さて、本日のお題は、「青色のバラ」です。先週の初めに経済団体主催の会合に出席した際、バイオテクノロジーを駆使し世界で初めて「青色のバラ」を開発した研究者の方のお話を聴く機会がありました。自然界に青色のバラは存在しないところ、数種のバラを人為的に交配して2年前にやっと製品化にこぎつけたのだそうです。アップした写真は、帰り際に会場の片隅に飾ってあった数本の「青色のバラ」を撮影したものです。携帯で撮ったので肝心の「青色」が表現できていませんが、もう少し濃い青さは今後の開発目標なのだそうです。それでも確かに神秘的な雰囲気を醸し出しているし、未知の世界に挑戦する人間の「熱い思い」が伝わってきます。でも、心の片隅に人工的に色をつくることに対する違和感もありました。一時期、遺伝子組み換え技術に対する拒否反応が広くマスコミを賑わしたことがあります。いまではごく当たり前に使われているらしい。時代の流れに竿さす気持ちは毛頭ありませんし、「青色のバラ」もほんとうに美しい。しかしどうなんでしょうか。春夏秋冬、春は春。赤は赤。バラはバラ。それを人為的に覆す?いつの間にか恐ろしい世の中になってしまうのではないか。そんな保守的な思いが私の心の中に充満します。
話は変わりますが、先週末仕事帰り、駅のプラットホームで独りのご老人に出会いました。よれよれの帽子をかぶり、年季の入ったショルダーバッグを肩にかけ、軽いオーバーを着たその姿。誰?だれ?10㍍ほどまで近づいたところで「やあやあ」と。13年ほど前に定年退職された方で、30数年前私が就職して最初に配属された部署の、当時の係長さんでした。職場の大先輩です。当時、勤めながら夜間の大学に通っておられ、昼休みにはその日の授業の準備に余念がない、そんな勉強家でした。その姿勢にずいぶん影響を受けて今の私があります。といっても過言ではないのです。
久しぶりの再会でした。一時、米国独り旅の時期もありましたが、いまはお家に落ち着いて余生を送っておられる由。駅前の居酒屋で一献傾けました。といっても、もう80歳に近いご年齢です。若い頃のようには呑めません。1時間をかけてお銚子1本、その間に私はロック3杯もいただいておりましたが、お元気でお暮しのご様子に安堵いたしました。
かく言う私も還暦を迎える年齢に。6月上旬には還暦記念の同窓会があります。こんな年代になると、時にリタイア後のことを考えがちですが、とにかくそれまでの間に、当面の課題に道筋をつけておくこと、そして何よりも後進を育てておくこと、それが私に課せられた最後のご奉公とわきまえていいます。色や形に惑わされない「心」「マインド」を大事にしていきたい。ただただそれだけを考えて毎日を過ごしている、そんな自分に気づくことがあります。いやあ、こういう発想自体が老いの始まりなのでしょうか。昨日は、仕事を早めに片づけると、職場近くの公園を横切って週末の街に繰り出し、久しぶりに中古LPショップを訪ねました。グレングールドの若き日の作品を見つけて何を思う。温故知新といえば恰好いいのですが、これもやはり老いの始まり??