いまさらですが、9月に読んだ本の総括。
◆続・終物語
西尾維新さんの新刊、本人があってもなくても良かった話というだけに、実にとりとめのない。
臥煙遠江さんが初登場、いきなり暦くんと混浴。強いて回収された伏線といえば、花物語で男になっていた忍野扇か、でもこれで説明付いているのかな。いずれにしても全18冊、長い間暦くんたちに振り回された自分としては、感慨深いものがあります、、、って、「接物語」って何だ!ネクストシーズンって何だ!
まだ続くのかよ。嬉しさ半分、またやられた感半分。
新潮文庫から、ノンフィクションを2冊。
◆桶川ストーカー殺人事件―遺言 (清水 潔)
ストーカー規制法が出来る切っけになった事件、真実を暴いたのは、当時写真週刊誌の記者だった著者でした。
久々に、自分の「正義感」というものに点火をさせてくれた本でした。
犯人グループの非道さはもちろんなのですが、警察ですよね、上尾署!
署員一人ひとりは悪人ではないと思います(当たり前ですよね、警察官なんだから)。
でも、組織が腐るってのはこういうこと、それが恐ろしい。
◆沈黙の春 (レイチェル カーソン)
化学薬品に対する警鐘。
センセーショナルな内容ではあるのですけど、古いですよね、50年前の話です。
この本の中で盛んに言われているディルドリン、クロールデン、ヘプタクロールなどはとっくの昔に世界的に使用禁止になっているし、日本でも沖縄のウリミバエを退治するのに、不妊化したオスのウリミバエを使用したという話をどっかのTV番組で見ました。それも1970年代の話。
当時とは環境に対する認識が根本的に変わっているし、この本はこの本でいいのですけど、今現在の最先端の技術や発想のトレンドがどうなっているのか、すごく知りたい気がします。
小説が6本
◆走れメロス(太宰治)
「ダス・ゲマイネ」「女生徒」「走れメロス」は再読、「満願」「富嶽百景」「駆け込み訴え」「東京八景」「帰去来」「故郷」は初読でした。
いつもの自堕落で自虐的で露悪的で厭世的な太宰さんでしたが「満願」と「走れメロス」は別物。
「満願」は短いけどよく考えられた抒情的な小説ですね。
「東京八景」「帰去来」「故郷」はほぼ事実に基づいているのでしょうが、それにしてもすさまじい半生です。
◆羅生門・鼻 (芥川 龍之介)
「羅生門」は中学の教科書以来かも。これと「鼻」以外は初読でした。
平安末期の王朝ものですが、「袈裟と盛親」等、今まで知らなかった作品が深いです。「邪宗門」が未完なのが残念。
◆ノックの音が (星 新一)
電車の中で一気に読み終えました。
オチを予想しながら読んでたのですが、まあ、当たったり、当たらなかったり。楽しめました。古さを感じさせませんね。
◆あの日の僕らにさよなら (平山 瑞穂)
面白かった。衛くんに自分を完全に重ねて読んでました。
私は衛くんより全然歳なので、中高生の頃の痛い自分を完全に客観視というか、別の人みたいに振り返れますけど。
最近旧友に久々で会う機会が増えてきました。
昔の友人のピンチを知ったときは駆けつけるような、お互いの人生を語り合うとき、少しでも相手に元気を与えられるような、そんな関係を作っていけたらいいなと思います。
◆ラブレス (桜木 紫乃)
なぜか位牌を握り締めて、孤独な死の床につく杉山百合江。
彼女の、傍目には行き当たりばったりで悲惨な人生を、本人はどう思っていたのか。
重いお話だけど、百合江さん、良い最期でしたね。
堅実で現実的な妹と対比して、どっちが幸せな人生なのか。LOVELESSとは微妙なタイトルをつけたものです。位牌を巡る真実にはやられました。
◆ナニワ・モンスター (海堂 尊)
序盤は数年前の新型ウィルスインフルエンザや最近のデング熱を思わせる展開だったのですが、後半はいろいろ盛り過ぎだったかな。
◆ヒート(堂場 瞬一) ((実業之日本社文庫)
堂場さんのマラソンの話と来ては、読まざるを得ません。
前作「チーム」の続編、というよりも、傲慢スーパーランナー山城悟シリーズ、ですね。でも主人公は甲本剛の方かな。
面白いことは面白かったけど、「チーム」ほどには感動しませんでした。
山城に世界記録を作らせようと完璧とも思われるお膳立てをする主催者。それをぶち壊す甲本と山城が痛快。
でも、山城さん、ちょっとひねくれすぎですよね。
東海道マラソンのコース、第一回横浜マラソンと一部かぶってます。ちなみに私、横浜マラソン落選しました。
◆小さいおうち(中島 京子) (文春文庫)
市井の人からみた戦争、「少年H」よりこっちの方がリアリティがあるかな。
僕の子供の頃はいろんな人が戦争体験を語ってくれたけど、戦争と聞いただけで思考停止の全否定をするのは、戦中に小学生だった世代の方達が多く、これも戦後教育の賜物なのでしょう。
その上の世代の方たちは、そこまでは手のひらを返さなかった。もう69年、戦争は遠くなりました。
これって、恋愛小説だったりもするんですね。渡されなかった手紙、渡さなかったその理由が、平井家と奥様を守るためだけでなかったから、タキおばあちゃんはあんなに号泣したのでしょうか。
◆蹴りたい背中(綿矢 りさ) (河出文庫)
金原ひとみの「蛇にピアス」と芥川賞をW受賞した時に、文藝春秋で読んで以来の再読。
友達を作らないのか、作れないのか、とにかく絹代以外に友達のいない、高校生のハツの、自分でも気づかない不器用な恋心、と言っていいのでしょうか。
ハツが自分の殻を破る日も、そう遠くないような気もしますが。絹代は大人だし、イイ子ですよね。
◆GOSICKsIV‐ゴシックエス・冬のサクリファイス‐(桜庭 一樹) (角川文庫)
聖マルグリット学園でリビング・チェスが行われた冬の一日。
ブロワ警部の髪型がなぜああなったのか、部下のイアンとエバンがなぜ手をつないでいるのか、ビクトリカが解決した過去の事件が語られる、平和な一日のお話。
このシリーズの再読もあと2冊。
◆そうだったのか!日本現代史(池上 彰) (集英社文庫)
本棚整理で処分する前に再読。
わかりやすい池上解説を二度も読んだおかげで、内容は完全に頭に入りました。
社会党の消滅は力なき組織の崩壊って感じで哀れですね。
で、分かったので、予定通りブックオフに持っていきます。
◆老いてこそ人生 (石原 慎太郎)(幻冬舎文庫)
10年ほど前に読んだときはさほど何とも思わなかったのですが、今回は心に沁みました。
マラソンのタイムが落ちる、故障が治らない、その他書きにくいことも含め、この10年で老いを感じたということか。
色即是空、諸行無常、老いと死が避けられないことを知らない人はいないけど、自分が老いるということを体感するまで信じられないのもまた事実。
必ず負ける老いとの戦いに果敢に挑み続けること、そしてそんな自分を評価し、褒めてやること。年を重ねる毎に楽しさが増していくような、そんな人生を送りたいと思います。
◆続・終物語
西尾維新さんの新刊、本人があってもなくても良かった話というだけに、実にとりとめのない。
臥煙遠江さんが初登場、いきなり暦くんと混浴。強いて回収された伏線といえば、花物語で男になっていた忍野扇か、でもこれで説明付いているのかな。いずれにしても全18冊、長い間暦くんたちに振り回された自分としては、感慨深いものがあります、、、って、「接物語」って何だ!ネクストシーズンって何だ!
まだ続くのかよ。嬉しさ半分、またやられた感半分。
新潮文庫から、ノンフィクションを2冊。
◆桶川ストーカー殺人事件―遺言 (清水 潔)
ストーカー規制法が出来る切っけになった事件、真実を暴いたのは、当時写真週刊誌の記者だった著者でした。
久々に、自分の「正義感」というものに点火をさせてくれた本でした。
犯人グループの非道さはもちろんなのですが、警察ですよね、上尾署!
署員一人ひとりは悪人ではないと思います(当たり前ですよね、警察官なんだから)。
でも、組織が腐るってのはこういうこと、それが恐ろしい。
◆沈黙の春 (レイチェル カーソン)
化学薬品に対する警鐘。
センセーショナルな内容ではあるのですけど、古いですよね、50年前の話です。
この本の中で盛んに言われているディルドリン、クロールデン、ヘプタクロールなどはとっくの昔に世界的に使用禁止になっているし、日本でも沖縄のウリミバエを退治するのに、不妊化したオスのウリミバエを使用したという話をどっかのTV番組で見ました。それも1970年代の話。
当時とは環境に対する認識が根本的に変わっているし、この本はこの本でいいのですけど、今現在の最先端の技術や発想のトレンドがどうなっているのか、すごく知りたい気がします。
小説が6本
◆走れメロス(太宰治)
「ダス・ゲマイネ」「女生徒」「走れメロス」は再読、「満願」「富嶽百景」「駆け込み訴え」「東京八景」「帰去来」「故郷」は初読でした。
いつもの自堕落で自虐的で露悪的で厭世的な太宰さんでしたが「満願」と「走れメロス」は別物。
「満願」は短いけどよく考えられた抒情的な小説ですね。
「東京八景」「帰去来」「故郷」はほぼ事実に基づいているのでしょうが、それにしてもすさまじい半生です。
◆羅生門・鼻 (芥川 龍之介)
「羅生門」は中学の教科書以来かも。これと「鼻」以外は初読でした。
平安末期の王朝ものですが、「袈裟と盛親」等、今まで知らなかった作品が深いです。「邪宗門」が未完なのが残念。
◆ノックの音が (星 新一)
電車の中で一気に読み終えました。
オチを予想しながら読んでたのですが、まあ、当たったり、当たらなかったり。楽しめました。古さを感じさせませんね。
◆あの日の僕らにさよなら (平山 瑞穂)
面白かった。衛くんに自分を完全に重ねて読んでました。
私は衛くんより全然歳なので、中高生の頃の痛い自分を完全に客観視というか、別の人みたいに振り返れますけど。
最近旧友に久々で会う機会が増えてきました。
昔の友人のピンチを知ったときは駆けつけるような、お互いの人生を語り合うとき、少しでも相手に元気を与えられるような、そんな関係を作っていけたらいいなと思います。
◆ラブレス (桜木 紫乃)
なぜか位牌を握り締めて、孤独な死の床につく杉山百合江。
彼女の、傍目には行き当たりばったりで悲惨な人生を、本人はどう思っていたのか。
重いお話だけど、百合江さん、良い最期でしたね。
堅実で現実的な妹と対比して、どっちが幸せな人生なのか。LOVELESSとは微妙なタイトルをつけたものです。位牌を巡る真実にはやられました。
◆ナニワ・モンスター (海堂 尊)
序盤は数年前の新型ウィルスインフルエンザや最近のデング熱を思わせる展開だったのですが、後半はいろいろ盛り過ぎだったかな。
◆ヒート(堂場 瞬一) ((実業之日本社文庫)
堂場さんのマラソンの話と来ては、読まざるを得ません。
前作「チーム」の続編、というよりも、傲慢スーパーランナー山城悟シリーズ、ですね。でも主人公は甲本剛の方かな。
面白いことは面白かったけど、「チーム」ほどには感動しませんでした。
山城に世界記録を作らせようと完璧とも思われるお膳立てをする主催者。それをぶち壊す甲本と山城が痛快。
でも、山城さん、ちょっとひねくれすぎですよね。
東海道マラソンのコース、第一回横浜マラソンと一部かぶってます。ちなみに私、横浜マラソン落選しました。
◆小さいおうち(中島 京子) (文春文庫)
市井の人からみた戦争、「少年H」よりこっちの方がリアリティがあるかな。
僕の子供の頃はいろんな人が戦争体験を語ってくれたけど、戦争と聞いただけで思考停止の全否定をするのは、戦中に小学生だった世代の方達が多く、これも戦後教育の賜物なのでしょう。
その上の世代の方たちは、そこまでは手のひらを返さなかった。もう69年、戦争は遠くなりました。
これって、恋愛小説だったりもするんですね。渡されなかった手紙、渡さなかったその理由が、平井家と奥様を守るためだけでなかったから、タキおばあちゃんはあんなに号泣したのでしょうか。
◆蹴りたい背中(綿矢 りさ) (河出文庫)
金原ひとみの「蛇にピアス」と芥川賞をW受賞した時に、文藝春秋で読んで以来の再読。
友達を作らないのか、作れないのか、とにかく絹代以外に友達のいない、高校生のハツの、自分でも気づかない不器用な恋心、と言っていいのでしょうか。
ハツが自分の殻を破る日も、そう遠くないような気もしますが。絹代は大人だし、イイ子ですよね。
◆GOSICKsIV‐ゴシックエス・冬のサクリファイス‐(桜庭 一樹) (角川文庫)
聖マルグリット学園でリビング・チェスが行われた冬の一日。
ブロワ警部の髪型がなぜああなったのか、部下のイアンとエバンがなぜ手をつないでいるのか、ビクトリカが解決した過去の事件が語られる、平和な一日のお話。
このシリーズの再読もあと2冊。
◆そうだったのか!日本現代史(池上 彰) (集英社文庫)
本棚整理で処分する前に再読。
わかりやすい池上解説を二度も読んだおかげで、内容は完全に頭に入りました。
社会党の消滅は力なき組織の崩壊って感じで哀れですね。
で、分かったので、予定通りブックオフに持っていきます。
◆老いてこそ人生 (石原 慎太郎)(幻冬舎文庫)
10年ほど前に読んだときはさほど何とも思わなかったのですが、今回は心に沁みました。
マラソンのタイムが落ちる、故障が治らない、その他書きにくいことも含め、この10年で老いを感じたということか。
色即是空、諸行無常、老いと死が避けられないことを知らない人はいないけど、自分が老いるということを体感するまで信じられないのもまた事実。
必ず負ける老いとの戦いに果敢に挑み続けること、そしてそんな自分を評価し、褒めてやること。年を重ねる毎に楽しさが増していくような、そんな人生を送りたいと思います。
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