久しぶりに朝のお散歩を楽しみました。少しずつではあっても暖かくなってきて気分も爽快。街角街角で集団登校する小学生の一群に遭遇しながら、今日も何か楽しいことがありそう、なんて子どものような気分でお散歩をしました。お不動さんに着くと四国八十八カ所の祠が並ぶ前を通ってお大師様に朝のお参りをします。花立には菜の花が活けてありました。
さて、先週の土曜日は大阪城の近くにある大槻能楽堂の自主公演能「四国巡礼」を観に行きました。まずは内田樹さんから「海民と騎馬武者~源平合戦のコスモロジー」についてお話がありました。お能は世阿弥の「屋島」です。
季節は春、四国行脚の僧が讃岐国屋島を訪ね、老漁師に一夜の宿を所望します。最初は躊躇した老漁師でしたが、僧が都から来たと聞き招き入れました。その夜、僧に求められて屋島の合戦の話をした老漁師は、何を隠そう、源義経の亡霊だったのです。真夜中、僧の前に甲冑姿で現れた義経の亡霊は、屋島の合戦の折に弓を海中に落としながら、貧弱な弓ゆえ敵に取られまいと危険を顧みず取り戻した話などを語って聞かせました。そして、.......夜明けととともに消え失せる、そんなあらすじでした。
屋島といえば一昨年の夏、バスツアーで巡った四国遍路の旅でお参りした八十四番札所・屋島寺を思い出します。展望台から壇ノ浦あたりを見渡しながら、その昔、源平合戦が行われたのが信じられないほど穏やかな海だったことを覚えています。園内には源平合戦の絵図がパネル展示してあって、まさに義経が海中に落とした弓を取り戻すお話は能「屋島」と同じ場面でありました。
ところで、大槻能楽堂でお隣にお座りになった九州は福岡からお越しのご婦人、席に着こうとされて何故か座席が下に降りないアクシデントがありました。なんど試してもだめ。ならばとりあえずその隣の席にお座りになってはと促しましたが、しばらくしてその席のお客様がお越しになって、さあ大変。急ぎ、フロアー係の方を呼んできて対処していただきました。この日は満席とかで座る席が確保できない。何度も座席の下のネジを調整していただいて、なんとかお座りいただくことができました。そういえば大槻能楽堂、今夏から改修工事に入るそうです。座席を一新されるのでしょう。きっと。
そんなことから、休憩時間にお隣のご婦人といろいろお話をすることになりました。聞けば、翌日は京都でのお茶会があって、そちらがメインの来阪ですが、せっかくだからと能楽をお楽しみになるのだと。でも、話していると出演者のお一人お一人のことをよくご存じで、博多だけでなく関西、関東の主だった能楽堂に足を運ばれているご様子でした。千駄ヶ谷駅から徒歩5分のところにある東京の国立能楽堂をぜひ一度おいでくださいと勧められました。いずれ機会をみて覗いてみたいと思います。
とりあえず4月は、家内と一緒に、山本能楽堂の「たにまち能」で能「熊野」(「くまの」と読みそうですが「ゆや」と読むのだそうです)を観に行く予定です。