「新潮文庫の100冊」「ナツイチ(集英社文庫)」「カドフェス(角川文庫)」、各社の夏フェスも始まり、夏は読書の季節。
今月は29冊、結構読めた。
新潮文庫が8冊。
◆アメリカひじき・火垂るの墓 (野坂昭如)
子供は弱い。年配の方でも何歳の時に戦争体験をしたかであの戦争に対する印象が違う。昭和5年生まれの著者の表現には怨念を感じる。
「アメリカひじき」「プアボーイ」は諧謔的な、「死児を育てる」は不気味な秀作と思うが、他はただひたすら読みづらかった。
◆ジキルとハイド (スティーヴンソン)
ジキルとハイドといえばだれもが知ってる二重人格の代名詞、その割には小説は初読みでした。
人間の二面性を薬物で制御できるようになるなんてとんだ思い上がり、冒涜、ってことでしょうか。
◆いなくなれ、群青 (河野裕)
この持って回ったような文章にデジャヴ感があったのですが、河野裕さん、「サクラダリセット」の人でした。
あの時は最初は「これは面白い」と思ったのですが、無理目の設定とマンネリで結局3巻で読むのをやめてしまいました。
これもピュアな感じが何ともいえない良いお話なのですが、やはり続けて読んだら3巻くらいで飽きそうな気もします。
◆ぼくのおじさん (北杜夫)
北杜夫さん、中学生の頃に読んでたので懐かしい。芥川賞作家なのに、「どくとるマンボウ」とか「船乗りクプクプ」とか、シリアスな話とユーモアのある 話の落差が、、、
「新潮文庫の100冊」に入っていたので久々に作品を手にしたのですが、映画化されるって。今更感が、、、。
◆きらきらひかる (江國香織)
ホモの夫にアル中で適応障害の妻、もちろんセックスレスの上に、夫の恋人と友達付き合いまでしている、マイノリティの夫婦。でも、世間体のための偽装結婚ではない。妥協などしていない、二人は純粋に望んでそうなったのだ。
両親を含め周囲に全く理解されないという障害を乗り越えた、これも立派に一つの愛のカタチ、なんとも江國さんらしいお話。
ただし、私は全く共感できませんでした。
◆もたない男 (中崎タツヤ)
「じみへん」作者の驚愕生活。役に立つ部分は全くなく、共感できる部分もほとんどなく、ただ変わった人だなと思いました。
「捨てるのが気持ちいい」というのは分かりますが、100均で2個セットのものを買ったら1個捨てるとか、ボールペンの芯を切るとか、さっぱり理解できない。良く生きることに対する意欲そのものが薄い人なのかな。
だから、漫画がおもしろいのか。
◆ウケる技術 (水野敬也,小林昌平,山本周嗣)
「自分の周りで起こるすべてのことは自分のとったコミュニケーションの結果である」コミュニケーションはただでできるサービス、言ったもん勝ち、というのが私の信条なので、基本的な考え方は賛同できるのですが、個々のコンテンツについては、まあ、参考程度に留めておきます。
おっさんはおっさんの味を出さないと。
◆「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー (高橋秀実)
嵐の二宮くん主演でドラマにもなりましたよね、これ。
私は都立高校のバレー部で東京都ベスト8だったが(そういえば開成高校もベスト16か32だった)、ベスト4のチームとは歴然とした実力差があり、春高バレー(都で2チーム出場可)など夢にも考えられなかった。
1試合も負けられないトーナメント戦を勝ち進むにはまず下位に取りこぼさない安定感が必要。コンスタントにベスト4に入る実力とシードになる実績があってこその金星であり、甲子園と思う。
選手も監督もOBもそれが分かっているのに、著者だけがそれを理解せずに騒いでいるという印象。
考えること、合理性は大切だけど、一番大切なことは基本、スポーツも、仕事も。
角川文庫が9冊。
◆幽落町おばけ駄菓子屋 (蒼月海里・角川ホラー文庫)
全然ホラーではありません。
ラノベ感覚の妖ものほのぼの系ファンタジー・コメディでした。
『迷うなら行動しなさい。逃げれば君が知るはずだった真実を一つ、失うことになる』
続きものになっているのですよね。気が向いたら読んでみます。
◆バッテリー (あさのさつこ)
アニメも見てるけど、やはり小説はアニメより深い。
天上天下唯我独尊男、原田巧。傲慢、無神経、天邪鬼、でもその裏にあるのは親の愛への渇望とか、そんなものかもしれない。
それよりも、巧の母親も、豪の母親も、母親ってのはどうしてこうなんだろう。自分の都合でものを考えているくせに、無意識下で「あなたのことを考えて、、」とすり替えるから始末が悪い。
この先を読むのが楽しみというよりも、もどかしくてつらい。
◆学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話(坪田信貴)
なんとなくばかにしていて今まで読んでなかったのですが、読んでみて意外にも面白く、感動もしました。
なによりも巻末のさやかちゃんからの手紙がすばらしい。人間ここまで自分の想いを素直に正直にそして的確に書けるものか、人間の成長する力ってのはすごいものだなと。
私も、さやかちゃんほどではないけど、大学受験では奇跡の現役合格と言われましたので、周囲の雰囲気は分かります。担任の先生の椅子から落ちそうになってびっくりしていた顔を思い出しました。
◆怖い絵 (中野京子)
原田マハさんの影響で自分も少しは絵画のことを知るようになってきたのですが、、、絵画も小説同様に行間から感じなければいけないのですね。
それにベースとして旧約・新約聖書、ギリシャ・ローマ神話が入っていなければならない。奥深い!
ドガの踊り子の事情は原田さんの「ジヴェルニーの食卓」で知っていましたが、後は知らない話ばかり、ネットで調べながらだったので、思いのほか読むのに時間がかかりました。
◆ぼくらの七日間戦争 (宗田理)
去年普通の文庫本で読んだものを、角川つばさ文庫で再読。この歳になって中学時代の友達と会う機会が増えたけど、楽しかったよね、中学時代って。
◆時をかける少女 (筒井康隆)
カドフェス2016挑戦中につき、角川つばさ文庫のものを再読。扉絵がいとうのいぢさんだ!O(≧▽≦)O
◆坊っちゃん (夏目漱石)
つばさ文庫で何度目かの再読。赤シャツが帝大卒であることを匂わせる部分、日露戦争の戦勝祝いを思わせる部分がカットされていたかもしれないが、大勢に影響なし、坊ちゃんは、お子様向けの角川つばさ文庫でも十分に面白い。
◆ちょっと今から仕事やめてくる (北川恵海・メディアワークス文庫)
んー、さすがにここまでひどい会社はそんなにないと思うけど、、、会社でこんな啖呵をきれたら、気持ちいいだろーなーとは思います。
でも、まあ、おじさんは、周囲の若い人たちを少しでも幸せにできるように、地道に踏ん張るかな。ファイト!
◆ねこまたのおばばと物の怪たち (香月日輪)
毎度おなじみ香月さんの世界。
「大人も子供も、そうたいしてかわんねぇんらよ」は実感。
集英社文庫が2冊。
◆漫画版 日本の歴史〈6〉安土桃山時代・江戸時代1 (池上裕子,阿部高明,荘司としお)
ナツイチ2016に入っていたので読んだのだが、、、私は歴史ヲタなので、これは不必要でした。
◆猫の手、貸します 猫の手屋繁盛記 (かたやま和華)
ファンタジー仕立て江戸人情話。主人公の猫太郎(宗太郎)のキャラがほほえましい。
あとは単行本が10冊。
文庫本のフェア中にあえて読んだ本、いずれも秀作ぞろいでした。
◆君の膵臓をたべたい(住野よる)
今年の本屋大賞第二位、前評判の高い本なので「そう簡単には感動しないぞ」という思いで読み始めたのですが、不覚にも感動してしまいました。
奇異なタイトル、不治の病に侵されながらもステレオタイプに明るい彼女、前半はやや退屈で、月並みな展開を予想しましたが、最後は思っていたのとちょっと違った。
完結はされなかったけど通じていた二人の想いやエンディングに読後感は爽やかです。
◆サブマリン(伊坂幸太郎)
陣内さん、45歳になっても陣内さんでした。しかも長編でたっぷり楽しめました。
ところで、題名がなぜ「サブマリン」なんだろうか?
◆Aではない君と(薬丸岳)
子を持つ親として、そしてその子と今一つコミュニケーションがうまく取れていない、子から自分がどう思われているか今一つ自信のない親として、身につまされる思いで、読み進むのが怖かったけど、でも一気に読んだ。
◆ポイズンドーター・ホーリーマザー(湊かなえ)
第155回直木賞候補作。
「ポイズンドーター」「ホーリーマザー」、自分も小さいころは母親にずいぶんといろいろ言われたなと、昔のことを思い出してしまった。
子供なんて視野は狭いし親の庇護がなければ何もできない存在で、でも子供が親を超えるときは来る。野生の動物のように親離れ、子離れができれば、ややこしいことは起きないのに。
「罪深き女」「優しい人」、思い込みは怖い、客観的な判断力、洞察力のない人も困ったもの。
◆ナイルパーチの女子会(柚月麻子)
15年の山本周五郎賞受賞作品。
柚月さんの作品は「ランチのアッコちゃん」シリーズはつまらなかったが、これと「本屋さんのダイアナ」はなかなか面白かった。
最初でグッと引き込まれたが、中盤からは栄利子と真織が異常すぎてリアリティが無くなってしまった。
私も商社勤務だがこんな正社員も派遣社員もいない。最後までそれなりに読ませたが、お仕事小説っぽい雰囲気がなくなってしまったのが惜しい。
◆女王はかえらない (「このミス」大賞シリーズ)(降田天)
昨年の「このミス」大賞受賞作。
小学校4年のクラスで、クラスの女王を巡り、クラスを二分した争いが続く。
やられないように注意して読んでいたのだけどやられました。語り部のおっさんが不自然だなとは思っていたのですが、そっちか。
負け惜しみですけど、多少展開に無理があるような気もします。
いやミス系で読後感は(良い意味で)良くないです。
◆サラバ! 上(西加奈子)
何気なく、普通のことのように語られる主人公の少年時代、すごい母と姉の元で、波瀾万丈の人生です。
私も、妻、小学生の息子と幼稚園の娘を連れて海外赴任したことがあるので、子供は子供なりに、異国の地でどのような思いをしたのかななんて、改めて思いました。
それにしても、思春期の男のことをよくここまでかけるな。
読後感想は下巻を読んでから。
◆王とサーカス(米澤穂信)
昨年の「このミス」「文春ミステリー」「ミステリが読みたい」三冠作品。
実際にあったネパール王室の悲劇を題材にした長編。王室の惨劇の取材を進めるうちに殺人事件に巻き込まれる大刀洗万智、すわ、これは大スクープか!?と思わせて、、、
謎解きは何となく目星がついたのだが、その背後に潜む敵意、悪意の持ち主までは読めなかった。
報道はどうあるべきかを考えさせられた。ただのミステリではない、米澤さんの作品の中でも最高傑作かも。面白かった。
◆真実の10メートル手前(米澤穂信)
「王とサーカス」と同じ記者・太刀洗万智シリーズ。彼女の性格を反映してか、多くを語らない、淡々としたミステリー、頭脳明晰で論理的な彼女のそのキャラに惹かれるかどうかで評価が決まってしまう。
私はこのシリーズ、結構気に入りました。第155回の直木賞候補作。
◆教団X(中村文則)
あの暗い作風の芥川賞作家、中村文則さんが、これまたずいぶん雰囲気が違うエンタメ小説を書いたものだなと思いながら読んでいたのですが、最後の最後になって「これは、もしや純文学だったのでは」と思い至りました。
そう考えれば、確かに、一人が語り始めるとグダグダ長かったし、、、でも今更読み返す気力もなかったので、、、将来文庫本化されたときに気が向いたら再読してみることにします。
今月は29冊、結構読めた。
新潮文庫が8冊。
◆アメリカひじき・火垂るの墓 (野坂昭如)
子供は弱い。年配の方でも何歳の時に戦争体験をしたかであの戦争に対する印象が違う。昭和5年生まれの著者の表現には怨念を感じる。
「アメリカひじき」「プアボーイ」は諧謔的な、「死児を育てる」は不気味な秀作と思うが、他はただひたすら読みづらかった。
◆ジキルとハイド (スティーヴンソン)
ジキルとハイドといえばだれもが知ってる二重人格の代名詞、その割には小説は初読みでした。
人間の二面性を薬物で制御できるようになるなんてとんだ思い上がり、冒涜、ってことでしょうか。
◆いなくなれ、群青 (河野裕)
この持って回ったような文章にデジャヴ感があったのですが、河野裕さん、「サクラダリセット」の人でした。
あの時は最初は「これは面白い」と思ったのですが、無理目の設定とマンネリで結局3巻で読むのをやめてしまいました。
これもピュアな感じが何ともいえない良いお話なのですが、やはり続けて読んだら3巻くらいで飽きそうな気もします。
◆ぼくのおじさん (北杜夫)
北杜夫さん、中学生の頃に読んでたので懐かしい。芥川賞作家なのに、「どくとるマンボウ」とか「船乗りクプクプ」とか、シリアスな話とユーモアのある 話の落差が、、、
「新潮文庫の100冊」に入っていたので久々に作品を手にしたのですが、映画化されるって。今更感が、、、。
◆きらきらひかる (江國香織)
ホモの夫にアル中で適応障害の妻、もちろんセックスレスの上に、夫の恋人と友達付き合いまでしている、マイノリティの夫婦。でも、世間体のための偽装結婚ではない。妥協などしていない、二人は純粋に望んでそうなったのだ。
両親を含め周囲に全く理解されないという障害を乗り越えた、これも立派に一つの愛のカタチ、なんとも江國さんらしいお話。
ただし、私は全く共感できませんでした。
◆もたない男 (中崎タツヤ)
「じみへん」作者の驚愕生活。役に立つ部分は全くなく、共感できる部分もほとんどなく、ただ変わった人だなと思いました。
「捨てるのが気持ちいい」というのは分かりますが、100均で2個セットのものを買ったら1個捨てるとか、ボールペンの芯を切るとか、さっぱり理解できない。良く生きることに対する意欲そのものが薄い人なのかな。
だから、漫画がおもしろいのか。
◆ウケる技術 (水野敬也,小林昌平,山本周嗣)
「自分の周りで起こるすべてのことは自分のとったコミュニケーションの結果である」コミュニケーションはただでできるサービス、言ったもん勝ち、というのが私の信条なので、基本的な考え方は賛同できるのですが、個々のコンテンツについては、まあ、参考程度に留めておきます。
おっさんはおっさんの味を出さないと。
◆「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー (高橋秀実)
嵐の二宮くん主演でドラマにもなりましたよね、これ。
私は都立高校のバレー部で東京都ベスト8だったが(そういえば開成高校もベスト16か32だった)、ベスト4のチームとは歴然とした実力差があり、春高バレー(都で2チーム出場可)など夢にも考えられなかった。
1試合も負けられないトーナメント戦を勝ち進むにはまず下位に取りこぼさない安定感が必要。コンスタントにベスト4に入る実力とシードになる実績があってこその金星であり、甲子園と思う。
選手も監督もOBもそれが分かっているのに、著者だけがそれを理解せずに騒いでいるという印象。
考えること、合理性は大切だけど、一番大切なことは基本、スポーツも、仕事も。
角川文庫が9冊。
◆幽落町おばけ駄菓子屋 (蒼月海里・角川ホラー文庫)
全然ホラーではありません。
ラノベ感覚の妖ものほのぼの系ファンタジー・コメディでした。
『迷うなら行動しなさい。逃げれば君が知るはずだった真実を一つ、失うことになる』
続きものになっているのですよね。気が向いたら読んでみます。
◆バッテリー (あさのさつこ)
アニメも見てるけど、やはり小説はアニメより深い。
天上天下唯我独尊男、原田巧。傲慢、無神経、天邪鬼、でもその裏にあるのは親の愛への渇望とか、そんなものかもしれない。
それよりも、巧の母親も、豪の母親も、母親ってのはどうしてこうなんだろう。自分の都合でものを考えているくせに、無意識下で「あなたのことを考えて、、」とすり替えるから始末が悪い。
この先を読むのが楽しみというよりも、もどかしくてつらい。
◆学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話(坪田信貴)
なんとなくばかにしていて今まで読んでなかったのですが、読んでみて意外にも面白く、感動もしました。
なによりも巻末のさやかちゃんからの手紙がすばらしい。人間ここまで自分の想いを素直に正直にそして的確に書けるものか、人間の成長する力ってのはすごいものだなと。
私も、さやかちゃんほどではないけど、大学受験では奇跡の現役合格と言われましたので、周囲の雰囲気は分かります。担任の先生の椅子から落ちそうになってびっくりしていた顔を思い出しました。
◆怖い絵 (中野京子)
原田マハさんの影響で自分も少しは絵画のことを知るようになってきたのですが、、、絵画も小説同様に行間から感じなければいけないのですね。
それにベースとして旧約・新約聖書、ギリシャ・ローマ神話が入っていなければならない。奥深い!
ドガの踊り子の事情は原田さんの「ジヴェルニーの食卓」で知っていましたが、後は知らない話ばかり、ネットで調べながらだったので、思いのほか読むのに時間がかかりました。
◆ぼくらの七日間戦争 (宗田理)
去年普通の文庫本で読んだものを、角川つばさ文庫で再読。この歳になって中学時代の友達と会う機会が増えたけど、楽しかったよね、中学時代って。
◆時をかける少女 (筒井康隆)
カドフェス2016挑戦中につき、角川つばさ文庫のものを再読。扉絵がいとうのいぢさんだ!O(≧▽≦)O
◆坊っちゃん (夏目漱石)
つばさ文庫で何度目かの再読。赤シャツが帝大卒であることを匂わせる部分、日露戦争の戦勝祝いを思わせる部分がカットされていたかもしれないが、大勢に影響なし、坊ちゃんは、お子様向けの角川つばさ文庫でも十分に面白い。
◆ちょっと今から仕事やめてくる (北川恵海・メディアワークス文庫)
んー、さすがにここまでひどい会社はそんなにないと思うけど、、、会社でこんな啖呵をきれたら、気持ちいいだろーなーとは思います。
でも、まあ、おじさんは、周囲の若い人たちを少しでも幸せにできるように、地道に踏ん張るかな。ファイト!
◆ねこまたのおばばと物の怪たち (香月日輪)
毎度おなじみ香月さんの世界。
「大人も子供も、そうたいしてかわんねぇんらよ」は実感。
集英社文庫が2冊。
◆漫画版 日本の歴史〈6〉安土桃山時代・江戸時代1 (池上裕子,阿部高明,荘司としお)
ナツイチ2016に入っていたので読んだのだが、、、私は歴史ヲタなので、これは不必要でした。
◆猫の手、貸します 猫の手屋繁盛記 (かたやま和華)
ファンタジー仕立て江戸人情話。主人公の猫太郎(宗太郎)のキャラがほほえましい。
あとは単行本が10冊。
文庫本のフェア中にあえて読んだ本、いずれも秀作ぞろいでした。
◆君の膵臓をたべたい(住野よる)
今年の本屋大賞第二位、前評判の高い本なので「そう簡単には感動しないぞ」という思いで読み始めたのですが、不覚にも感動してしまいました。
奇異なタイトル、不治の病に侵されながらもステレオタイプに明るい彼女、前半はやや退屈で、月並みな展開を予想しましたが、最後は思っていたのとちょっと違った。
完結はされなかったけど通じていた二人の想いやエンディングに読後感は爽やかです。
◆サブマリン(伊坂幸太郎)
陣内さん、45歳になっても陣内さんでした。しかも長編でたっぷり楽しめました。
ところで、題名がなぜ「サブマリン」なんだろうか?
◆Aではない君と(薬丸岳)
子を持つ親として、そしてその子と今一つコミュニケーションがうまく取れていない、子から自分がどう思われているか今一つ自信のない親として、身につまされる思いで、読み進むのが怖かったけど、でも一気に読んだ。
◆ポイズンドーター・ホーリーマザー(湊かなえ)
第155回直木賞候補作。
「ポイズンドーター」「ホーリーマザー」、自分も小さいころは母親にずいぶんといろいろ言われたなと、昔のことを思い出してしまった。
子供なんて視野は狭いし親の庇護がなければ何もできない存在で、でも子供が親を超えるときは来る。野生の動物のように親離れ、子離れができれば、ややこしいことは起きないのに。
「罪深き女」「優しい人」、思い込みは怖い、客観的な判断力、洞察力のない人も困ったもの。
◆ナイルパーチの女子会(柚月麻子)
15年の山本周五郎賞受賞作品。
柚月さんの作品は「ランチのアッコちゃん」シリーズはつまらなかったが、これと「本屋さんのダイアナ」はなかなか面白かった。
最初でグッと引き込まれたが、中盤からは栄利子と真織が異常すぎてリアリティが無くなってしまった。
私も商社勤務だがこんな正社員も派遣社員もいない。最後までそれなりに読ませたが、お仕事小説っぽい雰囲気がなくなってしまったのが惜しい。
◆女王はかえらない (「このミス」大賞シリーズ)(降田天)
昨年の「このミス」大賞受賞作。
小学校4年のクラスで、クラスの女王を巡り、クラスを二分した争いが続く。
やられないように注意して読んでいたのだけどやられました。語り部のおっさんが不自然だなとは思っていたのですが、そっちか。
負け惜しみですけど、多少展開に無理があるような気もします。
いやミス系で読後感は(良い意味で)良くないです。
◆サラバ! 上(西加奈子)
何気なく、普通のことのように語られる主人公の少年時代、すごい母と姉の元で、波瀾万丈の人生です。
私も、妻、小学生の息子と幼稚園の娘を連れて海外赴任したことがあるので、子供は子供なりに、異国の地でどのような思いをしたのかななんて、改めて思いました。
それにしても、思春期の男のことをよくここまでかけるな。
読後感想は下巻を読んでから。
◆王とサーカス(米澤穂信)
昨年の「このミス」「文春ミステリー」「ミステリが読みたい」三冠作品。
実際にあったネパール王室の悲劇を題材にした長編。王室の惨劇の取材を進めるうちに殺人事件に巻き込まれる大刀洗万智、すわ、これは大スクープか!?と思わせて、、、
謎解きは何となく目星がついたのだが、その背後に潜む敵意、悪意の持ち主までは読めなかった。
報道はどうあるべきかを考えさせられた。ただのミステリではない、米澤さんの作品の中でも最高傑作かも。面白かった。
◆真実の10メートル手前(米澤穂信)
「王とサーカス」と同じ記者・太刀洗万智シリーズ。彼女の性格を反映してか、多くを語らない、淡々としたミステリー、頭脳明晰で論理的な彼女のそのキャラに惹かれるかどうかで評価が決まってしまう。
私はこのシリーズ、結構気に入りました。第155回の直木賞候補作。
◆教団X(中村文則)
あの暗い作風の芥川賞作家、中村文則さんが、これまたずいぶん雰囲気が違うエンタメ小説を書いたものだなと思いながら読んでいたのですが、最後の最後になって「これは、もしや純文学だったのでは」と思い至りました。
そう考えれば、確かに、一人が語り始めるとグダグダ長かったし、、、でも今更読み返す気力もなかったので、、、将来文庫本化されたときに気が向いたら再読してみることにします。
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