きのう広島に向かう新幹線のなかで、朝日新聞のシンポジウム記事「グローバル時代に日本が生き残る道」を興味深く読みました。日本が世界で生き残っていくために、多様な人々が生き生きと働ける社会、ダイバーシティーの推進を考えようというものでした。久しぶりに金井寿宏先生のお姿も。
基調講演された浜矩子先生のお話は、こうです。ハリー・ポッターに登場する、自分が望む理想の姿が映る「みぞの鏡」(のぞみ鏡)を例に、いまの日本で人々が鏡の中に見ているのは、高度成長期を中心とした若き時代の姿。鏡の中にあの頃の自分を見て、本当の姿を見ていない。では、鏡の中に見るべきものは何か。それを先生は、「老いは楽し」という精神性のなかで成り立つ「老楽国家」であると。国家の成熟度を上手に受け止め、生かし、展開することだと。
そのためには、「シェアからシェアへ」「多様性、まさにダイバーシティーと包摂性(包容力)の出会い」が必要だろうと。前者は、奪い合いのシェアから分かち合いのシェアへの切り替え、後者は縦軸に包摂性、横軸に多様性を置いてその両方が高い象限が理想郷であると。そして、「グローバル時代に、ここまで成熟した経済社会は日本しかない。鏡の中に本当の自分の姿が見えるようになったとき、我々はグローバル時代という舞台で老楽国家の華麗な姿を見せる事ができる」と締めくくっています。
そうなんでしょうね。納得した次第です。紙面には、「異なる視点を組織の強みに」「育児支援で社会進出を応援」「なぜの嵐は革新の第一歩」「多様性の実現はトップ次第」「女性役員増やし実証実験を」などの小見出しが並んでいました。さて、私は「みぞの鏡」の中に何を見るか。
きょうのブログは少し小難しい話題から始まりましたが、晴れやかな秋の休日を迎えています。おととい13歳の誕生日を迎えた愛犬ゴンタ君は、朝の散歩を終えると軽い朝食を済ませて、今は小屋のなかでひと休みです。老楽の心境なんでしょう。きっと。
この三連休、中日に広島にでかけましたので飛び石連休となりましたが、我が奥様はちゃっかり三連休を利用して長男宅にお出かけです。そんなわけで「勤労感謝の日」は音楽三昧の一日を楽しみました。ネットで購入したばかりのLPレコード洗浄機(SPIN-CLEAN RECORD WASHER SYSTEM MKⅡ)をさっそく試運転です。LPもずいぶん年季が入っていますから、20枚を超えるとさすがの洗浄液も濁ってくるのがわかります。洗浄を終えたLPたちはさっぱりした表情で、次の出番を待っています。
まず針を落としたのは、グレン・グールドの数少ない協奏曲、モーツアルトのピアノ協奏曲第24番とベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番でした。前者はワルター・ジュスキント指揮、CBC交響楽団の演奏、後者はウラディミール・ゴルシュマン指揮、コロンビア交響楽団の演奏です。洗浄効果を如何なく発揮してくれました。このLP、1958年の録音ですが、ジャケットには今は亡き大フィルの指揮者だった朝比奈隆さんのエッセー「グールドの思い出」が掲載されています。曰く、
「私が初めて彼を知ったのは1958年11月、ローマのサンタチェリア・オーケストラの定期演奏だった。...(その練習会場で)私は指揮台に立ってオーケストラの立礼をうけたが、独奏者の姿が見えない。...私は「ミスター・グールド」と大きな声で呼んでみた。すると「イエス・サー」と小さな声がして、コントラバスの間から厚いオーバーの上から毛糸のマフラーをぐるぐる巻きにした、青白い顔をした小柄な青年が出て来た。その青年は、ゆっくり弱々しい微笑みを浮かべながら、右手を差し出した。....握ったその手は少女のそれのように、ほっそりとしなやかで、濡れたように冷たかった。....(楽団員の)一抹不安の視点が集中する。........やがてオーケストラは結尾のフォルティシモに入り、力強く変ロの和音で終止した。正しく8分休止のあと、スタインウェイが軽やかに鳴り、次のトゥッティまで12小節の短いソロ楽句が、桶を伝う水のようにさらりと流れた。それはまことに息をのむような瞬間であった。....長大な、時には冗長であるとさえ言われる第一楽章が、カデンツァをも含めて、張り詰めた絹糸のように、しかし羽毛のように軽やかに走る」。
グールドらしいなあと思いながら曲を聴いていると、なんだかその練習会場に同席させていただいているような、そんな錯覚を覚えました。これも我が老楽のひととき?
気分をよくした私は、その日の午後、ぶらり大阪駅前第1ビル地下にある中古CD店「WALTY」(ワルティ)さんに出かけました。クラシック専門の中古CD店です。そのお隣には中古LP店「DISK.J.J」さんも。楽しい時間を過ごしました。その日手にしたのはグールドのCD「エディション<7>」(グリーグ、ビゼー、シベリウス)2枚組、定価4800円が1980円、ヤナーチェックのCD「弦楽四重奏」、定価3300円が1200円でした。新品ではなかなか手の届かなかったCDが、お手頃な値段で入手できる楽しさがあります。
そうそうネットをうろうろしていたら、誰かがWALTYさんの様子をYouTubeにアップしていました。クラシック大好きのご主人と店員さんのお人柄が、これまた最高のお店です。 http://www.youtube.com/watch?v=8U3DrY5xQrw
基調講演された浜矩子先生のお話は、こうです。ハリー・ポッターに登場する、自分が望む理想の姿が映る「みぞの鏡」(のぞみ鏡)を例に、いまの日本で人々が鏡の中に見ているのは、高度成長期を中心とした若き時代の姿。鏡の中にあの頃の自分を見て、本当の姿を見ていない。では、鏡の中に見るべきものは何か。それを先生は、「老いは楽し」という精神性のなかで成り立つ「老楽国家」であると。国家の成熟度を上手に受け止め、生かし、展開することだと。
そのためには、「シェアからシェアへ」「多様性、まさにダイバーシティーと包摂性(包容力)の出会い」が必要だろうと。前者は、奪い合いのシェアから分かち合いのシェアへの切り替え、後者は縦軸に包摂性、横軸に多様性を置いてその両方が高い象限が理想郷であると。そして、「グローバル時代に、ここまで成熟した経済社会は日本しかない。鏡の中に本当の自分の姿が見えるようになったとき、我々はグローバル時代という舞台で老楽国家の華麗な姿を見せる事ができる」と締めくくっています。
そうなんでしょうね。納得した次第です。紙面には、「異なる視点を組織の強みに」「育児支援で社会進出を応援」「なぜの嵐は革新の第一歩」「多様性の実現はトップ次第」「女性役員増やし実証実験を」などの小見出しが並んでいました。さて、私は「みぞの鏡」の中に何を見るか。
きょうのブログは少し小難しい話題から始まりましたが、晴れやかな秋の休日を迎えています。おととい13歳の誕生日を迎えた愛犬ゴンタ君は、朝の散歩を終えると軽い朝食を済ませて、今は小屋のなかでひと休みです。老楽の心境なんでしょう。きっと。
この三連休、中日に広島にでかけましたので飛び石連休となりましたが、我が奥様はちゃっかり三連休を利用して長男宅にお出かけです。そんなわけで「勤労感謝の日」は音楽三昧の一日を楽しみました。ネットで購入したばかりのLPレコード洗浄機(SPIN-CLEAN RECORD WASHER SYSTEM MKⅡ)をさっそく試運転です。LPもずいぶん年季が入っていますから、20枚を超えるとさすがの洗浄液も濁ってくるのがわかります。洗浄を終えたLPたちはさっぱりした表情で、次の出番を待っています。
まず針を落としたのは、グレン・グールドの数少ない協奏曲、モーツアルトのピアノ協奏曲第24番とベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番でした。前者はワルター・ジュスキント指揮、CBC交響楽団の演奏、後者はウラディミール・ゴルシュマン指揮、コロンビア交響楽団の演奏です。洗浄効果を如何なく発揮してくれました。このLP、1958年の録音ですが、ジャケットには今は亡き大フィルの指揮者だった朝比奈隆さんのエッセー「グールドの思い出」が掲載されています。曰く、
「私が初めて彼を知ったのは1958年11月、ローマのサンタチェリア・オーケストラの定期演奏だった。...(その練習会場で)私は指揮台に立ってオーケストラの立礼をうけたが、独奏者の姿が見えない。...私は「ミスター・グールド」と大きな声で呼んでみた。すると「イエス・サー」と小さな声がして、コントラバスの間から厚いオーバーの上から毛糸のマフラーをぐるぐる巻きにした、青白い顔をした小柄な青年が出て来た。その青年は、ゆっくり弱々しい微笑みを浮かべながら、右手を差し出した。....握ったその手は少女のそれのように、ほっそりとしなやかで、濡れたように冷たかった。....(楽団員の)一抹不安の視点が集中する。........やがてオーケストラは結尾のフォルティシモに入り、力強く変ロの和音で終止した。正しく8分休止のあと、スタインウェイが軽やかに鳴り、次のトゥッティまで12小節の短いソロ楽句が、桶を伝う水のようにさらりと流れた。それはまことに息をのむような瞬間であった。....長大な、時には冗長であるとさえ言われる第一楽章が、カデンツァをも含めて、張り詰めた絹糸のように、しかし羽毛のように軽やかに走る」。
グールドらしいなあと思いながら曲を聴いていると、なんだかその練習会場に同席させていただいているような、そんな錯覚を覚えました。これも我が老楽のひととき?
気分をよくした私は、その日の午後、ぶらり大阪駅前第1ビル地下にある中古CD店「WALTY」(ワルティ)さんに出かけました。クラシック専門の中古CD店です。そのお隣には中古LP店「DISK.J.J」さんも。楽しい時間を過ごしました。その日手にしたのはグールドのCD「エディション<7>」(グリーグ、ビゼー、シベリウス)2枚組、定価4800円が1980円、ヤナーチェックのCD「弦楽四重奏」、定価3300円が1200円でした。新品ではなかなか手の届かなかったCDが、お手頃な値段で入手できる楽しさがあります。
そうそうネットをうろうろしていたら、誰かがWALTYさんの様子をYouTubeにアップしていました。クラシック大好きのご主人と店員さんのお人柄が、これまた最高のお店です。 http://www.youtube.com/watch?v=8U3DrY5xQrw