心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

ユビキタス社会に思う

2006-03-19 16:12:21 | Weblog
 このところ、雨が降ったりやんだり急に明るい日差しが表れたりと、目まぐるしく変化する天候が続きます。春に向けてオテントウサマが準備体操をしているかのようです。それでも私には、寒い季節が終わりを告げて暖かい「春」がすぐそこにまで近づいているという期待感のほうが大きく、不順な天候を受け止める気持ちはおおらかです。
 そんな季節の変わり目に、長男君が久しぶりに我が家に帰ってきました。それもお友達を連れて。同じ職場に勤めながら、転勤で東京と鹿児島に分かれて暮らしてきた二人が、いよいよ結婚を決意したようです。親としては安堵というべきか、よくも長い間、遠くに離れていながらお付き合いが続いたものだと感心したものです。最近は、携帯電話あり、インターネットあり、それに飛行機に飛び乗ればすぐ会えるわけですから、それほどに距離感は感じなかったと。お互い仕事が忙しかったのも逆に良かったのかも知れません。こうして我が家に新たなメンバーが加わるとなると、嫁いだ娘も含めて全員集合です。昨日今日と久しぶりに全ての部屋が満室になる賑わいでした。愛犬ゴンタまでが愛想を振りまく始末です。
 我が家も、就職活動を始めた次男君が卒業すれば、来春には子供たち全員が思い思いの方向に巣立っていくことになります。1人ぐらいは家に残ってくれればという思いもなくはありません。しかし、彼らを拘束はしたくないという気持ちが一方にはあって、「どこにでも好きな所に行っといで」と強気にエールを贈ります。悩ましいところです。悲喜こもごもの子育てを終え、けっきょく最後は家内と二人になる。複雑な思いもします。
 先日、ロボット関係の某研究所におじゃまして、未来のユビキタス社会を先取りしたモデルルームを拝見させていただきました。可愛いロボット君と会話しながらテレビをみたり料理をしたり。気持ちの良い目覚めをしたり。隣の部屋では遠隔地から介護サポートをする実験も行われていました。なかでもロボット君との会話は、思いのほか深みがあって、技術の進歩に驚きました。未来の技術社会にある種の期待感を抱きながらも、しかし私には人間に優しいユビキタス社会を夢見るほどにオプティミストにもなり切れません。人間が創り出すユビキタス社会が、家族の絆、人間社会の絆の強化に、どこまで温かい手を差し伸べてくれるのか。そう考えると、やはり最終的には個々の人間の「こころ」の在り様にかかっていることに気づきます。技術は道具と場を提供してはくれるけれども、人と人を繋ぐ絆は、技術で代用することはできないのです。
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