ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

20年1月に読んだ本

2020-02-06 08:11:30 | 読書
1月は19冊でした。
年は明けましたが、昨年の文庫本フェア「新潮文庫の100冊」「ナツイチ(集英社文庫)」「カドフェス(角川文庫)」へのチャレンジは続けてます。1月は7冊、うちラノベが3冊。

◆水晶庭園の少年たち (蒼月海里)
19年の「ナツイチ」本。地質好きなもので、橄欖石、いいですねー、好きな石です。さらっと読みました。

◆ぼんくら陰陽師の鬼嫁 (秋田みやび)
なぜか式神が見える芹、猪突な結婚に何か裏があるのだろうなとは思っていたが、そういうことね。19年のカドフェス本ということで手に取った。この手のラノベはたくさんあるので、どれがお気に入りかは、相性・好みの範疇だけど、これはまずまずかな。

◆宮廷神官物語(榎田ユウリ)
朝鮮っぽい国を舞台にした歴史ファンタジー。腐敗した宮廷と一線を画す若き神官・鶏冠と不思議な能力を持った慧眼児・天青の物語の第1巻。楽しく読みました。

◆さまよう刃 (東野圭吾)
頁を繰る手が止まらず、明日がヤバイと思いつつも、午前2時までかかって一気読みでした。警察は市民を守っているのではない、法を守っているのだ。その刃は、時として犯人を守るために被害者に向けられる。未成年と言えど凶悪犯・常習者、その魔の手から市民を守れない法律なんて自分にとって意味はない。私にも娘がいますが、多分長峰と同じことを考えると思います。どうなるはハラハラしながら読みましたが、あと一歩で残念無念、重いラストでした。

◆きのうの影踏み (辻村深月)
日常系ホラーとでも言ったらよいのでしょうか。掌編が12編。玉石混交って気も少ししますが、「手紙の主」とか、「私の町の占い師」とか、「噂の地図」とかが、地味ながら結構怖い。

◆何者 (朝井リョウ)
卒業・就職という人生の転機に、モラトリアム期間を1年延長している拓人、光太郎、理香、瑞月、隆良、そして名前しか登場しないギンジ。事情は違えど地に足をつけて就活に取り組む光太郎と瑞月、自分の偶像を作り空回りする理香、現実を直視できず陰で毒をはく拓人と孝良。そして夢に向かってわが道を行くギンジ。就職面接がダウトなんて、拓人嘗めすぎ、そんなの企業はとっくにお見通し。壁にぶち当たってあがく奴にしか壁の向こうの景色は見えない。会社生活も人生も、愚直に努力することを知る人しか成功しない。

◆何様 (朝井リョウ)
「何者」のスピンアウト物短編集。最初の2作は新潮文庫のアンソロジーでも既読。でも「何者」と続けて読んだので色々新しい発見があった。光太郎が端月を振り就活で出版社に拘った理由、理香と隆良の不可解な同棲のきっかけ、サワ先輩とGINJIのその後、端月のお母さんとの同居のきっかけの父の浮気の真相、そして「何様」は、拓人が最後に面接を受けた会社のその後、武田と君島が面接官で克弘が一緒に面接を受けた体育会系の学生ですね。特に「水曜日の南階段はきれい」で光太郎の想いの引きずり方がいかにも男の子で、良いなーと思った。

◆ジェリーフィッシュは凍らない (市川優人)
単行本を図書館で借りて読んだが、文庫本になったので購入して再読。近過去小説?ジェリーフィッシュという小型飛行船内で起きる連続殺人事件にマリア&レンが挑むシリーズ1作目。制御不能、雪山に不時着したジェリーフィッシュの船内というクローズドサークルで起きる「そして誰もいなくなった」風連続殺人というアイディアも秀逸。再読で犯人やトリックを知っているのに、それでも新発見があったり、実によくできたミステリー。

◆BLUE(葉真中 顕)
読メ OF THE YEAR 2019の1位、昨年の山本周五郎賞候補作品。
最近ノッている感のある葉真中さん、「凍てつく太陽」「W県警の悲劇」と読んだが、これが一番すごい。子は親を選べない。そして暴力は連鎖する。まともな両親のもとに生まれた自分の幸運を思い、両親に感謝したい。ブルーが生きた平成という時代、平成元年や平成16年の世相の描写が懐かしい。

◆新章神様のカルテ(夏川草介)
栗原一止は「白い巨塔」「伏魔殿」の大学病院へ。それでも、いささかもぶれないイチさんとそのよき理解者のハル。脳内はもちろん櫻井翔と宮崎あおい。医者の本分とは、そして真面目に仕事をすることとはを問う、熱き使命感のお仕事小説は健在。

 ◆殺人鬼がもう一人(若竹七海)
警視庁の姥捨て山といわれる辛夷ヶ丘署の捜査員、砂井三琴と田中盛の凸凹コンビが大活躍かと思ったらそうでもない。高齢化し半ばゴーストタウン化した東京都のはずれのニュータウン、住民もろくでもなければ、警察もそれ以上に腐れ。ブラックでダークなイヤミス、「ゴブリンシャークの目」「丘の上の死神」「黒い袖」「きれいごとじゃない」「葬儀の裏で」「殺人鬼がもう一人」の短編が6篇。さ「ゴブリンシャーク」のハツエばあさんといい、「葬儀の裏で」のサクラをはじめ地元の年寄りたちは、若いものにやられて泣き寝入りするタマじゃない。

◆希望の糸(東野圭吾)
ミステリー仕立てだけど、殺人事件自体は動機も単純でトリックもない。むしろ親子とは?を考えさせられるヒューマン・ストーリー。加賀恭一郎の従兄弟の松宮さんがホームズ役、松宮さんも良い刑事に成長しました。一見何の関係もなさそうな話がこの先どうつながってくるのかのワクワク感、松宮自身の秘密、出生の謎も絡んで、序盤からページを繰る手が止まらない。やはり東野さんはうまい。

◆むかしむかしあるところに、死体がありました。(青柳 碧人)
「一寸法師の不在証明」「花咲か死者伝言」「つるの倒叙がえし」「密室龍宮城」「絶海の鬼ヶ島」、昔話を題材にした小説は太宰治や他の作家さんも書いていたと思いますが、こんなのは初めて。おとぎ話というファンタジー世界における特殊なルール下での謎解き、本格ミステリーのトリックが確り織り込まれている。それでいて、ヒーローと思った人がなかなかにダークだったり、バカミス要素もあって、何とも不思議で楽しい話になってました。

◆本と鍵の季節(米澤 穂信)
「古典部シリーズ」のような、高校生を主人公にした日常ミステリー。図書委員の古川くんが語り部で、古川くんと友人の松倉くんがツイン探偵。この二人ホームズの掛け合いがハイレベル、知的でユーモアもあって、ちょっとシニカルで、中々に面白い。最後に明らかになる相棒の家庭の秘密、そして熱くはないけど深い二人の友情。高校生モノなのに色恋沙汰やお色気はゼロ。これはこれで面白かったけど、米澤さんには、まず「古典部シリーズ」を年1冊とか、もっと定期的に書いてほしい。

◆威風堂々惡女 2 (白洲 梓)
手段を選ばずにライバルを蹴落とし、宮廷で権力を握ろうと権謀術策を巡らす雪媛と、その時を超えた別人格の玉瑛。記憶喪失になって一時玉瑛の人格が表んでるが、再び記憶を取り戻した雪媛は、再び権力闘争の場に身を投じる。1巻が理屈ぬきに面白かったので続編も読んでみたが、救いのある結末で、これはこれでよし。

◆定年夫婦のトリセツ (黒川伊保子)
「妻のトリセツ」「夫のトリセツ」に続き著者の3部作読了。著者の講演会を聴き、前2作を読んだところで、自分がすでにかなりやらかしてしまっているのを自覚、もう手遅れかなと思ったが、この本を読んで、まだ挽回できるかなと思い直しているところ。まあ、できることをやっていくしかないか。自分の言い訳もあるので、妻にも読んでほしい一冊。

歴史本が3冊。
◆歴史が面白くなる 東大のディープな日本史(相澤理)
再読。日本史は断じて暗記科目ではない。そして歴史は繰り返す。歴史を学ぶ意味を再認識させてくれる一冊。
◆歴史が面白くなる ディープな戦後史(相澤理)
2020年を迎え、3年ぶりくらいに再読。一橋大学の日本史の入試問題から学ぶ戦後史である。人名や年号を覚えるのが歴史ではない。未来を志向するための歴史の捉え方を学ぶこと、そんな理想を体現したような入試問題。特に日本国憲法については考えさせられた。一橋大は私の母校だが、自分の時は、さすがに高度成長や日本列島改造論はまだリアルタイムに近く、戦後も歴史になりきっていなくて出題されなかった。でも昭和史は試験に出ると思って必死に勉強した覚えあり。受験勉強を超越した良問、自分の歴史好きはこの時からかも。

◆「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史 (百田尚樹、有本香)
自分が子供の頃は、ここまでは硬直していなかった。なぜ日本の歴史教育はこんなになってしまったのかと、歴史好きとして心からそう思う。日本には、日本人が誇りに思うべき歴史がある。
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