛇が、いつの間にか部屋に棲みつき、時に人の姿(母親)に変身して女性を蛇の世界に誘う.........。上田秋成や村上春樹の世界を彷彿とさせるものがあります。読み終わったあとの春樹作品に似て落ち着きのなさを感じたので、少しこだわって読んでみようかと。
 

 さてさて、ここで話題はお気軽バージョンに移ります。先日、息抜きに南紀白浜に行ってきました。大阪駅前から高速バスに乗って3時間弱。南紀白浜とれとれ市場下車。
 この日泊まった「とれとれヴィレッジ」は、別荘感覚で楽しめるリゾート型宿泊施設が謳い文句のドームハウス群です。
 夕暮れどきにはヒグラシが、夜になると秋の虫の音が聞こえます。温泉に浸かったあとは静かな部屋の中で冷たいビールをいただきながら、「山折哲雄こころ塾」や「蛇を踏む」を読み比べ、ゆったりまったりの時間を過ごしました。
 翌日の帰りに海産物や地元和歌山名産品がずらりと並ぶ「とれとれ市場」に立ち寄りました。取れたての鮮魚が格安で販売されていて、マグロの解体ショーまでやっていて、大勢の客で賑わっていました。因みに我が家は新鮮な鯛を1匹とアジをひと箱、それに南高梅を連れて帰りました。
 2日前に急に思い立った小旅行でしたが、ちょっと違う風景に身を置くことで、少し元気をいただいたような気がします。秋を前に心晴れやかな日々が待ち構えています。

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備えあれば患いなし

2024-09-06 10:59:22 | Weblog

 迷走した台風10号は全国各地に雨と風の被害をもたらしました。その1カ月前には日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し南海トラフ地震情報(巨大地震注意)が発表されたばかりです。3日には大阪府下全域を対象にした防災訓練「大阪880万人訓練」があり、何通もの緊急速報メールが届きました。なんとなく自然災害への恐怖と備えを考えるようになりました。

 我が家も簡単な防災グッズは用意しているのですが、停電により家族に安否を知らせる手段が寸断されるのは避けたい。そんな思いから先日、ソーラーパネル付き充電器なるものを購入しました。スマホに11回、パソコンに2回程度充電できるコンパクトなものですが、スマホやPCに飼いならされているシニアにとっては「備えあれば憂いなし」....。
 台風一過。暑さは残るものの心なしか「涼しさ」を感じるようになったところで、この夏たくさんの実が採れたゴーヤの蔓を処分しました。その翌日、テキストを片手に野菜の種蒔きをしました。ガーデンレタスミックス、ラディッシュ、小松菜の3種類です。広い畑があるわけではないので、今回はプランターで栽培しようと思っています。早くも2日後には発芽しました。間引きをしながらしっかりした苗を育てていくことになります。
 このほか園芸店で元気そうなブロッコリーの苗を2本連れて帰りました。ついでに以前から気になっていた柚の苗木もお連れしました。これで、すべての物流が止まっても数日間ぐらいは生き延びることができるでしょうか(笑)。そうそう、今年もたくさんの実がなった庭の無花果。ことし最後の実を収穫しました。

 話しは変わりますが、先日、東京に暮らす姪から久しぶりにメールが届きました。甥と一緒に母親(私の姉)のお墓参りに行って来たそうで、急に叔父さんと話がしたくなったと。
 姪と言えば、子どもの頃(学生の頃)の面影しか浮かんで来ません。私と7歳しか違わないので相応の年齢なのに、数年前に会ったときもお婆ちゃんではなくいつもの姪でした。返信メールでは、今でも「〇〇ちゃん」と呼んでいます。
 姪はご主人の仕事の関係で、長くオーストラリアのパースで暮らしていました。その頃にヨガ教室に通い始め、それをきっかけに時々インドにまで修行に出かけるようになりました。帰国後は一端のインストラクターとして東京を拠点に全国各地で指導していました。最近、ネットで見かけないと思ったら、今は一線を退き、近くの子ども食堂のお手伝いをしているとか。姉が後年、スポーツジムに通いながら介護施設のボランティアをしていたので、親子ともなんとなく似たような道を歩んでいます。この夏にはご主人と北欧旅行を楽しんできたとか。幸せに暮らしていることを知り安心しました。

 心の中には遠い昔の風景が鮮明に浮かんでくるのですが、最近、目が見えにくくなり、本を読むときは、ついつい眼鏡を外してしまいます。数カ月前にメガネ屋さんでレンズを新調したのですが、一向に改善の兆しはありません。周囲には白内障の手術をされた方が多く、そろそろ私の番かなあと思いつつ、先日思い切って5年ぶりに眼科に行きました。
 ずいぶん待って診察、ついで瞳孔を広げる目薬を投与して再度診察。先生曰く「前回より白内障は進んでいますが、今すぐに手術するほどでもありません。希望するなら手術をしても良いですがどうなさいますか」と。親からいただいた身体ですから無闇に痛めつける必要もないだろうと、見えにくさは当分我慢して1年後に再検査をすることにしました。
 この日、病院には多くの患者さんがお見えになっていましたが、眼科を受診する方々の多さには驚きました。同じ世代の方々ばかりです。歳相応の病気なんでしょうか。目が弱ってくると、本を読むのが難儀になります。時々窓を開けて遠くを見つめるようにはしていますが、遠方を見るときの筋肉と近くを見るときの筋肉がうまく連携できていないような気もします。これが老化ということかもしれません。いましばらくこんな状況が続きそうです。
 瞳孔を広げる薬の投薬の影響なんでしょうか、病院を出ると眩しく、街の風景が真っ白に見えました。人間の身体の不思議を思いました。

 9月に入って、NPOの仕事もほぼほぼ目途が立ちましたので、この週末は白浜温泉に行ってひと休みです。

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