
10月に読んだ本は、少なめの13冊。ラグビーと男女バレーボールのワールドカップが影響したか!?
「新潮文庫の100冊」「カドフェス」から4冊。
◆青い鳥 (重松清)
生徒に寄り添う吃音の教師、ムラウチ先生に救われた生徒たちの目線で書かれた短編集。
「嘘をつくのは悪いことではない。かなしいことなんです」彼の言葉が重い。
◆螺旋の手術室 (知念実希人)
著者お得意の医療ものミステリー、この謎はよっぽど医学に詳しくないと解けない。教授選の確執、白い巨塔ばりの大学病院の闇と思わせておいて、意外と爽やかな職業倫理、中々の傑作だとは思います。
◆トロッコ・一塊の土 (芥川龍之介)
芥川も、たまにはいいかな。
◆人生論ノート (三木清)
高校時代、倫理社会の授業で読まされたのだが、ちっともわからなかった記憶あり、今読んでも、やはりよくわからなかった。わざと、普通の人には分からないように書いているのではないかと思えるくらい、なかなか著者の真理にはたどりつけないなー。
ミステリーが3冊。
◆カインは言わなかった(芦沢央)
狂気の演出家・誉田、そしてダンサーの豪と画家の誠の兄弟。この3人をめぐり、恋人やダンサー仲間、誉田のせいで娘を失った松浦夫妻ら、彼らを取り巻く登場人物の視点で物語が進んでいく。芦田さんの今までのパターンから、豪の死に絡んで最後にどんでん返しがあるのかなと思っていたが、意外にも真っ当で救いのある終わり方だった。
芦沢さんというと、ホラーっぽい作風のミステリー作家さんという先入観で読んでいたのだが、これは一味違った。
◆medium 霊媒探偵城塚翡翠(相沢沙呼)
ホームズ役がミステリー小説家で、ワトソン役が最初から犯人が分かってしまう美貌の霊媒師、新しい形の倒叙ミステリー?と思わせておいて、ラスト1/4でどんでん返し、謎解きは本格ミステリー、でも全く違う話になっちゃうところが小説としても面白い。
◆W県警の悲劇 (葉真中顕)
男社会のW県警で起きた、女性警官に纏わる事件あれこれが6編。「洞の奥」はそう来ましたか。「交換日記」は叙述トリックにやられた。「ガサ入れの朝」これはほのぼの楽しいお話。「私の戦い」気が弱くとも女の戦い方はある、というか、女は怖い。「破壊」はそうだと思いました。そして「消えた少女」は、、救いのない話ですね。さらっと読んだけど、中々によくできた短編連作ミステリー。
文学賞候補になったけど大賞は取れなかった文芸書が2冊。
◆トリニティ(窪美澄)
田舎生まれ、貧乏育ちの売れっ子イラストレーター早川朔こと妙子とその盟友でお嬢様育ちのライター登紀子。まだまだ女性に対する偏見が強かった戦後を駆け抜けた女性二人の生き様に、その二人の親友で専業主婦の鈴子の孫娘が迫る。
「潮汐ライズ」って「平凡パンチ」がモデルですよねー、懐かしい。
◆美しき愚かものたちのタブロー(原田マハ)
4年ほど前、都美術館で「モネ展」をやった時に、ついでに西洋美術館の常設展示も見て、「なんだ、こっちにもモネあるじゃん」と思った。その松方コレクション誕生の経緯を描いた、原田さんお得意のジャンルの作品。
直木賞候補になったのは「楽園のカンヴァス」「ジヴェルニーの食卓」「暗幕のゲルニカ」に続いて4回目だけど、今回も残念でした。ちょっとノンフィクション色が強くて、その分アートに対する熱量がやや抑えめだったかも。
ラノベも2冊。
◆俺の妹がこんなに可愛いわけがない(13) あやせif 上 (伏見つかさ)
「お久しぶり」って感じですね。今までのを全部読んでいるので、あやせルートも押さえておこうかと、、、
◆ソードアート・オンライン (15) アリシゼーション・インベーディング (川原礫)
アリシゼーション編があまりに長いので読むのをやめてしまっていたのだが、TVアニメにあわせて読書も再開。キリトがいるVR世界に強烈な個性の新キャラ悪役登場、アスナもダイブと、ようやくSAOらしい展開になってきました。次巻に期待。
その他が2冊。
◆「大家さんと僕」と僕(番外編本)
ベストセラーになった「大家さんと僕」に纏わるあれこれをまとめた本。本作同様、矢部さんの人柄がにじみでていました。矢部さんのお父さまも絵を描く人だったんですね。
◆新版 奇想の系譜(辻 惟雄)
今年の春、東京都美術館で開催された「奇想の系譜展」を見に行った。伊藤若冲目当てだったのだが、岩佐又兵衛、狩野山雪、曽我簫白、長沢芦雪、歌川国芳の作品も正に奇想、アヴァンギャルドな作品群に魅了された。元ネタの本も読んでみたくなったが、かなり高い本だったので、図書館で半年待ち。装丁もきれいで解説も面白く、展覧会の記憶をたどりながら読んだ。満足!
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