今日は、鶯の囀りで目を覚ましました。街中が柔らかな若葉に包まれ、1年で最も「生命(いのち)」というものを実感する、そんな空気が街に充満しています。
我が家の庭では、宝塚の清荒神さんにお参りした際に買ったクレマチスが一輪花開きました。山野草の一種ケマンソウも、日陰でひっそりと花をつけています。このケマンソウ、ケシ科に属し、花言葉は「あなたについていく」なのだそうです。なんとも古風な雰囲気を漂わせています。
さて、ここ数ヶ月、私は古典の世界を彷徨っています。「平家物語」「伊勢物語」「土佐日記」と読み進んで、といっても表面をなぞっているだけですが、それでもなんとなく平安、鎌倉時代の人の考え方の一端に触れようとしている私がいます。この春からは、NHK高校講座「古典」の受講生となり、はるか彼方に置き忘れてきた古文の知識を思い出そうとしています。
いま読んでいるのは「今昔物語集」(角川ソフィア文庫)です。時代環境はずいぶん変わっているのに、人の根源的なところは、今も昔も変わりはない。1千年という時空間を行ったり来たりしながら、少しおおらかに現実世界を直視する私がいます。
今日の土曜休日は、家内と一緒に大阪・中之島のフェスティバルホールに出かけました。お目当ては「祝祭大狂言会2015」です。
まずは茂山千五郎・七五三演じる「靭猿」。狩りに出かけた大名が、毛並みの良い子猿を連れた猿曳に出会い、靭の皮を張り替えたいので、子猿の皮を譲れと迫ります。初めは拒否していた猿曳も、最後は泣く泣く了承しますが、小猿を殺すことなんてできやしません。小猿を演じる子役・茂山鳳仁(7)の愛らしい仕草に会場からも笑い声が響きます。最後は大名と小猿が一緒に舞を舞う、なんともほのぼのとした曲でした。
二つ目は、野村万作・萬斎演じる「川上」です。吉野の里に住む盲目の男が主人公。川上の地蔵に開眼を祈願すると願いが叶えられますが、それには長年連れ添った妻と別れることが条件でした。なんと理不尽なことを言うお地蔵さんなんでしょう。でも、二人は別れません。すると、夫の目は再び見えなくなってしまいます。夫婦の情愛が伝わってきます。
そして最後は、野村万作・萬斎、野村又三郎、井上松次郎らが演じる「歌仙」。玉津島明神に奉納した絵馬から6人の歌仙が抜け出てきて月見の宴を張るというものでした。古今和歌集などに登場する歌仙。絶世の美女、小野小町に纏わる仲違いに騒動がエスカレートしますが、時々笑いを誘う楽しい曲でありました。
暗い場内にステージが浮かび上がる非日常の世界に酔いしれ、ふだん使うことの少ない脳味噌の一部がびんびんと唸る、そんな時間を過ごしました。2700席と言われるホールは、ほぼ満席。老若男女たくさんの方々がお越しになっていました。なんだかほっとする空間でした。
明日は、統一地方選挙の第二弾の投票日です。暖かい陽の光を浴びながら花壇のお手入れをしてから出かけることにいたしましょう。そのあとは、少し深刻さを増すお仕事の準備でもいたしましょう。
このところ、土曜の夜のブログ更新が続きます。クラシックプレミアム34号のCD「リスト ピアノ作品集」を聴きながらの作業です。表紙を飾る若き日のマルタアルゲリッチ。私にとっては、若き日のLP時代の憧れのピアニストでもありますが、今も多方面でご活躍です。リタイアしたら別府アルゲリッチ音楽祭に出かけたいと、いつも思っています。