読んだ本の数は19冊でした。
28日しかなかった割には良く読んだ方かな。
◆太陽のパスタ、豆のスープ(宮下奈都) (集英社文庫)
この本を手に取った理由は、13年のナツイチで、篠田麻里子さまが書評を書いていたから。
男性目線の一方的な意見ですが、譲があすわと別れたくなった気持ち、分かります。
自分らしく生きること、自分らしいって何?自分の頭で考え、自分の思った通りに行動する踏ん切りみたいなものかな。
自分の人生、自分の力で楽しくしてやる!って思います。
◆69(シクスティナイン) (村上龍)(集英社文庫)
青春グラフティ、ですね。
村上龍さんは私より少し上の世代だけど、「すべては女にモテたいため」、いつの時代も、高校生の男の考えることは一緒です。
若さとは、いつの世も無軌道なもの。
自分にとっても、高校の3年間は、かけがえのない、懐かしい、忘れることのできない時代でした。
◆三匹のおっさん ふたたび (有川浩)(新潮文庫)
有川さんの文庫本はすべて読むことにしているので、次は何が文庫になるのか楽しみにしていました。これで23冊目。
相変わらず面白い、痛快娯楽小説。私もおっさんなのですが、こういうおっさんに素直に憧れます。
偽三匹にはならないように、謙虚に、それと身体、鍛えよっと。
「好きだと言えずに初恋は」は、「植物図鑑」のイツキくんの若き日ですね。
◆サマーウォーズ (岩井恭平)(角川文庫)
映画は見たが、ストーリーはほとんど忘れていた。そうそう、こんなお話だった。
よくもまあ、これだけごちゃ混ぜにいろんな要素をつぎ込んだものだ。でも、それが、なんとなくよくまとまって、スケールの大きな娯楽作品に仕上がってます。
これ、映画と小説、両方いっとかないと良く分からないかも。
◆獣の奏者 I 闘蛇編、 II 王獣編(上橋菜穂子)
良くできた世界観、良くできたファンタジーです。真王と大公、権威と世俗のパワーバランス、そして美しい王獣と醜い闘蛇。
巧妙な対立の図式とエリンが置かれた複雑な立場が子供にも分かるように、実に分かりやすく描かれています。
「守り人」シリーズもいいけど、これもなかなか。
◆ダブル・ファンタジー〈上〉〈下〉 (村山由佳) (文春文庫)
村山さんの作品は「海を抱く」「天使の卵」についで3作目。「海を抱く」のヒロイン同様、奈津もエロい。
志澤一狼太が良い。省吾はモラハラってやつでしょうか、さくらももこや三船美佳もこんな感じだったのかな。
そんな性欲が強くて恋愛体質の女、奈津がどんどん本性をだしていく。
ひとたび抑圧から解放されると、底が知れず、省吾はもちろん一狼太歯がたたないです。うーん、これは、男はしんどい。
ダブルファンタジーというよりも、スケールが違うというか、やはり男は女にはかなわない。
奈津さん、そりゃ、さびしくもなりますって。
◆遺体: 震災、津波の果てに (石井光太)(新潮文庫)
海外の妙な場所で変にナマナマしいレポートを書く石井光太さん、今回のはすべてインタビューによる伝聞情報。
日本のTVは津波が町を破壊するさまは報じても、遺体は映さない。淡々とした書きぶりに、改めて2万人近い人命を奪ったのは原発ではなく津波なのだということを再認識しました。
自分も何回か震災ボランティアに行きましたが、最初に行った11年8月に見たあの光景は忘れられません。
あの時、私たち日本人の心には、間違いなく、自分も何かをしなければという強い「公」の気持ちがありました。
あの気持を忘れないようにしたいと思います。
◆「サバを読む」の「サバ」の正体: NHK 気になることば (新潮文庫)
ことばってのは日々変化しているものなんだな。間違っていると決めつけないようにしないと。結構役にたったような、でも、そうでもないような。
◆64(ロクヨン) 上(横山秀夫) (文春文庫)
13年のこのミス大賞1位、本屋大賞2位。文庫本が出たので早速購入。未解決の誘拐事件をめぐる警察内部の確執。緊迫した、重苦しい展開にいきなり引き込まれました。そして事態は思わぬ方向へ動き始める。まだ上巻なんで、下巻を読むのが楽しみです。
◆砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (桜庭一樹)(角川文庫)
桜庭一樹さんの初期の作品ですが、何とも言えない重苦しさは「私の男」に共通するところがある。
最初から結末のわかっている、犯人もほぼ予想通りの人で、ミステリーとは言えない。
自分が人魚とか、現実逃避で作り上げた哀しい虚構の世界、ついにそこから抜け出せなかった海野藻屑が哀れ。
でも彼女の砂糖菓子の弾丸はなぎさやその兄、周囲の人を救った、と思いたい。
◆羆嵐 (吉村昭)(新潮文庫)
吉村昭さんの本は「ポーツマスの旗」「戦艦武蔵」「零式戦闘機」に続いて4冊目、戦争がらみでないのは初めて。
吉村さん、綿密な取材に基づいたくどいくらいの筆致は、どんなテーマでも変わりません。
熊って、出合い頭にびっくりして人を襲うのかと思ってましたが、羆って、人を喰うんですね。
熊も自然の一部、自然の猛威の前に普通の人間は無力、羆が人間を貪る様の描写は実に不気味。
自然に抗うことに魅せられた孤高の老猟師が見事。
◆夕映え天使(浅田次郎) (新潮文庫)
浅田次郎さんの短編集。
浅田さんの作品は「地下鉄に乗って」「壬生義士伝」に続き3作目だけど、多才ですね、浅井さん。「夕映え天使」「切符」みたいな、三丁目の夕日っぽい昭和を描いたものがあると思えば、「特別な一日」みたくいきなり伊坂幸太郎っぽいSFになったり。
「夕映え天使」「丘の上の白い家」が良かった。
◆光媒の花(道尾秀介) (集英社文庫)
いつもすっかり騙される道尾作品ですが、これは趣が違いました。
一匹の白い蝶が見守る人間模様、心に宿る暗い影、罪の意識、そして諦観。裏返しの袋の中に世界のすべてを入れた少女、でも袋は破れてしまう。
6編の短編、それが相互につながり、後半に行くにしたがって少しずつ白い光、希望が見え始める。淡い美しさを感じる作品でした。
◆そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります(川上未映子) (講談社文庫)
独特のことばと感性といえば聞こえは良いが、この人の頭の中はどうなっているのだろうと思った。
秀逸は「フラニーとゾーイーやねん」。彼女がサリンジャーの「フラニーとゾーイー」を訳すとこうなる。
「あんな、フラニーな、制度を相手に戦争でもおっぱじめたろかゆうんやったら、頭ええ女の子らしい鉄砲の撃ち方を、せえや」
ちなみに村上春樹さんの同じ個所の訳は「もし君がそのシステムに戦いを挑むなら、君は育ちの良い知性のある娘として、相手を撃たなくちゃいけない」。
川上さんの完訳「フラニーとゾーイー」、ぜひ読んでみたい。
◆螺鈿迷宮 (海堂尊) (角川文庫)
海棠さんの小説は「ジーンワルツ」「ナニワモンスター」に次いで3作目ですが、これは、主人公の名前が天馬大吉だったり、キャラ設定とか、舞台設定が、なんか、アニメかラノベっぽい。
終末医療と医療行政、オートプシィ・イメージング、重苦しいテーマを専門知識を駆使しての小説の割には、あまりシリアスさを感じない、いい意味で娯楽作品に仕上がっているのは、それ故でしょうか。
◆インストール (河出文庫)
この小説を書いたのが17歳の女子高生だという事実にびっくり。
芥川賞受賞作の「蹴りたい背中」もだけど、綿矢さんの主人公は、地味で、変り者で、自分のことがよく分かってない危うさがあって、その分かってなさ加減を絶妙の筆致で描いていて、表現にも適度に個性があって、うまいなーって思う。
◆横道世之介 (吉田修一)(文春文庫)
地方から出てきた青年の、ありふれた大学1年生の1年間の話。
横道世之介、自然体で、気が利かないけど、純情で、憎めない、いいやつです。祥子ちゃんとのお付き合いも微笑ましい。
何となく最初から世之介にフラグが立っちゃっていたので、やっぱりかと思って、読み進めるのがつらかったですけど、久々に良いお話を読ませていただきました。
映画もぜひ見てみたい。
28日しかなかった割には良く読んだ方かな。
◆太陽のパスタ、豆のスープ(宮下奈都) (集英社文庫)
この本を手に取った理由は、13年のナツイチで、篠田麻里子さまが書評を書いていたから。
男性目線の一方的な意見ですが、譲があすわと別れたくなった気持ち、分かります。
自分らしく生きること、自分らしいって何?自分の頭で考え、自分の思った通りに行動する踏ん切りみたいなものかな。
自分の人生、自分の力で楽しくしてやる!って思います。
◆69(シクスティナイン) (村上龍)(集英社文庫)
青春グラフティ、ですね。
村上龍さんは私より少し上の世代だけど、「すべては女にモテたいため」、いつの時代も、高校生の男の考えることは一緒です。
若さとは、いつの世も無軌道なもの。
自分にとっても、高校の3年間は、かけがえのない、懐かしい、忘れることのできない時代でした。
◆三匹のおっさん ふたたび (有川浩)(新潮文庫)
有川さんの文庫本はすべて読むことにしているので、次は何が文庫になるのか楽しみにしていました。これで23冊目。
相変わらず面白い、痛快娯楽小説。私もおっさんなのですが、こういうおっさんに素直に憧れます。
偽三匹にはならないように、謙虚に、それと身体、鍛えよっと。
「好きだと言えずに初恋は」は、「植物図鑑」のイツキくんの若き日ですね。
◆サマーウォーズ (岩井恭平)(角川文庫)
映画は見たが、ストーリーはほとんど忘れていた。そうそう、こんなお話だった。
よくもまあ、これだけごちゃ混ぜにいろんな要素をつぎ込んだものだ。でも、それが、なんとなくよくまとまって、スケールの大きな娯楽作品に仕上がってます。
これ、映画と小説、両方いっとかないと良く分からないかも。
◆獣の奏者 I 闘蛇編、 II 王獣編(上橋菜穂子)
良くできた世界観、良くできたファンタジーです。真王と大公、権威と世俗のパワーバランス、そして美しい王獣と醜い闘蛇。
巧妙な対立の図式とエリンが置かれた複雑な立場が子供にも分かるように、実に分かりやすく描かれています。
「守り人」シリーズもいいけど、これもなかなか。
◆ダブル・ファンタジー〈上〉〈下〉 (村山由佳) (文春文庫)
村山さんの作品は「海を抱く」「天使の卵」についで3作目。「海を抱く」のヒロイン同様、奈津もエロい。
志澤一狼太が良い。省吾はモラハラってやつでしょうか、さくらももこや三船美佳もこんな感じだったのかな。
そんな性欲が強くて恋愛体質の女、奈津がどんどん本性をだしていく。
ひとたび抑圧から解放されると、底が知れず、省吾はもちろん一狼太歯がたたないです。うーん、これは、男はしんどい。
ダブルファンタジーというよりも、スケールが違うというか、やはり男は女にはかなわない。
奈津さん、そりゃ、さびしくもなりますって。
◆遺体: 震災、津波の果てに (石井光太)(新潮文庫)
海外の妙な場所で変にナマナマしいレポートを書く石井光太さん、今回のはすべてインタビューによる伝聞情報。
日本のTVは津波が町を破壊するさまは報じても、遺体は映さない。淡々とした書きぶりに、改めて2万人近い人命を奪ったのは原発ではなく津波なのだということを再認識しました。
自分も何回か震災ボランティアに行きましたが、最初に行った11年8月に見たあの光景は忘れられません。
あの時、私たち日本人の心には、間違いなく、自分も何かをしなければという強い「公」の気持ちがありました。
あの気持を忘れないようにしたいと思います。
◆「サバを読む」の「サバ」の正体: NHK 気になることば (新潮文庫)
ことばってのは日々変化しているものなんだな。間違っていると決めつけないようにしないと。結構役にたったような、でも、そうでもないような。
◆64(ロクヨン) 上(横山秀夫) (文春文庫)
13年のこのミス大賞1位、本屋大賞2位。文庫本が出たので早速購入。未解決の誘拐事件をめぐる警察内部の確執。緊迫した、重苦しい展開にいきなり引き込まれました。そして事態は思わぬ方向へ動き始める。まだ上巻なんで、下巻を読むのが楽しみです。
◆砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (桜庭一樹)(角川文庫)
桜庭一樹さんの初期の作品ですが、何とも言えない重苦しさは「私の男」に共通するところがある。
最初から結末のわかっている、犯人もほぼ予想通りの人で、ミステリーとは言えない。
自分が人魚とか、現実逃避で作り上げた哀しい虚構の世界、ついにそこから抜け出せなかった海野藻屑が哀れ。
でも彼女の砂糖菓子の弾丸はなぎさやその兄、周囲の人を救った、と思いたい。
◆羆嵐 (吉村昭)(新潮文庫)
吉村昭さんの本は「ポーツマスの旗」「戦艦武蔵」「零式戦闘機」に続いて4冊目、戦争がらみでないのは初めて。
吉村さん、綿密な取材に基づいたくどいくらいの筆致は、どんなテーマでも変わりません。
熊って、出合い頭にびっくりして人を襲うのかと思ってましたが、羆って、人を喰うんですね。
熊も自然の一部、自然の猛威の前に普通の人間は無力、羆が人間を貪る様の描写は実に不気味。
自然に抗うことに魅せられた孤高の老猟師が見事。
◆夕映え天使(浅田次郎) (新潮文庫)
浅田次郎さんの短編集。
浅田さんの作品は「地下鉄に乗って」「壬生義士伝」に続き3作目だけど、多才ですね、浅井さん。「夕映え天使」「切符」みたいな、三丁目の夕日っぽい昭和を描いたものがあると思えば、「特別な一日」みたくいきなり伊坂幸太郎っぽいSFになったり。
「夕映え天使」「丘の上の白い家」が良かった。
◆光媒の花(道尾秀介) (集英社文庫)
いつもすっかり騙される道尾作品ですが、これは趣が違いました。
一匹の白い蝶が見守る人間模様、心に宿る暗い影、罪の意識、そして諦観。裏返しの袋の中に世界のすべてを入れた少女、でも袋は破れてしまう。
6編の短編、それが相互につながり、後半に行くにしたがって少しずつ白い光、希望が見え始める。淡い美しさを感じる作品でした。
◆そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります(川上未映子) (講談社文庫)
独特のことばと感性といえば聞こえは良いが、この人の頭の中はどうなっているのだろうと思った。
秀逸は「フラニーとゾーイーやねん」。彼女がサリンジャーの「フラニーとゾーイー」を訳すとこうなる。
「あんな、フラニーな、制度を相手に戦争でもおっぱじめたろかゆうんやったら、頭ええ女の子らしい鉄砲の撃ち方を、せえや」
ちなみに村上春樹さんの同じ個所の訳は「もし君がそのシステムに戦いを挑むなら、君は育ちの良い知性のある娘として、相手を撃たなくちゃいけない」。
川上さんの完訳「フラニーとゾーイー」、ぜひ読んでみたい。
◆螺鈿迷宮 (海堂尊) (角川文庫)
海棠さんの小説は「ジーンワルツ」「ナニワモンスター」に次いで3作目ですが、これは、主人公の名前が天馬大吉だったり、キャラ設定とか、舞台設定が、なんか、アニメかラノベっぽい。
終末医療と医療行政、オートプシィ・イメージング、重苦しいテーマを専門知識を駆使しての小説の割には、あまりシリアスさを感じない、いい意味で娯楽作品に仕上がっているのは、それ故でしょうか。
◆インストール (河出文庫)
この小説を書いたのが17歳の女子高生だという事実にびっくり。
芥川賞受賞作の「蹴りたい背中」もだけど、綿矢さんの主人公は、地味で、変り者で、自分のことがよく分かってない危うさがあって、その分かってなさ加減を絶妙の筆致で描いていて、表現にも適度に個性があって、うまいなーって思う。
◆横道世之介 (吉田修一)(文春文庫)
地方から出てきた青年の、ありふれた大学1年生の1年間の話。
横道世之介、自然体で、気が利かないけど、純情で、憎めない、いいやつです。祥子ちゃんとのお付き合いも微笑ましい。
何となく最初から世之介にフラグが立っちゃっていたので、やっぱりかと思って、読み進めるのがつらかったですけど、久々に良いお話を読ませていただきました。
映画もぜひ見てみたい。
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