心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

真夏の夜の読書

2010-08-01 10:00:57 | Weblog
 今朝は蝉時雨のなかで心地よく目覚めました。長い年月にわたり地中深くで大きく育った蝉たちの晴れ姿なんです。そんな生命力に励まされます。さあ、いよいよ生まれ月の葉月8月を迎えました。ここ大阪では数日前にざぁっと雨が降って、いくぶん過ごしやすい夜を過ごしましたが、翌日からは猛暑日に逆戻りでした。かのロシアでも史上空前の猛暑に襲われているご時世ですから、贅沢は申しませんが、私の耐久力がどこまで続くのか少し不安ではあります。
 ところで、7月最後の土曜日だった昨日は、午前中、職場で書類の整理をしました。継続中の課題5件分を除いて、机の奥に眠っていた多くの書類をごっそり廃棄しました。前の任期中に完遂できなかった仕事はどこかに問題があったわけですから、ここでいったん過去を断ち切る、というわけです。書類を惜しげもなくシュレッダーに投入する清々しさ。デスクだけでなく、心の奥の蟠りもなくなって、新しい気持ち、新しい視点で新しい任期を迎えることになります。
 書類の整理といえば、先日、梅棹忠夫先生がお亡くなりになりました。直接お目にかかったことはありませんが、著書「知的生産の技術」(岩波新書)は、発想法(川喜田二郎)、整理学(加藤俊秀)、超整理法(野口悠紀雄)などと共に、私がパソコンを日常的なツールとして使い始めた頃、ずいぶんお世話になりました。いま紐解いてみても、「情報の検索、処理、生産、展開についての技術が個人の基礎的素養として大切」「個人の知的武装が必要」「たえざる自己変革と自己訓練が必要」「カード法は歴史を現在化する技術であり、時間を物質化する方法である」「生産的読書法」.....。鉛筆の走り書きが残ります。
 案件ごとにクリアファイルに書類を納めていく手法も、それを時系列に並べていく分類も、さまざまなことを見よう見まねで試しながら自分にあった整理法を考えてきました。節目節目で行う書類の廃棄も、その発展型といってよいでしょう。人間の脳の許容量を考えると自ずから限度があると思うからです。第一、改めて一から考え直すことで妙な拘りを断ち切ることができます。ときたま「あの書類があったら」と思うこともありますが、なければないで別のことを考える、すると新しい発見がある。その瞬間を楽しむ。お気軽なものです。
                   

                   
 きょうは、もうひとつ本のお話をします。待ちに待った塩野七生さんの新シリーズ「十字軍物語」が先週発売されました。題して「絵で見る十字軍物語」、本編に先立っての入門書です。見開き2頁の左頁にギュスターヴ・ドレの挿絵、右頁の上部には挿絵に象徴される当時の地図を示し、その下にエピソードを添えるという形で構成されています。本編は9月以降、来年にかけて3冊刊行の予定なのだそうですが、この暑くて寝苦しい夜に眺めるにはちょうど良いものでした。キリスト教とイスラム教、共に一神教にしてその立場を譲らず、今日に至る長い歴史を背負っている人類史に思いを馳せながら眠りにつく毎日です。
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