3月は21冊読みました。
2月に続き20冊越え、まずまず読めました。
昨年の「新潮文庫の100冊」「カドブン」「ナツイチ」制覇、挑戦継続中。「カドブン」から6冊、「ナツイチ」から5冊、「新潮」は全冊読了済みなのですが、単行本で読んだものを1冊 文庫本で再読。これで「カドブン2022」は残り8冊になりました。
◆再生 角川ホラー文庫ベストセレクション
綾辻 行人、鈴木 光司、井上 雅彦、福澤 徹三、今邑 彩、岩井 志麻子、小池 真理子、澤村伊智、新旧とりまぜ8名の豪華メンバーによるホラー・アンソロジー。
岩井さんののみ既読。澤村さんのは、比嘉姉妹シリーズの前日譚でしょうか。綾辻さんのはそう来ましたかって感じで、どれも楽しめました。
◆か「」く「」し「」ご「」と「 (住野よる・新潮文庫)
単行本で既読でしたが、文庫本で再読しました。住野さんの小説の中ではこれが一番好き。
高校生の仲良し5人組は、それぞれ他人の心の動きが分かる超能力と自分だけの秘密を持っている。見た目以上にいろんなことを考え、悩み、仲間の心を慮る仲良し5人組のその青春真っただ中ぶりが実に良い。住野さん、若者の心理描写、上手いなー。
◆金の角持つ子どもたち (藤岡陽子・集英社文庫)
いーですねー。私も中学受験は不合格だったのですが、区立中学、都立高校を経て第一志望の大学に合格しました。あの経験、無駄じゃなかったと思っています。半面、私の息子はそこまで真剣に勉強に取り組んでくれなかったようで、やる気スイッチを押せなかった自分の親としての力不足を改めて感じました。無責任な受け売りを押し付ける義母、一般論しか言えない担任、憎たらしいですね。俊介の両親にも拍手です。
◆ヘルドッグス 地獄の犬たち (深町秋生・角川文庫)
最初から最後まで血しぶきが上がり肉片が飛びかう、これでもかのバイオレンス・クライムノベル、これはえぐい!まさに地獄のイヌ、武闘派の暴力団幹部が善玉に見えるほどのえげつないボスの阿内の指示に、右往左往しながらも暴力団内部で出世していく主人公の潜入捜査官・兼高。満腹になりました。
◆義時 運命の輪 (奥山景布子・集英社文庫)
昨年の大河「鎌倉殿の十三人」のおさらいっぽい感じでするっと読みました。改めて武家の権力争いってのはすごいなーと思いました。亡き主君・頼朝のやり方を見習って義時がダークサイドに落ちていく様はドラマ通り。鎌倉と京都の争いもギリギリすごい。もし承久の乱がなくて親王の鎌倉入りが実現してたら、日本は二つに割れていたか、鎌倉側が貴族化していたか、歴史上のIFは興味が尽きない。
◆丘の上の賢人 旅屋おかえり (原田マハ・集英社文庫)
旅屋おかえりシリーズ第二作、旅好きの売れないタレント・おかえりの人情旅・小樽・札幌編です。人情ばなしにほっこりさせられつつも旅情を誘われる小説、私も今月は大分と宮古島に旅行する予定です。
◆咳をしても一人と一匹 (群ようこ・角川文庫)
一昨年の12月に16歳半で旅立った自分の愛犬との思い出を重ねて読んだ。ここまで確りコミュニケーションが成立していることにびっくり。歳を取るごとにわがままになっていくというのは実感。うちの愛犬はさすがにここまで我がままではなかったが、留守番ができない、外出すると怒るとことにかけてはうちの方がすごかったかも。かけがえのない思い出、思い出させていただきました。
◆龍に恋う 贄の乙女の幸福な身の上 (道草 家守・富士見L文庫)
時は文明開化の明治の世、恋愛要素あり王道の妖ファンタジーものって感じでしょうか。それにしても龍とは、、、ずいぶんと盛ったものです。
◆みぞれ (重松清・角川文庫)
重松さんお得意の、ほろ苦い人生の一幕を題材にした短編集。私にも年老いて小さく、わがままになった父がいるので、表題作の「みぞれ」が身につまされた。「砲丸ママ」は若くして亡くなられた砲丸投げの選手・森夏美さんが題材。こういう話も好き。
◆光の帝国 常野物語 (恩田陸・集英社文庫)
「蒲公英草紙」の方を先に読んだが、こっちがシリーズ第一作、常野と呼ばれる超能力者の地縁集団、その能力は「しまう」(絶対忘れない記憶術)、「遠目」(予知能力)、「裏返す」(???)、長寿やパイロキネシス等多岐にわたる。短編が10篇、一応相互に関連はしているのだけど、どの人か、どの能力は、一つを中心にした連作の方が分かりやっすかったかも。萩尾望都さんの「ポーの一族」みたく「ツルの一族」とか、美耶子さん夫婦を中心にするとか。さて、亜希子さんは能力を使ってこれから何をしていくのだろう。
◆短編ホテル (集英社文庫)
ホテルに纏わるアンソロジー。心温まる系の良い話(桜木紫乃さん、大沢在昌さん、下村敦史さん、柚月裕子さん)と、良くわからない系、ホラー系の話(東山彰良さん、真藤順丈さん、平山夢明さん)が混在、個人的には「錦上ホテル」「聖夜に」「サンセールホテル」が好みでした。
◆本日も教官なり (小野寺史宜・角川文庫)
バツイチの自動車教習所教官・益子さん(45歳)に、別れた妻から、高校生の娘が妊娠したという連絡が入るところから物語が始まる。ホントに些細なことで別れてしまった二人が、娘の妊娠を機にその距離を縮めていく。男の20代、30代って、結構子供なんだよね(実感)。立派に大人に成長した益子くんの今後に幸多かれと祈ります。
本屋大賞の発表、半月後になりましたね。ということでノミネート作品を1冊。
◆川のほとりに立つ者は(寺地はるな)
「川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない」真実は本当にその気になって見ようとしないと見えてこないということでしょうか。てんぱっている時ってなかなかそうはできないです。
コロナ禍もあっててんぱっている主人公の原田清瀬は、部下に振り回され、恋人の松木圭太とも仲たがい、その圭太が友人とけんかして意識不明の重体に?天音(まお)みたいに弱さを武器にして何をしても自分を正当化する女って時々いますよね、怖い怖い。清瀬さん、最後にやっと気づけてよかった。
第168回直木賞受賞作。千早さん、歴史小説で受賞されるとはちょっと意外。
◆しろがねの葉(千早茜)
石見銀山跡は10年くらい前に訪問しました。当時としては生産性の良い、かなり先進的な鉱山だったとはいえ、そこは江戸時代初期、獣のように豪胆だった銀堀たちが肺を病んで早死にしていく、それをなすすべなく受け入れるしかない女たち、繰り返される宿命が妖艶な筆致で描かれていて、後半で一気に盛り上がりました。
ミステリを2冊。
◆invert II 覗き窓の死角(相沢沙呼)
城塚翡翠シリーズ第3弾、invert2作目は中編が1本と書き下ろしの長編が1本。嵐の山荘の「生者の言伝」はTVドラマで観た。「覗き窓の死角」は死亡推定時刻のアリバイ崩しと思わせてそうきましたかって感じ。
このシリーズ、まだまだ続きそうですね。TVドラマともども、続編が楽しみです。
◆名探偵のいけにえ: 人民教会殺人事件(白井智之)
今年度の本格ミステリ1位、このミス、文春ミステリ2位作品。白井智之さんって、人面層だとか結合人間だとか正視できないグロいのを書く人という印象があるのだが、これはそうでもなかった。実際にあった人民寺院事件をモチーフに、カルト宗教集団内で次々と起こる殺人事件に対し、これでもかと何通りもの謎解きを用意した上で、最後にさらに用意されたどんでん返し、そしてようやくプロローグの意味が分かる。周到というか、なんというか、面白いかどうかは主観が別れるところですが、すごい作品ではありました。
積読本になっていた文庫本を4冊。
◆プラナリア (山本文緒)
直木賞受賞作。表題作他「ネイキッド」「どこかではないここ」「囚われ人のジレンマ」「あいあるあした」短編が全部で5編。乳がんや離婚で世捨て人のようになった女、自己肯定度の低い、人生に投げやりで、はっきりしなくて、男性目線だとかなりめんどくさい、「いいかげんにしろよっ!」って言いたくなるキャラの女が次々登場、背表紙に「共感を呼んだ」って書いてあるけど、優しくない男性の私は彼女らには全く共感できませんでした。
◆戸村飯店 青春100連発 (瀬尾まいこ)
大阪の下町の中華・戸村飯店の年子の二人息子のそれぞれの青春、自分は東京だけど、食料品店の息子で2歳違いの弟がいて、兄の私だけ早々に家を出てしまったので、兄弟の性格や行動様式の違いとか、そりや波長が合わない感じとか、わだかまりとか、何となくわかります。テンポの良い大阪弁の会話、楽しく読ませていただきました。
◆池袋ウエストゲートパーク (石田衣良)
石田衣良さんのデビュー作、直木賞受賞作よりも断然こっちの方が面白い。舞台は一時期ポケGOのメッカみたくなっていた池袋西口公園、新宿でも渋谷でもなく池袋、西対東の戦争、若者には若者の、アウトローにはアウトローのルールがある。無軌道と背中合わせの正義感、爽快な疾走感、主人公のマコトがかっこいい。言葉の使い方も独特で、これがデビュー作なんてやはり石田衣良さんはすごい。
◆魔女の笑窪 (大沢在昌)
多分10年くらい積読にしていた本、読み始めたら一気読みだった。
第一章で早くもためらいなく殺人を犯す暗い過去を持ったダークヒロイン、義理も人情もない、だまし合いと裏切りの裏社会、とことんハードボイルドなサスペンスものでした。こういうやつは何といっても主人公のキャラが決め手、これなら続編も読んでみて良いかな。
◆家政婦は見た! 紀州のドン・ファンと妻と7人のパパ活女子(木下純代)
紀州のドン・ファン・故野崎幸助氏の家政婦の手記。
4000人の女性と関係を持ったという野崎氏の自伝を読み、個人的にその死についてもミステリーファン的な興味を持っている。一時は容疑者と目されたこの人の手記を読むことによって、自分なりにその真相に迫れればと思ったのだが、、7人のパパ活女子との関係をワイドショー的に紹介するにとどまり、事件の真相については目新しい事実はなかった。中にはサワコちゃんやミオンちゃんという良さそうな子もいたのに、人を見る目がないと言うか、最悪の女性と結婚してしまいましたね。野崎さん。
2月に続き20冊越え、まずまず読めました。
昨年の「新潮文庫の100冊」「カドブン」「ナツイチ」制覇、挑戦継続中。「カドブン」から6冊、「ナツイチ」から5冊、「新潮」は全冊読了済みなのですが、単行本で読んだものを1冊 文庫本で再読。これで「カドブン2022」は残り8冊になりました。
◆再生 角川ホラー文庫ベストセレクション
綾辻 行人、鈴木 光司、井上 雅彦、福澤 徹三、今邑 彩、岩井 志麻子、小池 真理子、澤村伊智、新旧とりまぜ8名の豪華メンバーによるホラー・アンソロジー。
岩井さんののみ既読。澤村さんのは、比嘉姉妹シリーズの前日譚でしょうか。綾辻さんのはそう来ましたかって感じで、どれも楽しめました。
◆か「」く「」し「」ご「」と「 (住野よる・新潮文庫)
単行本で既読でしたが、文庫本で再読しました。住野さんの小説の中ではこれが一番好き。
高校生の仲良し5人組は、それぞれ他人の心の動きが分かる超能力と自分だけの秘密を持っている。見た目以上にいろんなことを考え、悩み、仲間の心を慮る仲良し5人組のその青春真っただ中ぶりが実に良い。住野さん、若者の心理描写、上手いなー。
◆金の角持つ子どもたち (藤岡陽子・集英社文庫)
いーですねー。私も中学受験は不合格だったのですが、区立中学、都立高校を経て第一志望の大学に合格しました。あの経験、無駄じゃなかったと思っています。半面、私の息子はそこまで真剣に勉強に取り組んでくれなかったようで、やる気スイッチを押せなかった自分の親としての力不足を改めて感じました。無責任な受け売りを押し付ける義母、一般論しか言えない担任、憎たらしいですね。俊介の両親にも拍手です。
◆ヘルドッグス 地獄の犬たち (深町秋生・角川文庫)
最初から最後まで血しぶきが上がり肉片が飛びかう、これでもかのバイオレンス・クライムノベル、これはえぐい!まさに地獄のイヌ、武闘派の暴力団幹部が善玉に見えるほどのえげつないボスの阿内の指示に、右往左往しながらも暴力団内部で出世していく主人公の潜入捜査官・兼高。満腹になりました。
◆義時 運命の輪 (奥山景布子・集英社文庫)
昨年の大河「鎌倉殿の十三人」のおさらいっぽい感じでするっと読みました。改めて武家の権力争いってのはすごいなーと思いました。亡き主君・頼朝のやり方を見習って義時がダークサイドに落ちていく様はドラマ通り。鎌倉と京都の争いもギリギリすごい。もし承久の乱がなくて親王の鎌倉入りが実現してたら、日本は二つに割れていたか、鎌倉側が貴族化していたか、歴史上のIFは興味が尽きない。
◆丘の上の賢人 旅屋おかえり (原田マハ・集英社文庫)
旅屋おかえりシリーズ第二作、旅好きの売れないタレント・おかえりの人情旅・小樽・札幌編です。人情ばなしにほっこりさせられつつも旅情を誘われる小説、私も今月は大分と宮古島に旅行する予定です。
◆咳をしても一人と一匹 (群ようこ・角川文庫)
一昨年の12月に16歳半で旅立った自分の愛犬との思い出を重ねて読んだ。ここまで確りコミュニケーションが成立していることにびっくり。歳を取るごとにわがままになっていくというのは実感。うちの愛犬はさすがにここまで我がままではなかったが、留守番ができない、外出すると怒るとことにかけてはうちの方がすごかったかも。かけがえのない思い出、思い出させていただきました。
◆龍に恋う 贄の乙女の幸福な身の上 (道草 家守・富士見L文庫)
時は文明開化の明治の世、恋愛要素あり王道の妖ファンタジーものって感じでしょうか。それにしても龍とは、、、ずいぶんと盛ったものです。
◆みぞれ (重松清・角川文庫)
重松さんお得意の、ほろ苦い人生の一幕を題材にした短編集。私にも年老いて小さく、わがままになった父がいるので、表題作の「みぞれ」が身につまされた。「砲丸ママ」は若くして亡くなられた砲丸投げの選手・森夏美さんが題材。こういう話も好き。
◆光の帝国 常野物語 (恩田陸・集英社文庫)
「蒲公英草紙」の方を先に読んだが、こっちがシリーズ第一作、常野と呼ばれる超能力者の地縁集団、その能力は「しまう」(絶対忘れない記憶術)、「遠目」(予知能力)、「裏返す」(???)、長寿やパイロキネシス等多岐にわたる。短編が10篇、一応相互に関連はしているのだけど、どの人か、どの能力は、一つを中心にした連作の方が分かりやっすかったかも。萩尾望都さんの「ポーの一族」みたく「ツルの一族」とか、美耶子さん夫婦を中心にするとか。さて、亜希子さんは能力を使ってこれから何をしていくのだろう。
◆短編ホテル (集英社文庫)
ホテルに纏わるアンソロジー。心温まる系の良い話(桜木紫乃さん、大沢在昌さん、下村敦史さん、柚月裕子さん)と、良くわからない系、ホラー系の話(東山彰良さん、真藤順丈さん、平山夢明さん)が混在、個人的には「錦上ホテル」「聖夜に」「サンセールホテル」が好みでした。
◆本日も教官なり (小野寺史宜・角川文庫)
バツイチの自動車教習所教官・益子さん(45歳)に、別れた妻から、高校生の娘が妊娠したという連絡が入るところから物語が始まる。ホントに些細なことで別れてしまった二人が、娘の妊娠を機にその距離を縮めていく。男の20代、30代って、結構子供なんだよね(実感)。立派に大人に成長した益子くんの今後に幸多かれと祈ります。
本屋大賞の発表、半月後になりましたね。ということでノミネート作品を1冊。
◆川のほとりに立つ者は(寺地はるな)
「川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない」真実は本当にその気になって見ようとしないと見えてこないということでしょうか。てんぱっている時ってなかなかそうはできないです。
コロナ禍もあっててんぱっている主人公の原田清瀬は、部下に振り回され、恋人の松木圭太とも仲たがい、その圭太が友人とけんかして意識不明の重体に?天音(まお)みたいに弱さを武器にして何をしても自分を正当化する女って時々いますよね、怖い怖い。清瀬さん、最後にやっと気づけてよかった。
第168回直木賞受賞作。千早さん、歴史小説で受賞されるとはちょっと意外。
◆しろがねの葉(千早茜)
石見銀山跡は10年くらい前に訪問しました。当時としては生産性の良い、かなり先進的な鉱山だったとはいえ、そこは江戸時代初期、獣のように豪胆だった銀堀たちが肺を病んで早死にしていく、それをなすすべなく受け入れるしかない女たち、繰り返される宿命が妖艶な筆致で描かれていて、後半で一気に盛り上がりました。
ミステリを2冊。
◆invert II 覗き窓の死角(相沢沙呼)
城塚翡翠シリーズ第3弾、invert2作目は中編が1本と書き下ろしの長編が1本。嵐の山荘の「生者の言伝」はTVドラマで観た。「覗き窓の死角」は死亡推定時刻のアリバイ崩しと思わせてそうきましたかって感じ。
このシリーズ、まだまだ続きそうですね。TVドラマともども、続編が楽しみです。
◆名探偵のいけにえ: 人民教会殺人事件(白井智之)
今年度の本格ミステリ1位、このミス、文春ミステリ2位作品。白井智之さんって、人面層だとか結合人間だとか正視できないグロいのを書く人という印象があるのだが、これはそうでもなかった。実際にあった人民寺院事件をモチーフに、カルト宗教集団内で次々と起こる殺人事件に対し、これでもかと何通りもの謎解きを用意した上で、最後にさらに用意されたどんでん返し、そしてようやくプロローグの意味が分かる。周到というか、なんというか、面白いかどうかは主観が別れるところですが、すごい作品ではありました。
積読本になっていた文庫本を4冊。
◆プラナリア (山本文緒)
直木賞受賞作。表題作他「ネイキッド」「どこかではないここ」「囚われ人のジレンマ」「あいあるあした」短編が全部で5編。乳がんや離婚で世捨て人のようになった女、自己肯定度の低い、人生に投げやりで、はっきりしなくて、男性目線だとかなりめんどくさい、「いいかげんにしろよっ!」って言いたくなるキャラの女が次々登場、背表紙に「共感を呼んだ」って書いてあるけど、優しくない男性の私は彼女らには全く共感できませんでした。
◆戸村飯店 青春100連発 (瀬尾まいこ)
大阪の下町の中華・戸村飯店の年子の二人息子のそれぞれの青春、自分は東京だけど、食料品店の息子で2歳違いの弟がいて、兄の私だけ早々に家を出てしまったので、兄弟の性格や行動様式の違いとか、そりや波長が合わない感じとか、わだかまりとか、何となくわかります。テンポの良い大阪弁の会話、楽しく読ませていただきました。
◆池袋ウエストゲートパーク (石田衣良)
石田衣良さんのデビュー作、直木賞受賞作よりも断然こっちの方が面白い。舞台は一時期ポケGOのメッカみたくなっていた池袋西口公園、新宿でも渋谷でもなく池袋、西対東の戦争、若者には若者の、アウトローにはアウトローのルールがある。無軌道と背中合わせの正義感、爽快な疾走感、主人公のマコトがかっこいい。言葉の使い方も独特で、これがデビュー作なんてやはり石田衣良さんはすごい。
◆魔女の笑窪 (大沢在昌)
多分10年くらい積読にしていた本、読み始めたら一気読みだった。
第一章で早くもためらいなく殺人を犯す暗い過去を持ったダークヒロイン、義理も人情もない、だまし合いと裏切りの裏社会、とことんハードボイルドなサスペンスものでした。こういうやつは何といっても主人公のキャラが決め手、これなら続編も読んでみて良いかな。
◆家政婦は見た! 紀州のドン・ファンと妻と7人のパパ活女子(木下純代)
紀州のドン・ファン・故野崎幸助氏の家政婦の手記。
4000人の女性と関係を持ったという野崎氏の自伝を読み、個人的にその死についてもミステリーファン的な興味を持っている。一時は容疑者と目されたこの人の手記を読むことによって、自分なりにその真相に迫れればと思ったのだが、、7人のパパ活女子との関係をワイドショー的に紹介するにとどまり、事件の真相については目新しい事実はなかった。中にはサワコちゃんやミオンちゃんという良さそうな子もいたのに、人を見る目がないと言うか、最悪の女性と結婚してしまいましたね。野崎さん。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます