今週のカレッジは珍しく生物の授業でした。午前中は植物の多様性について学問的なお話しを聴き、午後からは顕微鏡を使って春の花の雄蕊や雌蕊、花粉などを観察しました。なんだか小学生に戻ったような気分。子どもの頃に一度は見たはずなのに、顕微鏡を覗いて見える神秘的な世界に新鮮な驚きを感じたシニア学生たちでした。
そんなわけで花を見つめる心になんとなく変化が.....。庭に咲くチューリップやライラックの花を摘んでは小さな瓶に挿して愛おしく眺めながら水彩画の練習です。そしてきょうの水彩画教室では、新キャベツと新玉ねぎを画材にお絵描きでした。 そんなカレッジの帰りに、天保山にある大阪文化館で開催中の「中島潔展~”今”を生きる そして伝えたいこと」を覗いてきました。副題には「京都六道珍皇寺“心音図”奉納記念」と記されています。
中島潔さんといえば、月刊雑誌「NHKラジオ深夜便」の表紙を飾る画家です。”風の画家”と呼ばれ、郷愁を誘う童画が私の心にほのかな灯をともします。中島さんの作品には、16年前の春にも、三越大阪店で開催された「中島潔が描く金子みすゞ」展でお目にかかったことがありました。(下の写真はそのときのパンフレットから)
会場には、「故郷の情景より」「襖絵の筆あと」「空の向こうに」「連作”心音図”」「小さな世界」「新しい風(春の風、夏の風、秋の風、冬の風)」のテーマごとに130作品が展示されていました。ケント紙に水彩で描かれた作品のひとつひとつに静かに向かい合っていると、心の奥底にしまい込んでいたものがぼんやりと浮かんできます。子どもの頃の風景が蘇ります。(下の写真はショップで買った絵葉書)
今回の展覧会では、中島さんが京都六道珍皇寺所蔵の「熊野観心十界図」と出会い、地獄絵という新しいテーマに向き合った作品も登場します。おぞましい地獄絵。.....仏事のたびに飾られた地獄絵の掛け軸を、子どもの頃恐る恐る見たことがあります。母から、嘘をついたら閻魔さまに舌を抜かれるよ、悪いことをしたら地獄に落ちて熱湯の中に放り込まれるよ、だから嘘をついたり悪いことはしてはいけないよ、と。
そういえば、最近の子どもたちはこんな経験はしませんね。バーチャルな世界で殴り合いのゲームに興じることに違和感を持たない。それが常態化して、平気で親殺しや子殺しをする。そんな記事が後を絶ちません。大人の世界だって、昨今の政治の劣化には目に余るものがあります。非合理のなかに潜む真実。何か大切なものを失いつつあるような気がいたします。
そういえば、生物の先生がおっしゃっていました。(私の受け止め方に誤解があるのかもしれませんが)昆虫の世界でいう「共生」とは、騙し騙されあう中でほど良く種が維持されているのだと。「共生」「多様性」という格好いい言葉の現実を突きつけられたような気がしました。でも、分かったような、分かっていないような........。少しお勉強してみたいと思っています。
今月の「ラジオ深夜便」の表紙絵は「蜂と子犬」でした。その本の中に、作家・佐伯泰英さんのエッセイ「シチリア島の時の流れは」に目がとまりました。シラクーサ、パレルモ。そして映画の「ゴッドファーザー」「ニュー・シネマ・パラダイス」に、マッシモ劇場......。
実はそのシチリアに、今月の下旬に出かけてきます。職を辞して以後、毎年一回、シニア夫婦で思い入れのある海外へ出かけています。一昨年はドイツ、オーストリア。昨年はカナダ、アメリカへ。そして今年は南イタリア、シチリア島に決めました。健康寿命が続く限り続けるつもりですが、これも終活の一環なのかもしれませんね(笑)。
イタリアには20年ほど前に、ナポリ以北の主要都市を回ったことがあります。イタリアに魅せられて、その後、塩野七生さんの「ローマ人の物語」全43巻(新潮文庫)ほか諸作品をむさぼり読みました。今回の再訪にあたり、その中の「ハンニバル戦記(上)(中)(下)」を再読しました。ポエニ戦役といえば、キリスト教誕生以前の、2200年も前のお話しです。タイムスリップし過ぎの感なきにしもあらずですが、塩野さんの小気味よいイタリア古代史をおさらいしました。さあて、どんな旅になりますかどうか。
そうそう、5月に予定している「歩き遍路」企画も、おおよその目途がつきました。今回は、大阪から高速バスで室戸に直行。そこから高知市内に向かう2泊3日の行程になります。25番札所・津照寺から何カ寺巡ることができるか否か、もう少し精査中ですが、とりあえず今日、26番札所・金剛頂寺界隈と27番札所・神峯寺界隈のふたつの民宿の予約を済ませました。室戸までの高速バスの切符も確保しました。あとは高知駅から大阪に帰る高速バスの予約を近日中に終えれば、とりあえず準備完了です。.......それにしても、あっちに行ったりこっちに行ったり。なんとまあ、呑気なシニアであることか(笑)。
コメントをありがとうございました。
歳をとっても好奇心だけは旺盛なもので(笑)、あっちに行ったり、こっちに行ったりの毎日です。
5月の歩き遍路は、午後2時頃に室戸を出発してその日のうちに25、26番札所を、翌日に27番札所をお参りする計画です。
問題は最終日です。大阪行きの高速バスの出発時刻が17時頃ですから、なんとか頑張って28、29、そして30番札所の善楽寺までは行きたいなあと思っていますが、さあてどうなることやら。暑くなってきますから、あとは体調次第かと。
いずれにしても、無理はせず、のんびり歩いてこようと思っています(笑)。
貴重なアドバイスをありがとうございました。
いろいろな方面に 興味を 持たれていて…
画や本は 心の栄養ですね。
イタリア旅行の後は、歩き遍路。
すごいですね。
高知は、私達も、甲浦駅前から、歩き
高知で夜行バスに乗り 名古屋経由で
家に帰りました。
25.26.27番札所を、まわられるようですね。その後に なるのかどうか?
野市辺りは、とても良かったです。
安芸に、野良時計があります。
印象深かったです。
高知は、長いですが、少しずつ気をつけて歩いてください。