2週続けて台風がやってきて、たいへんな三連休となりました。その合間を縫って近所のお不動さんにお参りすると、境内のイチョウの木の下に銀杏が散らばっていました。その帰り道、空地の一画にヒガンバナが咲き乱れていました。朝日に照らされてあまりにも綺麗だったので写真に収めました。
そんな秋のある夜、出雲の姉から電話がありました。いつものように明るく元気いっぱいの声が電話の向うから伝わってきます.......。でも、何か変。途中から話が怪しくなってきます。さっき話したことをまた初めからしゃべりだします。この繰り返しが延々と続きます。最後には2年前に亡くなったはずの妹にこれから電話をしなければならないからと、電話を切る....。姉の頭の中は、現実と古き良き時代の風景が交差しています。.....懐かしさ半分、淋しさ半分。なんともやるせない気持ちになりました。
部屋に戻って読みかけていた本を手に取っても、何か落ち着きません。いずれこういう時が来るだろうとは思っていましたが、兄姉が亡くなって残り少なくなった姉の一人です。私の自慢の姉でもあります。こういう形で高齢社会の現実に向き合うことになるとは。面倒をみる甥夫婦も大変なんだろうと思います。でも、まだ同居しているだけマシかも。
先日、京都に行ったときに買っておいた「お香」を灯しました。名前は「花散里」。部屋中に何とも言えない物悲しい香りが漂います。お香の専門店にいくと、驚くようなお値段の品がずらりと並んでいますが、そんな片隅に庶民でも手にすることができるものが置いてあります。今あるのは「花散里」のほか「風香」「藤壺」など。「歩き遍路」の際にもっていくお線香とは違った風合いが、疲れた心を癒してくれます。私も歳なんだろうなあと思いつつ、しばし心を休めます。
ここで話はがらりと変わります。今日から大阪駅前ビルのギャラリーで水彩画展が始まりました。朝早くから会場設営、作品展示とバタバタしましたが、なんとかお客様をお迎えすることができました。そして午後には先生から作品ひとつひとつについて講評がありました。
ちょうど良いことに、ギャラリーの上階では10月から受講する予定の水彩画教室が開かれていて、先生のお許しをいただいて参観させていただきました。教室に入ると、これまでとは違う空気感が私を歓迎してくれました。これでまたひとつ、別の世界が開けたような、そんな気持ちになりました。講座運営とは違う、生徒としての新しい人の輪が私を包んでくれます。