昨夜、中之島のフェスティバルホールで、読売日本交響楽団の「ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 作品125(合唱付)」を聴きました。聞き納めと言いたいところですが、今年はコロナのために延期・中止のコンサートが相次ぎ、初めで最後のコンサートになりました。(写真は中之島にある大阪市役所横のイルミネーション)
ポスターに「”歓喜の歌”に希望を込めて互いをたたえ合い、今に生きる喜びを!」と記されています。第3楽章アダージョ・モルト・エ・カンタービレを聴きながら、今年がベートーヴェン生誕250年(1770年12月16日生まれ)という記念すべき年にあたることを思いました。また、比較的若い楽団員の皆さんの熱演を拝見しながら、コロナのために演奏の機会が失われた1年だったろうことに思いを馳せました。
ふと、あと3カ寺に迫った四国八十八ケ所遍路の旅の出発点である第1番札所・霊山寺(徳島)の近くにあったドイツ館(旧坂東ドイツ人捕虜収容所)が浮かんできました。この捕虜収容所は、かつて「第九」がアジアで初めてコンサートとして全楽章演奏された歴史的な場所でした。.....過去と現在の風景を行ったり来たりしながら、いよいよ第4楽章。来年こそは安寧の日々が訪れることを願うばかりです。
ここで気分を変えましょう。あすは所用のため外出しますので、めずらしく木曜日のブログ更新です。年内はこれが最後になりますので、私の1年を振り返ってみることにいたしました。恒例の(いや去年が初出ですが)私の「10大ニュース」2020です。
【1】新型コロナウイルスの猛威
昨年末、中国・武漢市で発生した新型コロナウイルスが注目され始めたのは今年1月のこと。このブログでの初出は2月1日付記事「早や2月。新型コロナウイルスにご注意ください」でした。以後、第1波、第2波と続き、今は第3波の渦中にあります。お手伝いをしているシニア向け講座も3月には休講の決断、その後講座を再開したのは10月のことでした。肉眼では見えないウイルスの挙動に一喜一憂するそんな日々が続きました。いや、続いています。
【2】立ち止まってスローライフ
初めの頃は外出自粛に戸惑いました。イケイケどんどんにブレーキがかかり、ぽっかり空いた時間と空間。ふだんの生活スタイルが一変しました。晴耕雨読とは言えないまでも、山積みになった古本に目を通したり、LPレコードに針を落としたり、お能を楽しんだり。例年以上に花壇や植木に手をかける1年でもありました。そうこうするうちに、挿し木から育てた2mほどのオリーブの木に待望の実が5個つきました。
【3】在宅勤務
コロナは働くカタチも一変させました。子供たちはいち早く在宅勤務になりました。最近でこそ週数日は会社に出かけているようですが、在宅勤務が定着している様子です。現役時代、仕事と家庭を明確に区別してきた私には考えられない事態です。そういう私もホームページ関連の仕事は止めるわけにいきません。私までも「在宅勤務」となりました。時にはオンライン会議までも。
【4】初めての手術と入院生活
がん検診の結果、3月下旬に精密検査をするようにとの知らせが届きました。それを受けて大学病院に精密検査を申し込むと、先生いわく「コロナのため不要不急の検査は控えています」と????。結局、6月半ばに検査を受け、7月半ばにポリープの切除手術を行いました。私にとって生まれて初めての手術、2泊3日の入院生活を体験しました。手術中、体内の模様をモニター画面で見ながら人体の不思議を思ったものでした。(写真は入院した病院)
【5】「歩き遍路」~結願まであと3カ寺
1月27日、記事「金剛杖の先に「花」が咲き始めました」を掲載して以降、コロナのために控えていた「歩き遍路」ですが、12月に入って8カ寺を巡りました。これで結願まで3カ寺です。思い返せば第1番札所・霊山寺を出発しておよそ千キロを歩いたことになります。「きっちり足に合った靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ」(須賀敦子著「ユルスナールの靴」)という言葉に出会ったのがきっかけでした。
【6】コロナにめげず国内旅行
コロナウイルスへの不安が囁かれ始めた2月初旬、孫娘の「お食い初め」のために格安JALパックで横浜に行ってきました。ついでに上野の美術館や世界らん展2020を覗いてきました。その後雲行きが怪しくなってきたので4月下旬に予定していた北欧旅行はキャンセルしました。第2波が落ち着いた8月には、次男君宅の引っ越し手伝いのため再び横浜に出かけました。第3波の直前には北海道にも出かけました。長女からは叱られました(笑)。
【7】10年ぶりに訪ねた我が家の山小屋
9月半ばに比叡の秋を楽しんだ翌日、近江今津にまで足を延ばし函館山の麓にある我が家の山小屋を10年ぶりに覗いてきました。子供が小さい頃は春夏秋冬、折を見ては出かけて自然に親しんだものでした。子供たちが大きくなると、だんだん足が遠のきましたが、台風や積雪で樹木が倒れたりすると管理人さんから連絡が入り、伐採をお願いしたりしてきました。さすがにかつての面影はなく、敷地内は荒れ果てていました。(写真は10数年前の冬の山小屋)
【8】京都・栂尾の高山寺
スローライフの延長になりますが、外出自粛のなか、以前から訪ねたいと思っていた京都・栂尾の高山寺に行ってきました。鳥獣戯画や明恵上人樹上座禅像で知られるお寺です。私にとっては、かの南方熊楠が「南方マンダラ」を構想するきっかけとなった土宜法龍が住持を務めたお寺としての思い入れの方が強いのです。土宜法龍宛南方熊楠書簡が今も大切に保管されています。熊楠の自由奔放な生き仕方に憧れ心の拠り所にしたのはいつの頃だったか。
【9】改めて村上春樹を読む
村上春樹の「小澤征爾さんと、音楽について話をする」を再読しているとき、新刊「一人称単数」が発売され、思い出したように村上ワールドと戯れた年でもありました。続いて「村上ラヂオ」(1,2,3)を寝っ転がって読んだところで、村上春樹さん自らDJを務めるラジオ番組「村上RADIO」(TOKYO FM)が「年越しスペシャル~牛坂21~」を12月31日午後11時から全国38局ネットで放送するという情報をキャッチしました。ほぼ同世代の生き仕方に興味津々です。
【10】大学OB会の文集制作
大学を卒業して半世紀近く経つのに4年間を共に過ごした方々との絆は未だしっかりと根づいています。2年に一度、大学に集い旧交をあたためるのが通例ですが、今年はコロナのため中止に。代わって近況報告を兼ねた文集を作成することになり、その編集作業をさせていただきました。言葉の端々にかつての面影を思い浮かべながら、相応のお歳になっていらっしゃる先輩方を含めて、意外と自粛生活を楽しんでいらっしゃる姿が印象的でした。(写真は編集会議のあと2次会で立ち寄る四条河原町の喫茶フランソア)
以上がこの1年間の私の「10大ニュース」でした。ただ、悲しい出来事もありました。4月に義妹が亡くなりましたし、1年前にお隣に引っ越してきたばかりの若い元気なご夫婦のお家では今夏ご主人が急逝されました。なんとも悲しい出来事でした。これには序列がつけられません。番外編として触れさせていただきます。
ブログ「心の風景」も早や16年。今回も長々と思いつくままに綴ってしまいましたが、以上をもって今年のブログ更新は終了です。例年のことながら、この拙いブログにご訪問いただきました皆さまに心から御礼申し上げます。コロナにめげず、どうぞ良いお年をお迎えください。