と思いながら、机に積み上げた本に目をやります。先日、新大阪駅の書店で購入した吉田秀和著「マーラー」。河出文庫は、須賀敦子全集、南方熊楠全集以来、私にはお気に入りの文庫です。もう一冊は、福岡伸一著「世界は分けてもわからない」(講談社現代新書)です。分子生物学者である福岡先生の文章が気に入っています。きょうは、この2冊を眺めながら過ごしましょうか。
そうそう、先週、山陽新幹線に乗っていて気づいたのですが、5月も下旬になると、山肌の風景もずいぶん変わって見えます。淡い緑からコブシ、ヤマザクラ、ツツジの花の季節を過ぎて、今は柔らかな緑葉に覆われているのです。落葉樹が最も活き活きとする季節なんですが、葉っぱを太陽に向けて大きく広げている姿は、私の心まで元気にしてくれます。
さて、きょうの写真は、蓮の芽です。昨年の夏、京都・宇治に遊びに行ったとき、池の淵でこぼれ落ちそうになっていた蓮の種を3個いただきました。それが先日、机の引き出しの中からひょっこり顔を出したのです。どうしたものかとネットで調べてみたら、6月頃が種の植え時だとか。さっそく堅い種の底をヤスリでこすり、水を満たしたコップの中に入れておきました。すると1週間後、広島から帰ってみると、堅い種の端から細い芽が伸びていました。写真は約10日経ったお姿です。
次の作業は地植えです。きのうホームセンターで「けと土」というものを買ってきました。ヨシやマコモなどからなる湿地の腐植土で粘りと保水性のある特殊な土なのだそうです。1年目なので芽の伸びた3個の種を1個ずつ小さめの植木鉢に植えて、つぎに少し大きめの鉢の底に並べます。水を満たして出来上がり。さあて、どうなるものやら。この鉢は家内お手製の陶芸作品なのですが、来年はもう少し大きめの鉢を作ってもらうことにしました。我が家のビオトープでも作りましょうか。
6月に入れば、田舎ではホタルの季節を迎えます。大阪都心部に位置するホテル太閤園では、「ほたる物語」と銘打って日本庭園に舞うホタル鑑賞会が始まりました。人の心とは裏腹に、自然の時は確実に進んでいます。