心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

秋の京都・東山界隈

2010-11-23 11:42:39 | Weblog
 きのうからの雨もあがり、雲間から朝の陽が差すそんな秋の祝日、きょうは「勤労感謝の日」です。その由来は「勤労を尊び、生産を祝い、国民が互いに感謝しあうとする日」(広辞苑)なのだそうですが、ウィキペディアによれば「農業国家である日本は、古くから神々に五穀の収穫を祝う風習があった。また、その年の収穫物は国家としてもそれからの一年を養う大切な蓄えとなることから、収穫物に感謝する大事な行事として飛鳥時代の皇極天皇の時代に始まった新嘗祭の日が、第二次世界大戦後のGHQの占領政策によって天皇行事・国事行為から切り離される形で改められたもの」で、私が生まれる2年前の1948年(昭和23年)に公布・施行の祝日法で制定されたとのことです。五穀豊穣を祈り収穫に感謝する、農業国家・日本の文化風土を思いますが、現在の日本農業は環太平洋戦略的経済パートナーシップ協定(TPP)で揺れ動いています。それも時代の流れなんでしょう。でも、心の拠り所まで見失ってしまうようなことはしてほしくありません。

 さてさて、一昨日の日曜日は家内と二人で秋の京都・東山界隈を散策しました。考えてみると、ずいぶんな距離を歩いたことになります。10か月ほど前に足首を骨折した家内の、その後の完治を思わせる歩きぶりでした。以下、写真を交えて時系列に思い起こしてみましょう。
 午前9時50分出発、京阪電車神宮丸太町駅についたのは11時20分頃でした。そこから丸太町通りを東に歩いて行くと、熊野神社があります。金戒光明寺があります。20分ほど歩いて白川通りに出てすぐのところに、昼食を予約していたお店がありました。「岡崎・つる家」に到着です。門の前で番頭さんから「○○さまですか」と温かいお出迎えをいただき、さすがに2年連続してミシュラン三ツ星のお店と納得。長男君の配慮で美味しい京の懐石料理をいただきました。(下の写真は、葉付かぶら風呂吹き。柚子味噌でいただきました)


 そう2時間ほどいたでしょうか。午後2時前にお店を出ると、なお東に向かって歩きます。鹿ヶ谷通りを南に下って第一ポイント、永観堂禅林寺に到着です。なんと観光客の多いことか。人の波を縫うように境内に入ります。でも、モミジの紅葉のなんと美しかったことか。

 なお南に下ると、南禅寺。紅葉ツアーのお決まりコースです。何十台もの観光バスが連なります。ここでお気に入りの場所は、やはり水路閣。琵琶湖疏水事業の一環として明治23年に竣工した水路橋で、西欧技術が導入して間もない頃、日本人の手だけで設計・施行された土木構造物なのだそうです。なにやらローマの時代の水路を彷彿とさせますが、こんなところにも日本の近代化をめざす明治時代の息吹を感じます。

 南禅寺を出ると、人ごみを避けて裏道を散策しながら円山公園方向に向かいます。三条通りから神宮通りに折れて、少し歩き疲れたので青蓮院門跡前の喫茶店パビリオンコートで一服。美味しいコーヒーをいただきました。そのあと、知恩院の三門前を通って円山公園についた頃には、もう4時を回っていました。


 ふだんなら、それで帰途につくのですが、軽く食事を済ませると、この日はもう少し足を伸ばして、臨済宗高台寺のライトアップを見ることに。その高台寺、陽も落ち夜になったというのに、観光客の数は増えるばかりです。暗闇のなかに紅葉の色彩が浮かび上がります。方丈前庭には、イタリアの映像デザイナー、フランチェスコ・サリッゾーニさんによる幽玄の世界がひろがります。でも、こんな風景は、暗闇に独り、あるいは二人で、時間を忘れてぼんやり眺めているのが良いですね。人の多さに少し興ざめでした。


 以上が2010年、京の紅葉風景のひとコマです。今年は例年になく紅葉が美しいのだとか。きょうの休日も、京都は観光客で賑わっているのでしょう。かく言う私は、学生時代から京都に入り浸っていながら、観光客と同じ目線で京の紅葉を眺めたことが、実は一度もありませんでした。なにかふだんとは違う視点で京都・東山界隈を散策した気分でした。

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