ところで昨日は、吉本興業の株主優待券が溜まっているとかで、大阪育ちの家内に同行して、なんばグランド花月に出かけました。大阪の「お笑い」文化は承知していますが、舞台を直に観るのは初めてでした。驚いたのは、学校が休みになったためか子供たちが多いこと。漫才にしても吉本新喜劇にしても、内容は大人の題材が多いのに、会場には子供たちの笑い声がやみません。
若手漫才師から始まって最後は桂三枝さんの登場です。私のような素人でも、その差は歴然としていました。「KY」ではありませんが、客席の空気を読んで、それに応じて話し方を工夫する。その術は、やはりプロフェッショナルの域です。どんな世界も同じなんだと思いました。
新喜劇の方は、これまたドタバタ劇。かと思うと場内がいやにシ~ンとする「情」の世界。かと思えば、どっと「笑い」が場内を包み込む。この絶妙な展開。これぞ大阪の「お笑い」文化そのものなんでしょう。ひょっとしたら、ここに大阪の強かさ(したたかさ)が隠されているのかも知れません。
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それで帰ればよいものを、今度はキタ(梅田)に足を伸ばして、大丸百貨店恒例の年末「ふる本市」へ。一時間ほど物色して、この日の収穫は、渡辺崋山の画集、辻邦生著「トーマス・マン」、そして雑誌「現代思想」(丸山眞男特集)でした。家内は陶芸・刺繍・紙人形などの本を漁っていました。
そんなわけで年末の土曜日は、大阪人になりきった長い1日でした。吉本興業グループの企業行動憲章によれば、「誰もが、いつでも笑顔や笑い声をもてる社会の実現」を目指しているのだと。この世知辛い世の中、ものごとを悲観的にばかり考えないで、笑顔で吹っ飛ばす気概も、これまた必要。そんなことを考えながら帰りの電車に乗りました。