9月下旬の定期検診で、娘のような女医先生「いちど血圧を測ってもらいましょうか」。というわけでここ1,2カ月、朝夕、オムロン製のデジタル自動血圧計 HEM-1000と睨めっこです。まったくもって自覚症状はありません。120台の時もあれば140台後半のときもあります。父が後年血圧の薬を飲んでいたので血筋なんだろうと楽観はしていますが、年末の3カ月検診でどんな判定が出ることやら。でもねえ。好きなものを美味しく食べて呑んでこの歳です。今のところ致命的な病名がつくこともなく楽しい毎日を過ごしています(笑)。
さてさて、先週、南方熊楠ゼミナールに行ってきました。テーマは「十二支考」。棋界の権威の方から若手研究者の方など幅広な見識に頷いたり、難しくて理解できなかったり。久しぶりにお勉強らしいお勉強をしてきました。
ある若手研究者の方が、ドイツ民俗研究に絡んで、ロマン派の詩人ブレンターノとアルニムが収集・編集した民謡詩歌集「少年の不思議な角笛」に触れていらっしゃいました。民俗学の場でこんな話題が出るとは思ってもいませんでした。
グスタフ・マーラーがこの詩歌集に曲を付けています。歩哨の夜の歌、少年鼓笛兵、ラインの伝説、塔のなかで迫害を受けているものの歌、原初の光、魚に説教するパードゥアの聖アントーニウス、むだな骨折り、高き知性への賛歌、この世の生、などなど。
そのうち「原初の光」と「魚に説教するパードゥアの聖アントーニウス」は、交響曲第2番ハ短調「復活」にも登場する歌です。LPレコード棚からマーラーのLPを探し出して聴いている今日この頃です。
クラシック音楽と言えば、ショパン国際ピアノコンクールで2位に輝いた反田恭平さん。朝日新聞の記事によると、大手工作機械メーカー「DMG森精機」と協働で、今春、オーケストラを運営する株式会社Japan National Orchestra(JNO)を立ち上げたのだそうです。
JNOは、DMG森精機が関わる「森記念製造技術研究財団」と、反田さんが代表の会社「NEXUS」が共同で出資。反田さんが社長を務め、20代を中心としたソリスト18人で構成しているのだとか。
記事によると、主な活動は「①定期公演やソリスト個人の演奏会などを年間50公演②音源制作と配信③音楽サロンでのファンとの交流や演奏指導」。2030年を目途に若手を育成する音楽アカデミーを立ち上げる計画もあるのだそうです。
森精機さんとは現役時代、幾ばくかの接点もありましたが、機械屋さんが音楽の世界にまでウイングを広げる。意外でもあります。そういう懐の広さが世界に通用する工作メーカーに成長していった原点なんだろうと妙に納得してしまいました。
ゼミナールが終わったキャンパスに静かに秋の夕暮れが迫っていました。駐輪場からリュックを背負った学生が1人、また1人と自転車に乗って帰っていきます。イチョウの葉が散り始めたひっそりとした大学のキャンパスを歩いていて、ふと学生時代のことを思い出しました。
私もそういう時代がありました。あの若者たちがこれから歩む50年、いろんなことがあるんでしょうよ。きっと。でも頑張ってほしいなあ。そんなことを思いながら帰途につきました。
きょうは月1回のフランス文学講座でした。テーマは「『知られざる傑作』(バルザック)と映画『美しき諍い女』」。終了後、講師の先生と次期のテーマについて話し合いました。
そして明日は、山本能楽堂の「能活:祝言の能 高砂の巻」です。来月5日には能「班女」、狂言「蝸牛」、能「遊行柳」などを楽しむ予定です。