昨夜、NHKテレビで「神秘のヨーロッパ 絶景紀行『聖なる巡礼路を行く~カミーノ・デ・サンティアゴ~』」を見ました。南フランスのル・ピュイ・アン・ヴレイからピレネー山脈を越えて、スペインの聖地大聖堂まで全長1500キロを歩いてめざす「サンティアゴ巡礼」。自身の内面と向き合う巡礼者たちの姿を追いながら、四国八十八か所のお遍路と共通するものを感じたのは私だけでしょうか。四国のあとはサンティアゴ?、もう少し若かったら歩いてみたい巡礼の道でありました。 さてさて本題に移りますが、先日、久しぶりに事務所へ行った帰りに、京橋のツイン21アトリウムで開かれていた古本フェアを覗いてきました。今年は春から古本祭が軒並み中止となり、この夏に期待していた京都の「下鴨納涼古本まつり」も中止が決まったばかりです。例年だと秋には、四天王寺、大阪天満宮、京都知恩寺などで開かれるのですが、今のところ不明。昨今のコロナ感染状況を思うと、開催は無理かなあと思ったりしています。
そんな中で開催されたツイン21古本フェアです。オフィス街の平日の昼下がりですから、お客はまばらでしたが、そのぶんゆったりと本を眺めることができました。お目当てのグレン・グールド関連の本は見つからなかったものの、吉田秀和さんの「新・音楽展望」を連れて帰りました。どうも最近、音楽を楽しむというよりも、その曲が作られた時代背景、作曲家や演奏者の人となり、そういう意味での音楽の「風景」に心惹かれます。
音楽の風景、という言葉が浮かんでふと思い出しました。本棚から取り出したのは、指揮者・外山雄三さんのエッセイ集「音楽の風景」でした。この本は4年前の秋、大阪古書研究会主催の「天神さん古本祭」で見初めたものでした(笑)。
私の本棚には今、現役時代に読み漁った類いの本はありません。古本の占める割合が俄然多くなっています。その一方で、近年、Amazon Kindle(電子書籍)にもお世話になっています。新刊本は専らデジタル媒体になります。雑誌類も紙媒体から電子媒体にシフトしつつあります。
ところで、読売新聞12日朝刊9面に、神経科学者メアリアン・ウルフさんが「紙の本『深く読む脳』育む」と題する原稿を寄せていました。サブタイトルには「デジタル媒体は速読向き。染まると、ヒトは短絡的になり得る」とあります。
なかなか興味深い内容でした。ウルフさんは最後に、デジタル媒体と紙媒体双方で「深い読み」のできる「二重に読む脳」を育むこと。子供の時になるべく多くの紙の本に親しみ、デジタル媒体は意識的に注意深く読む習慣をつける。そんなことをおっしゃっていました。 私のような年代では、いまさら読書の仕方を大きく変える余裕はありませんが、紙媒体とデジタル媒体、それぞれの良さを味わいながら、楽しく「本」と向き合っていきたいと思っています。
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ここ数カ月、コロナの関係で学びの場が閉ざされていますが、先日、水彩画教室のスタッフの方から9月下旬から開講する旨のお電話をいただきました。それまでの間はYouTubeで「柴崎春通の水彩画」を見ながら独学です(笑)。 そして明日は、山本能楽堂の「休日の朝の能講座『能活』」に行ってきます。テーマは「井筒の巻」、全5回シリーズの初日になります。こうして少しずつエンジンをかけていくことになります。