ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

9月に読んだ本

2016-10-01 08:13:21 | 読書
9月は12冊しか読めなかった。
ポケモンGOにはまったせいだと思う。

◆アンマーとぼくら(有川浩)
沖縄好きで、10回以上行っています。
美しい海と独特の雰囲気を背景に綴られる血のつながっていない母子の思い出旅行。家族って良いなーと心から思えるお話でした。

◆カササギの計略 (才羽楽)(宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
序盤は、ボーイミーツガール的な話か、はたまた「陽だまりの彼女」的なやつか、いや、それだと「カササギの計略」の題名と矛盾する、などと思いながら読み進めました。
キーマンというか、黒幕が誰かは想像がつくのですが、これが大賞選考者の言うところのホワイトどんでん返し?けっこうブラックだと思いました。

◆コンビニ人間(村田沙耶香)
話題の芥川賞受賞作。
出る杭は妬まれ、落ちこぼれは、迷惑をかけているとか関係なしに、周囲と同じことができないというだけで攻撃を受けてしまう。不適格者の烙印を押されないためには、ひたすら逃げるか、自分のシェルターを見つけるか。
「あんたたちみたいな人はDNA残すな」って、白羽さんの義妹みたいに不寛容な人、ネットの書き込みとか見てるといますよね。
誰かを攻撃することで自分が安心できるのでしょう、怖いです。

◆永遠とは違う一日(押切もえ)
「ふきげんな女たちと桜色のバッグ」「しなくなった指輪と七日間」「抱擁とハンカチーフ」「甘くないショコラと有給休暇」「バラードと月色のネイル」「失格した天使と神様のノート」、山本周五郎賞候補になった、頑張る女性たちの短編連作。
先入観抜きで読ませていただきましたが、なかなかによく書けているんではないでしょうか。

◆あの日(小保方晴子)
STAP細胞事件の張本人の告白本。
本件は専門外の人が訳知り顔で批判してはいけない、理解するためには高度な専門性が必要な話、キメラマウスの経緯なんて、全然知らなかった。
STAP細胞の共同研究者の著者がたまたま若い女性だったがために、周囲が必要以上にすごいものとして持ち上げて、マスコミもそれに乗って、そしてはしごを外した。
再現できなかったのは小保方さんではなく若山教授の責任範囲。結果優秀な研究者が命を失い、将来有望な若き才能が夢と将来を奪われた。
現代では、ペンを持つものが圧倒的に強い。これは、葬り去られた絶対弱者の精いっぱいの反撃。私はカタルシスを感じました。

◆逆説の日本史 22 明治維新編: 西南戦争と大久保暗殺の謎(井沢元彦)
このシリーズもいよいよ明治。
司馬遼太郎の「この国のかたち」に、西郷が汚職に走る井上、山県を指して「(倒した)徳川に申し訳ない」と言ったとあった。清濁併せのんで権力闘争に勝ち抜き、国づくりにまい進する大久保とあくまで存念を通し、旧武士層と心中してしまう西郷。
その大久保も暗殺され、維新後10年にしてすべてのリーダーを失ってしまった日本。結果を知っている自分も「さあ、どうなる」と思うくらいに歴史はドラマチック。
補講の護憲派や朝日新聞に対する非難は、その通りと思いますが、それにしても井沢さん、しつこい。

「新潮文庫の100冊」読破に挑戦中、今月は
◆さくら聖・咲く: 佐倉聖の事件簿 (畠中恵)
畠中恵さんの佐倉聖シリーズ第二弾。
とある元大物政治家の事務所を舞台にしたちょっと異常な日常系ミステリー。気軽に楽しく読みました。

◆美しい星 (三島由紀夫)
どう考えても普通の人間の大杉家の人々と羽黒助教授ら3人。この両陣営が宇宙人を自称、客観的な立場に立って、人類の未来はありかなしかを論じる。
この小説が書かれた1962年って、冷戦の真っ最中、米ソの核開発に、本気で核戦争を懸念していた頃で、時代を感じます。
でも、そこは三島由紀夫、観念的な論争は、彼の心の中の善悪のせめぎあい?ラストはどう理解したらよいのかな。
来年映画化されるんですってね。相当に換骨奪胎しないと、今の人が映像で理解できる話にならないのではと心配してしまいます。

◆月と六ペンス (サマセット・モーム0)
名作ですよね。なぜ学生時代に読んでいなかったのかわからないけど、初読みでした。
芸術の持つ魔性なんでしょうか。人生の他のものすべてを失っても求めなくてはいけないもの、自分には理解できないだけに至高なものを感じます。
原田マハさんの小説の影響で印象派の絵画を見るようになったのですが、ゴーギャンの絵も見てみます。
訳者、金原ひとみさんのお父上ですよね、なかなかに読みやすかったです。

◆フォルトゥナの瞳 (百田尚樹)
なるほど、「永遠の0」「海賊とよばれた男」の印象が強かったのですが、百田さん、ちょっと宮部みゆきさんっぽいというか、こういうのも書けるのですね。
文章が読みやすくて、分厚い本のわりにはさくっと読めました。途中からは展開が読めて、読み進めるのがつらかったですけどね。

◆絶望名人カフカの人生論 (フランツ・カフカ)
「新潮文庫の100冊」のおかげで面白い本に出合えました。笑っちゃいます。
でも、学生時代に読んだらちょっと違った感想を持ったかもしれない。
これを笑っちゃえる大人になれて、良かったです。

集英社文庫のナツイチから、1冊だけ。
■夜空の下で
益田ミリさんの漫画+宇宙館勤務の安藤和真さんの宇宙にまつわる小話。
平凡な市井の人が日常生活でふと夜空を見上げる瞬間。
何を思うかは人それぞれだけど。子供のころ、伊豆の片田舎で見た満天の星空、天の川を思い出しました。素敵な本でした。
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