ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

斎藤智裕「KAGEROU」

2011-02-23 22:07:28 | 読書
今更、やや遅きに失した感がありますが、水嶋ヒロ(いや、斎藤智裕さん、だっけか)の「KAGEROU」、読みました。
1P辺りの字数が少ないし、2時間くらいで、簡単に読めてしましました。
自殺とか臓器移植とか、重い話題を扱っている割には、暗さが全くない、なんとも軽い読後感、もしかしたら、これくらいであれば自分にでも書けるのではと錯覚させられるような、ライトノベルというか、星新一というか、良い意味で読みやすい小説でした。
酷評する向きもあるようですが、私は嫌いじゃないです。こういうの。

『会社をリストラされ、借金を抱えた男・ヤスオは、絶望のあまり廃墟ビルのフェンスから投身自殺を図ろうとした所、黒服の男・キョウヤに阻止される。キョウヤは、裏社会の臓器提供グループ「全日本ドナー・レシピエント協会」の一員であり、彼の勧めでヤスオは、臓器提供の報酬を田舎の両親に送る契約を結ぶ。。。』

闇の臓器移植というと、当然犯罪なわけですが、無為に自殺しようとする人の臓器を、生きたいという人のために生かす、それがなぜ悪いのか、というわけです。
キョウヤは、使命感を持って、それを自分なりに、できる限り正しいと思われる方法でやっているし、ドナーも当然納得している。
キョウヤを「間違っている」と納得させられる理屈を持っている人って、いるのでしょうか。

モーリーの「、、、死にたい死にたい思テ死ぬの人…かわいそゥ人。生きたい生きたい思テ死ぬの人…幸せ人…ワカる?」が、この小説の言いたかったことなんでしょうね。
言いたいことが分かりやすく分かる、これもこの小説のいいところと思います。いや、マジで。

世界には、子どもが、大人になりたくてもなれずに死んでいく国があります。
それなのに、日本は、年間3万人の人が自殺する国です。
モーリーのことば、噛み締めたいと思います。




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