台風11号が中四国地方に上陸して、その余波のため近畿地方は昨日から明け方にかけてたくさんの雨が降りました。その数日前には気温が急上昇し全国各地で熱中症患者が多発した直後だったことを思うと、おてんとう様はなんと移り気なんでしょう。
そんなある日のテレビニュースで、天気予報士の方が言っていました。「65歳以上のお年寄りの方は、熱中症に気をつけてください。くれぐれも無理はしないでください」と。そうだよなあと思った次の瞬間、65歳以上??私もあと1ヶ月もすれば65歳。「65歳以上のお年寄り」で一括りにされる「お年寄り」の世代の仲間入りかと、感慨深いものがありました。
雨もあがった今日の昼下がり、畑を覗いてみると、シソの茎にしがみついている夏蝉を見つけました。梅雨明けも近いのでしょう。今日は、トマト、シシトウ、トウモロコシを収穫しました。いずれも本日の食卓にのぼったのは言うまでもありません。
ところで、週も半ば、ブログのお知り合いから一通のメールをいただきました。中古CD店のWALTY Classicalさんが閉店するのだと。7月10日から18日まで50%オフの閉店セールがあって、行ってみたら狭い店内に溢れんばかりの客が殺到していたのだと......。
さっそく仕事帰りに大阪駅前第一ビル地下のWALTY Classicalさんを覗きました。入口の貼り紙には「5月より入院加療中の店主の病状が今も思わしくなく、残念ながらワルティクラシカルの再開は困難であると判断致しました」「店主中岡は店頭には立てませんが、皆様のご来店心よりお願い申し上げます」とありました。
本当に残念なことです。堂島のワルツ堂の閉店に続いて、二度目の閉店セール。奥様も気丈に振舞っておられましたが、さぞかし無念だろうと思います。私にとっても、音楽を通じてたくさんの思い出が詰まったお店を失うことは、寂しいことです。
50%OFFとありましたが、昨日立ち寄ると70%OFFになっていました。老若男女たくさんのお客で賑わっていました。カゴにいっぱいのCDを入れてレジに並ぶ若者、1枚1枚を丁寧に品定めしている年配の方。勤め帰りの会社員、これからコンサートの練習に行くという演奏家の方、シニア世代の方々。それぞれの思いを胸に最後のお買い物でした。
私も、グレン・グールド、マルタ・アルゲリッチ、内田光子、舘野泉、ミッシャ・マイスキーなどのCDを10枚お買い上げでした。それに加えて、どうしても欲しいものがありました。商品棚に静かに立てかけてあったステンドグラス風の小さなガラス細工です。縦横15センチ、厚み1~3センチの置き物ですが、こちらは値引きなしの500円。ほんとうはそんな値段ではないはずです。レジに立つ奥様の視線がなんとなく気になりました。たくさんの思い出が詰まっていたのでしょうか。大切にしたいと思います。
レジを済ませて、ふと私の口から出た言葉。それは「長い間、ありがとうございました」でした。大都会の片隅にひっそりと佇む心のオアシスを、またひとつ失うことになりました。旧ワルツ堂があった所を通り過ぎながら、店主の再度の復活を願わずにはいられませんでした。年齢のせいもあるのでしょうが、ちょっぴり感傷的になったものでした。
昨日は夜遅くまで、何枚かのCDを聴いて過ごしました。そのうちの1枚に「The Young Glenn Gould」というCDがあります。グールドがトロント音楽院でピアノの修了認定を受けた翌年、15歳の時のプライベート録音です。その年に、グールドは初めてソロリサイタルを開いています。
曲名はモーツァルトの「4手のための幻想曲K.594」。他に1952年、つまり私が2歳の頃に録音した、プロコフィエフの「冬の妖精」、ショスタコービッチの「3つの幻想的舞曲」などが収録されています。いずれもモノラル盤です。やや荒削りなところがないわけではないけれども、彼らしさを存分に聞かせてくれます。その数年後、グールドは、あの有名なバッハの「ゴルトベルク変奏曲」(1955年)を録音し、一躍世の注目を集めることになります。そして1981年、「ゴルトベルク変奏曲」を再録音し、その翌年、50歳の若さでこの世を去ります。
今夜は音楽一色のブログになってしまいました。実は今週の日曜日、広島に出張した際に何気なく立ち寄った駅前の中古レコード店GROOVINさんで、舘野泉さんの「シベリウス・ピアノ小品集」を見つけてしまいました。舘野さんが脳梗塞を発症された以前の、まだ若かりし頃の作品です。ほかに2枚。たくさんのCDとLPに囲まれて、この連休を過ごすことになります。これも「65歳以上のお年寄り」の、お気軽なお遊びなんでしょうよ。きっと。