ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

17年10月に読んだ本

2017-11-06 00:48:37 | 読書
10月は15冊と、いつもの月に比べちょっと少な目。「新潮文庫の100冊」を読了してしまったので、気が抜けた状態?。

まずは文庫本を5冊。
◆DIVE!! 下 (森 絵都)(角川文庫)
高飛び込みのルールを初めて知った。自分はメジャーなバレーボールをやっていたので、競技人口600人のスポーツって、マイナー感が半端なくて、そこがまた良い。
アニメで結末は知ってしまっていたのだが、それでもハラハラ、ドキドキ。要一、飛沫、そして知季、同じクラブに所属する3人がオリンピック出場をかけて激突する、勇気、友情、勝利、少年ジャンプっぽい王道のスポ根ものは個人的にすごく好き。
 
◆鳥人計画(東野 圭吾) (角川文庫)
鳥人計画自体を、科学的トレーニング手法と思うか、非人間的なものと感じるかどうかで、小説の感想が変ってくる。自分は思考回路が体育会系なので割と肯定派。
驚愕の謎解きはさすが東野さん!でも、ちょっとこねくりまわし過ぎという気がしないでもない。
 
◆八月の六日間 (北村 薫)(角川文庫)
思わず「あれ、北村薫さんって、女性の方だっけ?」と思ってしまった。それくらい自然な文章。
私も一時期トレランにはまっていた時期があって、奥多摩や箱根を縦走、富士山や噴火してしまった御嶽山も登った。心の洗濯に、また山に行きたくなってしまった。
 
◆壇蜜日記(壇 蜜) (文春文庫)
壇蜜、いいですね。自然体、マイペース、それにウィットにとんだ自虐ネタ。「椅子が空いていたのではない。自分で椅子を作った」「だから壊すのも自分」という自負も清々しい。
 
◆それでも、日本人は「戦争」を選んだ (加藤 陽子)(新潮文庫)
以前単行本で読んだが、改めて新潮文庫で再読。
日本近代史を、結果として学ぶのではなく、当時の日本人が何を考え、どうしてそういう決断をしたのか、リアルタイムで歴史を考える本。遅れて近代国家になった日本が、どのような問題に直面し、自主独立を守るためにどんな決断をしたのか、その判断基準が徐々に変質していくさまが見て取れる。
すぐそばに対日感情が悪い大国や、ちびデブのロケットマンの国がある日本だからこそ、歴史を考える習慣は必要と思う。
 
アニメ化された本を2冊。
◆十二大戦(西尾 維新)
「物語シリーズ」「忘却探偵シリーズ」以外の西尾維新さんは初めて。
バトルシーンがかなりグロい感じ、どんな画になるのか楽しみ。
 
◆キノの旅 the Beautiful World (時雨沢恵)
03年にアニメになったものの再アニメ化、といっても前回のアニメは見ていない。
旅人キノが相棒の二輪車エルメスと独自の文化、風習を持つ国々を巡る、1話完結の寓話っぽい短編集。アニメと並行して、本も読もうと思うが、10巻以上あるのか!
 
ミステリーが4冊。
◆恋と禁忌の述語論理 (井上 真偽)
難しすぎて、何回か寝落ちした(笑)。
アラサー独身美女で天才数理学者のヒロインとその姪っ子の大学生という設定はラノベっぽくていいのだけど、本格ミステリの推理を硯さんがさらに否定する展開は、とても頭がついていかない。著者の頭の中はどのようになっているのかと感心した。
最後はウエオロさんまで登場して、まるで「その可能性はすでに考えた」の番外編。余韻を残したエピローグは、これもシリーズ化する魂胆?
 
◆不発弾(相場英雄)
山一、オリンパス、そして東芝、あったねー、こういう事件。東芝は、今はもっと大変なことになっているけど。
世の中のルールがどんどん変わっていって、それに追いついていけずに表面を糊塗しようとすると、このようにはまってしまう。その時の担当責任者には気の毒だけど、問題をすぐ処理することを怠ると、個人ではなく法人が致命傷を受けてしまう。
相場さんの小説は「ガラパゴス」以来だけど、この作品も同様に社会派ミステリー。
ちょっと伏線の回収が早すぎて、序盤である程度展開の検討がついてしまうのがやや難点。
 
◆リバーサイド・チルドレン (梓崎 優)
カンボジアでゴミ拾いをして暮らすストリート・チルドレン、その中になぜか日本人の子供が。
前半はドキュメンタリー・タッチ、本格ミステリー展開は中盤以降。消去法によって犯人が絞り込まれていくが、殺人の動機はよく理解できなかった。
 
◆狩人の悪夢(有栖川 有栖)
有栖川有栖の火村英生シリーズを読むのは「鍵のかかった男」に続いて2作目。
人気ホラー作家宅の「悪夢を見る部屋」、手首を切断された死体、さらには容疑者まで同様の死体で発見され、中盤で犯人は全く分からなくなる。
本格ミステリながら殺害の動機も納得できるし、火村が犯人を追いつめる様はまさに狩人。これぞ正統派ミステリー。
また、白布施と有栖川の作家同士の議論も、江沢鳩子の編集者としての職業意識も、青臭くて良い。
もうすぐ年末恒例の「このミス!」等ミステリー本のランキングが発表となるが、この作品、5位までくらいにランクインするのでは。
 
◆BUTTER(柚木 麻子)
現実の木島香苗死刑囚とこの小説のカジマナは別人、フィクションとして読めばいいのだろうが、私は納得できない。最高裁で死刑確定後も、この本の通り獄中結婚し、反省のかけらもない脳天気なブログを綴っている木島死刑囚。実際の事件をモチーフに、ここまでそっくりな小説を書くのであれば、カジマナの心の闇、殺意を書いてくれないと、木島香苗に殺された人は浮かばれない。
それとも、これって、木島香苗擁護小説ですか?
 
◆敵の名は、宮本武蔵(木下 昌輝)
8月に読んだばかりなんだけど、また読みたくなって再読。一般的な武蔵のイメージは吉川英治の「宮本武蔵」で作られたもの、それとは全く違う武蔵像がここにある。
前半は凄惨な戦乱の世の底辺の武芸者の生きざまが描かれる。その中でも圧倒的に救いのないのが武蔵の父、無二斎。それが6話目の「無二の十字架」ですべてひっくり返る、殺しのカタルシス。
デビュー作の「宇喜多の捨て嫁」と似た展開で、面白さもまたデビュー作とそん色ない。これで157回直木賞候補作は「月の満ち欠け」「BUTTER」「あとは野となれ大和撫子」と4つ読んだが、私が選考委員だったら本作が直木賞。
 
ちょっと変わった本を2冊。
◆マンガで教養 やさしい仏像
ブログを読ませていただいている「ぬこ」さんお勧めの本だったので、読んでみた。
マンガとあなどってはいけない。仏教、仏像についての知識で、曖昧だったことが随分クリアになった。
 
◆日本人なら知っておきたい! カミサマを味方につける本(井戸理恵子)
「なにごとの おはしますかは しらねども かたじけなさに なみだこぼるる」
なるほど、「カミ」の語源は「醸す」なのか。
一神教の創造者の概念とは全く違う自分たち日本人のDNA。知らず知らずにそのようにふるまっていることを、知った上で大切にすることが、自分が日本人であるために大切なことと思った。
本の内容と裏腹に、タイトルは「カミサマを味方につける」と大胆で不遜。これはちょっといただけない。
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